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建築基準法・建築基準法施行令・消防法施行令(e-Gov)、国土交通省の「非常用の照明装置の設置基準の合理化」と定期報告制度のページ、平成20年国土交通省告示第285号、東京都都市整備局の定期報告の一覧、日本照明工業会の資料は、2026年10月15日に原文を取得して確認しました。照明器具の構造や照度の細かな決まりは昭和45年建設省告示第1830号にありますが、今回は原文を取得できなかったため、この記事では細かな数値を断定していません。実際の判断は、確認申請の図面と、建物のある地域の特定行政庁(建築指導課など)で確かめてください。
ビルの廊下や階段の天井に付いている、ふだんは普通の照明と同じように見える器具。停電したときにだけ電池で点灯するのが非常用照明です。テナントが入れ替わって部屋の間仕切りを変えたい、古いビルを買ったが非常用照明が足りているのか分からない、定期検査の報告書に「非常用照明 不点灯」と書かれていた。こうした場面で、どの建物のどの部屋に付ける決まりなのか、どれくらいの明るさが要るのかを知っておくと、工事や点検の判断がしやすくなります。
この記事では、建築基準法施行令126条の4(どこに要るか)と126条の5(どんな構造か)の原文を読み、設置しなくてよい場合、消防法の誘導灯との違い、定期検査とバッテリー交換の目安までを順に整理します。器具の配置計算のような設計の話ではなく、建物を持つ人と管理する人が知っておきたい範囲に絞っています。

先に結論

| 知りたいこと | 答え(根拠) |
|---|---|
| 非常用照明とは | 停電したときに自動で点灯し、床を照らして避難を助ける照明(建築基準法では「非常用の照明装置」) |
| 要る建物 | 別表第1(1)〜(4)の特殊建築物、階数が3以上で延べ面積500㎡超、無窓の居室がある、延べ面積1,000㎡超のどれか(施行令126条の4) |
| 付ける場所 | その居室と、居室から地上に通ずる廊下・階段などの通路 |
| 要らない場合 | 住戸、病院の病室、学校等、避難上支障がない居室で大臣が定めるもの、30㎡以下の居室で条件を満たすものなど |
| 明るさ | 直接照明で、床面で1ルクス以上(施行令126条の5) |
| 点検とバッテリー | 特定行政庁が指定すれば定期検査の対象。バッテリーは4〜6年が交換の目安(日本照明工業会) |
非常用照明は、法律の上では「非常用の照明装置」と呼ばれます。日本照明工業会は「非常用照明器具を非常灯と呼ぶ場合があります。」と説明しています(日本照明工業会 建物のオーナー様向け情報)。以下では、ふだんの呼び方に合わせて非常用照明と書きます。
非常用照明はどの法律で決まっているか

非常用照明のおおもとは、建築基準法35条です。条文は、特殊建築物、階数が3以上の建築物、窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物、延べ面積が1,000㎡を超える建築物について、「廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラー、貯水槽その他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消火上必要な通路は、政令で定める技術的基準に従つて、避難上及び消火上支障がないようにしなければならない。」と定めています(建築基準法35条)。
この「政令で定める技術的基準」が、建築基準法施行令の126条の4と126条の5です。126条の4が設置する場所を、126条の5が照明装置の構造を決めています。国土交通省は、非常用の照明装置を義務付ける理由を「火災時の停電により、照明が確保されないことによって、避難方向の認識が困難になったり、避難速度の低下などが想定されることから、建築物の用途・規模に応じて、停電時に自動点灯する非常用の照明装置の設置を義務付け。」と説明しています(国土交通省 非常用の照明装置の設置基準の合理化(PDF))。
建物の持ち主には、建築基準法8条1項で「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。」という努力義務があります(建築基準法8条)。非常用照明は付けたら終わりではなく、いざというときに点く状態を保つことまでが求められている、と考えておくとよいでしょう。
設置が要る建物の4つの条件

施行令126条の4第1項の原文は次のとおりです。
漢数字を算用数字に直すと、三は3、五百平方メートルは500㎡、千平方メートルは1,000㎡、第百十六条の二第一項第一号は116条の2第1項1号です。条文を分けると、次の4つのどれかに当たる建物の居室が対象になります。
| 条件 | 中身 | 考え方 |
|---|---|---|
| 1 特殊建築物 | 法別表第1(い)欄(1)〜(4)の用途 | 規模にかかわらず、その用途の居室が対象 |
| 2 規模 | 階数が3以上で、延べ面積が500㎡を超える | 3階建て以上でも500㎡以下なら、この条件には当たらない |
| 3 無窓の居室 | 116条の2第1項1号に当たる居室 | 建物の規模にかかわらず、その居室が対象 |
| 4 面積 | 延べ面積が1,000㎡を超える | 階数にかかわらず対象 |
別表第1(1)〜(4)の用途とは
1つめの条件の特殊建築物は、建築基準法の別表第1(い)欄に並ぶ用途のうち(1)項から(4)項までです(建築基準法 別表第1)。
| 項 | 別表第1(い)欄の用途 | 政令で加わる類する用途(施行令115条の3) |
|---|---|---|
| (1) | 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場など | なし |
| (2) | 病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎など | 児童福祉施設等 |
| (3) | 学校、体育館など | 博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場 |
| (4) | 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場など | 公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗(床面積が10㎡以内のものを除く) |
飲食店や物品販売の店舗は、施行令115条の3で(4)項に類する用途とされています(施行令115条の3)。つまり、小さな2階建ての建物でも、飲食店や物販店の居室には非常用照明が要るのが原則です。ただし、(3)項の学校や体育館は、あとで見るただし書きの3号で対象外とされています。
「無窓の居室」の読み方

3つめの条件の「窓その他の開口部を有しない居室」は、施行令116条の2第1項1号で決まっています。採光に有効な部分の面積の合計が「当該居室の床面積の二十分の一以上のもの」を有しない居室、つまり採光に有効な開口部が床面積の20分の1未満の居室です(施行令116条の2)。
仮の数字で読むと、床面積40㎡の居室なら20分の1は2㎡です。採光に有効な開口部の面積の合計が2㎡未満なら、この居室は無窓の居室に当たり、建物が小さくてもその居室と通路に非常用照明が要ります。地下の部屋や、窓のない会議室、倉庫を事務室に変えた部屋などで当たりやすい条件です。
同じ116条の2第2項では「ふすま、障子その他随時開放することができるもので仕切られた二室は、前項の規定の適用については、一室とみなす。」とされています。間仕切りを壁で作るか、引き戸のような開けられるもので作るかで、無窓の居室に当たるかどうかが変わることがあります。テナントの内装工事で部屋を区切るときは、この点を設計者に確かめてもらうと安心です。
建物の例で読む

仮の建物で当てはめてみます。3階建てで延べ面積400㎡の事務所ビルは、事務所が別表第1の用途ではなく、「階数が3以上で延べ面積が500㎡を超える」にも「1,000㎡を超える」にも当たりません。この場合でも、採光に有効な開口部が床面積の20分の1未満の居室があれば、その居室と、そこから地上に通ずる通路には非常用照明が要ります。
2階建てで延べ面積1,200㎡の事務所は、1,000㎡を超えるので、居室と通路に要ります。1階の飲食店は、別表第1(4)項に類する用途なので、規模にかかわらず居室と通路に要ります(ただし書きに当たる部分を除く)。用途を事務所から飲食店に変えるときは、非常用照明の要否も変わることがあるので注意してください。
どこに付けるか

126条の4第1項で設置が求められるのは、条件に当たる居室と、「これらの居室から地上に通ずる廊下、階段その他の通路」です。国土交通省の資料では、対象として居室のほかに「①〜④までの居室から地上に通ずる廊下、階段、ロビー等の通路」を挙げ、「※その他、これらに類する部分で、照明装置の設置を通常要する部分も対象。」としています(国土交通省 設置基準の合理化(PDF))。
一方で、通路のうち「採光上有効に直接外気に開放された通路」は除かれます。マンションやアパートの外廊下、屋外の階段のように、外に向かって大きく開いている通路がこれに当たりやすい部分です。屋内の廊下や階段室、エレベーターホールは原則として対象になります。
設置しなくてよい場合

126条の4第1項には「ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。」というただし書きがあり、次の4つが挙がっています。
| 号 | 条文 | 読み方 |
|---|---|---|
| 1号 | 一戸建の住宅又は長屋若しくは共同住宅の住戸 | 住戸の中は対象外。共用の廊下や階段は別 |
| 2号 | 病院の病室、下宿の宿泊室又は寄宿舎の寝室その他これらに類する居室 | 寝る部屋は、ふだんから使い慣れている人がいることが多い |
| 3号 | 学校等 | 学校、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場 |
| 4号 | 避難階又は避難階の直上階若しくは直下階の居室で避難上支障がないものその他これらに類するものとして国土交通大臣が定めるもの | 中身は国土交通大臣の告示で決まる |
3号の「学校等」は、施行令126条の2第1項2号で「学校(幼保連携型認定こども園を除く。)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場」と定義されています。幼保連携型認定こども園は学校等から外れているので、対象外にはなりません。
4号の中身は、平成12年建設省告示第1411号で決まっていますが、今回は原文を取得できませんでした。避難階(地上に出られる階)やその上下の階の居室のうち、どの居室が当たるかはこの告示で決まります。自分の建物の居室がこれに当たるかは、設計者か特定行政庁に確かめてください。
30㎡以下の居室の扱い

国土交通省は「非常用の照明装置の設置基準の合理化」として、「規制の適用を受けない居室」に次の居室を加えたと説明しています(国土交通省 設置基準の合理化(PDF))。
- 「床面積が30㎡以下の居室で、地上への出口を有するもの」
- 「床面積が30㎡以下の居室で、地上まで通ずる部分が次の①又は②に該当するもの」(「① 非常用の照明装置が設けられたもの」「② 採光上有効に直接外気に開放されたもの」)
同じ資料の図には「地上に至るまでの避難経路において照度を確保(非常用の照明装置の設置など)。」という注記があります。小さな居室そのものは対象外にできても、そこから地上へ出る通路が暗くならないようにしておく、という考え方です。1階の小さな店舗や事務所、廊下に面した小部屋などで関係しやすい扱いです。
別の建築物とみなす部分

126条の4第2項は「第百十七条第二項各号に掲げる建築物の部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。」としています。117条2項1号は「建築物が開口部のない耐火構造の床又は壁で区画されている場合における当該床又は壁により分離された部分」、2号は火熱や煙・ガスで互いに防火上有害な影響を及ぼさないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いた部分です(施行令117条)。
たとえば、開口部のない耐火構造の壁で建物が2つに分かれていれば、それぞれの部分の延べ面積で500㎡や1,000㎡を判断することになります。延べ面積の数え方が変わるので、図面でどのように扱われているかを設計者に確かめておくとよいでしょう。
非常用照明の構造 床面1ルクスと予備電源

施行令126条の5は、非常用の照明装置を次の1号か2号のどちらかの構造にするよう定めています(施行令126条の5)。
| 条文 | |
|---|---|
| 1号イ | 照明は、直接照明とし、床面において1ルクス以上の照度を確保することができるものとすること |
| 1号ロ | 照明器具の構造は、火災時において温度が上昇した場合であつても著しく光度が低下しないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること |
| 1号ハ | 予備電源を設けること |
| 1号ニ | イからハまでに定めるもののほか、非常の場合の照明を確保するために必要があるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること |
| 2号 | 火災時において、停電した場合に自動的に点灯し、かつ、避難するまでの間に、当該建築物の室内の温度が上昇した場合にあつても床面において1ルクス以上の照度を確保することができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたもの |
ポイントは、床面で1ルクス以上を確保すること、停電しても点くように予備電源を設けること、火災の熱で暗くならないことの3つです。1号ロとニの「国土交通大臣が定めた構造方法」は昭和45年建設省告示第1830号で決まっていて、器具の構造や予備電源、照度の測り方の細かな決まりはそこにあります。この記事では告示の原文を確認できていないため、細かな数値は書いていません。
器具を選ぶときの目安として、日本照明工業会は非常用照明器具について「建築基準法令及び工業会規格JIL5501「非常用照明器具技術基準」に適合していることを自主評定する業務を2001年6月から実施しています。」と説明し、「登録製造事業者は型式評定を受けた製品にJIL適合マーク(下図)を貼付します。」としています(日本照明工業会 非常用照明器具自主評定情報)。交換のときは、器具にこの表示があるかを工事業者と一緒に確かめるとよいでしょう。
誘導灯との違い

非常用照明とよく混同されるのが、緑色の表示板で非常口や避難の方向を示す誘導灯です。日本照明工業会は「誘導灯・非常用照明器具は、消防法の消防用設備等及び建築基準法の建築設備として、関連法令に基づき、維持管理し、定期点検及び報告の義務があります。」と説明しています(日本照明工業会 建物のオーナー様向け情報)。
| 非常用照明 | 誘導灯 | |
|---|---|---|
| 法律 | 建築基準法施行令126条の4・126条の5 | 消防法施行令26条 |
| 役目 | 停電時に床を照らして避難を助ける | 避難口や避難の方向を示す |
| 非常電源の点検の時間 | 30分間又は60分間 | 20分間又は60分間 |
| 点検する人 | 一級又は二級建築士、建築設備検査資格者など | 消防設備士・消防設備点検資格者 |
| 報告先 | 特定行政庁 | 消防長又は消防署長 |
同じ天井に並んでいても、非常用照明は建築基準法、誘導灯は消防法(消防法施行令)と、法律も点検の報告先も別です。日本照明工業会は「誘導灯および非常用照明器具は、それぞれ消防法、建築基準法で規定された点検の制度が決められていて」と説明しています(日本照明工業会 防災照明器具の保守・点検)。消防設備点検の報告に誘導灯が入っていても、非常用照明はそれとは別の定期検査で扱われる、と覚えておくと混乱しません。誘導灯の交換やバッテリーの話は 誘導灯の交換、消防設備の点検全体は 消防設備点検 にまとめています。
60分間の長時間形が要る場合

消防法との関係で注意したいのが、階段の非常用照明です。日本照明工業会によると、平成23年6月17日に「消防法施行規則及び危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令」が公布され、「誘導灯の非常電源を60分間以上が義務付けられている防火対象物で階段通路誘導灯の代替として設置している非常用照明器具も長時間形(60分間)への置き換えが義務付けられることになりました。」と説明しています(日本照明工業会 建物のオーナー様向け情報)。
階段の非常用照明が、消防法の階段通路誘導灯の役目も兼ねている建物では、非常用照明の器具にも60分間の性能が求められることがある、ということです。階段の器具を交換するときは、交換前の器具が30分形か60分形かを確かめ、同じかそれ以上の性能のものを選ぶようにしてください。
定期検査と点検

非常用照明は、建築基準法12条3項の建築設備の定期検査の対象になりえます(建築基準法12条)。ただし、昇降機や防火設備と違って、政令で全国一律に対象とされているわけではありません。換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給排水設備は、特定行政庁が指定したときに対象になります。
東京都の一覧では、建築設備の対象として「換気設備(自然換気設備を除く。)」「排煙設備(排煙機又は送風機を有するもの)」「非常用の照明装置」「給水設備及び排水設備(給水タンク等を設けるもの)」を挙げ、「上記の特定建築物に該当する建築物に設けられるもの」について「毎年報告」としています(東京都都市整備局 報告時期一覧(PDF)、同 一覧のページ)。日本照明工業会も、特定行政庁が指定する建築物の建築設備は「毎年定期的に検査し報告書を提出してください。」とし、「※地域の特定行政庁により、対象建築物及び対象建築設備に対象が異なる場合がありますので、各特定行政庁にご確認をお願いいたします。」と添えています(日本照明工業会)。
報告の義務がない建物についても、日本照明工業会は「それ以外の建物を有しているオーナー様には、法律上の報告義務はありませんが、チェックリストに従って、点検の維持管理を適切に実施していただくようお願いします。」としています。報告の対象外でも、停電時に点かなければ意味がないので、点検は続けておきたいところです。定期報告の全体像は 建築基準法12条の定期報告、建築設備の定期検査の流れと報告書は 建築設備定期検査 で詳しく扱っています。
定期検査で見られること

非常用の照明装置の検査の方法と判定基準は、平成20年国土交通省告示第285号の別表第三に並んでいます(国土交通省告示第285号(Word))。大きな項目は、照明器具、電池内蔵形の蓄電池、電源別置形の蓄電池、自家用発電装置などに分かれています。
| 検査項目(告示の言葉) | 検査の方法・判定基準 |
|---|---|
| 予備電源への切替え及び器具の点灯の状況並びに予備電源の性能 | 作動の状況及び点灯時間を確認する |
| 照度の状況 | 避難上必要となる部分のうち最も暗い部分の水平床面において低照度測定用照度計により測定する |
| 取付けの状況 | 天井その他の取付け部に正しく固定されていないことなどは不適合 |
| 電池内蔵形の蓄電池 充電ランプの点灯の状況 | 点滅スイッチを切断しても充電ランプが点灯しないことは不適合 |
また、令和6年告示第974号などの改正(令和7年7月1日施行)で、「換気設備」及び「非常用の照明装置」において「物品の放置の状況」が検査項目に加わりました。照明器具の下に棚を置いて光が床に届かない、器具の前に看板や吊り下げ物があるといった状態は、検査で指摘されることがあります。テナントの什器の置き方にも気を配っておきましょう。
予備電源が自家用発電装置の場合は、発電機そのものの点検も関わってきます。非常用発電機の負荷試験については 非常用発電機の負荷試験 で扱っています。建物全体の調査の中身は 特定建築物の定期調査 を参考にしてください。
非常点灯の確かめ方

日本照明工業会は、非常点灯の性能を確かめるときの方法を「十分(誘導灯 24時間・非常用照明器具 48時間)充電したのち常用電源を遮断して非常点灯に切り替えてください。誘導灯は20分・非常用照明器具は30分経過後、非常点灯しているか再び確認してください。」と説明しています。さらに「充電モニタが点灯しない時および非常点灯が誘導灯は20分・非常用照明器具は30分持続しない時は、バッテリー交換など適切な処置をしてください。」としています(日本照明工業会 点検者様向け情報)。
器具に付いている点検スイッチ(引きひもやボタン)を操作すると、その場で非常点灯に切り替わるかを確かめられます。ただし、30分続くかどうかまでは、十分に充電したうえで時間を測らないと分かりません。点検業者に頼むときは、どの方法で何台を確かめたかを報告書で確認しておくとよいでしょう。
劣化とバッテリー交換の目安

日本照明工業会は、「全ての製造物は使用(設置)開始と同時に劣化が始まり、その進行によりいつかは機能不良となります。」「劣化進行に伴って生じる機能不良は、その時期をある程度予見できるものの、多くのものは突然不意に訪れます。」と説明しています(日本照明工業会 防災照明器具の保守・点検)。そのうえで、簡易版の劣化診断チェックシートで「劣化進行による不意の機能不良を避けるために法定点検とは別に1回/年の劣化診断をおすすめ致します。」としています(日本照明工業会 簡易版 劣化診断チェックシート)。
| チェック項目(チェックシートの言葉) | 当てはまったとき |
|---|---|
| 使用期間が15年以上 | 劣化が進んでいる。不意の機能不良を避けるために器具の交換 |
| 使用期間は8年以上 | 劣化が進んでいることがある。新しい器具に交換するか専門家に相談 |
| 点検スイッチを操作しても非常点灯に切り替わらない | 購入した販売店・工事店・メーカーなどの専門家に相談 |
| 充電モニタ(緑色LED)が点灯していない | 同上 |
| ランプモニタ(赤色LED)が点滅または点灯している | 同上 |
| 蓄電池(バッテリー)に白い粉が出ている | 同上 |
| 蓄電池(バッテリー)の使用期間は6年以上 | 蓄電池の交換を検討 |

同じチェックシートでは、「蓄電池(バッテリー)は、4~6年が交換の目安です。」とされています。なお、表示板が「6~10年が交換の目安」とされているのは、避難口・通路誘導灯の器具の話です。器具本体は、使用期間が8年以上なら交換か専門家への相談、15年以上なら交換、という読み方になります。
器具の一部だけを直すことについては、日本照明工業会の資料で「部分的な改修や改造は上記委員会の認定品、評定品と異なることになりますので禁止されています。改修する場合は、器具毎の交換をお願いします。」とされています。器具の一部に手を加えるような改造は避け、器具ごと交換するのが基本です。使用済みの蓄電池について日本照明工業会は「防災照明器具に使用しているニッケル・カドミウム蓄電池またはニッケル・水素蓄電池は、リサイクル法で規定された小形二次電池です。」としているので、交換を頼んだ業者に回収まで任せるとよいでしょう。
ビルの管理では、器具ごとの設置年を一覧にしておくと、交換の時期をまとめて計画しやすくなります。定期検査の報告書に「不点灯」や「点灯時間不足」の指摘があった器具は、バッテリーの交換で済むのか、器具の交換が要るのかを点検業者に確かめてください。
よくある質問
非常用照明と非常灯は同じものですか
日本照明工業会は「非常用照明器具を非常灯と呼ぶ場合があります。」と説明しています。建築基準法の言葉では「非常用の照明装置」です。緑色の表示で非常口を示す誘導灯は消防法の設備で、別のものです。
小さな2階建ての事務所でも非常用照明は要りますか
事務所は建築基準法の別表第1の用途ではないので、2階建てで延べ面積が1,000㎡以下なら、126条の4の規模の条件には当たりません。ただし、採光に有効な開口部が床面積の20分の1未満の居室(無窓の居室)があれば、その居室と通路には要ります。飲食店や物販店が入っている場合は、別表第1(4)項に類する用途として要るのが原則です。
マンションの住戸の中にも付ける必要がありますか
126条の4第1項ただし書き1号で、共同住宅の住戸は対象外とされています。一方で、住戸から地上に出るまでの共用の廊下や階段は住戸ではないので、別に考えます。外に開いた外廊下で、採光上有効に直接外気に開放された通路に当たる部分は、設置が要らないとされています。
非常用照明の点検は誰がしますか
建築基準法12条3項の定期検査の対象になっている建物では、一級又は二級建築士や建築設備検査資格者などの資格者が検査し、特定行政庁に報告します。報告の対象外の建物でも、器具の点検スイッチで非常点灯に切り替わるかを確かめるなど、日常の維持管理は続けておきたいところです。
バッテリーはどれくらいで交換しますか
日本照明工業会の劣化診断チェックシートでは「蓄電池(バッテリー)は、4~6年が交換の目安です。」とされています。点検で非常点灯が30分続かない、充電モニタが点かないといった場合も、バッテリー交換などの処置が勧められています。
テナントが間仕切りを増やすときに気をつけることは
部屋を区切ると、新しくできた部屋が無窓の居室に当たったり、非常用照明の光が届かない場所ができたりすることがあります。ふすまや障子のように随時開けられるもので仕切った2室は1室とみなされますが、壁で区切る場合はそうなりません。工事の前に設計者や内装業者に、非常用照明の追加が要るかを確かめてもらってください。
まとめ

非常用照明は、建築基準法35条と施行令126条の4・126条の5で決められた、停電したときに床を照らして避難を助ける設備です。別表第1(1)〜(4)の用途、階数が3以上で延べ面積500㎡超、無窓の居室、延べ面積1,000㎡超のどれかに当たる建物の居室と、そこから地上へ出る通路に設けます。住戸、病室、学校等などは対象外で、30㎡以下の居室も条件を満たせば対象外にできます。
付けたあとは、点検で非常点灯が続くかを確かめ、バッテリーは4〜6年、器具は8年・15年を目安に見直すことが大切です。用途の変更や間仕切りの工事で要否が変わることもあるので、工事の前に設計者や特定行政庁に確かめる習慣をつけておくと安心です。
出典(すべて2026年10月15日に原文を確認)
建築基準法(e-Gov)
建築基準法施行令(e-Gov)
消防法施行令(e-Gov)
国土交通省 非常用の照明装置の設置基準の合理化(PDF)
国土交通省 建築基準法に基づく定期報告制度について
平成20年国土交通省告示第285号(Word)
東京都都市整備局 定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧
東京都都市整備局 報告時期一覧(PDF)
日本照明工業会 建物のオーナー様向け情報
日本照明工業会 防災照明器具の保守・点検
日本照明工業会 簡易版 劣化診断チェックシート
日本照明工業会 点検者様向け情報
日本照明工業会 非常用照明器具自主評定情報




