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  3. 特定建築物定期調査とは|対象の建物、報告の時期、調査できる資格、告示の調査項目、外壁タイルの全面打診(10年)、手数料と費用、罰則【2026年版・条文と告示の原文つき】

特定建築物定期調査とは|対象の建物、報告の時期、調査できる資格、告示の調査項目、外壁タイルの全面打診(10年)、手数料と費用、罰則【2026年版・条文と告示の原文つき】

2026 10/10
建築基準法12条点検
2026年10月10日
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特定建築物定期調査とは|対象の建物、報告の時期、調査できる資格、告示の調査項目、外壁タイルの全面打診(10年)、手数料と費用、罰則【2026年版・条文と告示の原文つき】

この記事の情報

建築基準法・同法施行令・同法施行規則(e-Gov)、国土交通省の定期報告制度のページと平成20年国土交通省告示第282号(国土交通省が掲載しているWord原文)、東京都都市整備局の定期調査・検査報告制度のページと報告時期一覧のPDF、Q&A、東京都防災・建築まちづくりセンターの手数料のページは、2026年9月23日と10月10日に原文を取得して確認しました。業者の料金は2026年10月10日に各社のページで金額を確かめたものだけを、社名と出典つきで載せています。公的な相場は無いので、平均は作っていません。報告の時期や対象は特定行政庁ごとに違うので、最後は所在地の特定行政庁で確かめてください。

ビルや店舗、病院、ホテル、共同住宅を持っていると、ある年に「特定建築物定期調査報告のご案内」という書類が届くことがあります。届いた人は、何を、誰に、いつまでに頼めばいいのかで迷いますし、届いていない人は、そもそも自分の建物が対象なのかが分かりません。

この記事では、特定建築物定期調査を、建物の所有者と管理者の目線で並べます。対象になるかの決まり方、報告の時期、調査できる人、何を調べるのか、とくに費用が大きくなりやすい外壁タイルの全面打診、報告の手続きと手数料、業者の料金、報告しないとどうなるか、消防の点検との違いです。建築基準法12条の定期報告の全体像は 建築基準法12条点検(定期報告)とは にまとめているので、ここでは特定建築物の調査だけを深く書きます。

中層の共同住宅の外観を、作業服とヘルメットの調査員が見上げて確認している様子のイメージ
建物の外観を確認する調査(イメージ)
目次
点検の義務と費用の相場をLINEで受け取る。受け取れる情報を見る

先に結論

特定建築物定期調査の要点5つ。法12条1項の調査と報告、対象は政令と特定行政庁の指定の二段構え、時期は特定行政庁が決める、調査は建築士か特定建築物調査員、報告しないと100万円以下の罰金
特定建築物定期調査の要点
知りたいこと答え
根拠建築基準法12条1項。条文の言葉は「調査」と「報告」
誰の義務か所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)
対象の建物政令で一律に決まるもの(令16条1項)と、特定行政庁が指定するもの(令16条2項・令14条の2)
報告の時期おおむね6月から3年までの間隔で特定行政庁が決める(規則5条1項)。東京都は毎年か3年ごと
調査できる人一級建築士・二級建築士・特定建築物調査員資格者証を持つ人
調査の中身告示第282号の別表第一。敷地、外部、屋上、内部、避難施設、その他
報告先特定行政庁(東京都は受付機関を通して出す)
罰則報告をしない、または虚偽の報告で100万円以下の罰金(法101条1項2号)

特定建築物定期調査とは

建築基準法12条1項は、決められた建物の所有者に対して、建物の「敷地、構造及び建築設備について」、定期に、資格を持つ人に「その状況の調査」をさせて、その結果を特定行政庁に報告するよう求めています。この調査と報告が特定建築物定期調査です。条文には「12条点検」という言葉は出てこず、条文が使っているのは「調査」と「報告」です。

名前が変わっているので古い資料を読むと混乱します。東京都のQ&Aは「建築基準法の改正により、平成28年6月から、特殊建築物等定期調査報告から特定建築物定期調査報告に名称が変更となりました。名称が変わっただけで、二つの報告が必要になったわけではありません。」と書いています。つまり2016年6月より前の書類にある「特殊建築物等定期調査」と、今の「特定建築物定期調査」は同じものです。

国土交通省は、この制度が今の形になった理由として、福山市のホテル火災、長崎市のグループホーム火災、福岡市の診療所火災を挙げ、「建築物が適法な状態で管理されていなかったこと」が被害の拡大の原因の一つだったと説明しています。建てたときに適法でも、使っているうちに防火扉の前に物が置かれたり、避難階段がふさがれたりします。それを定期的に専門家の目で見て、行政に報告させる仕組みです。

建築基準法12条の定期報告4種類。特定建築物の定期調査、防火設備の定期検査、建築設備の定期検査、昇降機等の定期検査。報告先は特定行政庁
12条の定期報告は4種類。この記事は①

12条の定期報告は4種類あり、特定建築物の調査はそのうちの1つです。残りの3つは建物に付いている設備の「検査」で、資格も時期も別です。防火扉や防火シャッターは 防火設備定期検査、換気・排煙・非常用照明・給排水は 建築設備定期検査、エレベーターは エレベーターの法定点検 で書いています。

対象になる建物は「二段構え」で決まる

対象の判定の二段構え。一段目は政令で一律に対象(令16条1項)、二段目は特定行政庁が指定したら対象(令14条の2・令16条2項)
政令と特定行政庁の指定の二段構え

対象の決まり方は2段になっています。1段目は、政令(建築基準法施行令16条1項)で全国一律に対象になる建物です。法別表第一(い)欄の(1)項から(4)項の用途、つまり劇場や集会場、病院やホテルや共同住宅、学校や体育館、百貨店や飲食店などのうち、次のどれかに当たるものです。

  1. 地階又は3階以上の階を(1)項の用途に使う建物と、その用途の客席の床面積の合計が100平方メートル以上の建物
  2. 劇場、映画館又は演芸場で、主階が1階にないもの
  3. (2)項又は(4)項の用途に使う建物
  4. 3階以上の階を(3)項の用途に使う建物と、その用途の床面積の合計が2,000平方メートル以上の建物

ただし、避難階以外の階をこれらの用途に使っていないなど、通常の火災で避難に大きな支障が出るおそれが少ないものとして国土交通大臣が定めるものは除かれます。(5)項の倉庫と(6)項の自動車車庫は、この4つのどこにも出てきません。

2段目は、1段目に当たらなくても、特定行政庁が指定したら対象になる建物です。法12条1項の後段と令16条2項がそう決めていて、指定できる範囲は令14条の2に書かれています。特殊建築物で階数が3以上、その用途の床面積の合計が100平方メートルを超え200平方メートル以下のもの、そして事務所などで階数が3以上、延べ面積が200平方メートルを超えるものです。事務所ビルは、政令で一律ではなく、特定行政庁が指定したときに対象になる、という作りです。

この作りのせいで、同じ大きさの同じ用途の建物でも、どこにあるかで対象かどうかが変わります。ネットで「◯◯㎡以上は対象」と1行で書かれていても、それはどこかの特定行政庁の基準です。最後は所在地の特定行政庁が出している一覧で確かめるのが確実です。

東京都の対象と用途コード

例として、東京都の一覧を載せます。東京都は用途ごとに2けたの用途コードを振り、毎年報告するものと3年ごとに報告するものに分けています。

東京都で毎年報告する特定建築物。用途コード11劇場等、12集会場等、13旅館・ホテル、14百貨店・物品販売店舗、15地下街と規模の条件
東京都の毎年報告(用途コード11〜15)
東京都で3年ごとに報告する特定建築物の主なもの。用途コード21病院・児童福祉施設等、22旅館・ホテル、23学校、31物品販売店舗、32飲食店等、33複合用途、34事務所、40共同住宅
東京都の3年ごとの報告(主なもの)

表の「A」はその用途に使う部分の床面積の合計、「F≧3階」は3階以上の階で、その用途の床面積の合計が100平方メートルを超えるものです。東京都の注記は、共同住宅(高齢者、障害者等の就寝の用に供するものを除く)の住戸内は調査の対象から除かれる、とも書いています。共同住宅は用途コード40で、F≧5階かつA>1,000㎡のものが3年ごとの報告です。事務所は用途コード34で、5階建て以上で延べ面積が2,000平方メートルを超える建物のうちF≧3階かつA>1,000㎡のものが対象です。

報告の時期

報告の時期。規則5条1項はおおむね6月から3年までの幅。東京都は毎年報告が11月1日から翌1月31日、3年ごとの報告が5月1日から10月31日
時期は特定行政庁が決める

建築基準法施行規則5条1項は、報告の時期を「建築物の用途、構造、延べ面積等に応じて、おおむね六月から三年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期」としています。国が決めているのは幅だけで、何年ごとか、何月から何月までかは特定行政庁が決めます。

東京都は、毎年報告の建物は11月1日から翌年1月31日まで、3年ごとの建物は5月1日から10月31日までを報告期間にしています。3年ごとの建物は、用途コードによって当たり年が違い、21から28は令和元年、令和4年…、31から34は令和2年、令和5年…、40と41は令和3年、令和6年…という並びです。

気をつけたいのは、案内の書類が届くかどうかと、義務があるかどうかは関係がないことです。東京都のQ&Aは、以前に報告している建物には受付団体から案内を送っているが、これまで報告していない場合などは知らせられないこともある、と書いたうえで、「特定行政庁等からの「案内の有無」は、「報告義務の有無」とは無関係です。」と明記しています。

新築・改築のあとは初回が免除される

東京都の初回免除の例。R5年度中に検査済証ならR9年度から報告、R6からR8年度に検査済証ならR12年度から報告
初回免除の数え方

規則5条1項は、新築か改築で検査済証の交付を受けた場合に「その直後の時期を除く」と書いています。これがいわゆる初回免除です。東京都の例では、令和5年度中に検査済証が出た建物は令和6年度の報告が免除になり、令和9年度から報告が必要になります。令和6年度から令和8年度までに検査済証が出た建物は、令和9年度が免除で、令和12年度からです。

建築設備と昇降機はここが違います。東京都は、建築設備・昇降機等は検査済証の交付を受けた日の翌日から2年を経過する日までに初回の報告が必要で、特定建築物と防火設備の「初回免除」とは取扱いが異なる、と注意しています。同じ建物でも、調査と検査で初回の時期がずれます。

調査できる人

特定建築物の調査ができる資格。一級建築士・二級建築士と特定建築物調査員資格者証はできる。建築設備検査員・防火設備検査員・昇降機等検査員・消防設備士はできない
調査できるのは建築士か特定建築物調査員

法12条1項は、調査をさせる相手を「一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者」としています。建築物調査員資格者証の種類は、施行規則6条の5で特定建築物調査員資格者証と昇降機等検査員資格者証の2つと決められていて、特定建築物を調査できるのは特定建築物調査員資格者証です(施行規則6条の6)。

建築設備検査員や防火設備検査員の資格者証では、特定建築物の調査はできません。消防設備士や消防設備点検資格者は消防法の資格なので、これも別です。東京都は、常時閉鎖式の防火扉を建築設備等検査員が検査して特定建築物定期調査の結果に書けるか、という問いに「建築物調査員が実施することとなり、建築設備等検査員により検査を実施することはできません。」と答えています。

業者探しについて、東京都は「東京都では調査者の紹介を行っておりません。」としたうえで、管理会社に相談する、建物の設計・工事を行った建設会社等に相談する、日本建築防災協会の「特定建築物定期調査資格者技術力向上講習受講者名簿【特建全国名簿】」を参考にする、の3つを挙げています。

何を調べるのか|告示第282号

告示第282号 別表第一の大項目ごとの行の数。敷地及び地盤9、建築物の外部18、屋上及び屋根9、建築物の内部47、避難施設等40、その他9、合計132
調査項目の大項目と行の数

調査の項目、方法、判定の基準は、施行規則5条2項にもとづいて、平成20年国土交通省告示第282号が決めています。題名は「建築物の定期調査報告における調査及び定期点検における点検の項目、方法及び結果の判定基準並びに調査結果表を定める件」で、令和5年3月20日の第207号まで改正が重ねられています。

ふつうの建物に使う別表第一は、6つの大項目に分かれています。当サイトが国土交通省のWord原文の表で( )付きの番号の行を数えたところ、敷地及び地盤が9、建築物の外部が18、屋上及び屋根が9、建築物の内部が47、避難施設等が40、その他が9で、合計132でした。半分以上が建物の内部と避難施設です。

大項目主な部位(告示の(い)欄の語)
一 敷地及び地盤地盤、敷地、敷地内の通路、塀、擁壁
二 建築物の外部基礎、土台、外壁(躯体等・外装仕上げ材等)、窓サッシ等、外壁に緊結された広告板、空調室外機等
三 屋上及び屋根屋上面、屋上回り、屋根、機器及び工作物(冷却塔設備、広告塔等)
四 建築物の内部防火区画、壁の室内に面する部分、床、天井、特定天井、防火設備、照明器具、懸垂物等、警報設備、居室の採光及び換気
五 避難施設等通路、廊下、出入口、屋上広場、避難上有効なバルコニー、階段、避難階段、特別避難階段、排煙設備等
六 その他特殊な構造等(膜構造・免震構造)、避雷設備、煙突
告示の表の読み方。(い)調査項目、(ろ)調査方法、(は)判定基準。例は敷地内の通路の有効幅員
1行が「どこを・どう調べ・何なら指摘か」

表は1行ごとに「(い)調査項目」「(ろ)調査方法」「(は)判定基準」が並んでいます。たとえば敷地内の通路なら、有効幅員の確保の状況を、設計図書等で確認するか鋼製巻尺等で測り、有効幅員が不足していれば指摘、という読み方です。塀なら、組積造やブロック塀の耐震対策の状況が令61条や令62条の8に合っていなければ指摘になります。

所有者や管理者がふだんから気にかけておけるのは、物の置き方です。告示には、常閉防火設備等の閉鎖又は作動の障害となる物品の放置の状況、廊下の物品の放置の状況、階段の幅の確保の状況といった項目が並んでいます。調査の日だけ片付けても、ふだんの使い方が変わらなければ同じことが繰り返されます。

なお、告示第二は、特定行政庁が規則で必要な項目、方法、判定基準を付け足せるとしています。2025年7月1日には、令和6年国土交通省告示第974号と令和7年国土交通省告示第53号で調査・検査の項目や調査結果表が見直され、東京都はそれに合わせて独自の措置をとりました。

対象東京都の措置(2025年7月1日から)
特定建築物常時閉鎖式防火扉は、従来どおり特定建築物定期調査で報告(都独自)
特定建築物換気設備の物品放置の状況のうち自然換気設備は、従来どおり特定建築物定期調査で報告(都独自)
特定建築物避難経路上の「窓先の空間」の確保に関する調査を追記(都独自・東京都建築安全条例の改正を反映)
防火設備常時閉鎖式防火扉は、防火設備定期検査では報告を求めない(都独自)

東京都は、2025年7月1日以降に調査する物件は新しい調査結果表を使い、6月30日以前に調査した物件は従前の調査結果表を使うよう案内しています。調査の時期によって書類が変わるので、年度をまたぐ依頼では業者に確認しておくと安心です。

外壁タイルの「全面打診」は10年ごと

外壁の全面打診のルール。ふだんは手の届く範囲を打診、異常があれば全面打診等、竣工・外壁改修・前回の全面打診から10年を超えた最初の調査は全面打診等。例外3つ
外壁タイルの全面打診のルール

費用の面でいちばん差が出やすいのが外壁です。告示第282号の別表第一 二(十一)は、タイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く)、モルタル等について、ふだんは開口隅部などの手の届く範囲をテストハンマーによる打診等で確かめ、その他の部分は双眼鏡等で目視し、異常があれば全面打診等で確かめる、としています。

そのうえで、こう続けます。「ただし、竣工後、外壁改修後又は全面打診等を実施した後十年を超え、最初に実施する定期調査等にあっては、全面打診等により確認する」。つまり、建ててから、外壁を直してから、または前回の全面打診から10年を超えて最初の調査では、異常が無くても全面打診等が必要です。

例外は3つあり、原文は「三年以内に実施された全面打診等の結果を確認する場合、三年以内に外壁改修等が行われることが確実である場合又は別途歩行者等の安全を確保するための対策を講じている場合を除く」です。大規模修繕の計画が3年以内に決まっているなら、そちらに合わせられる余地があります。判定基準は「外壁タイル等に剥落等があること又は著しい白華、ひび割れ、浮き等があること。」です。

東京都Q4-7の例。2012年7月10日に検査済証、起算開始日は2013年4月1日、2023年4月1日以降の直近の報告時期までに全面打診等
10年の数え方

10年の数え方は、東京都のQ&Aに例があります。2012年7月10日に検査済証が交付された建物は、起算開始日が翌年度の開始の日である2013年4月1日になり、2023年4月1日以降の直近の報告時期までに全面打診等が必要です。検査済証の日付から単純に10年ではないので、建物の書類で日付を確かめておくと見積もりの相談がしやすくなります。

全面打診の代わりに赤外線調査を使えるかについて、告示の原文は、無人航空機による赤外線調査で、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するものを打診等に含めています。東京都も、赤外線調査で落下のおそれのある部分の劣化及び損傷の状況が正確に判断できる場合は、赤外線調査での確認が可能、と答えています。

落下のおそれのある部分の範囲。壁面の前面で壁面高さのおおむね2分の1の水平面内に公道・私道・構内通路・広場がある壁面。強固な屋根や庇がある部分は除く
全面打診の対象になる壁面

全面打診が必要なのは、外壁の全部ではなく「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」です。東京都は、その壁面の前面かつ壁面高さのおおむね2分の1の水平面内に、公道、不特定または多数の人が通行する私道、構内通路、広場がある壁面だと説明しています。壁面の直下に強固な屋根や庇がある部分などは除かれます。

報告の流れと手数料(東京都の例)

東京都の報告の流れ。所有者が調査者に依頼、調査者が調査し報告書を作る、受付機関に提出し手数料を納める、特定行政庁が審査、控えと報告済証が戻る
依頼から報告済証まで

東京都の流れは、所有者・管理者が調査者に依頼し、調査者が調査して報告書を作り、報告書2部と概要書を受付機関に出す、という順番です。提出は調査者に任せることもできます。受付機関が報告事務手数料を受け取って予備審査をし、特定行政庁が審査します。審査が終わると、受付印の付いた報告書1部と報告済証が戻ってきます。審査の結果によっては、特定行政庁から改善の指導があります。

対象東京都の受付機関電話
特定建築物・防火設備公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター特定建築物 03-5989-1929
建築設備一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター03-3591-2421
昇降機・遊戯施設等一般社団法人 東京都昇降機安全協議会03-6304-2225

報告書の様式は、施行規則5条3項の別記第三十六号の二様式(報告書)と第三十六号の三様式(概要書)に、告示の調査結果表を添えます。特定行政庁が規則で様式を定めている場合は、そちらに従います。

東京都防災・建築まちづくりセンターの特定建築物定期調査報告事務手数料。500㎡以内6,500円から40,000㎡超24,700円まで
報告事務手数料(令和8年7月1日改定)

報告事務手数料は、調査の費用とは別にかかります。東京都防災・建築まちづくりセンターの令和8年7月1日改定の額は、報告部分の床面積が500平方メートル以内で6,500円、3,000平方メートル以内で7,300円、40,000平方メートルを超えると24,700円です(いずれも建築物1棟につき・税込)。

費用|業者の公開料金

ビューローベリタスの特定建築物定期調査の価格表(例)のうち事務所・病院・福祉施設の欄。500㎡まで55,000円から5,000㎡まで132,000円
業者の公開料金の一例

調査の費用に公的な相場はありません。ここでは、価格表を公開している業者の金額を、そのまま並べます。どれも各社が自社の価格として公開しているもので、平均や相場ではありません。

延べ面積ビューローベリタス 共同住宅同 事務所・病院・福祉施設同 ホテル・旅館・店舗
〜500㎡44,000円55,000円66,000円
〜1,000㎡55,000円71,500円82,500円
〜2,000㎡71,500円82,500円93,500円
〜3,000㎡82,500円93,500円110,000円
〜5,000㎡93,500円132,000円148,500円

ビューローベリタスの表は税込で、「案件数・規模や提供サービス内容等により価格が変動します」と注記されています(ビューローベリタスジャパン 特定建築物定期調査 費用・価格表)。

延べ面積防災屋 共同住宅・事務所など同 ホテル・病院・遊技場など
500㎡25,000円〜30,000円〜
1,000㎡30,000円〜50,000円〜
2,000㎡50,000円〜70,000円〜
3,000㎡70,000円〜90,000円〜
5,000㎡100,000円〜120,000円〜
10,000㎡150,000円〜180,000円〜

大阪の防災屋の表は税抜です。「不特定多数の人が利用する用途(ホテル・病院・遊技場等)は調査項目が多く、共同住宅等より費用が高くなる傾向があります。」と書かれています(株式会社防災屋 特定建築物定期調査の費用)。2社とも、用途で金額が分かれている点は同じです。

見積もりを比べる前にそろえる7項目のチェックリスト。報告書作成費、提出代行費、報告事務手数料、外壁の全面打診・赤外線調査、交通費、休日夜間の割増、是正工事
見積もりの条件をそろえる

見積もりを並べるときは、金額より先に中身をそろえます。各社の注記を見ると、報告書の作成費、行政への提出代行費、受付機関の報告事務手数料、外壁の全面打診や赤外線調査、交通費、平日昼間か休日夜間か、指摘が出たあとの是正工事が、入っていたり別だったりします。とくに全面打診の年は、足場や高所作業車、ドローンの費用で金額が大きく変わるので、別の見積もりになっていることが多いはずです。

消防設備点検の費用と業者の探し方は 消防設備点検の費用と業者の探し方 に書いています。同じ建物で、建築の調査と消防の点検を別々の会社に頼んでいる例は珍しくありません。

報告しないとどうなるか

報告をしない・虚偽の報告は100万円以下の罰金(法101条1項2号)、法人にも罰金刑(法105条1項2号)。案内の有無は報告義務の有無と無関係
罰則と案内の関係

法101条1項2号は、12条1項の報告をせず、または虚偽の報告をした者を「百万円以下の罰金に処する」としています。法105条1項2号の両罰規定で、法人の業務に関しての違反なら、行為者のほかに法人にも罰金刑が科されます。東京都のQ&Aも、報告を怠ることは法令違反で、101条により100万円以下の罰金が課せられることがある、と書いています。

罰則とは別に、東京都はQ&Aで「万が一、建築に係る事故等が発生した場合、定期報告の有無及びその内容は重要な参考資料となることも予想されます。」とも書いています。外壁の落下や火災があったとき、報告していたかどうかは後から必ず見られます。

あわせて、建築基準法8条は、所有者、管理者、占有者に、建物の敷地、構造、建築設備を「常時適法な状態に維持するように努めなければならない」としています。定期調査は、この維持の努力を数年に1回、専門家の目で確かめて記録に残す場、と考えると分かりやすいです。

誰が「管理者」か、売ったときは

ビルのエントランスで、スーツ姿の担当者と作業服の調査員が書類を見ながら打ち合わせしている様子のイメージ
調査の前の打ち合わせ(イメージ)

義務を負うのは所有者で、所有者と管理者が異なるときは管理者です。東京都は、管理者について「法的に明確な規定はありません。」としたうえで、建物の維持管理や長期修繕計画などに金銭面を含めて主体的に関与している者が管理者だと考えている、と説明しています。清掃や日常的なメンテナンスだけを受託している管理会社は、ここでいう管理者に当たりません。区分所有の共同住宅は、原則として管理組合が管理者(代表者は理事長)です。

建物を取り壊したときは「建築物除却・使用休止届」、売却したときや管理者が変わったときは「建築物等の所有者等変更届」が必要です。会社の代表者が変わった場合も、原則として提出が必要だと東京都は書いています。報告済証や過去の報告書の控えは、売買や管理の引継ぎのときに相手に渡す資料にもなります。控えには建築基準法令上の保存義務はありませんが、東京都は、適正に維持管理し続けるには所有者・管理者が調査履歴を把握している必要がある、としています。

消防の点検とは別の制度

特定建築物定期調査・消防設備点検・防火対象物点検の比較。法律、見るもの、報告先、資格、罰則の違い
建築の調査と消防の点検の違い

「去年、点検の業者に来てもらったから大丈夫」という話を聞くことがありますが、来たのが消防設備の点検業者なら、それは消防法17条の3の3の点検で、特定建築物定期調査とは別物です。東京都のQ&Aも「異なる制度です。」と答えています。

消防設備点検は 消防設備点検とは、防火管理の状況を見る点検は 防火対象物点検とは、マンションの点検は マンションの消防点検 で書いています。建物の種類と規模によっては、建築の調査、建築設備と防火設備の検査、消防設備の点検、防火対象物の点検がすべて必要になります。年間の予定表を1枚作って、どの報告がいつ、どこに出るのかを並べておくと漏れにくくなります。

よくある質問

特定建築物定期調査は1年に1回ですか

国の決まりは「おおむね六月から三年まで」の幅で、実際の間隔は特定行政庁が決めます。東京都では劇場や大きなホテル、百貨店などは毎年、病院や学校、飲食店、事務所、共同住宅などは3年ごとです。

案内が届いていないので対象外だと考えてよいですか

いいえ。東京都は「案内の有無」は「報告義務の有無」とは無関係だと書いています。用途と規模を所在地の特定行政庁の一覧で確かめてください。

ビル管理法の特定建築物と同じですか

違います。東京都のQ&Aは、建築基準法以外の法律でも特定建築物という言葉が使われていて、それぞれ定義が異なると注意しています。

外壁の全面打診は毎回必要ですか

毎回ではありません。竣工、外壁改修、前回の全面打診から10年を超えて最初の調査で必要になり、ふだんの調査で異常が見つかったときも必要です。3年以内の全面打診の結果がある場合など、例外が3つあります。

自分で調査して報告できますか

一級建築士、二級建築士、特定建築物調査員資格者証のどれかを持っていればできます。持っていなければ、資格者に頼む必要があります。

この記事の出典

出典(すべて2026年10月10日に原文を確認)
建築基準法(e-Gov)
建築基準法施行令(e-Gov)
建築基準法施行規則(e-Gov)
国土交通省 建築基準法に基づく定期報告制度について
平成20年国土交通省告示第282号(国土交通省掲載のWord原文)
東京都都市整備局 定期調査・検査報告制度とは
東京都都市整備局 定期調査・検査制度改正の内容
東京都都市整備局 定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧
東京都都市整備局 報告時期一覧(PDF)
東京都都市整備局 主な報告の流れ
東京都都市整備局 調査・検査の資格者
東京都都市整備局 定期報告に関するQ&A
東京都防災・建築まちづくりセンター 特定建築物定期調査報告事務手数料
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建築基準法12条点検
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