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電気事業法・電気事業法施行規則(e-Gov)、平成15年経済産業省告示第249号(点検頻度の告示、令和8年10月1日改正)、経済産業省のお知らせ(令和8年10月1日)と「主任技術者制度に関するQ&A」(令和8年10月)、関東電気保安協会の案内は、2026年10月11日に原文を取得して確認しました。年次点検の停電時間の一律の目安と、保安協会・業者の料金表は、今回確かめた範囲では見つけられなかったため、載せていません。
建物の裏や屋上にある、金属の箱。それがキュービクル(高圧受変電設備)です。電力会社から届く高い電圧の電気を、建物の中で使える電圧に下げる設備で、ビル、工場、学校、病院、店舗など、多くの建物にあります。
キュービクルを持っている建物は、電気事業法の「自家用電気工作物」の設置者として、点検の仕組みを整える義務を負います。この記事では、誰が、どの頻度で、何を点検するのかを、条文と経済産業省の告示の原文から順に並べます。保安協会や点検業者から届いた契約書や見積もりを読むときの物差しとして使ってください。

先に結論

| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 根拠の法律 | 電気事業法39条(技術基準の維持)・42条(保安規程)・43条(主任技術者) |
| 対象 | 電力会社から600Vを超える電圧で受電する自家用電気工作物(キュービクルがあれば当たる) |
| 点検する人 | 電気主任技術者。7,000ボルト以下の受電なら、外部委託の承認を受けて選任しないこともできる |
| 月次点検 | 原則は毎月1回以上。設備の条件により隔月1回以上や3か月に1回以上(告示第249号4条) |
| 年次点検 | 1年に1回以上。停電点検は、条件を満たす機器なら3年に1回以上にできる(内規) |
| 最近の改正 | 2026年10月1日、柱上の高圧変圧器がある設備の扱いが変わった(告示第127号) |
| 罰則 | 主任技術者を選任しないと300万円以下、届出をしないと30万円以下の罰金 |
キュービクルの点検が義務になる建物

電気事業法38条4項は、電力会社などの事業用の設備と一般用電気工作物を除いた電気工作物を「自家用電気工作物」としています。関東電気保安協会は、これを「電力会社から600Ⅴを超える電圧で受電して電気を使用する設備」と言い換え、一般的には6kVの高圧、又は20kV・60kVの特別高圧で受電する工場、事務所ビル、学校、病院、ホテル、スポーツ施設、娯楽施設などが当たると説明しています。
キュービクルは高圧で受電するための設備なので、キュービクルがある建物は、まずこの自家用電気工作物に当たると考えてよいでしょう。電気を6,600Vで受電し、設備の容量が64kVA未満の小さな設備(非常用予備発電装置があるものを除く)は「小規模高圧需要設備」と呼ばれ、後で書くように点検の頻度が別になっています。
誰が「設置者」になるか
義務を負うのは、自家用電気工作物の「設置者」です。関東電気保安協会は、設置者を、工場、ビル、学校、病院等の自家用電気工作物を所有する法人、団体、個人と説明し、「自家用電気工作物である事業場を丸ごと借り受けた法人、団体、個人も自家用電気工作物設置者となります。」と書いています。事業場の「所有者」「占有者」または「設置者にみなす者」のいずれかが設置者になる、とも案内しています。
ビル1棟を一括で借りて運営している会社や、工場を丸ごと借りている会社は、自分が設置者に当たるかもしれません。賃貸借契約で誰が電気の保安を受け持つことになっているかを、契約書で確かめておくと安心です。
設置者に課される3つの義務

電気事業法は、自家用電気工作物を含む事業用電気工作物の設置者に、次の3つを求めています。
- 技術基準に適合するように維持する。39条1項は「事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。」としています。
- 保安規程を定めて届け出る。42条1項は、保安を確保するため組織ごとに保安規程を定め、使用の開始前に主務大臣に届け出るよう求めています。変更したときは遅滞なく届け出ます(42条2項)。設置者と従業者は保安規程を守らなければなりません(42条4項)。
- 主任技術者を選任する。43条1項は、保安の監督をさせるため、主任技術者免状の交付を受けている者から主任技術者を選任するよう求めています。選任したとき、解任したときは遅滞なく届け出ます(43条3項)。
点検の中身を決めるのは、2つ目の保安規程です。施行規則50条3項は、保安規程に定める事項の1つとして「工事、維持及び運用に関する保安のための巡視、点検及び検査に関すること。」を挙げています。つまり、月次点検や年次点検をどの頻度でどう行うかは、設置者が届け出た保安規程に書かれていて、その保安規程を守ることが法律上の義務になっている、という形です。
技術基準に適合していないと認められると、40条に基づき、修理、改造、移転、使用の一時停止、使用の制限を命じられることがあります(技術基準適合命令)。点検は、この技術基準に合っているかを確かめ続けるための仕組みだと考えるとわかりやすいでしょう。
電気主任技術者の置き方は3通り

キュービクルの点検は、電気主任技術者が保安の監督として行います。主任技術者の置き方は、大きく3通りあります。
| 置き方 | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 選任 | 第一種・第二種・第三種電気主任技術者の免状を持つ人を選任して届け出る | 法43条1項・3項、施行規則52条1項 |
| 許可選任 | 免状の無い人を、主務大臣の許可を受けて主任技術者に選任する | 法43条2項 |
| 外部委託の承認 | 電気管理技術者か電気保安法人と委託契約を結び、承認を受けて主任技術者を選任しない | 施行規則52条2項 |
需要設備(電気を使う側の設備)の工事のための事業場は、第一種・第二種・第三種のどの免状でも選任できます(施行規則52条1項の表)。社内に免状を持つ社員がいれば、その人を選任して届け出る形になります。
社内に免状を持つ人がいない建物の多くは、3つ目の外部委託を使っています。関東電気保安協会は、外部委託承認制度を「電気主任技術者を選任しなくてもよい制度であり、電気事業法施行規則第52条第2項の規定に基づいています。」と説明しています。
なお、外部の人を社員のように選任する「外部選任」という言い方もありますが、経済産業省のQ&Aは、外部委託とは「言葉が似ていますが、別制度です。」と書いています。契約の話をするときは、どちらの話なのかを先にそろえておくと行き違いを防げます。
外部委託の承認を受ける条件

施行規則52条2項は、保安管理業務を委託する契約が要件を満たす相手と結ばれていて、保安上支障がないとして経済産業大臣(一つの産業保安監督部の管内だけにある場合は、その産業保安監督部長)の承認を受けたものは、「電気主任技術者を選任しないことができる。」としています。需要設備の場合は、4号の「電圧七千ボルト以下で受電する需要設備」が対象です。
53条2項は、承認の条件を並べています。設置者の目線で大事なのは次の3つです。
- 契約は、保安管理業務を委託することだけを内容とすること(三号)
- 点検を「別に告示する頻度」で行うこと、災害や事故など非常の場合の連絡、設置者と委託先の相互の義務と責任などを契約に定めること(五号)
- 委託先の主たる連絡場所が、事業場に遅滞なく到達できる場所にあること(六号)
五号の「別に告示する頻度」が、次の章の告示第249号です。委託契約の点検頻度は、この告示に合っていなければなりません。六号の到達の目安について、経済産業省のQ&Aは、過疎地域などでは「設置場所から2時間以内に到達出来る電気管理技術者等が存在しない場合が考えられる」ため、配慮が要ると書いています。一方で、離島などの過疎地域でも、告示の点検頻度を緩和することはできないとしています。
申請に必要な書類
承認の申請は、様式第四十三の「保安管理業務外部委託承認申請書」に、委託先の執務に関する説明書、委託契約書の写し、要件に当てはまることを証する書類を添えて出します(施行規則53条1項)。関東電気保安協会の届出の案内では、新設のときは保安規程の届出と一緒に、電力会社に電気使用申込書を出すときに合わせて提出する流れになっています。
関東電気保安協会の案内から、設置者が出す主な書類と時期をまとめると次のようになります。
| 場面 | 書類 | 時期 |
|---|---|---|
| 新設のとき | 保安規程届出書と保安規程 | 電力会社に電気使用申込書を提出する時と同時 |
| 外部委託にするとき | 保安管理業務外部委託承認申請書 | 新設のときは保安規程の届出と合わせて |
| 電気主任技術者を変えたとき | 電気主任技術者選任又は解任届出書 | 遅滞なく |
| 電気事故が起きたとき | 速報 | 事故の発生を知った時から24時間以内 |
| 電気事故が起きたとき | 詳報 | 事故の発生を知った日から起算して30日以内 |
承認を受けた設置者は、委託先の意見を尊重しなければなりません(53条4項)。点検で「この機器は交換を」と言われたとき、どう扱うかの目安になる条文です。要件に当てはまらなくなったときなどは、承認が取り消されることもあります(53条5項)。
月次点検の頻度は告示で決まる

外部委託の点検頻度は、平成15年経済産業省告示第249号の4条に、設備の条件ごとに書かれています。上位に出てくる解説ページでは「毎月」「隔月」とだけ書かれていることが多いのですが、実際には次のように細かく分かれています。
| 告示4条 | 当てはまる需要設備 | 頻度 |
|---|---|---|
| 十号 | 六号から九号に当たらない需要設備 | 毎月1回以上 |
| 七号 | 信頼性の高い需要設備で、設備容量が100キロボルトアンペア以下のもの、又は低圧受電のもの | 隔月1回以上 |
| 八号イ | 信頼性の高い需要設備で、低圧電路の絶縁状態を監視できる装置があるもの等 | 隔月1回以上 |
| 八号ロ | 八号イの装置があり、第三者認証を取得した機械器具等で遠隔から点検できるもの | 毎月1回以上 |
| 八号ハ | 絶縁状態と負荷の監視装置があり、主遮断装置と責任分界点からの開閉器・遮断器・配線が適切に更新されているもの | 3か月に1回以上 |
| 九号 | 七号の条件に当たり、屋内のキュービクル式で、蓄電池設備も非常用予備発電装置も無いもの | 3か月に1回以上 |
| 六号 | 小規模高圧需要設備(64キロボルトアンペア未満) | 3か月に1回以上(登録点検業務受託法人が受託なら6か月に1回以上) |
| 十一号 | 設置・改造などの工事期間中 | 毎週1回以上 |
何もしなければ十号の「毎月一回以上」です。隔月や3か月に1回にできるのは、設備が条件を満たしている場合だけです。条件は設備ごとに違うので、自分の建物がどの号で承認を受けているかは、外部委託承認申請の控えや委託契約書で確かめられます。
関東電気保安協会の案内も同じ形で、月次点検は「原則として、毎月1回」、絶縁監視装置を付けた場合は「隔月1回以上」、規模や条件によっては「隔月1回または3ヵ月1回」としています。
「信頼性の高い需要設備」の4条件

七号から九号に入る前提が、七号のイからニの4条件の全部に当てはまる「信頼性の高い需要設備」であることです。原文を短くまとめると次のとおりです。
- イ 柱上に高圧変圧器がないもの、又は柱上の高圧変圧器とその支持物が落下しないように設置され、変圧器の上面を適確に点検できるよう措置したもの
- ロ 高圧負荷開閉器(キュービクル内に設置するものを除く。)に可燃性絶縁油を使用していないもの
- ハ 保安上の責任分界点又はこれに近い箇所に、地絡保護継電器付高圧交流負荷開閉器又は地絡遮断器が設置されているもの
- ニ 責任分界点から主遮断装置の間に、電力需給用計器用変成器など決められた変成器以外の変成器がないもの
関東電気保安協会は、柱上高圧気中開閉器(PAS)が保安管理上の責任分界点になると説明しています。ハの条件は、この責任分界点の近くで地絡(電気が地面に漏れる事故)を切り離せるかどうかを見ています。
2026年10月1日の告示改正

2026年(令和8年)10月1日、告示第249号が改正されました(経済産業省告示第127号、公布の日から施行)。経済産業省のお知らせは、改正の内容を次のように書いています。
これまでは、電柱の上に高圧変圧器がある設備は、イの条件から外れていました。改正後は、落下しない設置と上面を点検できる措置があれば、信頼性の高い需要設備に入れるようになります。経済産業省のQ&Aは、上面の点検について、月次点検では死角になりやすい上部をカメラ等で確認できる方法、停電の年次点検では高所作業車等で近づいて確認できる方法が確保されていることを求めています。
柱上に変圧器がある建物で、これまで毎月点検だった場合は、条件を満たせば点検頻度の見直しの話ができる可能性があります。頻度を変えるには委託契約や承認の手続きが関わるので、委託先に相談してから進めてください。詳しくはQ&Aの3.4に書かれています。
月次点検で行うこと

月次点検は、電気を止めずに、使用中の設備を見る点検です。関東電気保安協会は「原則として、毎月1回、使用中の電気設備の点検及び測定を実施し、その結果をお知らせしております。」と説明しています。
経済産業省のQ&Aからは、月次点検の中身として次のものが読み取れます。月次点検の外観点検は内規の4.(7)②イ(イ)に定める点検項目を行う必要があること。低圧回路の絶縁状態の確認は、B種接地線の漏えい電流の測定に限らず、電路ごとに確かめる方法もあること。告示4条八号ロの遠隔点検の設備でも、有人の事業場では負荷設備の増設などが比較的頻繁にあると考えられるため、設置者やその従事者は原則として現地で問診を受けること、です。
問診は、点検する側が「最近、機械を増やしましたか」「ブレーカーが落ちたことはありますか」などを設置者に聞くものです。テナントの入れ替えや機械の増設をしたときは、次の月次点検で伝えておくと、点検の精度が上がります。
遠隔での点検
告示4条八号ロは、絶縁監視装置があり、設置場所と異なる場所から適確に点検できるよう措置した設備です。Q&Aは、需要設備で遠隔点検をする場合は「第三者認証を取得した機械器具等を使用する必要がございます。」と書いています。遠隔監視の機器を勧められたときは、この認証の有無を確かめるとよいでしょう。
年次点検で確認する5項目

年次点検は、電気を止めて設備を停止状態にし、普段は触れない部分まで点検と試験をするものです。関東電気保安協会は「原則として毎年1回以上、停電して点検および測定・動作試験を実施、その結果をお知らせしております。」としています。
年次点検の中身は、主任技術者制度の解釈及び運用(内規、令和3年3月1日付け)の4.(7)③に書かれています。内規の本文は今回の確認では取得できませんでしたが、経済産業省のQ&Aの資料1に該当部分の原文が引用されています。そこでは、次の(イ)から(ホ)の項目の確認その他必要に応じた測定・試験を行うとされています。
| 項目 | 確認すること(内規4.(7)③ロ) |
|---|---|
| (イ)絶縁抵抗 | 低圧電路の絶縁抵抗が、電気設備に関する技術基準を定める省令58条の値以上であること。高圧電路が大地及び他の電路と絶縁されていること |
| (ロ)接地抵抗 | 接地抵抗値が、電気設備の技術基準の解釈17条の値以下であること |
| (ハ)保護継電器 | 保護継電器の動作特性試験と、保護継電器と遮断器の連動動作試験の結果が正常であること |
| (ニ)非常用予備発電装置 | 商用電源の停電時に自動で起動し、送電後に停止すること。発電電圧と発電電圧周波数(回転数)が正常であること |
| (ホ)蓄電池設備 | セルの電圧、電解液の比重、温度等が正常であること |
非常用予備発電装置や蓄電池設備が無い建物では、(ニ)や(ホ)は当てはまりません。逆に、非常用発電機がある建物では、年次点検で発電機の自動起動まで見ることになります。
停電する時間は、設備の規模や点検の範囲で変わります。公的な資料や保安協会の案内に一律の目安は見当たらなかったので、この記事では数字を載せていません。テナントや工場のラインを止める調整が要るので、日程は早めに委託先と決めておくと進めやすくなります。
年次点検は委託先が全部自分でやらなくてもよい
Q&Aは、年次点検を電気管理技術者等だけで行うのが難しい場合について、「電気管理技術者等が直接すべての作業を行わなくても、その監督の下で点検が行われ、記録の確認がされているものであれば、電気管理技術者等が実施したものと考えます。」と書いています。年次点検で別の作業員が来ても、それ自体はおかしなことではありません。誰の監督の下で行い、記録を誰が確認するかを見積もりの段階で聞いておくと安心です。
停電点検は3年に1回にできる場合がある

内規の4.(7)③イは、年次点検を「1年に1回以上行う。」としたうえで、ただし書きで、信頼性が高く、(イ)から(ホ)と同等と認められる点検が1年に1回以上行われている機器は、停電により設備を停止状態にして行う点検を「3年に1回以上とすることができる。」としています。
Q&Aは、「信頼性が高い機器」の要件の例として、リコールの届出や保安上の注意喚起の対象になっていないこと、告示4条七号イからニの設備条件のすべてに適合すること、腐食性ガスや可燃性ガス等が滞留する場所でなく、高温多湿や塩害の環境でないこと(適切な対策があるものは除く)を挙げています。
いったん3年に1回の承認を受けても、ずっとそのままとは限りません。Q&Aの3.9は、「承認は基本的に継続されますが、点検の結果、3年に1回の停電による年次点検が不適当と判断された場合には、当然に全ての年次点検を停電による点検にしてください。」と書いています。停電の回数が減っても、停電しない年の点検(同等と認められる点検)は毎年行う必要がある点も見落とさないようにしてください。
委託先が備える測定器

告示第249号の2条は、電気管理技術者と電気保安法人が備える機械器具を11品目決めています。絶縁抵抗計、電流計、電圧計、低圧検電器、高圧検電器、接地抵抗計、騒音計、振動計、回転計、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置です。
ただし、需要設備などの保安管理業務だけを受け持つ場合は、七号から九号(騒音計、振動計、回転計)を除きます。十号と十一号(継電器試験装置、絶縁耐力試験装置)は、委託先か設置者が必要なときに使える措置をしていれば除かれます。年次点検で継電器試験装置を別の会社から借りてくる、ということもあり得る、ということです。
機器の更新の目安

点検で異常が無くても、機器は古くなります。関東電気保安協会は、製造後の年数で更新の目安を示しています。柱上高圧気中開閉器(PAS)や柱上高圧ガス開閉器(PGS)は15年、地中線用負荷開閉器(UGS)、高圧ケーブル、真空遮断器(VCB)、負荷開閉器(LBS)、保護継電器、低圧開閉器などは20年、断路器(DS)、油入遮断器(OCB)、変圧器(T)、高圧進相コンデンサ(SC)、直列リアクトル(SR)、避雷器(LA)、計器用変圧器(VT)、変流器(CT)などは25年です。
同協会は「受変電設備の経年による劣化は、点検・測定・試験では判断できない場合があります。」とも書いています。更新の目安は設備の状況や点検方式で変わるとも断っているので、年数だけで交換を決めるのではなく、年次点検の結果と合わせて委託先と相談するのが現実的です。
罰則は違反の種類で金額が違う

「点検をしないと罰金」とひとまとめに書かれることがありますが、電気事業法の罰則は違反の種類で金額が違います。
| 違反 | 条文 | 罰金 |
|---|---|---|
| 43条1項に違反して主任技術者を選任しなかった | 118条7号 | 300万円以下 |
| 40条の技術基準適合命令に違反した | 118条6号 | 300万円以下 |
| 42条1項・2項の保安規程の届出をしない、又は虚偽の届出 | 120条1号 | 30万円以下 |
| 43条3項の主任技術者の選任・解任の届出をしない、又は虚偽の届出 | 120条1号 | 30万円以下 |
| 42条3項の保安規程の変更命令に違反した | 120条7号 | 30万円以下 |
121条の両罰規定で、法人の業務に関して違反した場合は、法人にも各本条の罰金刑が科されます。月次点検を1回飛ばしたこと自体に直接の罰則の条文があるわけではありませんが、保安規程を守ることは42条4項の義務です。点検が続けて行われていなければ、技術基準に合っているかを確かめられず、事故が起きたときに説明ができなくなります。
事故が起きたときの報告
関東電気保安協会の届出の案内では、電気事故が起きたときは、事故の発生を知った時から24時間以内に「速報」、事故の発生を知った日から起算して30日以内に「詳報」を出す流れになっています。外部委託の場合も、報告の名義は設置者です。委託契約に、事故のときに誰が何をするかが書かれているかを確かめておくと安心です。
費用と見積もりの見方

今回確認した保安協会と上位のページでは、自社の料金表を公開しているところは見つかりませんでした。上位ページには「相場」として金額を書いているものもありますが、出典が示されていないため、この記事では使っていません。料金は、設備の容量、月次点検の頻度、年次点検の範囲で大きく変わるので、同じ条件で2社以上から見積もりを取って比べるのが近道です。

見積もりを並べるときは、まず次の点をそろえます。
- 月次点検の頻度。告示4条のどの号で承認を受ける前提か(毎月・隔月・3か月に1回)
- 年次点検が月額に含まれるか、別料金か
- 停電点検を毎年行うか、3年に1回にする前提か
- 絶縁監視装置などの機器代と通信費が含まれるか
- 事故や異常のときの出動と、その費用(関東電気保安協会は臨時点検・事故出動について「24時間365日常に出動態勢を整えております。」としている)
- 保安規程の作成・変更や、外部委託承認申請の書類作成を手伝ってもらえるか
月額が安く見えても、隔月点検の前提で、絶縁監視装置の機器代が別、年次点検も別料金、ということがあります。頻度の前提がそろっていない見積もりを比べても、本当の差はわかりません。点検業者の選び方全般は 法定点検の費用と業者の選び方 にまとめています。
同じ設備でも別の法律の点検がある

キュービクルの点検は電気事業法の点検です。同じ建物の電気まわりには、別の法律の点検もかかります。
非常用発電機が消防用設備の非常電源になっている場合は、消防法の点検(負荷運転又は内部観察等)の対象です。年次点検の(ニ)でも発電機の起動は見ますが、消防法の点検の代わりにはなりません。詳しくは 非常用発電機の負荷試験 に書いています。
非常用の照明装置や排煙設備の予備電源は、建築基準法12条3項の 建築設備定期検査 で見ます。建築基準法の定期報告の全体は 建築基準法12条点検(定期報告) にまとめています。点検の日程をまとめて組めるかどうか、それぞれの業者に聞いてみるとよいでしょう。
よくある質問
キュービクルの点検は、自社の社員でもできますか
電気主任技術者の免状を持つ社員を選任して届け出れば、その人が保安の監督をします(電気事業法43条1項・3項)。免状の無い人は、主務大臣の許可を受けて選任する方法もあります(43条2項)。社内に人がいない場合は、外部委託の承認を受けて、電気管理技術者か電気保安法人に委託する形が使われています。
月次点検を隔月にしたいのですが
隔月1回以上にできるのは、告示第249号4条七号や八号イの条件に当てはまる設備です。信頼性の高い需要設備の4条件(七号イからニ)や、絶縁監視装置などの条件があります。委託先に、自分の設備がどの号に当たるかを確かめてもらってください。
年次点検では毎年停電しますか
内規は、年次点検を1年に1回以上、停電して行うことを原則にしています。信頼性が高く、同等の点検が毎年行われている機器は、停電点検を3年に1回以上にできます。どちらで承認を受けているかは委託先に確かめてください。
建物を借りているだけでも、点検の義務がありますか
関東電気保安協会は、自家用電気工作物である事業場を丸ごと借り受けた法人、団体、個人も設置者になると説明しています。ビルの一部のテナントであれば、通常はビルの所有者側が設置者です。契約書で誰が電気の保安を受け持つかを確かめてください。
離島や山間部でも点検の頻度は同じですか
経済産業省のQ&Aは、離島等の過疎地域であっても告示で定める点検頻度を緩和することはできない、としています。委託先が到達できる距離については配慮が要るとしています。
この記事の要点

この記事の出典
出典(すべて2026年10月11日に原文を確認)
電気事業法(e-Gov)
電気事業法施行規則(e-Gov)
経済産業省 平成15年経済産業省告示第249号(施行規則第52条の2第1号ロの要件等に関する告示)
経済産業省 告示の一部改正について(令和8年10月1日)
経済産業省 主任技術者制度に関するQ&A(令和8年10月)
関東電気保安協会 保安管理業務の内容
関東電気保安協会 電気主任技術者の外部委託承認制度
関東電気保安協会 自家用電気工作物とは
関東電気保安協会 電気設備更新の目安
関東電気保安協会 保安管理業務(各種手続き及び届出)
保安協会のページは、制度の説明の例として引いているだけで、推薦ではありません。




