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建築基準法・同法施行令・同法施行規則(e-Gov)、国土交通省の定期報告制度のページと平成20年国土交通省告示第285号(国土交通省が掲載しているWord原文)、東京都都市整備局の報告時期一覧とQ&A、日本建築設備・昇降機センターの東京都の報告業務と手数料のページは、2026年9月23日と10月10日に原文を取得して確認しました。業者の料金は2026年10月10日に各社のページで金額を確かめたものだけを、社名と出典つきで載せています。公的な相場は無いので、平均は作っていません。対象や時期は特定行政庁ごとに違うので、最後は所在地の特定行政庁で確かめてください。
建物の定期報告の案内で、特定建築物の調査とは別に「建築設備定期検査報告」という書類が届くことがあります。換気扇や排煙の装置、停電のときに点く照明、受水槽や排水の配管まで、建物の設備を毎年見てもらって報告する制度です。
この記事では、建築設備定期検査を、建物の所有者と管理者の目線で並べます。どの設備が対象か、どういうときに対象になるのか、毎年の項目と3年ごとでよい項目の分かれ方、実際に何を測るのか、誰が検査できるのか、東京都の手続きと手数料、業者の料金です。建物そのものの調査は 特定建築物定期調査 に、12条の全体像は 建築基準法12条点検(定期報告)とは にまとめています。

先に結論

| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 根拠 | 建築基準法12条3項。条文の言葉は「検査」と「報告」 |
| 対象の設備 | 換気設備、排煙設備、非常用の照明装置、給水設備及び排水設備 |
| 対象になる条件 | 特定行政庁が指定したもの(施行令16条3項の一律指定には入っていない) |
| 時期 | おおむね6月から1年まで。大臣が定める項目は1年から3年まで(施行規則6条1項) |
| 検査できる人 | 一級建築士・二級建築士・建築設備検査員資格者証を持つ人 |
| 検査の中身 | 平成20年国土交通省告示第285号の別表第一から第四 |
| 罰則 | 報告をしない、または虚偽の報告で100万円以下の罰金(法101条1項2号) |
建築設備定期検査とは
建築基準法12条3項は、決められた「特定建築設備等」の所有者に、定期に資格者に検査させて、その結果を特定行政庁に報告するよう求めています。検査には「損傷、腐食その他の劣化の状況の点検」も含まれます。このうち昇降機と防火設備以外の、換気、排煙、非常用の照明、給排水の設備を見るのが建築設備定期検査です。

同じ12条3項の検査でも、防火扉や防火シャッターは 防火設備定期検査、エレベーターは エレベーターの法定点検 と、資格も報告書も分かれています。建物によっては、1つの建物で調査が1本、検査が3本になります。
対象になる設備と建物

ここが特定建築物の調査と大きく違うところです。施行令16条3項が全国一律の対象として挙げているのは、昇降機と防火設備だけです。換気、排煙、非常用の照明、給排水の設備は入っていません。これらは、法12条3項の後段で、特定行政庁が指定したときに対象になります。
東京都は指定しています。東京都の一覧では、特定建築物に該当する建物に設けるもののうち、換気設備(自然換気設備を除く)、排煙設備(排煙機又は送風機を有するもの)、非常用の照明装置、給水設備及び排水設備(給水タンク等を設けるもの)が対象です。換気設備は、火気使用室、無窓居室又は集会場等の居室に設けられた機械換気設備に限られます。
つまり、建物が東京都の特定建築物の一覧に当たり、そこにこれらの設備が付いていれば、毎年の検査報告の対象です。窓を開けて換気する自然換気だけの部屋や、排煙機の無い自然排煙だけの設備は、東京都の一覧では対象から外れます。
毎年の項目と、3年ごとでよい項目

施行規則6条1項は、報告の時期を「おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)」の間隔で特定行政庁が定める、としています。東京都は毎年報告で、Q&Aでは、大臣が定める検査の項目については「3年に1度の検査が必要です。」と答えています。日本建築設備・昇降機センターも「定期報告は、一年度に1回です。」と案内しています。

大臣が定める項目は、告示第285号の第一が番号で挙げています。換気設備では、各居室の換気量、中央管理室での制御と監視の状況、中央管理方式の空調がある居室の温度、相対湿度、浮遊粉じん量、一酸化炭素と二酸化炭素の含有率、気流です。排煙設備では、排煙口の排煙風量、中央管理室の監視の状況、特殊な構造の排煙設備の排煙風量、加圧防排煙の遮煙開口部の排出風速です。給排水では、排水再利用の配管(中水道を含む)の雑用水の用途です。
並べてみると、どれも測定器を持ち込んで数字を取る項目です。外観や作動の確認は毎年、手間のかかる測定は3年ごと、という分け方だと読めます。見積もりが年によって違うときは、その年が測定の年かどうかを聞いてみると理由が分かります。
初回の時期も特定建築物と違います。東京都は、建築設備・昇降機等は検査済証の交付を受けた日の翌日から2年を経過する日までに初回の報告が必要で、例として、検査済証交付日が令和6年6月17日なら初回報告は令和8年6月17日まで、と書いています。
何を検査するのか|告示第285号

検査の項目、事項、方法、判定基準は、平成20年国土交通省告示第285号が決めています。表は「(い)検査項目」「(ろ)検査事項」「(は)検査方法」「(に)判定基準」の4列です。当サイトが国土交通省のWord原文の表で( )付き番号の行を数えたところ、換気設備が43、排煙設備が117、非常用の照明装置が39、給水設備・排水設備が43で、合計242でした。排煙設備が飛び抜けて多いのは、排煙機を使う排煙設備、加圧防排煙設備、予備電源などの大項目に分かれ、それぞれに排煙口や風道、排煙機の項目が並ぶからです。
| 設備 | 告示の別表 | 検査結果表 | 東京都の対象の条件 |
|---|---|---|---|
| 換気設備 | 別表第一 | 別記第一号 | 自然換気設備を除く。火気使用室、無窓居室又は集会場等の居室の機械換気設備 |
| 排煙設備 | 別表第二 | 別記第二号 | 排煙機又は送風機を有するもの |
| 非常用の照明装置 | 別表第三 | 別記第三号 | 条件の記載なし |
| 給水設備・排水設備 | 別表第四 | 別記第四号 | 給水タンク等を設けるもの |
報告書の様式は、施行規則6条3項で、建築設備(昇降機を除く)は別記第三十六号の六様式の報告書と第三十六号の七様式の定期検査報告概要書に、告示の検査結果表を添えると決められています。
換気設備

換気設備は、給気口と排気口の外観から始まり、各居室の換気量を測ります。告示の方法は、給気口の同一断面内から5か所を偏りなく選んで風速計で風速を測り、式で換気量を出す、というものです。風速が測りにくいときは、在室者がほぼ設計定員の状態で、還気の二酸化炭素含有率を検知管法などで確かめます。火を使う調理室などは「換気設備を設けるべき調理室等」という別の大項目で見ます。
排煙設備

排煙設備では、排煙口の排煙風量を、同一断面内から5か所を選び、1点につき30秒以上続けて風速を測って計算します。加圧防排煙設備では、遮煙開口部の開口幅を40センチメートル開けて、9か所で排出風速を測ります。予備電源や自家用発電装置については、「自家用発電装置の出力容量が少なく、防災設備を三十分以上運転できないこと。」「予備電源への切替えができないこと。」などが判定基準です。
自家用発電装置は、消防用設備の非常電源として消防法の点検も受けていることが多い設備です。消防法側の負荷運転や内部観察の話は 非常用発電機の負荷試験 で書いています。
非常用の照明装置

非常用の照明装置は、停電のときに予備電源に切り替わって点くか、決められた時間点き続けるかを確かめ、照度を測ります。照度の測り方は「避難上必要となる部分のうち最も暗い部分の水平床面において低照度測定用照度計により測定する。」です。器具が天井などに正しく固定されているか、コンセント型ならプラグが抜けやすくないか、電池内蔵形なら点滅スイッチを切っても充電ランプが点くか、も見ます。
テナントの内装工事で照明を替えたり、間仕切りを足したりすると、最も暗い部分が変わります。工事のあとの検査で照度が足りないと指摘されるのは、このためです。
給水設備・排水設備

給排水は、飲料用の配管設備及び排水設備、飲料水の配管設備、排水設備の3つの大項目で見ます。排水を再利用する配管(中水道を含む)がある建物では、雑用水に着色などをして、飲み水の配管と混ざっていないかを目で確かめます。これは3年ごとでよい項目です。

受水槽の清掃や水質の検査は、水道法と自治体の条例の別の制度です。こちらは 貯水槽(受水槽)の清掃は義務? で書いています。建築設備定期検査を受けていても、受水槽の清掃の義務は別に残ります。
2025年7月の改正で増えた項目
2025年7月1日には、令和6年国土交通省告示第974号と令和7年国土交通省告示第53号の施行で、検査の項目や検査結果表が見直されました。東京都は建築設備について、換気設備と非常用の照明装置に「物品の放置の状況」を検査項目として加えたこと、「目視により確認する。」とされていた項目を「目視又はこれに類する方法により確認する。」に改めたことを案内しています。
物品の放置が項目になったことで、給気口の前に段ボールを積んでいる、非常用照明の下に棚を置いて光をさえぎっている、といった使い方そのものが指摘の対象になります。検査の日の前に、倉庫や機械室、バックヤードの物の置き方を見直しておくと、指摘を減らせます。東京都は、2025年7月1日以降に検査する物件は新しい検査結果表を使い、6月30日以前に検査した物件は従前のものを使うよう案内しています。
中央管理方式の空調がある居室の温度、相対湿度、浮遊粉じん量、一酸化炭素、二酸化炭素、気流の判定基準は、どれも施行令129条の2の5第3項の表に合っていないこと、と書かれています。測った数字を、建物の設計の値ではなく、政令の表の値と比べる、という読み方です。
検査できる人

法12条3項は、検査をさせる相手を「一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」としています。建築設備等検査員資格者証は、施行規則6条の5で建築設備検査員、防火設備検査員、昇降機等検査員の3種類に分かれ、換気・排煙・非常用照明・給排水を検査できるのは建築設備検査員資格者証です(施行規則6条の6)。
施行規則6条の6の表は、建築設備検査員が、建築設備と一体的に検査するのが合理的なものとして国土交通大臣が定めた防火設備も検査できる、としています。逆に、特定建築物調査員の資格では建築設備は検査できません。建物の調査と設備の検査を同じ会社に頼むときは、それぞれの資格者がいるかを確かめておくと安心です。
検査者の探し方について、東京都は検査者を紹介していないとしつつ、建築設備の受付団体である日本建築設備・昇降機センターで検査者の紹介を行っている、と案内しています。
報告の流れと手数料(東京都の例)

東京都では、建築設備の報告書は一般財団法人 日本建築設備・昇降機センターが受け付けています。同センターは、東京都内の特定行政庁から委託を受けて、報告書の予備審査と受付、報告の案内、指定対象台帳の作成を行っている、と説明しています。提出の方法は窓口(紙)とオンライン(電子)の2つで、オンライン提出は令和8年4月1日から受け付けています。大判の報告済証は令和8年4月受付分から廃止されました。

報告事務手数料は1棟ごとで、延べ面積と、報告する設備の数で決まります。令和8年4月1日受付分からの額は、5,000平方メートル未満で1設備なら3,500円、4設備なら9,000円です。50,000平方メートル以上で4設備なら29,000円です(いずれも税込)。
費用|業者の公開料金

検査の費用に公的な相場はありません。価格表を公開している業者の金額を、そのまま並べます。
| 延べ面積 | ビューローベリタス 共同住宅 | 同 事務所・病院・福祉施設 | 同 ホテル・旅館・店舗 |
|---|---|---|---|
| 〜500㎡ | 33,000円 | 44,000円 | 55,000円 |
| 〜1,000㎡ | 44,000円 | 55,000円 | 66,000円 |
| 〜2,000㎡ | 49,500円 | 66,000円 | 77,000円 |
| 〜3,000㎡ | 55,000円 | 88,000円 | 99,000円 |
| 〜5,000㎡ | 66,000円 | 110,000円 | 132,000円 |
ビューローベリタスの表は税込です(ビューローベリタスジャパン 建築設備定期検査 費用・価格表)。髙橋建築事務所は、ホテル、共同住宅、病院、事務所などの建築設備定期検査を、500平方メートルまで55,000円(税込57,750円)、500から1,000平方メートルで70,000円(税込73,500円)、3,000から5,000平方メートルで120,000円(税込126,000円)としています(髙橋建築事務所 建築設備定期検査(点検)の費用)。
同事務所の注記には「中央管理方式の空調設備、機械排煙設備がある場合は別途費用が掛かります。」「特定行政庁が指定する機関への手数料は含まれておりません。」「費用には不具合の是正などは含みません。」とあります。見積もりを比べるときは、測定の年かどうか、報告事務手数料、是正工事の扱いをそろえてから金額を見ます。
非常用照明と誘導灯は別の制度

停電のときに点く明かりは2種類あります。部屋や廊下を照らす非常用の照明装置は建築基準法の設備で、この記事の検査の対象です。緑色の表示で出口を示す誘導灯は消防法の設備で、消防設備点検の対象です。日本照明工業会の比較では、見る人、報告先、非常点灯の確認時間(非常用照明器具は30分間又は60分間、誘導灯は20分間又は60分間)がそれぞれ違います。非常用照明器具を「非常灯」と呼ぶ場合がある、とも書かれています。
誘導灯の交換や点検は 誘導灯の交換、消防設備点検の全体は 消防設備点検とは で書いています。
報告しないとどうなるか
法101条1項2号は、12条3項の報告をせず、または虚偽の報告をした者を100万円以下の罰金に処するとしています。法105条1項2号の両罰規定で、法人の業務に関しての違反なら法人にも罰金刑が科されます。東京都のQ&Aは、特定行政庁等からの案内の有無は、報告義務の有無とは無関係だと書いています。
よくある質問
建築設備定期検査は毎年必要ですか
東京都では毎年報告です。ただし、換気量や排煙風量などの測定を伴う「国土交通大臣が定める検査の項目」は3年に1度でよいとされています。ほかの県や市では時期が違うことがあるので、特定行政庁で確かめてください。
特定建築物定期調査と同じ業者に頼めますか
頼めますが、資格が別です。建物の調査は特定建築物調査員か建築士、設備の検査は建築設備検査員か建築士が行います。同じ会社にそれぞれの資格者がいるかを確かめてください。
自然換気だけの建物も対象ですか
東京都の一覧では、換気設備は自然換気設備を除くとされ、対象は火気使用室、無窓居室又は集会場等の居室の機械換気設備に限られます。
消防設備点検で非常用照明も見てもらっています
非常用の照明装置は建築基準法の設備で、消防設備点検の対象ではありません。誘導灯とは別に、建築設備定期検査で見る必要があります。
この記事の出典
出典(すべて2026年10月10日に原文を確認)
建築基準法(e-Gov)
建築基準法施行令(e-Gov)
建築基準法施行規則(e-Gov)
国土交通省 建築基準法に基づく定期報告制度について
平成20年国土交通省告示第285号(国土交通省掲載のWord原文)
東京都都市整備局 定期調査・検査制度改正の内容
東京都都市整備局 定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧
東京都都市整備局 報告時期一覧(PDF)
東京都都市整備局 主な報告の流れ
東京都都市整備局 定期報告に関するQ&A
日本建築設備・昇降機センター 東京都における建築設備定期検査報告
日本建築設備・昇降機センター 建築設備定期検査報告事務手数料
ビューローベリタスジャパン 建築設備定期検査 費用・価格表
髙橋建築事務所 建築設備定期検査(点検)の費用
業者のページは料金の例として名前を出しているだけで、推薦ではありません。




