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防火区画とは|面積・高層・竪穴・異種用途の4種類、1,500㎡や100㎡の基準、防火戸と防火シャッターの条件、管理で区画を壊さない注意【2026年版・施行令112条の原文つき】

2026 11/02
建築基準法12条点検
2026年11月2日
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防火区画とは|面積・高層・竪穴・異種用途の4種類、1,500㎡や100㎡の基準、防火戸と防火シャッターの条件、管理で区画を壊さない注意【2026年版・施行令112条の原文つき】

この記事の情報

建築基準法・建築基準法施行令・消防法施行令(e-Gov)、国土交通省の定期報告制度のページと告示第282号、江東区と東京都都市整備局の案内、日本シヤッター・ドア協会の資料は、2026年10月15日に原文を取得して確認しました。区画の位置や必要な性能は建物ごとに違います。実際の判断は、確認申請の図面と、建物のある地域の特定行政庁(建築指導課など)で確かめてください。

ビルの廊下にある、ふだんは開いたままの重い扉。天井に収まっていて、火災のときだけ降りてくるシャッター。これらは多くの場合、建物の中を区切る「防火区画」の一部です。テナントの入れ替えで間仕切りを動かしたい、防火扉の前に荷物を置いてよいか知りたい、定期調査の報告書に防火区画の指摘が書かれていた。こうした場面で、防火区画が何のためにあり、どこまでが決まりなのかを知っておくと、工事や管理の判断がしやすくなります。

この記事では、建築基準法施行令112条の原文を項ごとに読み、区画の4つの種類と、区画に使う防火戸や防火シャッターの条件、ふだんの管理で区画を壊さないための注意を順に整理します。設計の細かな計算ではなく、建物を持つ人と管理する人が知っておきたい範囲に絞っています。

ビルのロビーで建物の担当者と点検者が図面を確認しているイメージ
建物の区画を図面で確かめる(イメージ)
目次
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先に結論

防火区画の要点5つ。火と煙を一定の範囲に閉じ込める仕切り、種類は面積区画・高層区画・竪穴区画・異種用途区画の4つ、防火戸は区画の一部で煙や熱を感知して自動で閉まる、前に物を置くと区画が成り立たない、工事で開けた穴は埋め戻す
防火区画の要点
知りたいこと答え(根拠)
防火区画とは建物の中を燃えにくい床・壁と防火戸などで区切り、火災の広がる範囲を限るもの(建築基準法施行令112条)
種類面積区画・高層区画・竪穴区画・異種用途区画の4つ(112条1項〜18項)
面積の基準1,500㎡以内ごと(1項)、1,000㎡以内ごと(5項)、500㎡以内ごと(4項)。11階以上は100㎡以内ごと(7項)
防火戸の条件常時閉鎖か随時閉鎖。ふだん開いている戸は煙の発生か急な温度上昇で自動で閉まる(19項)
管理で多い問題戸の前の物品の放置、開けたままの固定、閉鎖を邪魔する照明器具など(国土交通省告示第282号の調査項目)
どの点検で見るか区画は特定建築物の定期調査、随時閉鎖の防火戸・防火シャッターは防火設備の定期検査

防火区画とは何か

防火区画とは、建物の中を燃えにくい床・壁と防火戸などで区切り、火災が広がる範囲を限るもの。床・壁は準耐火構造や耐火構造、開口部は特定防火設備や防火設備。扉や配管の穴が開いたままだと区画にならない
防火区画の考え方

建築基準法36条は、防火壁や防火区画、消火設備などについて「安全上、防火上及び衛生上必要な技術的基準は、政令で定める。」としています。これを受けて、建築基準法施行令112条が「防火区画」の中身を決めています(建築基準法36条、施行令112条)。

区画をつくる材料は2つに分かれます。1つは床と壁で、1時間準耐火基準に適合する準耐火構造や、耐火構造のものです。もう1つは、区画の壁に開けた出入口や開口部をふさぐ防火戸や防火シャッターで、条文では「特定防火設備」や「防火設備」と呼ばれます。壁がしっかりしていても、扉が閉まらなかったり、配管を通した穴が開いたままだったりすれば、火や煙はそこから隣へ移ります。防火区画は、床と壁と扉と貫通部の処理がすべてそろって初めて働く仕組みです。

似た言葉に、建築基準法26条の「防火壁」があります。26条は「延べ面積が千平方メートルを超える建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によつて有効に区画し、かつ、各区画における床面積の合計をそれぞれ千平方メートル以内としなければならない。」としていますが、ただし書きで耐火建築物と準耐火建築物は対象から外れています(建築基準法26条)。主に耐火建築物でも準耐火建築物でもない、木造などの大きな建物のための決まりです。この記事で扱う防火区画は、耐火建築物や準耐火建築物などに求められる112条の区画です。

言葉決めている条文主な対象
防火区画建築基準法施行令112条耐火建築物・準耐火建築物など
防火壁・防火床建築基準法26条延べ面積1,000㎡超で、耐火建築物・準耐火建築物でない建物
令8区画消防法施行令8条消防用設備等の設置基準を当てはめる単位(後の章で説明)

防火区画の4つの種類

防火区画の4つの種類。面積区画は一定の床面積ごと、高層区画は11階以上の部分を100平方メートルごと、竪穴区画は階段・吹抜き・エレベーターの昇降路・ダクトスペース、異種用途区画は法27条に当たる用途の部分とほかの部分
防火区画の4つの種類

施行令112条は23の項からなる長い条文ですが、区画の種類で分けると4つに整理できます。床面積で区切る「面積区画」、高い階を小さく区切る「高層区画」、階段や吹抜きなど上下の階をつなぐ部分を区切る「竪穴区画」、使い方の違う部分の間を区切る「異種用途区画」です。1つの建物に、この4つが重なってかかることもあります。たとえば11階建ての事務所ビルなら、低い階には面積区画、11階以上には高層区画、階段とエレベーターには竪穴区画がかかり、1階に飲食店や物販店舗が入っていれば異種用途区画が要るかも検討の対象になります。

面積区画(1,500㎡・1,000㎡・500㎡)

面積区画の3つの数字。1,500平方メートル以内ごとは耐火建築物・準耐火建築物などで延べ面積1,500平方メートル超(1項)、1,000平方メートル以内ごとは1時間準耐火基準等に適合する準耐火建築物等(5項)、500平方メートル以内ごとは上の基準に適合しない準耐火建築物等(4項)
面積区画の3つの数字

112条1項は、耐火建築物や準耐火建築物などで「延べ面積…が千五百平方メートルを超えるものは、床面積の合計…千五百平方メートル以内ごとに一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備…で区画しなければならない。」と定めています。延べ面積1,500㎡を超える建物は、1,500㎡以内ごとに区切るということです。

区画の大きさは、建物の構造によって変わります。法27条や法61条などの規定で準耐火建築物等とした建物のうち、1時間準耐火基準などに適合するものは、延べ面積が1,000㎡を超えると1,000㎡以内ごとに区画します(5項)。同じく準耐火建築物等とした建物で、その基準に適合しないものは、延べ面積が500㎡を超えると500㎡以内ごとに区画し、さらに防火上主要な間仕切壁を準耐火構造にして小屋裏か天井裏まで届かせます(4項)。どの項がかかるかは、確認申請のときの設計で決まっています。建物の図面や確認申請書の控えに、耐火建築物か準耐火建築物か、どの基準で設計したかが書かれているので、まずそこを確かめるのが近道です。

区画の大きさ対象の建物条文
1,500㎡以内ごと耐火建築物・準耐火建築物などで延べ面積1,500㎡超112条1項
1,000㎡以内ごと準耐火建築物等のうち1時間準耐火基準などに適合するもの(延べ面積1,000㎡超)112条5項
500㎡以内ごと準耐火建築物等のうち上の基準に適合しないもの(延べ面積500㎡超)112条4項

スプリンクラーがあると面積の数え方が変わる

スプリンクラーがあると面積の数え方が変わる例。延べ面積2,400平方メートル、スプリンクラーを設けた部分1,800平方メートルなら、その2分の1の900平方メートルを除いて1,500平方メートルとなり、1,500平方メートルを超えるに当たらない。スプリンクラーがなければ区画が要る
スプリンクラー設置部分の面積の数え方(仮の数字の例)

1項の延べ面積と床面積には、かっこ書きで「スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のものを設けた部分の床面積の二分の一に相当する床面積を除く。」と付いています。自動式の消火設備がある部分は、その床面積の2分の1を数えなくてよいという意味です。

読み方を仮の数字で示します。延べ面積2,400㎡の建物で、そのうち1,800㎡にスプリンクラー設備がある場合、除く面積は1,800㎡の2分の1で900㎡です。2,400㎡から900㎡を引くと1,500㎡になり、「1,500㎡を超える」には当たりません。同じ建物にスプリンクラー設備がなければ、2,400㎡は1,500㎡を超えるので、1,500㎡以内ごとの区画が要ります。スプリンクラー設備そのものの設置基準は消防法で決まっていて、スプリンクラー設備の設置基準 で扱っています。

1項にはただし書きもあります。劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場の客席、体育館、工場など、用途上やむを得ない部分と、1時間準耐火基準の床・壁か特定防火設備で区画された階段室やエレベーターの昇降路(乗降ロビーを含む)は、1,500㎡ごとの区画をしなくてよいとされています。また6項で、4項と5項の区画は、体育館や工場などで天井と壁の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料にした部分には適用しないとしています。

高層区画(11階以上は100㎡ごと)

高層区画。11階以上の部分は100平方メートル以内ごと(7項)、仕上げも下地も準不燃材料なら200平方メートル以内ごと(8項)、仕上げも下地も不燃材料なら500平方メートル以内ごと(9項)
高層区画の大きさ

7項は「建築物の十一階以上の部分で、各階の床面積の合計が百平方メートルを超えるものは、第一項の規定にかかわらず、床面積の合計百平方メートル以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で区画しなければならない。」としています。11階以上の部分は、低い階よりずっと小さい100㎡以内ごとの区画が基本です。

内装の仕上げで、区画の大きさは広げられます。壁(床から1.2m以下の部分を除く)と天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料にし、下地も準不燃材料で造るなどの措置をすれば200㎡以内ごと(8項)、仕上げと下地を不燃材料にすれば500㎡以内ごと(9項)で足ります。ただし、どちらも特定防火設備以外の防火設備で区画する場合は除かれています。10項では、階段室や昇降路、廊下など避難に使う部分と、床面積の合計が200㎡以内の共同住宅の住戸で、耐火構造の床・壁と特定防火設備(7項の建物では防火設備)で区画されたものには、7項から9項を適用しないとしています。

内装の仕上げと下地区画の大きさ条文
下の2つに当たらない100㎡以内ごと112条7項
仕上げも下地も準不燃材料200㎡以内ごと112条8項
仕上げも下地も不燃材料500㎡以内ごと112条9項

オフィスビルの11階以上で内装を替えるときは、仕上げ材の種類が区画の大きさの前提になっていることがあるため、内装材を変える前に設計者か施工会社に区画との関係を確かめてください。

竪穴区画(階段・吹抜き・昇降路・ダクトスペース)

竪穴区画。地階か3階以上の階に居室がある建物で、階段・吹抜き・エレベーターの昇降路・ダクトスペース・2階以上ある住戸を、準耐火構造の床・壁か防火設備で区切る
竪穴区画の対象

11項は、主要構造部を準耐火構造とした建物などで「地階又は三階以上の階に居室を有するもの」の竪穴部分を、ほかの部分と準耐火構造の床・壁か防火設備で区画するよう定めています。竪穴部分とは、条文の言葉で「長屋又は共同住宅の住戸でその階数が二以上であるもの、吹抜きとなつている部分、階段の部分…、昇降機の昇降路の部分、ダクトスペースの部分その他これらに類する部分」です。

火災のときに煙は上へ向かい、階段や吹抜きは煙の通り道になります。階段は避難にも使うので、ここに煙が入ると上の階の人が逃げられなくなります。竪穴区画は、このつながった縦の空間をほかの部分から切り離すためのものです。階段室の入口にある防火扉が、ふだん開いていても火災のときに閉まるようになっているのはこのためです。

ただし書きでは、避難階からその直上階か直下階だけに通じる吹抜きや階段で、壁と天井の仕上げと下地を不燃材料にしたもの、階数が3以下で延べ面積200㎡以内の一戸建て住宅や、階数が3以下で床面積の合計が200㎡以内の住戸の中の吹抜きや階段などは、区画しなくてよいとされています。

3階建て200㎡未満の小さな建物の竪穴

3階建て延べ面積200平方メートル未満の建物の竪穴。3階が病院・有床診療所・入所型の児童福祉施設等なら間仕切壁か防火設備(スプリンクラー等があれば10分間防火設備でもよい)、ホテル・旅館・共同住宅・寄宿舎などなら間仕切壁か戸
小規模な建物の竪穴区画(12項・13項)

11項がかからない小さな建物にも、用途によって竪穴の区画があります。12項は、3階を病院、診療所(患者の収容施設があるもの)、児童福祉施設等(入所する者の寝室があるもの)に使う、階数が3で延べ面積200㎡未満の建物の竪穴部分を、間仕切壁か防火設備で区画するよう定めています。居室や倉庫などにスプリンクラー設備などを設けた建物では、防火設備の代わりに「十分間防火設備」、つまり加熱開始後10分間火炎を出さないもので区画できます。

13項は、3階を法別表第一の(二)項の用途(病院、診療所、児童福祉施設等を除く)に使う同じ規模の建物について、竪穴部分を「間仕切壁又は戸(ふすま、障子その他これらに類するものを除く。)」で区画するよう定めています。小さなホテルや旅館、共同住宅、寄宿舎などが当たります。3階建ての小規模な施設をこれらの用途に変えるときは、この区画も確認の対象になります。

異種用途区画

異種用途区画。建物の一部が法27条に当たる用途のとき、その部分とほかの部分を1時間準耐火基準の床・壁か特定防火設備で区画する。国土交通大臣が定める基準で警報設備などの措置をすれば区画しなくてよい
異種用途区画

18項は「建築物の一部が法第二十七条第一項各号、第二項各号又は第三項各号のいずれかに該当する場合においては、その部分とその他の部分とを一時間準耐火基準に適合する準耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火設備で区画しなければならない。」としています。法27条は、劇場や病院、ホテル、物品販売の店舗、倉庫、自動車車庫など、一定の規模や階にあると耐火建築物などにしなければならない用途を定めた条文です(建築基準法27条)。

たとえば、事務所ビルの一部に、法27条に当たる規模の店舗や車庫が入っている場合、その部分と事務所部分の間を区画するという考え方です。使い方の違う部分では、人の数や火の気、夜間に人がいるかどうかが違うため、火災が起きたときに互いへ広がらないようにしています。ただし書きで、国土交通大臣が定める基準に従って警報設備を設けるなどの措置をしている場合は、区画しなくてよいとされています。テナントの業種が変わるときは、異種用途区画が新たに要るかどうかも確かめる点の1つです。

区画に接する外壁(90cm以上)

区画に接する外壁の決まり。区画に接する部分を含めて幅90センチメートル以上を準耐火構造にする、又は外壁面から50センチメートル以上突き出した準耐火構造のひさし・床・袖壁などで遮る。90センチメートルの部分の開口部には防火設備を付ける
区画に接する外壁(16項・17項)

区画の床や壁がどれだけ丈夫でも、外壁の窓から火が出て、上の階や隣の区画の窓へ回り込むことがあります。16項は、防火区画に接する外壁について「当該外壁のうちこれらに接する部分を含み幅九十センチメートル以上の部分を準耐火構造としなければならない。」と定め、ただし書きで「外壁面から五十センチメートル以上突出した準耐火構造のひさし、床、袖壁その他これらに類するもので防火上有効に遮られている場合」を除いています。

17項は、この90cmの部分に開口部があるときは、そこに防火設備を付けるよう定めています。国土交通省告示第282号の特定建築物の定期調査でも「防火区画の外周部」として、この外壁と防火設備の処置の状況を設計図書で、劣化と損傷の状況を目視で確認する項目があります。外装の改修で窓を広げたり、ひさしを撤去したりする工事は、この部分にかかることがあります。

防火戸・防火シャッターの役割と条件

防火戸・防火シャッターの性能の違い。特定防火設備は加熱開始後1時間、防火設備は加熱開始後20分間、10分間防火設備は加熱開始後10分間、火炎を出さない
防火設備の種類と性能

施行令109条は、防火設備を「防火戸、ドレンチャーその他火炎を遮る設備」としています。そのうえで、性能によって呼び名が分かれます。109条の2は、防火設備の基準を「加熱開始後二十分間当該加熱面以外の面に火炎を出さないもの」とし、112条1項は特定防火設備を「加熱開始後一時間当該加熱面以外の面に火炎を出さないもの」としています。12項の十分間防火設備は、その名のとおり10分間です(施行令109条・109条の2)。

呼び名火炎を出さない時間使う区画の例
特定防火設備加熱開始後1時間面積区画(1項・4項・5項)、異種用途区画(18項)
防火設備加熱開始後20分間高層区画(7項)、竪穴区画(11項)、外壁の開口部(17項)
10分間防火設備加熱開始後10分間小規模な病院等の竪穴でスプリンクラー等があるもの(12項)

どれも見た目は似た鉄の扉やシャッターですが、区画の種類によって求められる性能が違います。古い扉を新しいものに取り替えるときは、元の扉がどの区画のどの性能のものだったかを図面で確かめてから、同じかそれ以上の性能のものを選ぶ必要があります。

区画に使う防火戸の4つの条件

区画に使う防火戸の4つの条件。イは常に閉まっているかいつでも閉まる、ロは閉まるときに周りの人の安全を確保できる、ハは避難通路では閉まった後も避難できる、ニはふだん開いている戸は煙の発生か急な温度上昇で自動で閉まる。竪穴区画などはさらに遮煙性能と煙での自動閉鎖が条件
112条19項の条件

19項は、区画に使う防火戸などの構造を決めています。面積区画と高層区画などに使うものは、1号で次の4つの要件を満たすものとされています。

  1. イ 常時閉鎖若しくは作動をした状態にあるか、又は随時閉鎖若しくは作動をできるものであること。
  2. ロ 閉鎖又は作動をするに際して、当該特定防火設備又は防火設備の周囲の人の安全を確保することができるものであること。
  3. ハ 居室から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路の通行の用に供する部分に設けるものにあつては、閉鎖又は作動をした状態において避難上支障がないものであること。
  4. ニ 常時閉鎖又は作動をした状態にあるもの以外のものにあつては、火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合のいずれかの場合に、自動的に閉鎖又は作動をするものであること。

竪穴区画や異種用途区画などに使うものは、2号で、1号のイからハに加えて「避難上及び防火上支障のない遮煙性能を有し、かつ、常時閉鎖又は作動をした状態にあるもの以外のものにあつては、火災により煙が発生した場合に自動的に閉鎖又は作動をするものであること。」が条件になります。階段や吹抜きは煙の通り道になるため、火炎だけでなく煙も止め、煙を感知した時点で閉まることが求められています。

つまり防火戸には、ふだんから閉まっている「常時閉鎖」のものと、ふだんは開いていて火災のときに閉まる「随時閉鎖」のものがあります。常時閉鎖の扉には、手を離すと自然に閉まる仕組み(ドアクローザーなど)が付いています。随時閉鎖の扉やシャッターは、感知器などとつながっていて、煙や熱を感知すると自動で閉まります。感知器は自動火災報知設備の感知器と別に、防火戸を動かすための専用のものが付いていることもあります。

閉まるときの挟まれ事故を防ぐ仕組み

閉まるときの挟まれ事故を防ぐ仕組み。平成17年7月の改正施行令により同年12月1日から義務、新たに設置する防火シャッター・防火戸・スクリーンなどが対象、最下端の感知板に人が触れると止まる、蓄電池は定期的な交換が必要。設置後10年以上のものは安全装置がない可能性
危害防止機構

19項1号ロの「周囲の人の安全を確保」は、防火シャッターが降りるときの挟まれ事故を防ぐための要件です。日本シヤッター・ドア協会は、平成17年7月の改正建築基準法施行令により、同年12月1日から「閉鎖作動時の危害防止機構等の設置」が義務づけられたと説明しています。対象は、防火シャッター、防火戸、スクリーン、昇降機の出入口の戸などを新たに設置する場合です(日本シヤッター・ドア協会 危害防止対策について)。

同協会は、障害物感知装置付きの防火シャッターについて「シャッター最下端の障害物感知板に人が接触すると閉鎖作動を停止し、その後、人がいなくなったとき、再び降下を開始し、完全に閉鎖する方式です。」と説明し、この機構には蓄電池が使われているため定期的な交換が必要だとしています。また、シャッターは150〜200kgの重さがあり、1㎡あたり約25kg、動き始めてから約30秒ほどで全閉すると案内しています(同協会 防火シャッター・防火ドアのシステム)。

項目日本シヤッター・ドア協会の説明
義務になった時期平成17年7月の改正施行令により、同年12月1日から
対象新たに設置する防火シャッター・防火戸・スクリーン・昇降機の出入口の戸など
仕組みの例最下端の障害物感知板に人が触れると止まり、人がいなくなると再び降りて閉まる
維持の注意危害防止機構には蓄電池が使われ、定期的な交換が必要

同協会は、設置後10年以上が経過した防火シャッターや防火扉には、目に見えない部分に経年劣化による不具合が出ていたり、危害防止装置が設置されていなかったりする可能性があるとしています(同協会 防火設備の維持管理について)。古いビルを買ったときや管理を引き継いだときは、シャッターの下に人が入ったときに止まる仕組みがあるかを、点検の業者に聞いてみるとよいでしょう。

配管やダクトが区画を通るとき

配管やダクトが区画を通るとき。給水管・配電管などの管は区画との隙間をモルタルなど不燃材料で埋める(20項)、換気・冷暖房の風道は煙か急な温度上昇で自動で閉まり遮煙性能のある防火設備を付ける(21項)。新しく穴を開けたら埋め戻しまでが工事
貫通部の決まり

防火区画の壁や床には、水道管や電気の配管、空調のダクトが通ります。20項は「給水管、配電管その他の管が…準耐火構造の防火区画…を貫通する場合においては、当該管と準耐火構造の防火区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めなければならない。」と定めています。

21項は、換気、暖房、冷房の設備の風道(ダクト)が区画を貫通する場合に、貫通する部分かその近くに、特定防火設備(防火設備で区画すべき区画では防火設備)を設けるよう定めています。その設備は「火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合に自動的に閉鎖するもの」で、「閉鎖した場合に防火上支障のない遮煙性能を有するもの」であることが条件です。一般に防火ダンパーと呼ばれるものです。

区画を通るもの決まり条文
給水管・配電管などの管区画との隙間をモルタルなどの不燃材料で埋める112条20項
換気・暖房・冷房の風道煙か急な温度上昇で自動で閉まり、遮煙性能のある防火設備を付ける112条21項

気をつけたいのは、テナントの内装工事や通信ケーブルの追加、空調機の入れ替えなどで、あとから区画に穴を開けるときです。天井の中は普段見えないため、配線を通した穴がそのまま残っていても気づきにくくなります。工事を頼むときは、区画を貫通する箇所があるか、あればどの方法で埋め戻すかを見積もりの段階で確かめ、完了時に写真で記録をもらっておくと、後の定期調査や売却のときにも説明しやすくなります。

ビルの管理で区画を壊さないために

定期調査で見られる防火戸のまわり。物品の放置、ドアストッパーなどでの開放状態の固定、照明器具や吊り下げ物による閉鎖の邪魔、避難通路の防火設備のくぐり戸、扉や枠の変形。常時閉鎖の防火扉は閉まる時間をストップウォッチ等で測る
定期調査の調査項目(告示第282号)

防火区画は、建物ができたときに正しく造られていても、使い方しだいで働かなくなります。国土交通省告示第282号は、特定建築物の定期調査で確認する項目と判定基準を定めていて、防火戸のまわりについて次のような項目があります(国土交通省告示第282号(Word))。

調査項目(告示の言葉)要是正と判定される状態
常閉防火設備等の閉鎖又は作動の障害となる物品の放置の状況物品が放置されていることにより常閉防火設備等の閉鎖又は作動に支障があること
常閉防火扉等の固定の状況常閉防火扉等が開放状態に固定されていること
防火設備又は戸の閉鎖の障害となる照明器具、懸垂物等の状況防火設備又は戸の閉鎖に支障があること
常閉防火設備等の本体と枠の劣化及び損傷の状況変形又は損傷により遮炎性能又は遮煙性能に支障があること
常閉防火設備等の閉鎖又は作動の状況常閉防火設備等が閉鎖又は作動しないこと

現場でよく見かけるのは、ふだん閉まっているはずの階段室の扉を、出入りが多いからとドアストッパーで開けたままにしておく使い方です。告示の判定基準では「常閉防火扉等が開放状態に固定されていること」がそのまま不適合として挙がっています。また、防火シャッターの降りる位置に商品の棚やワゴン、段ボールを置く、防火扉の前に傘立てや自転車を置くといった使い方も、閉鎖の障害になります。

同じ告示では、常時閉鎖の防火扉について「各階の主要な常閉防火扉等の閉鎖時間をストップウォッチ等により測定し、扉の重量により運動エネルギーを確認する」ことも定めています。ただし「三年以内に実施した点検の記録がある場合にあっては、当該記録により確認することで足りる。」とされているので、扉の点検記録を残しておくと調査がスムーズになります。

改装・レイアウト変更の前に確かめること。区画の位置が分かる図面を用意する、間仕切りや壁の工事が区画の壁にかからないか、天井の中の配管・ダクトの貫通処理、防火戸の前に棚やカウンターを置く計画になっていないか、用途が変わるなら異種用途区画が要るか
改装の前に確かめること

テナントの入れ替えや改装の前には、上の図の点を確かめておくと、工事のあとで区画の不備が見つかるのを防げます。テナント側の内装業者は、建物全体の区画の位置を知らないことがあります。オーナーや管理会社が区画の位置の分かる図面を渡し、区画にかかる工事は事前に相談してもらう決まりを、入居時の工事のルールに入れておくのが実務的です。

防火区画はどの点検で見るか

防火区画はどの点検で見るか。特定建築物の定期調査は区画の状況・外周部・常閉の防火扉・物品の放置を見る、防火設備の定期検査は随時閉鎖・作動する防火扉・防火シャッター・耐火クロススクリーン・ドレンチャー(防火ダンパーを除く)を見る。防火設備の定期検査は平成28年6月の法改正でできた
防火区画と定期報告

防火区画に関わる点検は、建築基準法12条の定期報告の中に2つあります(建築基準法12条)。1つは、建物そのものを調べる特定建築物の定期調査です。告示第282号の「建築物の内部」には、防火区画の状況を設計図書で確認する項目、区画の外周部、防火区画を構成する壁と床の性能、常時閉鎖の防火扉の状況などが並んでいます。もう1つは、随時閉鎖する防火戸や防火シャッターが実際に作動するかを確かめる防火設備の定期検査です。

点検見るもの防火区画との関係
特定建築物の定期調査建物の敷地・構造・内部区画の状況、外周部、常閉の防火扉、物品の放置
防火設備の定期検査随時閉鎖・作動する防火設備防火扉・防火シャッター・耐火クロススクリーン・ドレンチャーなど(防火ダンパーを除く)

国土交通省は、定期報告の対象について「不特定多数の者が利用する建築物及びこれらの建築物に設けられた防火設備」と「高齢者等の自力避難困難者が就寝用途で利用する施設及びこれらの施設に設けられた防火設備」は国が政令で一律に報告の対象とし、このほか特定行政庁が地域の実情に応じて対象を定められると説明しています(国土交通省 建築基準法に基づく定期報告制度について)。防火設備の定期検査の対象は、施行令16条3項2号で、常時閉鎖の状態にあるものなど避難上著しい支障が生じるおそれの少ないものとして大臣が定めるものを除くとされています(施行令16条)。

江東区は、防火設備の定期検査報告について「平成28年6月の建築基準法の改正項目の一つとして、定期報告制度が強化され、新たに「防火設備の定期検査報告」が創設されました。」と説明し、対象の例として「随時閉鎖又は作動をできるもの(防火ダンパーを除く。)例)防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャー等」を挙げ、2回目以降は毎年の報告が必要としています(江東区 防火設備の定期検査報告)。東京都では、特定建築物と防火設備の報告の受付機関は公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターです(東京都都市整備局 主な報告の流れ)。

定期報告の全体像は 建築基準法12条の定期報告、建物の調査の中身は 特定建築物の定期調査、防火戸と防火シャッターの検査の中身は 防火設備の定期検査 で詳しく扱っています。法定の報告とは別に、日本シヤッター・ドア協会は防火シャッター・防火扉について「6ヶ月に1回以上の定期点検を推奨します。」としていて、日頃から普段と違う音、見た目、動作の変化に注意するよう呼びかけています(同協会 定期点検について)。

消防法の「令8区画」との違い

消防法の令8区画とは別もの。建築基準法の防火区画は施行令112条で火と煙の広がりを限るもの、消防法施行令8条の区画は区画した部分を別の防火対象物とみなして消防用設備等の設置基準を当てはめるもの。区切り方も違う
防火区画と令8区画の違い

消防設備の話の中で「令8区画」という言葉を聞くことがあります。これは消防法施行令8条のことで、防火対象物が「開口部のない耐火構造…の床又は壁」などで区画されているときは、その区画された部分を、消防用設備等の設置基準の適用について「それぞれ別の防火対象物とみなす」という決まりです(消防法施行令8条)。

建築基準法の防火区画は、防火戸のような開口部がある区画も含めて、火と煙の広がりを限るためのものです。一方で令8区画は、区切った部分ごとに消火器やスプリンクラーなどの設置基準を当てはめるためのもので、原則として開口部のない耐火構造の床・壁が求められます。建築基準法の防火区画があるからといって、消防用設備等の設置基準が区画ごとに分かれるとは限りません。消防用設備の点検と報告は 消防設備点検 にまとめています。

よくある質問

防火扉をドアストッパーで開けておいてもよいですか

常時閉鎖の防火扉を開けたまま固定するのは避けてください。国土交通省告示第282号の特定建築物の定期調査では「常閉防火扉等が開放状態に固定されていること」が不適合の判定基準になっています。出入りが多い場所で開けておきたい場合は、煙や熱を感知して自動で閉まる随時閉鎖の仕組みにできるかを、設計者や防火設備の業者に相談してください。

防火シャッターの下に商品を置いてもよいですか

置かないでください。シャッターが降りる位置に物があると、閉まらずに区画が成り立ちません。告示第282号でも「物品が放置されていることにより常閉防火設備等の閉鎖又は作動に支障があること」が判定基準に挙がっています。テナントにも周知しておくと安心です。

自分のビルにどの防火区画があるか、どうすれば分かりますか

確認申請の図面や竣工図に、区画の範囲や防火戸の位置と種類が書かれていることが一般的です。図面が見当たらない場合は、特定建築物の定期調査を頼んでいる調査者に、前回の調査で使った資料を見せてもらうのが早い方法です。過去の確認申請の記録は、特定行政庁で閲覧できることがあります。

スプリンクラーがあれば防火区画はいらないのですか

いらなくなるわけではありません。112条1項では、スプリンクラー設備などの自動式の消火設備を設けた部分の床面積の2分の1を、延べ面積と床面積から除いて数えるとされています。区画の面積の数え方が変わるということで、区画そのものが不要になるわけではありません。

防火区画の壁に穴を開けて配線を通しました。どうすればよいですか

112条20項で、管と区画の隙間はモルタルなどの不燃材料で埋めることになっています。ケーブルや配管の種類によっては、大臣の認定を受けた貫通処理の材料を使う方法もあります。工事をした業者に、どの方法で処理したかを確かめ、処理が済んでいなければ埋め戻してもらってください。

防火区画と防火設備の定期検査の違いは何ですか

防火区画は建物の中を区切る仕組みそのもので、区画の状況は特定建築物の定期調査で確認します。防火設備の定期検査は、区画に使われている防火戸や防火シャッターのうち、随時閉鎖するものが感知器と連動して実際に閉まるかを確かめる検査です。どちらも建築基準法12条の定期報告です。

まとめ

この記事の要点。防火区画は施行令112条で床・壁と防火戸で火と煙を閉じ込める、面積区画は1,500・1,000・500平方メートル、11階以上は100平方メートルが基本、竪穴区画は階段・吹抜き・昇降路・ダクトスペース、防火戸は常時閉鎖か煙・熱で自動で閉まる、戸の前の物や開けたままの固定や穴が区画を壊す、区画は定期調査、防火戸の作動は防火設備の定期検査で見る
この記事の要点

防火区画は、建築基準法施行令112条で決められた、建物の中を区切って火と煙の広がりを限る仕組みです。面積区画、高層区画、竪穴区画、異種用途区画の4つがあり、床と壁、防火戸や防火シャッター、配管の貫通部の処理がそろって初めて働きます。設計で決まった区画を、日々の使い方や改装工事で壊さないことが、オーナーと管理会社にできるいちばんの対策です。防火戸の前に物を置かない、開けたまま固定しない、工事で開けた穴は埋め戻す。この3つを入居者や工事業者と共有し、定期調査と防火設備の定期検査の指摘があれば早めに直してください。

出典(すべて2026年10月15日に原文を確認)
建築基準法(e-Gov)
建築基準法施行令(e-Gov)
消防法施行令(e-Gov)
国土交通省 建築基準法に基づく定期報告制度について
国土交通省告示第282号(Word)
江東区 防火設備の定期検査報告
東京都都市整備局 定期調査・検査報告制度 主な報告の流れ
日本シヤッター・ドア協会 危害防止対策について
日本シヤッター・ドア協会 定期点検について
日本シヤッター・ドア協会 防火設備の維持管理について
日本シヤッター・ドア協会 防火シャッター・防火ドアのシステム

建築基準法12条点検
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