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消防法(e-Gov)、総務省消防庁の「自家発電設備の点検基準等の改正」のページと、そこに掲載されている改正通知・点検要領の改正通知・質疑応答・リーフレット・別添資料、東京消防庁と名古屋市の案内は、2026年10月10日に原文を取得して確認しました。業者の料金は同じ日に各社のページで確かめた金額を、社名と出典つきで載せています。公的な相場は無いので、平均は作っていません。
ビルや病院、福祉施設、マンションの管理をしていると、「非常用発電機の負荷試験が義務になりました」「やらないと罰金です」という電話やチラシが来ることがあります。何年ごとにやるのか、いくらかかるのか、本当に罰金なのか、分からないまま頼んでいいのか迷うところです。
この記事では、消防法の点検としての負荷試験を、消防庁が出している原文だけで並べます。どの発電機が対象か、点検の中のどこに負荷試験があるのか、平成30年の改正で何が変わったのか、6年に1回でよい条件、30%の負荷の意味、業者の料金、そして消防庁が自ら注意している営業の言い方と、正しい罰則です。

先に結論

| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 対象の発電機 | 屋内消火栓やスプリンクラーなど、消防用設備の非常電源として附置された自家発電設備 |
| どの点検の中か | 1年に1回の総合点検の「運転性能」の確認 |
| やり方 | 負荷運転(定格出力の30%以上)か、内部観察等 |
| 周期 | 予防的な保全策を講じていれば6年に1回。講じていなければ毎年 |
| ガスタービン | 負荷運転は不要 |
| 点検できる人 | 消防設備士か消防設備点検資格者(附置されている設備の点検と同じ) |
| 罰則 | 点検報告をしない・虚偽の報告で30万円以下の罰金又は拘留(法44条11号) |
どの発電機が消防の点検の対象か

消防法は、建物の用途や規模に応じて消防用設備を付けるよう求め、その技術上の基準の中で、停電しても動くように非常電源を付けることを求めています。消防庁の資料によると、非常電源には非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備、燃料電池設備があり、延べ面積1,000平方メートル以上の特定防火対象物では、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備が求められます。
東京消防庁は、「自家発電設備そのものは消防用設備ではありませんが、屋内消火栓設備やスプリンクラー設備などの消防用設備に非常電源として附置されているものは、消防用設備の一部の扱いとなります。」と説明しています。だから消防用設備と同じように、消防法17条の3の3の点検と報告の対象になります。逆に、消防用設備の非常電源になっていない発電機は、消防法の点検の対象ではありません。
発電機には、ほかに電気事業法や建築基準法の決まりもかかります。建築基準法の非常用の照明装置や排煙設備の予備電源としての検査は 建築設備定期検査 で書いています。この記事は消防法の点検に絞ります。
負荷試験は点検のどこにあるか

自家発電設備の点検の基準は、昭和50年消防庁告示第14号の別表第24です。半年に1回の機器点検には、設置状況、表示、始動装置、計器類、燃料容器等、排気筒、始動性能、運転性能、停止性能、耐震措置などの18項目があり、1年に1回の総合点検には、接地抵抗、絶縁抵抗、接続部、始動装置、保護装置、負荷運転または内部観察等、切替性能の7項目があります。
いわゆる負荷試験は、総合点検の「負荷運転または内部観察等」の1項目です。消防庁のリーフレットは「自家発電設備の点検は改正された項目以外にも、上記の項目を実施する必要があります。」と書いています。負荷試験だけやれば点検が終わるわけでも、負荷試験を6年に1回にしたら他の点検も6年に1回になるわけでもありません。点検全体の流れは 消防設備点検とは に、報告書の出し方は 消防用設備等点検結果報告書の書き方と出し方 にまとめています。
平成30年の改正で変わった4つのこと

平成30年6月1日に、点検の基準が改正されました(平成30年消防庁告示第12号)。消防庁の改正通知は、改正の理由を「実機での検証や現場での実態調査に基づく検討を踏まえ、非常電源(自家発電設備)の点検方法を合理化する」と書いています。東京消防庁は、負荷運転は商用電源を停電させないとできない場合があり、屋上や地階では疑似負荷装置を置けない場合もあった、と背景を説明しています。
変わったのは4つです。運転性能を確かめる方法に、負荷運転のほか内部観察等が加わりました。予防的な保全策を講じていれば、負荷運転か内部観察等は6年に1回でよくなりました。原動機にガスタービンを使う発電機は、負荷運転が不要になりました。換気性能の点検は、負荷運転のときではなく無負荷運転のときに行うことになりました。

6年に1回でよい条件|予防的な保全策

6年に1回にするための前提が「予防的な保全策」です。消防庁の資料では、予熱栓、点火栓、冷却水ヒーター、潤滑油プライミングポンプが設けられていれば1年ごとに確認し、潤滑油、冷却水、燃料フィルター、潤滑油フィルター、ファン駆動用Vベルト、冷却水用等のゴムホース、シール材、始動用の蓄電池などを、メーカーが指定する推奨交換年内に交換すること、とされています。
消防庁は、6年にした理由を、負荷運転で確かめている不具合を起こす部品の推奨交換年数が6年以上であること、経年劣化しやすい部品を適切に交換していれば、無負荷運転を6年続けても運転性能に支障となる未燃燃料の蓄積は見られないことが検証データから確かめられた、と説明しています。

数え方は、製造年か、前回の負荷運転(または内部観察等)の年からです。改正通知は、平成29年6月以降に製造したもの、または負荷運転をしたものは、予防的な保全策を講じることで、そこから6年を経過するまでは運転性能の点検をしないことができる、としています。それより前のものでも、予防的な保全策を講じていたことが過去の記録で確かめられるものは、同じ扱いです。
ここで大事なのは書類です。名古屋市は、予防的な保全策を講じている場合は「当該保全策を講じていることを示す書類を、自家発電設備に係る消防用設備等点検表に添付する必要があります。」と案内しています。保全をしていても、記録が無ければ6年に1回の扱いは受けにくくなります。
内部観察等とは

内部観察等は、負荷運転の代わりに認められた方法です。消防庁の資料では、過給器のコンプレッサ翼とタービン翼、排気管等の内部観察、燃料噴射弁等の動作確認、シリンダ摺動面の内部観察、潤滑油の成分分析、冷却水の成分分析の5つです。消防庁は、内部観察等で負荷運転と同水準以上に不具合を確かめられ、排気系統にたまった未燃燃料等も同水準以上に取り除けることが検証データ等から確かめられた、としています。
発電機を止めて分解するので、負荷運転のように電源を止めたり、大きな擬似負荷装置を屋上に上げたりする必要はありません。その代わり、分解と組立ての手間がかかります。どちらが安いかは、設置場所や容量で変わります。
負荷運転の「30%以上」の意味

負荷運転の方法は、点検要領で「擬似負荷装置、実負荷等により、定格回転速度及び定格出力の30%以上の負荷で必要な時間連続運転を行い確認する。」とされています。判定は、運転中に漏油、異臭、不規則音、異常な振動、発熱等がなく、記録が製造者の指定値の範囲にあることです。
なぜ30%なのかは、消防庁の質疑応答(消防予第528号)が答えています。消火ポンプなどが始動するときは、定常運転の約3倍の電力が瞬間的に必要になるので、発電機はふつう、定常運転に必要な電力の約3倍の出力で設計されている。だから、火災のときに設計上想定している負荷で異常を確かめられるように30%を求めている、という説明です。そのうえで、火災時の設計上の負荷が30%を下回ると確かめられる場合は、その負荷相当で点検すれば足りる、運転の時間は確認に要する時間でよい、と答えています。
実負荷と擬似負荷
負荷のかけ方は、点検要領の言葉で「擬似負荷装置、実負荷等により」です。実負荷は建物の実際の設備を発電機の電気で動かす方法で、東京消防庁が書いているとおり、商用電源を停電させないとできない場合があります。擬似負荷は、抵抗器などの装置を発電機につないで電気を消費させる方法です。
擬似負荷装置を使うときは、点検要領が、装置の容量、設置場所、仮設の給排水、仮設ケーブルの敷設、危険標識、監視員の配置などを、電気主任技術者と防火管理者と十分打ち合わせるよう求めています。業者の注記にも、装置は放熱が必要で屋内には置けない、ケーブルが15メートルを超えると別料金、といった条件が書かれています。発電機が地下にあり、装置を置ける屋外まで遠い建物では、ケーブルの長さで料金が変わる、という読み方になります。
どちらの方法でも、運転中は発電機の音と排気が出ます。テナントや入居者への事前の案内、作業時間帯の調整は、管理者の側で準備しておくと当日が楽になります。
建築基準法の検査でも発電機を見る
自家用発電装置が、建築基準法の非常用の照明装置や排煙設備の予備電源にもなっている建物では、建築設備定期検査でも発電機を見ます。判定基準には「自家用発電装置の出力容量が少なく、防災設備を三十分以上運転できないこと。」「予備電源への切替えができないこと。」などがあります。消防の点検と建築の検査で、同じ発電機を別々の資格者が見ることになるので、同じ日に立ち会えるよう業者どうしで日程を合わせてもらうと、停電や運転の回数を減らせます。
質疑応答で決まっていること

質疑応答には、現場で迷いやすい点がいくつか書かれています。潤滑油と冷却水を交換しただけでは内部観察等にはならず、成分を分析することが目的だ、とされています。改正前に自主的にオーバーホール等をしていて、内部観察等の基準に合う確認をした記録があれば、内部観察等をしたとみなしてよく、その後も予防的な保全策を講じていた記録があれば、そこから6年は運転性能の点検をしないでよい、とも答えています。
運転性能の点検をした年は、予防的な保全策の書類の添付は不要です。ただし、その年も保全策を講じるのが望ましいとしています。3年に1回報告する非特定防火対象物では、直近の保全策の書類を添付し、点検票の備考欄に負荷運転か内部観察等の最終実施年月を書けば、運転性能の欄の記載は不要でよい、とされています。
「1億円の罰金」は本当か|消防庁の注意喚起

消防庁は、負荷運転の営業で不適切な情報を発信している事例があるとして、リーフレットで5つの型を挙げています。点検用キットを買えば資格がなくても点検できるという誘い、消防庁や消防本部から依頼を受けたという言い方、負荷運転をしないと1億円の罰金になるという説明、東日本大震災では負荷運転の未実施で多数の発電機が動かなかったという説明、負荷運転をしない建物は公表されるという説明です。
消防庁の答えは、自家発電設備の設置が義務付けられる規模の建物では消防設備士か消防設備点検資格者の点検が必要、消防庁や消防本部が特定の団体や企業に負荷運転を依頼することはない、というものです。東京消防庁も「消防署から点検業者に対し、調査及び点検業務を依頼することはありません。」と書いています。こうした不適切な情報を発信している事業者を見つけたら消防庁予防課(03-5253-7523)に連絡するよう、リーフレットに書かれています。


罰則は、消防法44条11号の「第十七条の三の三の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者」で、30万円以下の罰金又は拘留です。法人への両罰は45条3号で、「各本条の罰金刑」つまり30万円以下です。1億円以下の罰金刑が出てくるのは45条1号で、対象は使用禁止命令の違反などの別の条文です。消防庁の資料には、点検報告の罰則は制度ができた昭和49年6月1日以降変わっていないとも書かれています。
ただし、罰則にならないから放っておいてよい、という話ではありません。消防庁は、負荷運転が実施されていないことだけで即座に罰則が適用されることは通常ないとしつつ、点検基準に従って定期的に点検することは義務で、消防本部の行政指導の対象になる、と書いています。指導を受けても直さなければ、維持のための命令(法17条の4)があり、その命令に従わないと44条12号の罰則があります。立入検査で指摘されたときの流れは 消防の立入検査 で書いています。

震災の話も、消防庁の資料で確かめられます。日本内燃力発電設備協会の調査では、震度6強以上の地域にあった4,811台のうち、不始動・停止は233台で、いちばん多いのは燃料切れの125台でした。メンテナンス不良による不始動・停止は23台で、そのうち未燃燃料の蓄積によるものはありませんでした。消防庁は、負荷運転の未実施だけが原因で不作動や停止になった事例はないとしたうえで、バッテリーの放電や燃料フィルターの目詰まりなどのメンテナンス不良で止まった例は一定数あるので、点検基準に従って定期的に点検してほしい、と書いています。
誰に頼むか
東京消防庁は、自家発電設備は消防用設備の一部なので、附置されている設備の点検と同じ資格が必要だと答えています。消防設備士と消防設備点検資格者については 消防設備士 と 消防設備点検資格者 で書いています。あわせて、非常電源の発電機は電気事業法の自家用電気工作物にも当たるので、点検は選任された電気主任技術者と防火管理者の立会いのもとで行うのが望ましい、としています。

費用|業者の公開料金

負荷試験の料金表を公開している業者の金額を、表のまま並べます。各社が自社の価格として出しているもので、相場ではありません。含まれるものが社ごとに違うので、注記も一緒に載せます。
| 容量 | ケイアイテクノサービス(一般価格) | 日本ジェネレーション(税別) | エフ・ピイ・システム(税別) |
|---|---|---|---|
| 40kVA以下 | 200,000円 | 110,000円 | 98,000円 |
| 80kVA前後 | 270,000円(80kVA以下) | 135,000円(75kVA以下) | 113,000円(〜80KVA) |
| 125kVA前後 | 310,000円(125kVA以下) | 150,000円(125kVA以下) | 128,000円(〜120KVA) |
| 200kVA前後 | 420,000円(250kVA以下) | 205,000円(205kVA以下) | 148,000円(〜200KVA) |
ケイアイテクノサービスは、低圧の発電機はケーブル15メートルまで、作業員は2名が基本、日曜・祝日・深夜は別途としています(ケイアイテクノサービス 料金)。日本ジェネレーションは、30%以上30分間の負荷試験で、50キロ圏内の交通運搬費、ケーブル15メートル、報告書作成費を含み、燃料代は含まず、平日夜間・休日は1.5倍としています(日本ジェネレーション 料金表)。エフ・ピイ・システムは、200KVAを超えると個別に現地調査が必要としています(エフ・ピイ・システム 発電機負荷試験)。
静岡のコーセイは、150kVAまで150,000円、150から200kVAで150,000円から200,000円、200から350kVAで200,000円から300,000円(いずれも税別)とし、出張費・報告書作成費・燃料費を含め、所要時間は2時間から3時間が目安としています(コーセイ 疑似負荷試験 料金表)。日本防災技術センターは実績として、病院の50KVAで総額27万円、特養の185KVAで総額24万円、ホテル複合ビルの400KVAで1年目の模擬負荷試験73万円・2年目の予防的保全策118万円、と載せています(日本防災技術センター 非常用発電機の負荷試験)。同社は「試験機の搬入経路、仮設ケーブルの延長距離、発電機の設置場所等の環境条件により料金に違いが生じます。」とも書いています。
見比べるときは、容量の区分、出張費、ケーブルの長さ、燃料代、報告書、平日昼間か休日夜間か、をそろえます。消防設備点検全体の料金の見方は 消防設備点検の費用と業者の探し方 に書いています。
よくある質問
負荷試験は毎年必要ですか
予防的な保全策を講じていれば、負荷運転か内部観察等は6年に1回でよいとされています。講じていなければ、1年に1回の総合点検のたびに負荷運転か内部観察等が必要です。どちらの場合も、ほかの点検項目は毎回必要です。
ガスタービンの発電機も負荷試験が要りますか
平成30年の改正で、原動機にガスタービンを用いる自家発電設備の負荷運転は不要になりました。ガスタービンの無負荷運転は、ディーゼルの負荷運転と機械的・熱的な負荷に差が見られなかったと消防庁は説明しています。
業者から「消防の指導で来た」と言われました
消防庁も東京消防庁も、消防が特定の業者に点検を依頼することはないと書いています。迷ったら、建物を管轄する消防署の予防課に確かめてください。
負荷試験をしていないと公表されますか
消防庁は、違反対象物の公表制度はスプリンクラー設備、屋内消火栓設備、自動火災報知設備が全く設置されていないような重大な違反の建物を公表するもので、負荷運転を行っていないことで公表している消防本部は把握していない、と書いています。
この記事の出典
出典(すべて2026年10月10日に原文を確認)
総務省消防庁 自家発電設備の点検基準等の改正
消防庁リーフレット 自家発電設備の点検方法が改正されました(PDF)
消防庁リーフレット 負荷運転の営業活動等における不適切な情報にご注意(PDF)
消防予第372号 点検基準の改正通知(PDF)
消防予第373号 点検要領の改正通知(PDF)
消防予第528号 質疑応答(PDF)
消防庁 内部観察等とは(PDF)
消防庁 予防的な保全策とは(PDF)
消防庁 消防法における自家発電設備の位置付け(PDF)
消防庁 東日本大震災における自家発電設備の不始動・停止台数(PDF)
消防庁 点検報告制度に係る罰則規定について(PDF)
東京消防庁 自家発電設備の点検
名古屋市 自家発電設備の負荷運転に係る点検方法が改正されました
消防法(e-Gov)
業者のページは料金の例として名前を出しているだけで、推薦ではありません。




