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  3. アパートの消防点検|義務になる条件と不要な場合、自分で点検できるか、頻度と報告、費用の公開例、入居者への連絡【2026年版・条文つき】

アパートの消防点検|義務になる条件と不要な場合、自分で点検できるか、頻度と報告、費用の公開例、入居者への連絡【2026年版・条文つき】

2026 10/27
マンション・テナント
2026年10月27日
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アパートの消防点検|義務になる条件と不要な場合、自分で点検できるか、頻度と報告、費用の公開例、入居者への連絡【2026年版・条文つき】

この記事の情報

消防法・消防法施行令・消防法施行規則(e-Gov)、東京消防庁の点検報告制度のQ&A、二宮町の共同住宅の所有者向けの案内、消防庁の点検アプリとパンフレット、国土交通省の賃貸住宅標準契約書、業者の料金ページは、2026年10月11日に原文を取得して確認しました。料金は各社が公開している数字をそのまま載せたもので、相場ではありません。設置の基準は市町村の条例で変わることがあるため、最終的な確認は建物のある地域の消防署で行ってください。

アパートを持っていると、管理会社から「消防点検の時期です」と見積もりが届いたり、入居者から「点検で部屋に入られるのですか」と聞かれたりします。うちのような小さなアパートでも点検は要るのか、自分でできないのか、いくら払うのが普通なのか。調べ始めると、業者のページごとに書いてあることが少しずつ違って迷います。

この記事は、アパートの持ち主と管理をしている人に向けて、消防法と施行令の条文、東京消防庁と町の案内、消防庁のアプリとパンフレット、業者が公開している料金の原文だけを並べて整理します。入居者側の疑問(部屋に入る理由、不在のとき)は マンションの消防点検 に、点検の制度全体は 消防設備点検とは にまとめています。

アパートの外観を、ヘルメットをかぶった点検員がタブレットを持って見上げている様子のイメージ
アパートの点検(イメージ)
目次
点検の義務と費用の相場をLINEで受け取る。受け取れる情報を見る

先に結論

アパートの消防点検の要点5つ。義務を負うのは所有者・管理者・占有者、延べ150㎡以上で消火器、点検は6か月ごとで報告は3年に1回、条件に当たらなければ自分で点検できる、報告しないと30万円以下の罰金又は拘留
アパートの消防点検の要点
知りたいこと答え(根拠)
誰の義務か所有者・管理者・占有者(消防法2条4項・17条の3の3)
義務になる目安延べ面積150㎡以上で消火器、延べ500㎡以上などで自動火災報知設備(施行令10条・21条)
点検の頻度機器点検6か月に1回、総合点検1年に1回(東京消防庁Q5)
報告の頻度3年に1回(施行規則31条の6第3項2号)
自分で点検できるか延べ1,000㎡以上の指定などに当たらなければできる(施行令36条2項・東京消防庁Q4)
費用公開例で戸数別に1回〜7,000円から15,000〜25,000円など。相場の公表はなし
報告しないと30万円以下の罰金又は拘留(消防法44条11号)

アパートの消防点検は誰の義務か

義務の根拠。消防法17条1項で設置と維持、17条の3の3で定期の点検と報告。関係者は所有者・管理者・占有者。アパートは別表第一(五)項ロ
義務の根拠と誰の義務か

消防法17条1項は、共同住宅を含む防火対象物の関係者は、政令で定める消防用設備等を「設置し、及び維持しなければならない。」と決めています。そのうえで17条の3の3が、関係者は消防用設備等を「定期に」点検し、「その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。」と決めています。設置すること、点検すること、報告することが、ひとつながりの義務になっています。

ここでいう関係者は、消防法2条4項で「防火対象物又は消防対象物の所有者、管理者又は占有者をいう。」と定義されています。アパートでいえば、大家(所有者)、管理を任されている管理会社(管理者)、住んでいる人(占有者)がすべて関係者に入ります。

では誰が報告するのか。東京消防庁のQ&A(Q7)は、所有者、管理者、占有者を挙げたうえで、「一般的には、建物に設置されている消防設備の維持管理について、権限を持っている者が報告します。」と答えています。賃貸のアパートで設備を直したり交換したりする権限を持つのは、ふつうは大家です。管理会社に任せている場合も、管理委託契約で点検と報告が業務に入っているかを確かめておくと、誰も出していなかった、という事態を防げます。

消防法施行令の別表第一では、アパートは「(五)項ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅」に分類されます。この区分が、どの設備が要るか、何年ごとに報告するか、自分で点検できるかを決める出発点になります。

アパートに付く設備と、義務になる条件

アパートに付く主な設備と条件。消火器は延べ150㎡以上など、自動火災報知設備は延べ500㎡以上など、避難器具は収容人員30人以上、非常警報は収容人員50人以上、誘導灯は地階・無窓階・11階以上
アパートに付く主な設備と条件

点検の義務は、建物に付いている消防用設備等にかかります。アパートに多い設備ごとに、施行令の条件を原文から拾うと次のとおりです。

消火器(施行令10条)

10条1項2号は、(五)項を含む防火対象物で「延べ面積が百五十平方メートル以上のもの」に消火器具を求めています。延べ150㎡に届かなくても、5号で「地階…、無窓階…又は三階以上の階で、床面積が五十平方メートル以上のもの」には必要です。二宮町の案内も、アパートやマンションなどの共同住宅で「延床面積が150平方メートル以上のもの等には、消防法により消防用設備等の設置が義務付けられています。」と書いています。

自動火災報知設備(施行令21条)

21条1項4号は、(五)項ロで「延べ面積が五百平方メートル以上のもの」に自動火災報知設備を求めています。このほか11号で、地階、無窓階又は3階以上の階で「床面積が三百平方メートル以上のもの」、14号で「十一階以上の階」にも必要です。ただし、共同住宅には特例の省令(特定共同住宅等の省令)があり、通常の自動火災報知設備に代えて「共同住宅用自動火災報知設備」や「住戸用自動火災報知設備」などが付いていることがあります。

避難器具・非常警報・誘導灯

避難器具は、施行令25条1項2号で、(五)項の「二階以上の階又は地階で、収容人員が三十人」以上の階に求められます。下の階に店舗などが入っている場合は「十人」以上です。非常警報(非常ベルなど)は24条2項2号で収容人員50人以上など。ただし自動火災報知設備がある範囲は不要とされています。誘導灯は26条1項1号で、(五)項ロでは地階、無窓階、11階以上の部分に求められます。

設備アパート((五)項ロ)で必要になる主な条件条文
消火器延べ面積150㎡以上。地階・無窓階・3階以上の階で床面積50㎡以上施行令10条1項2号・5号
自動火災報知設備延べ面積500㎡以上。地階・無窓階・3階以上の階で床面積300㎡以上。11階以上の階施行令21条1項4号・11号・14号
避難器具2階以上の階又は地階で収容人員30人以上(下の階に店舗などがあれば10人以上)施行令25条1項2号
非常警報収容人員50人以上、地階・無窓階で20人以上(自動火災報知設備の範囲内は不要)施行令24条2項2号
誘導灯地階・無窓階・11階以上の部分施行令26条1項1号

ここで書いたのは国の基準です。消防法17条2項は、市町村が条例で「政令又はこれに基づく命令の規定と異なる規定を設けることができる。」としています。建物ごとの最終的な判断は、所轄の消防署に確認してください。新築や増築のときに出した設置届の控えがあれば、付いている設備がすぐ分かります。設置届については 消防用設備等の設置届 に書いています。

「うちのアパートは点検不要?」の見分け方

点検が不要かの見分け方。消防用設備等が付いているか、延べ150㎡未満で3階以上や地階の50㎡以上の階も無いか、住宅用火災警報器は別の制度
不要かどうかの見分け方

「アパート 消防点検 不要」と調べる人が多いのは、小さな木造アパートでは消火器も感知器も見当たらないことがあるからです。東京消防庁のQ1は、点検が必要な建物を「消火器、自動火災報知設備やスプリンクラーといった消防設備が設置されている建物」と説明しています。消防法や条例で設置が求められた設備が無い建物なら、点検して報告する対象の設備も無いことになります。

見分ける手順は、まず消火器や感知器、避難はしごなどが付いているかを見ること。次に延べ面積が150㎡未満か、3階以上や地階に50㎡以上の階が無いかを確かめます。両方に当てはまれば、施行令10条の消火器の義務には当たりません。ただし、上で書いたとおり条例で別の決まりがあることもあるので、「不要」と決める前に所轄の消防署で確かめるのが安全です。

よく混同されるのが、各部屋の天井に付いている住宅用火災警報器です。これは消防法9条の2にもとづく別の制度で、東京消防庁のQ19は、住宅用火災警報器に消防設備点検は「必要ありません。」と答えたうえで、「いざ」というときに作動するように「ご自身で日頃からお手入れや点検を実施してください。」としています。住宅用火災警報器しか無いアパートなら、消防署への点検報告はかからないものの、作動の確認は続けたほうがいい、ということです。

自分で点検できるか

自分で点検できるかの条件。延べ1,000㎡以上(共同住宅は指定されたもの)、地下又は3階以上に特定用途があり屋内階段が1か所だけ、二酸化炭素消火設備が付いている、のどれにも当たらなければ資格のない人が点検してよい
自分で点検できる条件

小さなアパートの大家にとって大事なのがここです。消防法17条の3の3は、政令で定める建物は消防設備士か消防設備点検資格者に点検させ、「その他のものにあつては自ら点検し」と書いています。つまり、政令で決まった建物でなければ、関係者が自分で点検してよい作りです。

その政令が施行令36条2項です。共同住宅に関係するのは2号で、(五)項ロなどの建物で「延べ面積が千平方メートル以上のもののうち、消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの」です。3号は、店舗や飲食店などの用途が避難階以外の階にあって、直通階段が2つ(屋外階段などなら1つ)以上無い建物。4号は全域放出方式の二酸化炭素消火設備が付いている建物です。

東京消防庁のQ4は、これを利用者向けに「延べ面積1,000㎡以上の建物」「地下又は3階以上の階に特定用途…があり、かつ、屋内階段が1か所のみの建物」「二酸化炭素消火設備(全域放出方式)が設置されている建物」のいずれにも当たらない場合に限り、資格のない人の点検が認められる、と説明しています。二宮町は、有資格者が点検しなければならない共同住宅として「1,000平方メートル以上で、自動火災報知設備が設置されている共同住宅」を挙げています。指定の運用は消防本部ごとに違うので、1,000㎡前後の建物は所轄の消防署に確かめてください。

一方で、東京消防庁は同じQ4で「専門的な技術・器具が必要となることや点検時の安全面を考慮し、当庁では、消防設備士や消防設備点検資格者による点検を推奨しています。」とも書いています。二宮町も「所有者等自らが点検を実施できる場合でも、確実な点検を行うため有資格者へ依頼されることをお勧めします。」としています。法律上できることと、勧められていることは分けて考える必要があります。資格の種類は 消防設備の点検資格 にまとめています。

自分で点検するときに使えるもの

自分で点検するときに使えるもの。対象は消火器、非常警報器具、誘導標識、特定小規模施設用自動火災報知設備の4種類。消防庁の点検アプリで報告書をPDFにできる。パンフレットで点検方法を説明
自分で点検するときの道具

東京消防庁のQ4は、「消火器、非常警報器具、誘導標識、特定小規模施設用自動火災報知設備の点検報告をご自身で行う場合」の参考ページを案内しています。報告書は、消防庁の「消防用設備等点検アプリ」で作れます。消防庁は、このアプリを「小規模な宿泊施設、共同住宅、飲食店等に設置されることが多い」設備を追加して運用していて、点検結果を「消防法令に定められた報告書の様式のPDFファイルとして出力することができる」と説明しています。

点検の仕方は、消防庁のパンフレット「消防用設備等点検報告を自ら行っていただくために」がイラストつきで説明しています。全12ページで、消火器、特定小規模施設用自動火災報知設備、非常警報器具、誘導標識の点検方法と点検票の書き方が載っています。

消防庁パンフレットの消火器のページ。表示の製造年を確認し、製造年から5年を超えていなければ自ら点検を実施、超えていれば業者に依頼するか買い替える。本体容器の変形や腐食、安全栓の封などを確かめる
パンフレットの消火器のページ(消防庁)

消火器は年数で点検の中身が変わる

消火器は製造からの年数で点検の中身が変わる。5年以内は外形の点検を自分でできる目安、3年(加圧式)・5年(蓄圧式)を経過したら分解して内部点検、10年を経過したら圧力点検が義務
消火器の年数と点検

アパートの点検でいちばん多い設備は消火器です。パンフレットの消火器のページは、最初に「表示「製造年」を確認しましょう。」とし、製造年から5年を超えていなければ自ら点検、超えていれば消火薬剤や消火器内部の点検が必要で、消防設備業者等に依頼するか買い替える、という流れを示しています。

二宮町の案内はもう少し細かく、「製造から3年(加圧式)または5年(蓄圧式)が経過した消火器には、機器点検の際、消火器を分解しての内部点検が必要となります。さらに、製造から10年が経過する消火器には、圧力点検が義務付けられます。」と書き、「専用の工具や機材が必要となりますので、有資格者による点検が不要な建物でも、有資格者へ点検を依頼してください。」としています。

同じ案内には、消防職員が共同住宅の消火器を点検したところ「有効期限が失効していたり、錆びて危険な状態である個体が多く確認されています。」とも書かれています。古い消火器を交換するか点検を続けるかは 消火器の交換 に、処分の仕方は 消火器の捨て方 にまとめています。

点検と報告の周期

点検と報告の周期。機器点検は6か月に1回、総合点検は1年に1回、共同住宅の消防署への報告は3年に1回。特定の複合用途の建物に含まれるときは1年に1回
点検と報告の周期

点検の周期は、施行規則31条の6第1項が「一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする。」とし、消防庁告示9号が設備ごとに決めています。東京消防庁のQ5は、これを、機器点検は「外観又は簡易な操作による確認をする点検」で6ヶ月に1回、総合点検は「実際に消防設備を作動させ、全般的な機能を確認する点検」で1年に1回、とまとめています。消火器、誘導灯、誘導標識などは機器点検だけの設備です。

報告の周期は、施行規則31条の6第3項が建物の用途で分けています。共同住宅の(五)項ロは2号に入り、「三年に一回」です。東京消防庁のQ6も、共同住宅を非特定防火対象物の例に挙げて「3年に1回の報告」としています。二宮町は点検を「6か月ごと」(例として4月と10月)、報告を「3年に1回」と案内し、注釈で、特定の複合用途の建物に含まれる場合は「1年に1回」としています。1階に店舗が入っているアパートは、この注釈に当たるかを確かめてください。

区分周期根拠
機器点検6か月に1回告示9号・東京消防庁Q5
総合点検1年に1回(消火器・誘導灯・誘導標識などは無し)告示9号・東京消防庁Q5
消防署への報告(共同住宅)3年に1回施行規則31条の6第3項2号
特定の複合用途の建物に含まれるとき1年に1回施行規則31条の6第3項1号・二宮町

点検した結果は、報告しない年も維持台帳に記録します(施行規則31条の6第3項)。報告の年に、3年分の点検票の控えがそろっていることが大事です。

報告書の中身と出し方

報告書の中身と出し方。点検結果報告書、点検結果総括表、点検者一覧表、必要な設備の点検票。押印は不要、持参・郵送・電子申請で出せる。二宮町は正本及び副本
報告書の中身と出し方

東京消防庁のQ8は、出す書類を「消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果報告書」「点検結果総括表」「点検者一覧表」「必要な設備の点検票」としています。押印は、Q9で「必要ありません。」です。出し方はQ11で、管轄消防署の窓口に持参する、郵送する、電子申請システムを使う、の3つが案内されています。

二宮町は報告先を「共同住宅が所在する市町村の消防長または消防署長」とし、「正本及び副本を提出してください。」と書いています。部数や受付の方法は消防本部ごとに違うことがあるので、建物のある地域の案内を確認してください。書類の書き方は 消防用設備等点検結果報告書の書き方と出し方 に詳しく書いています。

費用の公開例

机の上で見積書とグラフの資料を両手で見比べている様子のイメージ
見積もりの比較(イメージ)

先に大事なことを書いておくと、アパートの消防点検の公的な相場はありません。東京消防庁のQ13は「消防署から具体的な金額を提示することはできません。」とし、「複数の点検事業者から見積もりをとって依頼することをお勧めします。」としています。ここでは、業者が自社のサイトで公開している数字を、条件ごと原文のまま並べます。

東海メンテックの戸数別の料金。〜5戸は〜7,000円、5〜10戸は7,000〜12,000円、11〜20戸は12,000〜15,000円、21〜30戸は15,000〜25,000円。点検1回の目安で年2回必要
戸数別の公開例

愛知県岡崎市の東海メンテックは、マンション・共同住宅の点検1回の目安を戸数で出しています。〜5戸は〜7,000円、5〜10戸は7,000〜12,000円、11〜20戸は12,000〜15,000円、21〜30戸は15,000〜25,000円です。注記に「点検1回の目安料金/年2回の実施が必要です。」「不在による再点検実施は、別途費用が発生します。」とあります。

面積別と建物の例の公開料金。日消システムズのマンションの列、光栄テクノサービスの20戸4階建て、ReRの共同住宅960㎡、沖消防建設の単価
面積別・建物の例の公開例
会社条件金額(原文)
日消システムズマンションの列、総合点検1回。〜300㎡/300〜500㎡/500〜1,000㎡1万〜2万/2万〜4万/3万〜6万
光栄テクノサービスマンション 20戸 4階建て(消火器4本・非常警報設備4台・避難器具3台)1回 25,000円〜(税抜)
ReR(和歌山)共同住宅 960㎡ 自動火災報知設備・連動制御設備・消火器具総合点検 35,200円、機器点検 27,500円、合計 62,700円(税込)
沖消防建設単価(税込)消火器点検 770円/本、避難器具点検 3,850円/台、煙感知器 1,320円/個
全国消防点検.com10戸程度のアパート1戸当たり 15,000~25,000円程度(単位は原文のまま)

日消システムズの表には「所轄消防への提出費(5,000~10,000)は、含まれておりません。」「法定内容を満たす実施契約の場合は、おおよそ一覧の2倍となります」という注記があります。表の金額が1回分なのか、年2回分なのか、報告書の提出まで含むのかで、同じ建物でも見積もりの額は大きく変わります。

頼み方で費用は変わるか。消防テックの記事では10戸のアパートで管理会社経由40,000円〜60,000円、専門業者へ直接依頼20,000円〜35,000円。1社が書いた目安で公的な統計ではない
頼み方による違い(1社の記載)

大阪の消防テックは、2026年09月08日の記事で、10戸未満の小規模アパートを1回あたり約10,000円〜30,000円、年間で約20,000円〜60,000円、10〜30戸の中規模アパートを1回あたり約30,000円〜60,000円、年間で約60,000円〜120,000円としています。同じ記事は、10戸のアパートで「管理会社経由 40,000円〜60,000円」「専門業者へ直接依頼 20,000円〜35,000円」と比べ、「20〜40%ほどの中間マージン」と書いています。ただし、これは1社が自社のサイトに書いた目安で、公的な統計ではありません。

管理会社経由のほうが高く見えても、日程の調整、入居者への案内、不在の部屋の再訪問、報告書の提出までまとめて任せられるなら、手間の分の差とも言えます。見積もりを取るときは、金額だけでなく、何が含まれているかを同じ項目で並べて比べてください。9社の料金表と見積もりの見方は 消防設備点検の費用と業者の探し方 にまとめています。

業者の探し方と、訪問販売の注意

訪問販売の手口に注意。アパートに設置してある消火器が古いので交換しますという手口、アパート1棟で総額263万円を支払った被害例。社員証の確認、その場で払わない、消防職員は点検しない、登録事業者から複数見積もり
訪問販売の注意

消防署は業者を紹介しません。東京消防庁のQ12は「消防署では特定の業者を教えることができません。」とし、東京防災救急協会のホームページにある点検実施事業者の一覧を案内しています。この一覧は令和8年1月6日に更新されています。神奈川県の二宮町は、神奈川県消防設備安全協会のホームページなどを参考に選ぶよう案内しています。ほかの地域でも、都道府県の消防設備の協会が名簿を出していることがあります。

気をつけたいのが訪問販売です。東京消防庁は、悪質な訪問販売の手口として「アパートに設置してある消火器が古いので交換します。」という言い方を挙げ、「社員証等により、出入りの業者であるかどうか必ず確認して下さい。」「安易に代金をその場で支払わないで下さい。」と注意しています。被害の例には「アパート1棟で総額263万円を業者に支払った。」というものがあります。また、Q16のとおり「消防職員が消防設備点検を実施することはありません。」消防署から来た、消防署の指示で来た、という訪問は、その場で決めずに所轄の消防署に確かめてください。

入居者の部屋に入るとき

入居者の部屋に入るときの根拠。国交省の賃貸住宅標準契約書16条で、貸主は防火などの管理上特に必要があるとき、あらかじめ借主の承諾を得て立ち入ることができ、借主は正当な理由がなければ拒否できない
入居者の部屋に入るとき

感知器が各部屋の中にあるアパートでは、点検のために部屋に入る必要があります。国土交通省の賃貸住宅標準契約書の16条1項は「甲は、本物件の防火、本物件の構造の保全その他の本物件の管理上特に必要があるときは、あらかじめ乙の承諾を得て、本物件内に立ち入ることができる。」とし、2項で「乙は、正当な理由がある場合を除き、前項の規定に基づく甲の立入りを拒否することはできない。」としています(甲は貸主、乙は借主)。

ただし国土交通省は、標準契約書は「その使用が法令で義務づけられているものではありません」としています。実際の契約書に同じような条文があるかを、まず手元で確かめてください。点検の日程はできるだけ早く掲示や書面で知らせ、在宅できる時間帯を選べるようにすると、不在による再点検(業者によっては別料金)を減らせます。入居者向けの説明は マンションの消防点検 も参考になります。

天井の感知器を、点検員が長い棒の試験器で確かめている様子のイメージ
感知器の点検(イメージ)

報告しない・不備を放置するとどうなるか

報告しない・不備を放置した場合。報告しない・虚偽は30万円以下の罰金又は拘留で法人にも罰金刑、維持されていないと措置命令、不備は改修計画書、報告を忘れていたら直近1年の点検結果を提出
報告しない・不備を放置した場合

消防法44条11号は、17条の3の3の報告をしなかったり、うその報告をしたりした者を「三十万円以下の罰金又は拘留に処する。」としています。45条で、法人にも罰金刑が科されます。東京消防庁のQ15も「点検結果の報告をしない場合には、消防法第44条第11号により、30万円以下の罰金又は拘留となる可能性があります。」と書いています。

場面条文・案内
点検の結果を報告しない・うその報告30万円以下の罰金又は拘留(消防法44条11号)。法人にも罰金刑(45条)
設備が基準どおりに維持されていない設置や維持に必要な措置の命令(消防法17条の4)
点検で不備が見つかった早期に改修し、改修計画書を合わせて提出(東京消防庁Q14)
報告を忘れていた直近1年の点検結果を提出。点検していなければ点検してから(東京消防庁Q20)

設備が基準どおりに維持されていないときは、消防法17条の4により、消防長又は消防署長が「権原を有するもの」に対して必要な措置を命じることができます。点検で不備が見つかったときは、Q14のとおり「早期に改修してください。」とされ、すぐに直せない場合は「消防用設備等点検報告改修計画書」を報告書と合わせて出します。

報告をしばらく忘れていた場合は、Q20が「直近1年間で実施した機器点検(6ヶ月に1回)と総合点検(1年に1回)の結果報告書を、管轄消防署に提出してください。」としています。直近1年以内に点検していなければ、点検してから出します。過去の分をさかのぼって全部出すのではなく、今の状態を点検して出すのが出発点です。消防の立入検査で見られることは 消防の立入検査 に書いています。

点検報告はどれくらい出ているか

点検報告率。全国平均55.6%(2024年3月31日時点)、非特定防火対象物1,000㎡未満40.4%、1,000㎡以上70.2%
点検報告率

日本消防設備安全センターの資料によると、消防設備点検の報告率は全国平均で55.6%(2024年3月31日時点)です。消防庁の検討会の資料では、共同住宅を含む非特定防火対象物のうち1,000㎡未満が40.4%、1,000㎡以上が70.2%でした(平成29年3月31日時点)。共同住宅だけの報告率は、公表されている資料からは取得できませんでした。

二宮町は「近年、全国的に共同住宅の点検・報告率が低迷している状況にあります。」と書き、点検・報告をしていない共同住宅に知らせたところ「ほとんどの所有者等の方がこの義務をご存知ありませんでした。」としています。知らなかったという人が多い分野なので、気づいた時点で動けば十分間に合います。

初めての年にやること

初めての年にやること5つ。建物の延べ面積と設備を確かめる、自分で点検できる建物かを確かめる、業者なら複数から見積もり、入居者へ案内して6か月ごとに点検、3年に1回報告書を出す
初めての年にやること
  1. 建物の延べ面積・階数と、付いている設備(消火器、感知器、避難器具、誘導灯)を確かめる。設置届の控えがあれば一緒に見る
  2. 延べ1,000㎡以上の指定や、店舗の入り方、二酸化炭素消火設備の有無から、自分で点検できる建物かを確かめる
  3. 業者に頼むなら、登録事業者の一覧などから選び、複数から見積もりを取る。点検回数、報告書の提出、不在の再点検が含まれるかを比べる
  4. 入居者に日程を知らせ、6か月ごとに点検する。結果は維持台帳に記録する
  5. 3年に1回(店舗が入る複合用途なら1年に1回)、報告書を消防署へ出す。不備があれば改修計画書も

管理会社に任せている場合は、管理委託契約に点検と報告が入っているか、前回はいつ報告したか、報告書の控えは誰が持っているかを聞いておくと、次の手順がはっきりします。

よくある質問

小さな2階建ての木造アパートでも消防点検は要りますか

延べ面積で決まります。延べ150㎡以上なら施行令10条で消火器が必要になり、その消火器の点検と報告が義務になります。150㎡未満で、3階以上や地階の50㎡以上の階も無ければ、10条の義務には当たりません。ただし条例で別の決まりがあることもあるので、所轄の消防署に確かめてください。

大家が自分で点検して報告してもいいですか

延べ1,000㎡以上で消防長又は消防署長が指定したものなど、施行令36条2項に当たらなければ、資格がなくても点検して報告できます。消防庁の点検アプリで報告書のPDFを作れます。ただし消火器の内部点検や圧力点検は専用の機材が必要で、東京消防庁は有資格者による点検を勧めています。

点検は年2回なのに、報告は3年に1回でいいのですか

はい。共同住宅は施行規則31条の6第3項2号で報告は3年に1回です。点検そのもの(機器点検6か月、総合点検1年)は毎回行い、結果を維持台帳に記録しておきます。

各部屋の住宅用火災警報器も点検報告に入りますか

住宅用火災警報器は消防法9条の2の別の制度で、東京消防庁のQ19は消防設備点検は必要ないとしています。日頃から作動を確かめることは勧められています。

何年も報告していませんでした。さかのぼって出す必要がありますか

東京消防庁のQ20は、直近1年間の機器点検と総合点検の結果報告書を出すよう案内しています。直近1年以内に点検していなければ、点検してから出します。

消防署の人が点検に来ることはありますか

東京消防庁のQ16は「消防職員が消防設備点検を実施することはありません。」としています。消防署の名前を出して点検や消火器の交換を勧める訪問があったら、その場で契約せずに所轄の消防署に確かめてください。

この記事の要点7つ。(五)項ロで義務は所有者・管理者・占有者、延べ150㎡で消火器、点検は6か月と1年で報告は3年に1回、条件に当たらなければ自分で点検できる、消火器は年数で内部点検、費用は複数から見積もり、報告しないと30万円以下の罰金又は拘留
この記事の要点

この記事の出典

出典(すべて2026年10月11日に原文を確認)
消防法(e-Gov)
消防法施行令(e-Gov)
消防法施行規則(e-Gov)
特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(e-Gov)
東京消防庁 消防用設備等点検報告制度
二宮町 共同住宅(アパート・マンション)の所有者等の皆さんへ
消防庁 消防用設備等点検アプリ
消防庁パンフレット 消防用設備等点検報告を自ら行っていただくために(PDF)
消防庁告示第9号(PDF)
日本消防設備安全センター セミナー資料(PDF)
消防庁 検討会 参考資料4-4 消防用設備等点検報告率について(PDF)
国土交通省 賃貸住宅標準契約書(PDF)
東京防災救急協会 消防用設備等点検済表示登録事業者一覧
東京消防庁 消防設備の点検に際し、悪質業者にご注意ください
東京消防庁 悪質な訪問点検・販売・リースに注意
東海メンテック 料金表
日消システムズ 消防設備点検の料金
光栄テクノサービス 消防設備点検
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全国消防点検.com アパートの消防点検
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