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フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)と施行規則(e-Gov)、環境省の「第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き(第3版)」、フロン排出抑制法Q&A、リーフレットとパンフレット、令和5年度の施行状況、業者の公開料金は、2026年10月15日に原文を取得して確認しました。都道府県によって運用が異なることがあるため、最終的な確認は機器のある都道府県の担当窓口で行ってください。
店舗や事務所の業務用エアコン、スーパーの冷凍冷蔵ショーケース、厨房の業務用冷蔵庫。これらを使っている会社には、フロン排出抑制法で点検の義務があります。消防設備や建物の定期報告と比べると知られていないことが多く、テナントの入れ替えや管理会社の交代のときに「誰がやるのか分からない」「記録が残っていない」となりがちです。
この記事では、自分の機器が対象になるか、点検は誰がいつ何をするのか、記録はどう残すのか、漏れが見つかったらどうするのか、そして費用の目安を、環境省の手引きと法律の条文の原文から順に追います。

先に結論

| 知りたいこと | 答え(根拠) |
|---|---|
| 対象の機器 | 業務用として製造された、フロン類を冷媒に使うエアコンと冷蔵機器・冷凍機器(第一種特定製品)。カーエアコンは除く |
| 簡易点検 | 全ての対象機器を3か月に1回以上。実施者に資格の限定はない |
| 定期点検 | 圧縮機の定格出力が7.5kW以上の機器。エアコン7.5kW以上50kW未満は3年に1回以上、エアコン50kW以上と冷凍冷蔵機器7.5kW以上は1年に1回以上 |
| 誰の義務か | 管理者。原則は所有者で、テナントが所有する機器はテナント |
| 記録 | 点検記録簿を作り、廃棄でフロンを引き渡した日から3年間保存 |
| 漏れたとき | 修理が終わるまで充塡を委託してはいけない(原則) |
| 罰則 | 点検しないこと自体への直接の罰金はなく、7.5kW以上の機器を持つ管理者に勧告、公表、命令の順。命令違反は50万円以下の罰金 |
フロン点検の対象になる機器

フロン排出抑制法の点検の対象は、法律で「第一種特定製品」と呼ばれる機器です。環境省のQ&Aは「業務用のエアコン(空調機器)及び冷凍・冷蔵機器であって、冷媒としてフロン類が使用されているものが対象です」と説明しています。
業務用かどうかの決め方には注意が要ります。Q&AのQ7は「使用場所や使用用途ではなく、その機器が業務用として製造・販売されたかどうかで判断されます。」としています。つまり、事務所に家庭用のルームエアコンを付けている場合は対象外で、逆に業務用として作られた機器なら、使い方が家庭的でも対象です。フロン類以外の冷媒を使う機器は「フロン排出抑制法の対象外となります。」とされています。
簡易点検のリーフレットは、簡易点検について「全ての業務用冷凍空調機器(カーエアコンを除く。)が対象となる」と書いています。台数や大きさで対象から外れることはありません。大きさ(出力)で分かれるのは、あとで説明する定期点検のほうです。

点検の義務を負う管理者は誰か

点検の義務を負うのは、機器の「管理者」です。環境省の手引きは表7で「原則として、当該製品の所有権を有する者(所有者)が管理者となる。」とし、例外として「契約書等の書面において、保守・修繕の責務を所有者以外が負うこととされているリース契約等の場合は、その責務を負う者が管理者となる。」としています。
ビルでよく迷うのがテナントの機器です。Q&AのQ22は「原則として、第一種特定製品の所有者が管理者にあたります。そのため、テナントの事業者が所有する機器はテナントが管理者となります。」と答えています。ビルに最初から付いている空調をテナントが使っている場合はビルの所有者、テナントが自分で入れたエアコンや冷蔵庫はテナント、と分けて考えるのが基本です。
点検を設備業者や管理会社に任せている場合も、管理者は変わりません。Q27は「簡易点検の管理業務を委託することは可能です。しかし、その場合であっても原則として、第一種特定製品の所有者が管理者にあたります。」としています。区分所有や共有のビルについて、手引きは「話し合い等を通じて管理者を1者に決める必要がある。」としています。誰が管理者なのか分からないときは、手引きのとおり、まず所有者と使用者の間で今の契約を確かめるのが近道です。
| 場面 | 管理者になる人(根拠) |
|---|---|
| 自社で買って使っている機器 | 所有者(手引き 表7) |
| テナントが所有する機器 | テナント(Q&A Q22) |
| リース | 使用者が当たる場合が多い(手引き 表9) |
| レンタル | 所有者が当たる場合が多い(手引き 表9) |
| 割賦販売 | 使用者が当たる場合が多い(手引き 表10) |
| 不動産の信託で機器が信託財産に含まれる | 指図権を持つ特定目的会社、不動産投資法人、合同会社など(Q&A Q23) |
| 点検を設備業者に委託 | 委託元のまま(手引き 表7、Q&A Q27) |
| 区分所有・共有のビル | 話し合いで1者に決める(手引き) |
簡易点検と定期点検のちがい

点検には2種類あります。全ての対象機器でする「簡易点検」と、一定の大きさ以上の機器で追加してする「定期点検」です。中身は法律の16条にもとづく告示(管理者の判断の基準)で決まっていて、環境省の手引きがそれを解説しています。
| 項目 | 簡易点検 | 定期点検 |
|---|---|---|
| 対象 | 全ての対象機器 | 圧縮機の定格出力が7.5kW以上の機器 |
| 頻度 | 3か月に1回以上 | 1年に1回以上(エアコン50kW未満は3年に1回以上) |
| 実施する人 | 限定なし(社員でもよい) | 十分な知見を有する者が自ら行うか立ち会う |
| 方法 | 異常音、外観、油漏れ、霜の目視など | 目視に加えて直接法・間接法による検査 |
| 記録 | 実施日と実施の有無 | 実施年月日、実施者、内容と結果 |
Q&AのQ42は、定期点検をすれば、それで簡易点検を「兼ねることができます。」としています。定期点検をする回は、その時期の簡易点検を別にする必要はありません。
簡易点検のやり方

3か月に1回以上、全台
判断の基準は「第一種特定製品の管理者は、3月に1回以上、管理第一種特定製品について簡易な点検(以下「簡易点検」という。)を行うこと。」としています。手引きは、3か月に1回とされている理由を「季節ごとに運転に係る負荷に変動が生じるためである。」と説明しています。
止めている機器も対象です。手引きは「稼働していない第一種特定製品についても、経年劣化等により、充塡されているフロン類が漏えいするおそれがあることから、当該期間においても、簡易点検を行う必要がある。」としています。ただし、整備のときにフロンを全量回収した機器は「簡易点検を行う必要はない。」とされています。
見るところ
エアコンで見るのは、別表1の「異常音並びに管理第一種特定製品の外観の損傷、摩耗、腐食及びさびその他の劣化、油漏れ並びに熱交換器への霜の付着の有無」です。冷蔵機器と冷凍機器は、これに庫内の温度が加わります。手引きの表14は、ショーケースや業務用冷凍冷蔵庫では庫内の温度、熱交換器の霜付き、油のにじみ、異常な振動や運転音、室外機の傷や腐食を、冷凍冷蔵倉庫では倉庫内の温度や高圧・低圧・油圧・電流・電圧を例に挙げています。
手引きは参考として、法定の頻度は3か月に1回以上だが「早期に異常を察知する観点からは、1日に1回以上の頻度で実施することが効果的である。」とも書いています。ショーケースなどの庫内温度の記録は1日に2回以上、冷凍冷蔵倉庫は1日に3回以上が効果的とされています。店舗なら、毎日の開店前の温度チェックに組み込むと続けやすくなります。
難しい場所や、ほかの点検で代わりになるとき
| 場面 | 扱い(根拠) |
|---|---|
| 室外機が防護柵のない屋根の上、長い脚立が要る | 可能な範囲で。同じ冷媒系統の室内機などを重点的に(手引き、Q&A Q43) |
| 定期点検をした | 簡易点検を兼ねられる(Q42) |
| 高圧ガス保安法・労働安全衛生法・食品衛生法の点検をしている | 判断の基準の内容を満たせば簡易点検とみなせる(Q47) |
| 常時監視システムを使っている | 令和4年8月の告示改正で、一定の要件を満たせば代替できる(Q48) |
簡易点検で漏えいや故障を見つけたら、判断の基準は「可能な限り速やかに、専門的な点検(以下「専門点検」という。)を行うこと。」としています。簡易点検は異常に気づくための点検で、修理の判断は専門点検に任せる、という役割分担です。
定期点検が必要な機器と頻度

手引きは「一定の第一種特定製品(圧縮機(コンプレッサー)の定格出力が 7.5kW 以上)を管理する管理者は、当該機器について、定期点検を実施する必要がある。」としています。頻度は表15のとおりで、「圧縮機の定格出力が 50kW 未満のエアコンディショナーのみ、3年に1回であり、それ以外は1年に1回以上である。」です。
| 機器 | 圧縮機の定格出力 | 定期点検 | 簡易点検 |
|---|---|---|---|
| エアコン | 7.5kW未満 | なし | 3か月に1回以上 |
| エアコン | 7.5kW以上50kW未満 | 3年に1回以上 | 3か月に1回以上 |
| エアコン | 50kW以上 | 1年に1回以上 | 3か月に1回以上 |
| 冷蔵機器・冷凍機器 | 7.5kW未満 | なし | 3か月に1回以上 |
| 冷蔵機器・冷凍機器 | 7.5kW以上 | 1年に1回以上 | 3か月に1回以上 |
7.5kWという線は、手引きによると「漏えい発生時の環境影響及び点検に係る経済的負担を考慮し、我が国の第一種特定製品使用時のフロン類漏えいによる排出量の過半を占める機器が対象となるように設定されたもの」です。長く止めている機器について、手引きは「停止期間中の定期点検は不要だが、再度稼働する前には、事前に専門点検を実施することが望ましい。」としています。
7.5kW以上かどうかは銘板で見る

手引きは「圧縮機の定格出力は、室外機の銘板により確認する。機器によっては、「呼称出力」又は「電動機出力・圧縮機」として記載されている。銘板により確認が困難な場合は、当該機器のメーカーや販売店に問合わせをする。」としています。圧縮機が複数ある機器は、同じ冷媒系統なら合計で判断し、銘板に「●kW+●kW」とあればその合計です。

どんな建物で対象になりやすいか

手引きの表17は、定期点検の対象機器を使うと想定される事業所の例として、エアコンでは「食品スーパーなどの小売店(床面積 1,500 ㎡程度以上)」「中規模事務所」「病院」「工場」「大規模展示場 等」を、冷凍冷蔵機器では食品スーパーなどの小売店、冷凍冷蔵倉庫、運送事業者を挙げています。表18の構成例では、大規模ビル(10,000㎡)がビル用マルチエアコン25kW×20台、小規模事務所(150㎡)が店舗・オフィス用エアコン5kW×2台です。
ただし手引きは「義務対象の判断に当たって業態は考慮しない。」と念を押しています。小さな店でも7.5kW以上の機器が1台あればその機器は定期点検の対象で、大きなビルでも7.5kW未満の機器は簡易点検だけです。判断は建物単位ではなく、機器1台ずつです。
| 業態(床面積) | 1事業所あたりの構成例(手引き 表18) |
|---|---|
| 百貨店(25,000㎡) | ビル用マルチエアコン40kW×20台、別置型ショーケース10kW×10台 |
| 総合スーパー(10,000㎡) | ビル用マルチエアコン40kW×10台、別置型ショーケース10kW×10台 |
| 食料品スーパー(1,500㎡) | 店舗・オフィス用エアコン5〜15kW×8台、別置型ショーケース4〜30kW×10台 |
| 食料品専門店(100㎡) | 店舗・オフィス用エアコン3〜5kW×1台、別置型ショーケース3〜7.5kW×2台 |
| コンビニエンスストア(200㎡) | 店舗・オフィス用エアコン3kW×2台、別置型ショーケース2kW、8kW |
| レストランチェーン店(600㎡) | 店舗・オフィス用エアコン5kW×3台、業務用冷蔵庫0.75kW×8台 |
| 冷凍冷蔵倉庫(500㎡) | 冷凍冷蔵ユニット20kW×2台 |
この表で見ると、食料品専門店はショーケースが最大7.5kW、コンビニエンスストアは8kWのショーケースがあり、店の規模が小さくても定期点検の対象機器が含まれうることが分かります。一方、レストランチェーン店の構成例はどれも7.5kW未満です。手引きも、この表は代表的な構成で「実際には事業規模等により異なる。」としているので、自分の店の銘板で確かめてください。
定期点検の中身と、点検できる人
定期点検では、簡易点検と同じ異常音と外観の目視に加えて、「直接法、間接法又はこれらを組み合わせた方法による検査」をします。直接法は、発泡液を塗る、冷媒漏えい検知器で測る、蛍光剤や窒素ガスなどを入れる、といった方法で漏れを直接見つけるやり方です。間接法は、チェックシートなどで運転中の数値が日ごろの値とずれていないかを確かめるやり方です。

定期点検は「十分な知見を有する者が自ら行うか、立ち会う必要がある。」とされています。手引きは例として、冷媒フロン類取扱技術者(第一種・第二種)、冷凍空調技士や高圧ガス製造保安責任者(冷凍機械)などの資格を持ち講習を受けた人、冷凍空調機器の整備や点検に3年以上携わり講習を受けた人の3つを挙げています。第二種冷媒フロン類取扱技術者は、エアコンは定格出力25kW以下、冷凍冷蔵機器は15kW以下の機器に限られます。業者に頼むときは、点検する人がどれに当たるかを聞いておくと、立入検査のときに説明しやすくなります。
| 区分 | 十分な知見を有する者の例(手引き) |
|---|---|
| A | 冷媒フロン類取扱技術者。第一種は日本冷凍空調設備工業連合会、第二種は日本冷媒・環境保全機構が認定。平成27年4月の施行に合わせて設置 |
| B | 冷凍空調技士、高圧ガス製造保安責任者(冷凍機械)、冷凍空気調和機器施工技能士、冷凍空調工事保安管理者などの資格を持ち、講習を受けた人 |
| C | 日常的に冷凍空調機器の整備や点検に3年以上携わり、講習を受けた人 |
漏れが見つかったら、修理が先

判断の基準は、漏えいや故障を確認したときは、点検と修理を終えるまで「冷媒としてフロン類を充塡することを委託してはならない」としています。環境省のリーフレットも「フロン類の漏えいが見つかった場合、修理なしでのフロン類の充塡は原則禁止です。」と書いています。冷えが悪いからとりあえずガスを足す、という対応は原則としてできません。
例外は2つです。1つは漏えい箇所の特定や修理が著しく困難な場所で、手引きは「建物解体を伴うような工事が必要な場所を指す。」としています。もう1つは応急的に充塡が必要な場合で、「漏えいを確認した日から 60 日以内に当該漏えい箇所の修理を行うことが確実なときは」、1回に限り充塡を委託できます。手引きは、集中治療室のある病院の空調や、商品の保存のための冷凍冷蔵、24時間営業の店などを例に挙げ、その場合は「応急的に充塡が必要な理由」と「修理予定日」を明らかにしておくよう求めています。
点検記録簿の作り方と保存

点検をしたら、機器ごとに点検記録簿を作ります。手引きの表23が書くべき項目を示していて、管理者の名前(法人は実際に管理する人の名前も)、機器の場所と型番、冷媒の種類と量、簡易点検と定期点検の記録、修理や充塡・回収の記録です。簡易点検について手引きは、記録する内容は基礎情報以外では「「実施日」及び「実施の有無」のみである。」としています。
保存期間について手引きは「点検記録簿については、紙媒体又は電子媒体にて、当該製品の廃棄等に係るフロン類の引渡しを行った日から3年間保存し、管理する第一種特定製品を他者に売却する場合には、当該点検記録簿は、当該製品とともに売却先に引き渡すこと。」としています。点検した日からではなく、機器を捨ててフロンを引き渡した日から3年です。記録簿は「都道府県の報告徴収・立入検査等においても提示を求められる場合がある。」とされ、作成を第三者に委託することもできます(Q&A)。
| 記録の種類 | 主な記録事項(手引き 表23) |
|---|---|
| 基本的な事項 | 管理者の氏名又は名称、機器の所在と特定する情報、冷媒のフロンの種類と量 |
| 簡易点検 | 簡易点検を行った旨、簡易点検年月日 |
| 定期点検 | 実施年月日、点検を行った者の氏名(法人はその名称も)、内容及び結果 |
| 修理 | 修理の実施年月日、修理を行った者の氏名、内容及びその結果 |
| 修理が困難なとき | 速やかな修理が困難である理由、修理の予定時期 |
| 充塡・回収 | 実施年月日、充塡回収業者の氏名、充塡又は回収したフロン類の種類及び量 |
| 機器の廃棄 | フロン類の引取り又は充塡されていないことの確認を行った年月日と業者の氏名 |

テナントが退去するときや、ビルを売るときに記録簿がどこにあるか分からなくなる例は少なくありません。売却のときは機器と一緒に渡すことが求められているので、管理会社が替わるときには、機器の一覧と記録簿をセットで引き継いでおくと安心です。
違反したときの罰則と、行政の動き

点検や記録をしないこと自体に、すぐ罰金が科されるわけではありません。法18条は、都道府県知事が管理者の機器の使い方が判断の基準に照らして「著しく不十分であると認めるとき」に勧告をし、従わなければ公表し、それでも措置をとらないと命令ができる、という順番を定めています。この対象は施行規則2条で、定格出力7.5kW以上の機器を「一台以上使用等をするもの」に限られます。命令に違反すると50万円以下の罰金です(104条1号)。
| 違反 | 罰則 | 条文 |
|---|---|---|
| フロンをみだりに大気中へ放出 | 1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 | 86条・103条13号 |
| 18条3項の命令に違反 | 50万円以下の罰金 | 104条1号 |
| 廃棄のときフロンを回収させない(41条違反) | 50万円以下の罰金 | 104条2号 |
| 引取証明書を保存しない | 30万円以下の罰金 | 105条4号 |
| 算定漏えい量の報告をしない・虚偽 | 10万円以下の過料 | 109条1号 |
法人の従業者が業務で違反したときは、行為者を罰するほか、法人にも各本条の罰金刑が科されます(108条)。なお、環境省のパンフレット(2026年9月版)の罰則一覧はみだり放出を「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と書いていますが、e-Govの現行の条文では「拘禁刑」になっています。
漏えい量の報告
漏えいが多い事業者には報告の義務もあります(19条)。パンフレットによると、整備のときの充塡量と回収量の差にGWP(地球温暖化係数)を掛けて求める算定漏えい量が、事業者として全国で1,000t-CO2以上なら報告が必要で、一事業所で1,000t-CO₂以上なら事業所の情報も報告します。環境省のリーフレットは、ビル用パッケージエアコン1台に含まれるフロンは約20kgで、約50t-CO 2にあたると説明しています。
立入検査は毎年行われている

環境省の令和5年度の施行状況によると、立入検査等は「合計は全国で4,766件であり、対象の内訳は、第一種特定製品管理者が1,462件」でした。管理者への指導・助言は330件で、勧告と命令は0件、報告徴収が12件です。勧告まで進む例は少ない一方で、指導・助言は平成27年度の79件から増えています。立入検査では記録簿の提示を求められることがあるので、点検をしていても記録がないと説明に困ります。
フロン点検の費用の例

料金を公開している業者の例として、一般社団法人フロン排出抑制機構の点検費用ページがあります(2026年10月15日取得・税別)。機器の出力にかかわらず1台ごとの単価で、対象機器12台の例が載っています。
| 項目 | 計算(12台の例) | 金額(税別) |
|---|---|---|
| 簡易点検(1回) | 基本料10,000円+1,500円×12台 | 28,000円 |
| 定期点検(単独) | 14,000円×5台+12,000円×7台 | 154,000円 |
| 定期点検(簡易点検とセット) | 12,000円×5台+10,000円×7台 | 130,000円 |
| 点検記録簿の作成 | 3,000円×12台 | 36,000円 |
簡易点検は3か月に1回なので、このページの例で年4回頼むと28,000円×4回で112,000円(税別)になります。ページには「費用は設置場所(住所)ごとの算出となり、点検費用に加え出張料・諸経費等が別途必要になります。」とあり、天井高4m以上、特殊車両が必要なとき、夜間や深夜、日祝日の作業も別費用です。簡易点検は資格が要らないので、日々の見回りは社員がして記録をつけ、定期点検だけを業者に頼む、という分け方もできます。
| 12台をこのページの料金で頼んだ場合 | 1年あたりの目安(税別) |
|---|---|
| 簡易点検を年4回 | 28,000円×4回=112,000円 |
| 定期点検(簡易とセット)を3年に1回 | 130,000円を3年で1回 |
| 点検記録簿の作成 | 36,000円(別途) |
| 出張料・諸経費 | 別途(設置場所ごと) |
見積もりを比べるときは、1台の数え方(室内機と室外機を別に数えるか)、記録簿の作成費と出張料が入っているか、定期点検をする人が十分な知見を有する者に当たるか、をそろえて見るのがコツです。点検業者の選び方は 法定点検の費用と業者の選び方 にもまとめています。

ビルのほかの法定点検との関係
フロン点検は、建物の定期報告や消防設備の点検とは別の法律の義務で、報告先もちがいます。ビルの空調については、建築基準法12条の点検で換気設備などを、別の法律でフロンの漏れを見る、という形で、同じ機器に複数の点検がかかることがあります。建物全体の点検の種類は 建築基準法12条の定期報告 と 特定建築物定期調査、換気や排煙などの設備は 建築設備定期検査、昇降機は エレベーターの法定点検 で扱っています。点検の時期を一覧にして、同じ業者や同じ日にまとめられるものをまとめると、立ち会いの手間を減らせます。
よくある質問
家庭用のエアコンを事務所で使っています。対象になりますか
Q&AのQ7は、使う場所や用途ではなく、業務用として製造・販売されたかどうかで判断するとしています。家庭用として作られたルームエアコンなら対象外です。反対に、業務用として作られた機器なら、使い方にかかわらず対象です。
簡易点検は資格がなくてもできますか
できます。環境省の簡易点検リーフレットは、点検実施者を「実施者の具体的な限定なし」としています。資格が要るのは、7.5kW以上の機器の定期点検です。
テナントが入れたエアコンは、ビルのオーナーが点検しないといけませんか
Q&AのQ22は、テナントの事業者が所有する機器はテナントが管理者になるとしています。ビルに備え付けの空調はオーナー、テナントが自分で入れた機器はテナント、が原則です。ただしリース契約などで保守・修繕の責務を別の人が負う場合は、その人が管理者になります。
点検を管理会社に任せていれば、オーナーの義務はなくなりますか
なくなりません。Q27は、簡易点検を委託することは可能だが、その場合でも原則として所有者が管理者にあたるとしています。管理会社がつけた記録簿の中身と保管場所は、オーナー側でも把握しておくのが安全です。
冬の間止めている冷房専用の機器も、簡易点検が要りますか
要ります。手引きは、稼働していない機器もフロンが漏れるおそれがあるので簡易点検が必要としています。整備のときにフロンを全量回収した機器は不要です。定期点検は、長く止めている期間は不要ですが、動かす前に専門点検をするのが望ましいとされています。
定期点検をした月にも、簡易点検は別に要りますか
要りません。Q&AのQ42は、定期点検で簡易点検を兼ねることができるとしています。
記録簿はいつまで保存すればよいですか
機器を廃棄してフロンを引き渡した日から3年間です。紙でも電子でもよく、機器を売るときは記録簿も一緒に渡します。
まとめ

フロン点検は、業務用のエアコンと冷凍冷蔵機器を使うすべての管理者の義務です。全台の簡易点検を3か月に1回以上、7.5kW以上の機器はそれに加えて定期点検をし、機器ごとの記録簿を廃棄のあと3年まで残します。まずは建物の中にある業務用機器の一覧を作り、銘板で定格出力を確かめ、誰が管理者かを契約で確かめる。この3つができれば、あとは点検の日程と記録の置き場所を決めるだけです。
出典(すべて2026年10月15日に原文を確認)
フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(e-Gov)
同法施行規則(e-Gov)
環境省 第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き(第3版)(PDF)
環境省 フロン排出抑制法Q&A
環境省 機器の点検
環境省 リーフレット 機器ユーザー(管理者)の皆様へ(PDF)
環境省 リーフレット フロン排出抑制法に基づく簡易点検について(PDF)
環境省・経済産業省 フロン排出抑制法 パンフレット(PDF)
環境省 令和5年度 フロン排出抑制法の施行状況(PDF)
一般社団法人フロン排出抑制機構 点検費用(2026年10月15日取得)




