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消防法・同法施行令・同法施行規則(e-Gov)、消防庁の点検要領 第2 屋内消火栓設備・点検基準 別表第2・点検票、平成25年消防庁告示第2号、平成16年消防庁告示第10号、東京消防庁の資料、さいたま市の審査基準は、2026年10月11日に原文を取得して確認しました。条文は原文どおりに引用しています。用途の区分や無窓階の判定、設置の要否の最終的な判断は、建物を管轄する消防署で確かめてください。
ビルの廊下や階段の近くにある、赤いランプの付いた扉。開けるとホースとノズルが入っている箱が、屋内消火栓です。消火器では消せない大きさになった火を、建物の中にいる人が水で消すための設備で、消防法で決められた消防用設備等のひとつです。
屋内消火栓は、要る建物には設置の義務があり、付けたあとは定期的な点検と消防署への報告の義務もかかります。水をためる水槽、水を押し出すポンプ、各階へ運ぶ配管、停電に備える非常電源までがひとまとまりの設備なので、所有者や管理者にとっては「本当にうちの建物に要るのか」「点検で何を見られるのか」が気になるところです。
この記事では、設置の基準を決めている消防法施行令11条を原文で読み、耐火構造の建物で面積を2倍・3倍に読み替える決まり、4つの種類の違い、水源とポンプと非常電源の数値、点検要領に書かれた点検の中身、工事と点検の資格、罰則までを、条文の番号つきで順に見ていきます。

先に結論

| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 根拠 | 消防法17条、消防法施行令11条、消防法施行規則11条の2・12条 |
| 要る建物 | 劇場など(1)項は延べ500㎡以上、飲食店・物販店・ホテル・共同住宅・病院・工場・倉庫など(2)〜(10)(12)(14)項は700㎡以上、神社・寺院や事務所など(11)(15)項は1,000㎡以上、地下街は150㎡以上 |
| 階で要るもの | 地階・無窓階・4階以上の階で、床面積が100㎡、150㎡、200㎡以上(用途による) |
| 面積の読み替え | 特定主要構造部が耐火構造で内装が難燃材料なら3倍、耐火構造だけなどなら2倍 |
| 種類 | 1号、易操作性1号、2号、広範囲型2号。工場・倉庫などは1号(易操作性1号を含む)に限られる |
| 点検 | 機器点検は6か月ごと、総合点検は1年ごと(告示9号) |
| 工事と点検 | 工事は甲種第1類の消防設備士。点検は第1類の消防設備士か第一種消防設備点検資格者 |
| 罰則 | 設置命令に違反すると1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金、法人は3,000万円以下の罰金刑 |
屋内消火栓設備とは

屋内消火栓設備は、水源にためた水を加圧送水装置で押し出し、配管で各階の消火栓箱まで運んで、ホースとノズルで放水する設備です。加圧送水装置には、ポンプのほか、高い所に置いた水槽の落差を使う高架水槽、圧縮した空気で押し出す圧力水槽の方式があります。
東京消防庁は、屋内消火栓について「水バケツや消火器に比べると、操作は簡単ではありませんが、非常に効果的な消火設備で、消防隊だけではなく火災を発見した一般の人も使用することができます。」と説明しています。消防隊のための設備ではなく、建物にいる人が初期の火を消すための設備です。
消防用設備の点検全体の流れは消防設備点検とはで、付けたあとの届出と消防検査は消防用設備等の設置届と消防検査でまとめています。この記事は屋内消火栓設備そのものに絞ります。
令11条 自分の建物に要るか
建物全体の延べ面積で決まるもの

消防法施行令11条1項は、屋内消火栓設備を設置する建物を6つの号で決めています。1号から5号は、建物全体の延べ面積などで決まるものです。
- 1号 → 別表第一(1)項(劇場、映画館、公会堂、集会場など)で、延べ面積500㎡以上
- 2号 → (2)項から(10)項、(12)項、(14)項(キャバレーや遊技場、飲食店、物品販売店舗、旅館・ホテル・共同住宅、病院・社会福祉施設、学校、図書館、公衆浴場、停車場、工場・作業場、倉庫など)で、延べ面積700㎡以上
- 3号 → (11)項(神社、寺院、教会など)と(15)項(前の各項に当たらない事業場。事務所など)で、延べ面積1,000㎡以上
- 4号 → (16の2)項(地下街)で、延べ面積150㎡以上
- 5号 → 指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く)を、危険物の規制に関する政令別表第四で定める数量の750倍以上ためたり扱ったりする建物
条文は「延べ面積が七百平方メートル以上のもの」のように「以上」で書かれていて、ちょうど700㎡の建物も対象に入ります。複合用途の建物((16)項)は1項の各号に直接は出てこないので、用途ごとの部分の扱いは管轄の消防署で確かめてください。
地階・無窓階・4階以上の階で決まるもの

6号は、1号から5号に当たらない建物でも、地階、無窓階(窓などの開口部が少ない階)、4階以上の階で床面積が一定以上の階は対象になるという号です。床面積の線は、(1)項が100㎡以上、(2)項から(10)項、(12)項、(14)項が150㎡以上、(11)項と(15)項が200㎡以上です。
たとえば延べ面積が700㎡に届かない小さな飲食店ビルでも、地下の店舗の床面積が150㎡以上あれば、その階には屋内消火栓が要ることになります。窓の少ない「無窓階」に当たるかどうかは消防署の判断で決まる部分があり、この記事は条文の読み方を並べたもので、個別の建物の答えを決めるものではありません。
2倍読み・3倍読み

屋内消火栓には、ほかの消防用設備にはあまりない特徴があります。建物の構造と内装によって、1項の面積の線を2倍か3倍に読み替えるという決まりです(令11条2項)。
| 建物の構造と内装 | 面積の読み替え |
|---|---|
| 特定主要構造部が耐火構造で、壁と天井の室内に面する部分の仕上げが難燃材料 | 3倍 |
| 特定主要構造部が耐火構造(内装は問わない) | 2倍 |
| 準耐火建築物(建築基準法2条9号の3イ・ロ)で、内装の仕上げが難燃材料 | 2倍 |
たとえば(2)項から(10)項などの700㎡は、2倍で1,400㎡、3倍で2,100㎡になります。(1)項の500㎡は1,000㎡と1,500㎡、(11)項と(15)項の1,000㎡は2,000㎡と3,000㎡です。6号の階の床面積も同じように読み替え、100㎡は200㎡か300㎡、150㎡は300㎡か450㎡、200㎡は400㎡か600㎡になります(これらは令の数値に2と3を掛けたものです)。
ただし、5号の指定可燃物の建物は読み替えの対象外です。また病院など一部の用途で2号を当てるときは、3倍(2倍)の数値と、条文が決める別の数値の小さい方を使うという括弧書きがあります。延べ1,500㎡の事務所ビルでも、特定主要構造部が耐火構造なら線は2,000㎡になり、1項3号には当たらないということが起きるので、構造と内装の仕上げを図面で確かめておくことが大切です。
付けなくてよい場合
令11条4項は、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備を基準どおりに付けたときは、その設備の有効範囲内の部分に屋内消火栓設備を設置しないことができるとしています。ただし屋外消火栓設備と動力消防ポンプ設備で省けるのは、1階と2階の部分に限られます。
4つの種類と違い

屋内消火栓には、1号消火栓、易操作性1号消火栓、2号消火栓、広範囲型2号消火栓の4つの種類があります。違いは、1つの消火栓が受け持てる範囲(階の各部分からホース接続口までの水平距離)、放水の圧力と量、そして一人で使えるかどうかです。
| 種類 | 根拠 | 水平距離 | 放水圧力 | 放水量 |
|---|---|---|---|---|
| 1号 | 令11条3項1号 | 25m以下 | 0.17MPa以上 | 130L/分以上 |
| 易操作性1号 | 令11条3項1号、規則12条1項7号ヘただし書 | 25m以下 | 0.17MPa以上 | 130L/分以上 |
| 2号 | 令11条3項2号イ | 15m以下 | 0.25MPa以上 | 60L/分以上 |
| 広範囲型2号 | 令11条3項2号ロ | 25m以下 | 0.17MPa以上 | 80L/分以上 |
2号と広範囲型2号のホースは、施行規則11条の2で、消防用ホースの規格省令に規定する「保形ホース」(つぶれずに形を保つホース)であることと、延長と格納の操作が容易にできるように収納されていることが求められています。易操作性1号は、1号と同じ放水の性能を持ちながら、ノズルに容易に開閉できる装置があり、ホースの延長と格納が容易にできるように収納されたものです。
平成25年消防庁告示第2号は、易操作性1号、2号、広範囲型2号などを「簡易操作型放水用設備」とまとめ、ホースの延長、放水、収納の操作を15回行ったときに一人で操作でき、機能に異常を生じないこと、ノズルを開いたときの放水の反動(放水反力)が200ニュートン以下であることを求めています。ノズルの性能は、易操作性1号と広範囲型2号が射程7m以上、2号が射程10m以上です。
1号でなければならない建物

令11条3項1号は、工場・作業場((12)項イ)と倉庫((14)項)で1項2号か6号に当たるもの、5号の指定可燃物の建物には、1号消火栓(易操作性1号を含む)を付けるとしています。
それ以外の建物は、3項2号が「同号又は次のイ若しくはロに掲げる基準」としていて、1号、2号、広範囲型2号のどれを選んでもかまいません。事務所ビルや共同住宅、ホテル、病院などでは、一人で使える2号や広範囲型2号も選べるということです。
使い方の違い

東京消防庁は、1号消火栓は「多量の水を一定の範囲の圧力で放水するため操作を2人以上で行います」とし、易操作性1号消火栓と2号消火栓は「放水量が少量に設定してあるため、操作が非常に簡単で、一人でも使用することができます。」と説明しています。
- 1号消火栓(2人か3人で操作する) → 使用する屋内消火栓を選定する、起動ボタンを押す、消火栓の扉を開く、ホースを延長する、開閉バルブを開く、放水する
- 易操作性1号消火栓・2号消火栓 → 使用する屋内消火栓を選定し扉を開く、ノズルを取り出す、消火栓開閉弁を開く(操作がない場合もある)、ホースを延長する、ノズル開閉弁を開く、放水する
一人で使える型は、開閉弁を開いたりホースを延ばしたりする操作と連動してポンプが動き出すしくみです(規則12条1項7号ヘただし書、2項6号)。従業員の消火訓練では、自分の建物に付いている型がどちらかを先に確かめておくと、手順を間違えにくくなります。
ホースの長さは全国一律の法令の数字ではありませんが、たとえばさいたま市の審査基準は、1号消火栓は呼称40で長さ15mのホースを2本(小規模な建物は10mを2本にできる)、易操作性1号は呼称30で30m、2号は呼称25で20m、広範囲型2号は呼称25で30mとしています。
水源・ポンプ・非常電源の決まり
水源の量

水源の水量は、屋内消火栓の設置個数が最も多い階の個数(2を超えるときは2)に、種類ごとの量を掛けた量以上です。1号と易操作性1号は2.6㎥、2号は1.2㎥、広範囲型2号は1.6㎥を掛けます。上限の2個で計算すると、1号は5.2㎥、2号は2.4㎥、広範囲型2号は3.2㎥になります(令の数値に2を掛けたものです)。
ポンプ

ポンプの吐出量は、設置個数が最も多い階の個数(2を超えるときは2)に、1号は150L/分、2号は70L/分、広範囲型2号は90L/分を掛けた量以上です。上限の2個なら、それぞれ300L/分、140L/分、180L/分になります(計算した値です)。
施行規則12条1項7号ハは、ポンプについて、吐出量が定格吐出量の150パーセントのときの全揚程が定格全揚程の65パーセント以上であること、吐出側に圧力計、吸込側に連成計を付けること、定格負荷運転時の性能を試験するための配管設備を付けること、締切運転時の水温上昇を防ぐ逃し配管を付けること、原動機は電動機によることを決めています。
配管の主配管のうち立上り管は、1号が管の呼びで50mm以上、2号が32mm以上、広範囲型2号が40mm以上です。配管は専用とし、加圧送水装置の吐出側直近の配管には逆止弁と止水弁を付けます。加圧送水装置には、ノズルの先端の放水圧力が0.7MPaを超えないための措置を講じ、装置は直接操作によってのみ停止されるものとされています。
非常電源

令11条3項は、屋内消火栓設備に非常電源を附置するとしています。施行規則12条1項4号は、非常電源を非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備、燃料電池設備のどれかとし、特定防火対象物で延べ面積1,000㎡以上のもの(小規模特定用途複合防火対象物を除く)は、自家発電設備、蓄電池設備、燃料電池設備に限っています。
容量は屋内消火栓設備を「有効に三十分間以上作動できるもの」で、常用電源が停電したときは自動的に非常電源に切り替わるものとされています。非常電源の配線には、600ボルト二種ビニル絶縁電線か、それと同等以上の耐熱性を持つ電線を使います。自家発電設備を持つ建物の負荷試験は非常用発電機の負荷試験とはで説明しています。
消火栓箱の見た目の決まり

施行規則12条1項は、消火栓箱まわりの見た目も決めています。箱の表面には「消火栓」と表示し、箱の上部には取付け面と15度以上の角度の方向に10m離れたところから容易に分かる赤色の灯火を付けます。加圧送水装置の始動を示す表示灯は赤色で、箱の内部かその直近に付けます。開閉弁は床面から1.5m以下の位置か天井に付け、天井に付けるものは自動式です。
水源の水位がポンプより低い位置にあるときは、専用の呼水槽を持つ呼水装置を付け、呼水槽には減水警報装置と自動で水を補給する装置を付けます。告示2号は、簡易操作型の放水用設備に、操作手順を示す絵表示や「一人で放水操作が可能である旨」などを表示し、性能、点検方法、注意事項を書いた説明書を備え付けることを求めています。

屋内消火栓設備の点検
付けたあとは、消防法17条の3の3に基づいて定期に点検し、消防署に報告します。点検の期間は平成16年消防庁告示第9号が決めていて、屋内消火栓設備は機器点検が6か月ごと、総合点検が1年ごとです。報告は、特定防火対象物((1)項から(4)項、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項、(16の3)項)が1年に1回、それ以外が3年に1回です(施行規則31条の6)。報告書の書き方は消防用設備等点検結果報告書の書き方と出し方でまとめています。
点検の中身は、消防庁の点検基準(昭和50年消防庁告示第14号 別表第2)と点検要領 第2 屋内消火栓設備に書かれています。
機器点検で見ること

機器点検では、水源、加圧送水装置、呼水装置、配管、消火栓箱、ホースとノズル、表示灯などを一つずつ確かめます。点検要領から、所有者として知っておきたい項目を抜き出します。
- 水源 → 水位計で水量を確かめ、水位計がないものはマンホールの蓋などを開けて検尺する。「規定の水量が確保されていること。」水に「著しい腐敗、浮遊物、沈澱物等がなく、使用上支障がないこと。」
- ポンプ → 吐出側の止水弁を閉じてポンプを起動し、性能試験用配管のテスト弁を開いて、流量計、圧力計、連成計で確かめる。異常な振動や雑音がなく、定格負荷運転時の吐出量と吐出圧力が所定の値であること
- 呼水装置 → 自動給水装置は呼水槽の水量が2分の1に減るまでの間に作動し、減水警報装置はおおむね2分の1に減るまでに警報を出すこと
- 表示灯 → 取付け面と15度以上の角度の方向に10m離れたところから容易に分かること
- 一人で使う型(易操作性1号、2号、広範囲型2号) → 一人でホースの延長と格納をして、ノズルの手元の開閉装置の操作とホースの延長、格納が容易にできること
点検の日にポンプを動かすと、試験用の配管に水を流したり、ポンプの音がしたりします。テナントや入居者には、事前に点検の日時を知らせておくと混乱を防げます。
ホースの耐圧点検

1号消火栓のホースには、機器点検の中に耐圧性能の点検があります。対象は、ホースの製造年の末日から10年を経過した日以降に点検を行う場合で、前回の耐圧性能の点検から3年を経過していない場合は除かれます。
方法は、ホースの端末部に水を満たし、耐圧試験機などで所定の水圧を5分間かけて確かめるもので、変形や損傷がなく、ホースと金具の接続部から著しい漏水がないことが基準です。所定の水圧は、消防用ホースの規格省令でホースの種類ごとに決められた使用圧です。易操作性1号、2号、広範囲型2号のホースは、この耐圧性能の点検からは除かれています。
総合点検で見ること

総合点検では、実際に水を出して設備全体の性能を確かめます。ポンプ方式の場合、非常電源に切り替えた状態で、直接操作部の起動装置か遠隔起動装置を操作してポンプの起動を確かめます。点検要領は「病院等で非常電源に切り替えて点検することが短時間であっても困難な場合は、常用電源で点検することができるものとする。」としています。
放水圧力は、任意の屋内消火栓で放水し、ノズル先端から口径の2分の1離れた位置にピトー管という計器の先端を当てて測ります。合格の範囲は、1号、易操作性1号、広範囲型2号が0.17MPa以上0.7MPa以下、2号が0.25MPa以上0.7MPa以下です。放水量は「Q = KD² √10P」(Qは放水量、Dはノズル径、Pは放水圧力、Kは定数)の式で出し、1号(易操作性1号を含む)は130L/分以上、2号は60L/分以上、広範囲型2号は80L/分以上が基準です。
減圧のための措置は、加圧送水装置の直近と最遠の消火栓を開いて確かめます。どちらの消火栓でも、放水圧力が上の範囲に入っていることが必要です。点検の結果は、消防庁の別記様式第2 屋内消火栓設備点検票に書かれて報告書に付きます。
配管の耐圧と連結送水管

設置の基準では、配管の耐圧力は、その配管に給水する加圧送水装置の締切圧力の1.5倍以上の水圧を加えたときに耐えるものとされています(規則12条1項6号リ)。
連結送水管には、配管を設置した日から10年を経過した日以降、3年ごとに配管の耐圧性能を点検する決まりがありますが、点検基準の別表第20は「屋内消火栓設備と当該配管を共用している部分を除く。」としています。屋内消火栓の点検要領で10年と3年の耐圧点検が決められているのはホースです。連結送水管の点検は連結送水管とはで詳しく説明しています。
誰が工事と点検をできるか

令36条の2は、屋内消火栓設備の設置の工事を、消防設備士でなければ行ってはならないものにしています。ただし電源、水源、配管の部分は除かれます。整備も消防設備士の仕事ですが、屋内消火栓設備の表示灯の交換や、施行規則33条の2の2が定める軽微な整備(ホースやノズル、ヒューズ類、ネジ類などの部品の交換、消火栓箱やホース格納箱の補修など)は除かれています。
施行規則33条の3は、第1類の消防設備士が屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、屋外消火栓設備を扱うとし、甲種は工事と整備、乙種は整備ができると決めています。点検できる人は平成16年消防庁告示第10号が決めていて、消防設備点検資格者は第一種が屋内消火栓設備を点検できます。資格の違いは消防設備士とはと消防設備点検資格者とはで詳しく説明しています。
有資格者に点検させなければならないのは、令36条2項の建物です。特定用途で延べ1,000㎡以上のもの、非特定用途で延べ1,000㎡以上のうち消防長か消防署長が指定したもの、特定用途の部分が避難階以外の階にあって直通階段が2つ(屋外階段などなら1つ)以上ない建物などです。それ以外の建物は、法17条の3の3で、関係者が自ら点検して報告することも認められています。
付けない・点検しないとどうなるか

消防長か消防署長は、消防用設備等が基準どおりに設置・維持されていないと認めるときは、法17条の4で、権原のある関係者に設置や維持のための措置を命じることができます。
| 違反 | 罰則 | 条文 |
|---|---|---|
| 設置の命令に違反して設置しなかった | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金 | 法41条1項5号 |
| 同じ違反で法人の業務に関するもの | 法人に3,000万円以下の罰金刑 | 法45条2号 |
| 点検の結果を報告しない、うその報告をした | 30万円以下の罰金又は拘留 | 法44条11号 |
| 同じ違反で法人の業務に関するもの | 法人に30万円以下の罰金 | 法45条3号 |
いきなり罰則になるより、消防の立入検査で指摘を受けて改修を求められるのが普通の流れです。立入検査の流れは消防の立入検査とはで書いています。
所有者・管理者のチェックリスト

- 建物の用途(令別表第一の何項か)と延べ面積、地階・無窓階・4階以上の階の床面積を図面で確かめた
- 構造と内装の仕上げを確かめ、2倍読み・3倍読みが使えるかを把握した
- 付いている消火栓が1号か、一人で使える型かを確かめ、その使い方を従業員に伝えた
- 非常電源の種類を確かめ、総合点検で非常電源に切り替えて動かしたかを点検票で見た
- 1号消火栓のホースの製造年を確かめた(製造年の末日から10年を過ぎていれば耐圧点検の対象)
- 消火栓箱の前に物を置いていない、扉がすぐ開く
- 点検報告の周期(1年に1回か3年に1回か)と、直近の報告日を把握した
点検を頼む業者の探し方や公開されている料金の例は消防設備点検の費用にまとめています。
よくある質問
Q. 何㎡から屋内消火栓が必要ですか
A. 令11条1項で、劇場など(1)項は延べ500㎡以上、飲食店・物販店・ホテル・共同住宅・病院・工場・倉庫など(2)項から(10)項、(12)項、(14)項は700㎡以上、神社・寺院や事務所など(11)項と(15)項は1,000㎡以上です。耐火構造の建物は2倍か3倍に読み替えます。別に、地階・無窓階・4階以上の階の床面積でも決まります。
Q. 耐火構造なら面積は何倍になりますか
A. 特定主要構造部が耐火構造で、壁と天井の室内に面する部分の仕上げが難燃材料なら3倍、耐火構造だけなら2倍です。準耐火建築物で内装が難燃材料のものも2倍です(令11条2項)。指定可燃物の建物(5号)は読み替えの対象外です。
Q. 1号と2号はどちらを付ければよいですか
A. 工場・作業場、倉庫で2号か6号に当たるものと、指定可燃物の建物は1号(易操作性1号を含む)に限られます。それ以外の建物は1号、2号、広範囲型2号のどれでもかまいません(令11条3項)。どれにするかは、設計の段階で設計者や消防設備士に確かめてください。
Q. 点検はどのくらいの間隔ですか
A. 告示9号で、機器点検が6か月ごと、総合点検が1年ごとです。消防署への報告は、特定防火対象物が1年に1回、それ以外が3年に1回です(施行規則31条の6)。
Q. ホースは何年で交換するものですか
A. 法令で決まった交換の年数は、今回確かめた資料の範囲では見当たりません。1号消火栓のホースは、製造年の末日から10年を経過した日以降の点検で耐圧性能の点検の対象になり、その後は前回から3年ごとに確かめます。点検で漏水や損傷が見つかれば交換が必要です。ホースやノズルの交換は、軽微な整備として消防設備士でなくても行えるものとされています。
Q. スプリンクラーがあれば屋内消火栓はいりませんか
A. スプリンクラー設備などを基準どおり付けた場合、その有効範囲内の部分には屋内消火栓設備を設置しないことができます(令11条4項)。屋外消火栓設備と動力消防ポンプ設備で省けるのは1階と2階の部分だけです。
まとめ
屋内消火栓設備が要るかは、令11条1項の用途と延べ面積、地階・無窓階・4階以上の階の床面積で決まり、耐火構造の建物では面積の線を2倍か3倍に読み替えます。工場や倉庫などは1号に限られ、それ以外の建物は一人で使える2号や広範囲型2号も選べます。
付けたあとは、機器点検を6か月ごと、総合点検を1年ごとに行い、特定防火対象物は1年に1回、それ以外は3年に1回報告します。点検票の指摘を直し、1号のホースの製造年と非常電源の状態を把握しておくことが、所有者と管理者にできる備えです。
出典
出典(すべて2026年10月11日に原文を確認)
消防法(e-Gov 法令検索) 17条の3の3、17条の4、17条の5、41条、44条、45条
消防法施行令(e-Gov 法令検索) 11条、36条、36条の2、別表第一
消防法施行規則(e-Gov 法令検索) 11条の2、12条、31条の6、33条の2の2、33条の3
消防庁 消防用設備等の点検要領 第2 屋内消火栓設備(PDF)
消防庁 昭和50年消防庁告示第14号 別表第2(点検の基準)(PDF)
消防庁 同 別記様式第2 屋内消火栓設備点検票(PDF)
消防庁 平成25年消防庁告示第2号 屋内消火栓設備の屋内消火栓等の基準(PDF)
消防庁 平成16年消防庁告示第10号(点検の資格)(PDF)
東京消防庁 消防少年団 リーダー団員のてびき 第7章
さいたま市 消防用設備等に関する審査基準 第2 屋内消火栓設備(PDF)





