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特定小規模施設用自動火災報知設備(特小自火報)とは|使える建物、普通の自火報との違い、令和6年改正、資格、点検、民泊の扱い【2026年版・条文つき】

2026 10/12
消防設備点検
2026年10月12日
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特定小規模施設用自動火災報知設備(特小自火報)とは|使える建物、普通の自火報との違い、令和6年改正、資格、点検、民泊の扱い【2026年版・条文つき】

この記事の情報

特定小規模施設省令・消防法・同法施行令・同法施行規則(e-Gov)、消防庁の令和6年7月23日の改正資料と運用通知(消防予第363号)、消防予第119号・第330号、点検要領第33、告示第9号、消防庁予防課の令和5年8月の資料、さいたま市消防用設備等に関する審査基準は、2026年10月11日に原文を取得して確認しました。条文は原文どおりに引用しています。特小自火報は消防長又は消防署長が認めて使う設備で、運用は消防本部ごとに違うところがあります。最後は建物を管轄する消防署で確かめてください。

小さな旅館や民泊、グループホーム、入院のできる診療所、カラオケボックス。こうした建物には、面積が小さくても自動火災報知設備を付ける義務があります。ただ、受信機を置いて壁や天井の中に配線を通す工事は、小さな建物には重い負担です。

そこで使えるのが「特定小規模施設用自動火災報知設備」、略して特小自火報です。感知器どうしが無線で連動して鳴る仕組みで、電池式なら配線の工事が要りません。この記事では、建物の所有者や運営者の目線で、自分の建物で使えるのか、普通の自動火災報知設備と何が違うのか、令和6年の改正で何が変わったのか、誰が付けて誰が点検するのか、民泊ならどう扱われるのかを、条文と消防庁の通知の原文で並べます。

作業服の点検者が、長い棒の先の試験器を天井の感知器に当てて作動を確かめている様子のイメージ
感知器の作動試験(イメージ)
目次
点検の義務と費用の相場をLINEで受け取る。受け取れる情報を見る

先に結論

特小自火報の要点5つ。自動火災報知設備の代わりに使える設備、原則として延べ300㎡未満、令和6年7月23日の改正で範囲が拡大、感知器だけなら工事に資格は要らない、機器点検6か月と総合点検1年
特小自火報の要点
知りたいこと答え
何か自動火災報知設備に代えて使える設備(消防法施行令29条の4・特定小規模施設省令3条)
使える建物原則として延べ面積又は床面積が300平方メートル未満の、旅館・ホテル、入院施設のある病院・診療所、グループホームなどの福祉施設、カラオケボックス等など(省令2条)
普通の自火報との違い連動型の感知器だけで組める。電池式・無線式で配線工事が不要
令和6年の改正2024年7月23日施行。使える建物を追加し、警戒区域が2以上でも受信機なしで組めるようになった
工事の資格感知器だけで組むなら消防設備士の資格は要らない。中継器を付けるなら甲種第4類
点検機器点検6か月ごと、総合点検1年ごと。報告は旅館・病院・福祉施設などで1年に1回
民泊届出住宅は原則(5)項イ(旅館・ホテル等)。家主が不在にならず宿泊室の合計が50平方メートル以下なら住宅

特小自火報とは

消防法施行令21条は、決められた建物に自動火災報知設備を付けるよう求めています。一方で施行令29条の4は、通常の消防用設備等に代えて、消防長又は消防署長が「その防火安全性能」が「同等以上であると認める」設備を使うことができる、としています。これにもとづいて平成20年12月26日に作られたのが特定小規模施設省令で、その3条1項が、特定小規模施設では自動火災報知設備に代えて「特定小規模施設用自動火災報知設備」を使える、と決めています。

普通の自動火災報知設備は受信機・感知器・発信機・地区音響装置を配線でつなぐ。特小自火報は連動型警報機能付感知器だけでも組め、電池式・無線式で配線工事が不要
普通の自火報との違い

消防庁予防課の令和5年8月の資料は、違いをこう説明しています。普通の自動火災報知設備は、受信機、感知器、発信機、地区音響装置などを配線で接続する必要があり、既存の建物に付けると「壁や床の内部における配線工事が発生するなど大規模な工事となることが多い」。これに対して特小自火報は「無線式の連動型警報機能付感知器のみで設置することができるものであり、簡易な工事で設置が可能」です。

平成21年3月23日の消防予第119号は、普通の自動火災報知設備と違う点を3つ挙げています。

  1. 個々の感知器の警報を連動させることにより、施設全体に火災の発生を報知することができること
  2. 逃げ遅れ防止の観点で特に重要な場所に感知器を設け、受信機での感知場所の表示は必ずしも要さないこと
  3. 電源供給やシステムの状態確認などを他の方法で確保できる場合は、受信機の設置を必ずしも要さないこと
比べる点自動火災報知設備特小自火報
主な機器受信機、感知器、発信機、地区音響装置など連動型警報機能付感知器だけでも可(通信状況により中継器)
配線有線が原則で、壁や床の内部の配線工事が要る電池式・無線式なら配線工事が不要
火災の場所の表示受信機で表示受信機での表示は必ずしも要さない(新しい感知器は声で階や階段を知らせる)
根拠消防法施行令21条消防法施行令29条の4・特定小規模施設省令3条

つまり、ある部屋の感知器が煙や熱を感じると、建物中の感知器がいっせいに鳴る、というのが基本の形です。受信機を置く方式も選べます。

なぜ小さな建物にも義務があるのか

設置義務が小さな施設に広がった経緯。平成18年1月の大村市グループホーム火災、平成19年1月の宝塚市カラオケボックス火災、平成24年5月の福山市ホテル火災、平成25年10月の福岡市有床診療所火災、平成28年からの民泊需要
設置義務が広がった経緯

消防庁の資料によると、死者が多く出た火災のたびに、自動火災報知設備の義務が小さな施設に広げられてきました。平成18年1月の長崎県大村市のグループホーム火災のあと、平成19年6月13日の政令第179号で(6)項ロの延べ300平方メートル未満が追加されました。平成19年1月の兵庫県宝塚市のカラオケボックス火災のあとは、平成20年7月2日の政令第215号で(2)項ニが追加され、同じ年の12月26日に特定小規模施設省令が作られました。

平成24年5月の広島県福山市のホテル火災と、平成25年10月の福岡県福岡市の有床診療所火災のあとは、平成25年12月27日の政令第368号で(5)項イ、(6)項イ(1)から(3)、入居・宿泊させる(6)項ハが追加されています。平成30年6月1日の省令第34号では、民泊の需要の増加を受けて、延べ300平方メートル以上500平方メートル未満の共同住宅で(5)項イの部分が300平方メートル未満のものが、特小自火報を使える建物に加わりました。

義務が新しくかかった小さな施設でも付けやすいように用意されたのが、特小自火報です。消防庁の資料も、特性に応じて必要な機能を確保しつつ「簡易に設置することができる」ものとして基準が定められた、と書いています。

特小自火報を使える建物

特定小規模施設省令2条1号の区分。イは自動火災報知設備の義務がある建物のうち延べ面積又は床面積が300㎡未満のもの、ロは16項イの複合用途、ハは5項イと5項ロだけの複合用途で延べ300㎡以上500㎡未満
特小自火報を使える建物

どの建物で使えるかは、特定小規模施設省令2条1号が決めています。条文は長いので、区分ごとにまとめます。用途は施行令別表第一の「項」で表されます。

イ 300平方メートル未満の建物又はその部分

施行令21条1項の各号のうち、3号から6号、8号、11号、12号、14号、15号を除いた号に当たる建物又はその部分で、「延べ面積又は床面積が三百平方メートル未満のもの」です。残る号を別表第一の名前で読むと、次のとおりです。

  • 1号 → (2)項ニ(カラオケボックス等)、(5)項イ(旅館、ホテル、宿泊所等)、(6)項イ(1)から(3)(入院施設のある病院・診療所等)、(6)項ロ(グループホームなど自力で避難しにくい人の福祉施設等)、(13)項ロ(飛行機又は回転翼航空機の格納庫)、(17)項(重要文化財等の建造物)、利用者を入居させ又は宿泊させる(6)項ハ
  • 2号 → (9)項イ(蒸気浴場、熱気浴場等)で延べ200平方メートル以上
  • 7号 → 特定の用途が避難階以外の階にあり、直通階段が2(屋外階段などは1)以上ない建物(特定一階段等防火対象物)
  • 9号 → 地下街((16の2)項)のうち、上の宿泊・福祉などの用途の部分
  • 10号 → (2)項イからハ、(3)項(飲食店等)、(16)項イの地階又は無窓階で床面積100平方メートル以上
  • 13号 → 駐車の用に供する部分のある地階又は2階以上の階で、その部分が200平方メートル以上

ロ 複合用途の建物((16)項イ)

(16)項イの複合用途の建物で、(2)項ニ、(5)項イ、(6)項イ(1)から(3)・ロ、入居・宿泊の(6)項ハ、200平方メートル以上の(9)項イ、(2)項・(3)項の地階又は無窓階で100平方メートル以上の部分、200平方メートル以上300平方メートル未満の駐車の部分のある階、のどれかがあるものです。延べ面積が300平方メートル以上の場合は、小規模特定用途複合防火対象物であることなどの条件がつきます。消防予第119号は、(16)項イの場合の特定小規模施設は建物全体ではなく、その用途の部分を指すと説明しています。

ハ 宿泊と共同住宅だけの建物

(5)項イと(5)項ロ以外の用途がなく、(5)項イの部分の床面積が300平方メートル未満の(16)項イの建物のうち、延べ面積が300平方メートル以上500平方メートル未満のものです。共同住宅の一部で宿泊施設を営む建物が当たります。

自分の建物がどの項に当たるかは、使い方や面積の測り方で変わることがあります。迷ったときは、図面を持って管轄の消防署に相談すると早いです。

令和6年の改正で変わったこと

令和6年の改正の5点。使える建物の追加、警戒区域2以上でも使える、その場合は受信機が要らない、特定一階段等と警戒区域2以上は階段・廊下にも感知器、新しい感知器の表示
令和6年の改正で変わったこと

特小自火報は、令和6年7月23日に大きく変わりました。消防庁は令和6年4月4日から5月8日まで意見を公募し(提出は6件)、同じ7月23日に令和6年総務省令第74号などを公布しています。施行も公布の日です。消防庁の改正の概要は、背景を「出火元の特定が可能な音声メッセージを発する高機能な感知器が開発されている状況を踏まえ」と書いています。

改正の中身は次のとおりです。

  1. 使える建物の追加。(13)項ロ、(17)項、延べ200平方メートル以上の(9)項イ、施行令21条1項7号・9号・10号・13号の建物又はその部分(いずれも延べ面積又は床面積が300平方メートル未満)
  2. 警戒区域が2以上でも使える。全部の感知器を「火災の発生した警戒区域を特定することができる」連動型警報機能付感知器にする場合
  3. その場合は受信機が要らない。改正前の告示25号は、受信機を設けないことができるのは「警戒区域が一の場合」としていた
  4. 特定一階段等防火対象物と警戒区域が2以上の建物では、居室などに加えて階段、廊下、エレベーターの昇降路などにも感知器を付ける
  5. 新しい感知器には「火災発生区域特定機能付」と表示する

改正前は、消防庁の資料が書くとおり、特小自火報を使える建物は原則として延べ面積300平方メートル未満で階数が2以下(警戒区域が1まで)に限られていました。改正前の省令は、特定一階段等防火対象物を特定小規模施設から外してもいました。3階建ての小さなグループホームや、階段が1つしかない雑居ビルの飲食店でも使えるようになったのが、所有者にとっての大きな変化です。

新しい感知器の音声の例は「ピー、ピー、ピー。3階で火事です。Fire、Fire.」。知らせる場所は階又は階段で足り、外国語は日本語のあとに付けてよい
新しい感知器の音声

警戒区域が2以上のときに使う新しい感知器は、場所を声で知らせます。消防予第363号の例は「ピー、ピー、ピー。3階で火事です。Fire、Fire.」で、場所は「火災を感知した階又は階段とすることで足りる」としています。日本語を母国語としない人に配慮したメッセージを日本語のあとに付けてもよいが、できる限り短くする、とも書いています。

表示の「火災発生区域特定機能付」は、改正省令の附則で、令和7年12月31日より前に製造された感知器は表示を行わないことができる、とされています。表示がない感知器でも、すぐに新しい方式に使えないとは限らないので、製品の仕様書や型式で確かめてください。

感知器を付ける場所と位置

感知器を付ける場所。イは居室と床面積2㎡以上の収納室、ロは倉庫・機械室、ハは階段・廊下・エレベーターの昇降路など(カラオケボックス等、ハの建物、特定一階段等、警戒区域2以上の建物だけ)
感知器を付ける場所

省令3条2項3号は、感知器を付ける場所を3つに分けています。

  • イ → 建築基準法2条4号の居室と、床面積が2平方メートル以上の収納室
  • ロ → 倉庫、機械室その他これらに類する室
  • ハ → 階段及び傾斜路、廊下及び通路、エレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトなど。ただし、カラオケボックス等の部分、2条1号ハの建物、特定一階段等防火対象物、警戒区域が2以上の建物の内部にある場合に限る

付ける面は天井(天井がなければ屋根)で、イの場所のうち床面積30平方メートル以下の部屋なら壁でもかまいません。消防予第363号の別添1は、階段には垂直距離7.5mにつき1個を設けるとしています。警戒区域は、施行令21条2項1号・2号の例によります。消防予第119号は、2つの階にわたる特定小規模施設なら、階段室も含めて全体を1つの警戒区域(一辺50メートル以下)にできると説明しています。

さいたま市の審査基準の例。熱感知器は天井なら壁又ははりから0.4m以上、煙感知器は0.6m以上離す。壁なら天井から下0.15m以上0.5m以内。定温式を壁に付けるなら公称作動温度65度以下で特種
天井と壁のどこに付けるか

取り付けの細かい位置は、消防本部ごとの審査基準で決まります。一例として、さいたま市の審査基準は、熱感知器を天井に付けるなら壁又ははりから0.4m以上離し、煙感知器なら0.6m以上離す、壁に付けるならどちらも天井から下方0.15m以上0.5m以内、としています。消防予第119号は、定温式の感知器を壁に付けるなら公称作動温度65度以下で特種のものにする必要がある、と書いています。

台所の扱いにも決まりがあります。消防予第119号は、(6)項ロの台所は一般住宅に近い規模と環境であることから、高湿度の場所に防水型の感知器を使うという基準の対象には原則当たらないとしています。厨房のある宿などでは、どの種類の感知器を使うか、工事の前に消防署と業者に確かめておくと手戻りが少なくなります。

住宅用火災警報器とは別物

住宅用火災警報器と特小自火報の感知器の違い。特小自火報の感知器は検定に合格し「警報機能付」又は「連動型警報機能付」と表示される。専用品には特小自火報以外に使えない旨の表示
住宅用火災警報器との見分け方

見た目がよく似ているのが、家庭に付ける住宅用火災警報器です。さいたま市の審査基準は、特小自火報の警報機能付感知器は、消防用設備等の感知器として規格に適合することが必要なもので、施行令37条7号の住宅用防災警報器とは「異なるものであること」としています。

見分け方も書かれています。特小自火報の感知器には型式適合検定に合格した旨の表示のほか、「警報機能付」又は「連動型警報機能付」の表示が付きます。特小自火報にしか使えない感知器には「特定小規模施設用自動火災報知設備以外の自動火災報知設備に用いることができない旨」が表示されます。自宅を民泊や小さな宿に変えるときに、家庭用の警報器がそのまま付いている例が考えられます。表示を見て、どちらなのかを確かめてください。

工事と点検に資格が要るか

工事・点検の資格。感知器だけで組む特小自火報の工事・整備は資格がなくてもよい、中継器を付けるなら甲種第4類、特定一階段等の建物の点検は消防設備士又は消防設備点検資格者
工事と点検の資格

令和6年の意見公募では、所有者が気になる質問に消防庁が答えています。「新たに追加される方式の特小自火報の工事又は整備は消防設備士の資格がなくてもよいのか」という意見に対し、消防庁は「感知器のみで構成されている特小自火報の工事又は整備については、お見込みのとおりです」と回答しました。

一方、消防予第363号は、警戒区域が増えると無線の通信を確保するために中継器を付けるケースが考えられるとして、「中継器を設ける特小自火報の工事及び整備については、第4類の甲種消防設備士の資格を有する者が行うことが必要」としています。工事の際は、設置場所で電波の受信状況をよく確認すること、とも書いています。消防設備士の甲種と乙種の違いは 消防設備士とは で書いています。

点検についても、施行令36条2項3号の建物(特定一階段等防火対象物)に新しい方式の特小自火報を付けた場合、点検に消防設備士・消防設備点検資格者の資格が要るか、という質問に「お見込みのとおり」と答えています。それ以外で、延べ面積1,000平方メートル以上などの施行令36条2項の建物に当たらなければ、関係者が自ら点検することもできます(消防法17条の3の3)。自分で点検するか資格者に頼むかの考え方は 消防設備の点検は誰ができるか にまとめています。

点検の周期と中身

点検と報告の周期。機器点検6か月ごと、総合点検1年ごと。報告は旅館・病院・福祉施設などは1年に1回、共同住宅・事務所などは3年に1回。報告をしない又は虚偽の報告は30万円以下の罰金又は拘留
点検と報告の周期

消防用設備等の点検は、施行規則31条の6第1項で「一年以内で消防庁長官が定める期間ごと」とされ、平成16年の消防庁告示第9号が、特定小規模施設用自動火災報知設備は機器点検6月、総合点検1年と決めています。普通の自動火災報知設備と同じ周期です。

点検・報告周期根拠
機器点検6月ごと消防庁告示第9号
総合点検1年ごと消防庁告示第9号
報告(旅館・病院・福祉施設・カラオケボックス等など)1年に1回施行規則31条の6第3項1号
報告(共同住宅・格納庫・重要文化財等など)3年に1回施行規則31条の6第3項2号

結果は維持台帳に記録し、(1)項から(4)項、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項、(16の3)項の建物は1年に1回、それ以外の(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項、(16)項ロ、(17)項、(18)項の建物は3年に1回、消防長又は消防署長に報告します。報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、消防法44条11号で30万円以下の罰金又は拘留です。報告書の書き方は 消防用設備等点検結果報告書の書き方と出し方 で、点検全体の流れは 消防設備点検とは で書いています。

点検要領第33で見る項目。予備電源・非常電源、感知器の加熱・加煙試験、すべての連動型感知器が連動しているか、無線の通信状態、総合点検での煙感知器の感度
点検で何を見るか

何を見るかは、消防庁の点検要領「第33 特定小規模施設用自動火災報知設備」に書かれています。意見公募でも、特小自火報の点検基準はこの第33ですでに示している、と消防庁が答えています。機器点検には、予備電源と非常電源、感知器の作動(熱感知器は第33-1表の抜き取り数表で抜き取る)、連動機能(「すべての連動型警報機能付感知器が連動していること」)、無線機能(感知器や中継器などの「通信状態が正常」であること)などがあります。総合点検では、煙感知器の感度が所定の範囲内であるかを感度試験器で確かめます。

一般的留意事項には、自動試験機能があるものはその機能に係る項目を省略できる、蓄積機能がある回線の感知器は蓄積機能を解除して作動試験をしてもよい、などが並んでいます。感知器だけで組んだ設備は、受信機の盤面で状態を見られない分、1台ずつの作動と連動を確かめる点検が中心になります。

電池と非常電源

電池式の感知器は電圧の下限を72時間以上知らせたあと1分間以上作動できること。電池以外の電源は停電後10分間以上作動できる電池があること
電池と非常電源

省令3条2項4号は、特小自火報に非常電源を付けるよう求めています。さいたま市の審査基準は、受信機を設けない場合の扱いを次のように書いています。電池式の感知器は、電池の電圧が下限になった旨を72時間以上点滅表示などで知らせたあと、1分間以上有効に作動できれば、その電池を非常電源にできます。電池以外の電源を使う感知器は、停電したあと10分間以上作動できる容量の電池が付いていれば、それを非常電源にできます。

常用電源に一次電池を使うこともでき、電圧が下限になったら感知器か電池を交換します。点滅や音で知らせてくれても、気づかなければ意味がありません。客室や居室の見回りのときに、感知器のランプや音に気づける段取りを決めておくと安心です。

民泊(住宅宿泊事業)の扱い

民泊の扱い。届出住宅は原則5項イとして扱う。家主が不在にならない届出をし宿泊室の合計が50㎡以下なら住宅。旅館業の許可で同様の使い方をするときも準用
民泊の扱い

特小自火報を調べる人に多いのが、民泊を始める人です。平成29年10月27日の消防予第330号は、住宅宿泊事業法の届出住宅を、施行令別表第一(5)項イ(旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの)又はその部分として扱う、としています。(5)項イは自動火災報知設備の義務がかかる用途なので、延べ300平方メートル未満なら特小自火報を使える、という流れになります。

例外もあります。人を宿泊させる間、住宅宿泊事業者が不在とならない旨の届出をした届出住宅で、宿泊室の床面積の合計が50平方メートル以下なら、住宅として扱います。旅館業法の許可を受けた営業でも、届出住宅と同様の利用形態と確認できるときは、同じ考え方で用途を判定します。共同住宅の一部で民泊をするときは、届出住宅ごとに用途を判定したうえで、棟ごとの用途を判定します。

住宅として扱われる場合でも、消防予第330号は、火災のときに消火や延焼の防止、人命の救助を事業者が行うことを確認するのが適当、としています。家主がいる民泊でも、どちらに当たるかは届出の前に消防署で確かめてください。

複合用途のビルの一部だけに義務があるとき

国の通知は義務がある部分だけで足り、義務のない部分にも連動する感知器を付けるのが望ましいとする。さいたま市の審査基準は義務のない部分にも連動できる感知器を設置することとしている
国の通知と市の運用の違い

小さな雑居ビルで、1つの階だけが飲食店やカラオケ店で、ほかは事務所、ということがあります。消防予第363号の別添2は、延べ300平方メートル未満の(16)項イで一部に義務がかかる例を挙げ、特小自火報は「設置義務が生じた部分のみ設置すれば足りる」としています。そのうえで、義務のない用途やその部分にも連動できる感知器を設置することが「望ましい」と添えています。

これに対してさいたま市の審査基準は、同じ場面で、設置義務のない部分にも「連動できる感知器を設置すること」と書いています。国の通知と市の運用で書き方が違う例です。付ける範囲が変われば感知器の数も見積もりも変わります。ビルの所有者は、テナントが入る前に、管轄の消防署の運用を確かめておくと話が早く進みます。

ビルのエントランスで、スーツ姿の担当者と作業服の業者が書類を見ながら打ち合わせしている様子のイメージ
工事の前の打ち合わせ(イメージ)

付けたら設置届と消防検査

付けたら設置届と消防検査。旅館・ホテル、入院施設のある病院・診療所、グループホーム、カラオケボックス等は面積に関係なく対象。工事完了から4日以内に届け出て、消防署の検査を受ける
設置届と消防検査

施行令35条1項1号は、(2)項ニ、(5)項イ、(6)項イ(1)から(3)・ロ、入居・宿泊の(6)項ハ、それらの用途を含む複合用途などを、面積に関係なく、設備を付けたときに届け出て消防の検査を受けなければならない建物にしています。特小自火報を使う建物の多くがここに入ります。

消防法17条の3の2の設置届は、工事が完了した日から4日以内に、関係者(所有者や運営者など)が出します。届出を怠ると、44条8号で30万円以下の罰金又は拘留です。届出の書類と検査の流れは 消防用設備等の設置届と消防検査 に詳しく書きました。

特小自火報は、施行令29条の4にもとづいて、消防長又は消防署長が通常の設備と同等以上と認めて使う設備です。付ける前に、どの方式で組むのか、感知器をどこに何個付けるのかを図面で消防署に相談しておくと、検査での手戻りを減らせます。開業後の立入検査で見られる点は 消防の立入検査 で書いています。

付ける前と付けたあとに確かめる7項目のチェックリスト。用途と面積、警戒区域の数、階段・廊下の感知器、中継器の要否、設置届、点検の担当と周期、電池の下限表示
確かめること

よくある質問

住宅用火災警報器を付けていれば足りますか

旅館・ホテルやグループホームなど、自動火災報知設備の義務がある建物では、住宅用火災警報器は特小自火報の感知器の代わりにはなりません。感知器の「警報機能付」又は「連動型警報機能付」の表示と、検定の表示を確かめてください。

自分で付けてもいいですか

感知器だけで組む特小自火報の工事と整備は、消防設備士の資格がなくてもよい、と消防庁は意見公募で答えています。ただし中継器を付ける場合は甲種第4類の消防設備士が必要です。設置届と消防検査も要るので、付ける前に消防署に相談してください。

点検は自分でしてもいいですか

施行令36条2項の建物(延べ1,000平方メートル以上の特定用途の建物、特定一階段等防火対象物など)でなければ、関係者が自ら点検できます。特定一階段等防火対象物では資格者の点検が必要です。

今付いている特小自火報は改正で付け替えが要りますか

令和6年の改正は、使える範囲を広げ、新しい感知器の要件を加えたものです。警戒区域が1の建物で今の設備が基準に合っていれば、それだけで付け替えが要るとは書かれていません。建物の増築や用途の変更で警戒区域が増えるときは、消防署に確かめてください。

3階建ての小さな施設でも使えますか

改正前は原則として階数2以下(警戒区域1)に限られていましたが、令和6年の改正で、全部の感知器を火災の発生した警戒区域を特定できる連動型にすれば、警戒区域が2以上でも使えるようになりました。面積などの条件は省令2条で確かめてください。

この記事の要点

この記事の要点の表。何か、使える建物、令和6年改正、資格、点検、届出、民泊の扱い
この記事の要点

特小自火報は、小さな宿や福祉施設、カラオケ店などが自動火災報知設備の義務を果たすための、付けやすい選択肢です。令和6年7月23日の改正で、警戒区域が2以上の建物や階段が1つしかない建物でも使えるようになりました。使えるかどうか、どの方式で組むかは消防署の判断が入るので、図面を持って早めに相談するのが近道です。

この記事の出典

出典(すべて2026年10月11日に原文を確認)
特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(e-Gov)
消防法(e-Gov)
消防法施行令(e-Gov)
消防法施行規則(e-Gov)
消防庁 意見公募の結果及び改正省令等の公布(令和6年7月23日・PDF)
消防庁 消防予第363号 改正省令等の運用上の留意事項(令和6年7月23日・PDF)
消防庁予防課 特定小規模施設用自動火災報知設備の設置基準の改正について(令和5年8月・PDF)
消防庁 消防予第119号 無線式自動火災報知設備及び特定小規模施設用自動火災報知設備の運用について(PDF)
消防庁 消防予第330号 住宅宿泊事業法に基づく届出住宅等に係る消防法令上の取扱いについて(PDF)
消防庁 点検要領 第33 特定小規模施設用自動火災報知設備(PDF)
消防庁告示第9号 点検の期間(PDF)
さいたま市消防用設備等に関する審査基準 第10の3 特定小規模施設用自動火災報知設備(PDF)

消防設備点検
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