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平成20年国土交通省告示第282号(国土交通省が掲載しているWord原文)、国土交通省の「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」と、そこに載っている技術的助言・ガイドライン・事務連絡のPDF、日本建築防災協会の是正事例集、東京都都市整備局のQ&A、建築基準法・労働安全衛生規則・ゴンドラ安全規則(e-Gov)は、2026年10月11日に原文を取得して確認しました。業者の料金は同じ日に各社のページで確かめた金額だけを、社名と出典つきで載せています。公的な相場は無いので、平均は作っていません。数え方や運用は特定行政庁ごとに違うことがあるので、最後は所在地の特定行政庁で確かめてください。
特定建築物定期調査の見積もりに、ふだんより大きな金額で「外壁全面打診」という行が入っていることがあります。外壁がタイルやモルタルの建物では、およそ10年に一度、落ちたら人に当たるおそれのある壁を全面的に調べることになっているからです。最近は、足場を組まずにドローンの赤外線カメラで調べるという提案も届きます。
この記事では、建物の所有者と管理者の目線で、外壁の全面打診等を並べます。告示の原文に何と書いてあるか、10年をいつから数えるか、やらなくてよい3つの場合、どの壁が範囲か、打診と赤外線調査の違い、ドローンを使うときの条件と手順、タイルの種類による扱い、足場・ゴンドラ・ロープ、業者の公開料金です。定期調査の全体は 特定建築物定期調査 に、12条の制度の全体像は 建築基準法12条点検(定期報告)とは にまとめています。

先に結論

| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 根拠 | 建築基準法12条1項の定期調査。中身は平成20年国土交通省告示第282号 別表第一 二(十一) |
| 対象の外壁 | タイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等 |
| 全面打診等の時期 | 竣工後、外壁改修後又は全面打診等を実施した後10年を超え、最初に実施する定期調査等 |
| やらなくてよい場合 | 3年以内の全面打診等の結果がある/3年以内に外壁改修等が確実/別途の安全対策がある |
| 範囲 | 落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分 |
| 打診以外の方法 | 地上の赤外線装置、無人航空機(ドローン)の赤外線調査、引張接着試験(有機系接着剤張りのタイル) |
| 罰則 | 報告をしない、または虚偽の報告で100万円以下の罰金(法101条1項2号) |
外壁の全面打診とは|告示の原文
特定建築物定期調査で見る項目は、平成20年国土交通省告示第282号の別表第一に、合計132行あります。そのうち「二 建築物の外部」が18行で、外壁の仕上げは(十一)の「タイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等の劣化及び損傷の状況」です。調査方法の原文は次のとおりです。
判定基準は「外壁タイル等に剥落等があること又は著しい白華、ひび割れ、浮き等があること。」です。読み分けると、ふだんの定期調査では、浮きが出やすい開口隅部や打継ぎの部分を手の届く範囲で叩き、残りは双眼鏡などで見ます。異常があれば、その時点で全面打診等に進みます。異常が無くても、10年を超えた最初の調査では全面打診等をします。

国土交通省の説明ページも、この2段構えを「おおむね6ヶ月から3年以内に一度の手の届く範囲の打診等に加え、おおむね10 年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等を行うこととされています。」と書いています(国土交通省 定期報告制度における外壁のタイル等の調査について)。
乾式工法、つまり金物で留めたタイルや石は、(十一)ではなく(十二)の「乾式工法によるタイル、石貼り等の劣化及び損傷の状況」で見ます。全面打診等の話は(十一)の外壁が対象です。
10年はいつから数えるか

告示の起点は「竣工後、外壁改修後又は全面打診等を実施した後」の3つです。東京都のQ&A(Q4-7)は、全面的な打診等が完了した日、検査済証の交付を受けた日、又は外壁の全面改修が完了した日が「属する年度の翌年度の開始の日から起算して10年を超え、最初の報告日までに、全面打診等が必要です。」と答えています。
例として、2012年7月10日に検査済証が交付されている場合、起算開始日が2013年4月1日になり、2023年4月1日以降の直近の報告時期までに全面打診等が必要、とあります。年度で数えるので、竣工日からぴったり10年ではありません。ほかの県や市の数え方は、所在地の特定行政庁で確かめてください。
手元で確かめるなら、まず検査済証の交付日、次に過去の外壁の全面改修の完了日、最後に前回の全面打診等の報告書の日付を探します。いちばん新しい日付が起点です。前の管理会社の時代の書類が見つからないときは、過去の定期調査報告書の控えに外壁の調査方法が書かれていることがあるので、そこから当たります。
全面打診等がいらない3つの場合

告示のただし書きの括弧の中に、例外が3つ書かれています。1つ目は「三年以内に実施された全面打診等の結果を確認する場合」です。10年を超える少し前に全面打診等を済ませていれば、その結果を使えます。
2つ目は「三年以内に外壁改修等が行われることが確実である場合」です。大規模修繕で足場を組む予定があり、そのときに外壁を直すのなら、二重に調べなくてよいという考え方です。条文の言葉は「確実」なので、管理組合の決議や工事の契約など、予定を示す資料を用意しておくと話が早くなります。どの資料で足りるかは特定行政庁で確かめてください。
3つ目は「別途歩行者等の安全を確保するための対策を講じている場合」です。国土交通省は、落下防止措置付き外壁タイルをここに当たるものとして扱ってよいと通知しています(後の「タイルの種類で扱いが変わる」で説明します)。
全面打診等をする範囲

全面打診等は、外壁のすべてではなく「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」が対象です。東京都のQ&A(Q4-9)は、その壁面を「当該壁面の前面かつ当該壁面高さの概ね2分の1の水平面内に、公道、不特定または多数の人が通行する私道、構内通路、広場を有する壁面」としています。
壁面直下に鉄筋コンクリート造や鉄骨造などの強固な屋根や庇がある部分、植込み等で影響角が完全にさえぎられ、災害の危険がないと判断される部分は除かれます。隣地に面していて人が通らない壁が範囲に入るかどうかで、調べる面積と費用が大きく変わります。見積もりの前に、どの面を範囲にしたかを図面に塗ってもらうと比べやすくなります。
打診と赤外線調査のちがい

告示の「打診等」には、テストハンマーでの打診だけでなく、いくつかの方法が入ります。令和4年3月29日の技術的助言は、平成30年の通知で使えるとされていた「地上に設置した赤外線装置による赤外線調査による方法及び引張接着試験による方法も「打診等」に含まれる。」と書いています(国土交通省 国住指第1581号・国住参建第3982号)。これに、令和4年の改正でドローンの赤外線調査が加わりました。

ガイドラインの定義では、打診は「テストハンマーにてタイル等の仕上げ面を軽打して発生する音質から浮き等を調査する方法。」、赤外線調査は「熱画像で確認できる表面温度差によって、建築物外壁のタイル等の浮きの有無や程度を調査する方法。打診と同等以上の精度であることが確認された方法に限る。」です。
赤外線調査は離れた位置から壁を撮るので、人が壁に近づく手段がいりません。そのかわり、ガイドラインは適用条件として「調査時の気象条件(天候、環境温度、風速等)、タイルの種類、適切な撮影角度や離隔距離の確保の可否、軒裏、出隅、入隅など一般に赤外線調査が困難な箇所の存在」を挙げ、赤外線に適さない部分を事前に確かめるよう求めています。打診は、音で確かめるかわりに手の届く位置まで人が行く必要があります。どちらか一方が上というより、建物の形と立地で向き不向きが分かれます。
ここで言う「浮き」は、タイルやモルタルとコンクリートの間にできるすき間のことです。ガイドラインは、乾湿や温冷の変化で接着の弱いところに生じ、進むとタイル等が面外に変形して「はらみ、又はふくれになる」と説明しています。
ドローンの赤外線調査が使えるようになった経緯

ドローンの話は、政府の方針から始まっています。令和3年6月18日に閣議決定された成長戦略実施計画に、「外壁調査を行う赤外線装置を搭載したドローンについて、残された課題の検証を本年度に行う。一級建築士等による打診調査と同等以上の精度を確認の上、制度改正を行い、来年度以降、建築物の定期検査における外壁調査で使用可能とする。」と書かれました。
技術的助言によると、国土技術政策総合研究所と建築研究所の協力のもと、平成29~30年度建築基準整備促進事業等で検討した結果、「一定の実施要領に則れば、赤外線装置を搭載した無人航空機による調査によりテストハンマーによる打診と同等以上の精度で浮きを検出することが可能であることが判明した」ため、打診以外の方法として明確化した、とあります。
改正は令和4年国土交通省告示第110号で、令和4年1月18日に公布、令和4年4月1日に施行されました。同じ改正で「全面打診等の実施に係る実施周期の明確化」も行われています。いまの告示の「竣工後、外壁改修後又は全面打診等を実施した後十年を超え」という書き方がそれです。
この改正で、ドローンなら何でもよくなったわけではありません。告示の言葉は「無人航空機による赤外線調査であって、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するもの」です。その精度をどう確かめるかを決めているのが、次のガイドラインです。
ガイドラインが決めている手順

国土交通省は、精度の判定には「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン」を参照するよう案内しています。令和4年3月に、日本建築防災協会が事務局の「赤外線装置を搭載したドローン等による外壁調査手法に係る体制整備検討委員会」がまとめたもので、地上に置いた赤外線装置での調査にも同じガイドラインを使います(ガイドライン(PDF))。
いちばん大事なのは、打診との併用です。ガイドラインは、調査に先立ち「同一部位において打診と赤外線調査を実施し、赤外線調査による浮きの検出状況の確認を行い、その結果検出が難しいと判断される部位については測定条件の変更、打診での調査の対応とする。」としています。赤外線だけで全部を終える前提ではなく、まず同じ場所を打診と比べて、赤外線で拾えるかを確かめる手順です。
事前調査では、日射の状況、調査できる時間帯、建物の構造・形状と外壁の仕上げ材、赤外線装置の設置位置、打診と併用する箇所を確かめます。ドローンの場合は、飛行の可否と安全対策、近隣の状況、飛行方法と撮影方法、飛行書類の作成と申請が加わります。撮影は「ドローンをホバリングさせ静止した状態で静止画による撮影とし、可視画像も同時に撮影する。」とされ、撮った熱画像は全て保存します。
調査計画書を作る段階で、赤外線の適用が難しい箇所が見つかったときは、外壁調査実施者が代替方法を検討します。つまり、ドローンの見積もりでも、一部の面は打診やロープになることがあり得ます。見積もりを受け取ったら、どの面を赤外線で、どの面をほかの方法で調べる計画かを聞いておくと、当日になって追加の費用が出るのを避けやすくなります。
誰が何をするか

外壁調査実施者は、1級・2級建築士か特定建築物調査員で、赤外線調査全体を統括し、赤外線調査実施者の判定結果をもとに「著しい浮き」の有無を確認します。ドローンを飛ばす会社と、定期調査をする建築士や調査員が別の会社のこともあります。依頼するときは、外壁調査実施者として誰が報告書に名前を出すのかを確かめておきます。
ドローン調査安全管理者は、飛行の作業全体を統括し、現場の状況に応じて飛行の可否と中止を判断します。ドローン飛行計画書には、飛行許可・承認情報、資格、加入保険等を書くことになっています。
報告書に入るもの

赤外線調査実施者の報告書には、ガイドラインで「記載すべき項目」が9つ決まっています。所有者が受け取ったときに見ておきたいのは、⑤赤外線で調べた箇所とほかの方法で調べた箇所、⑦打診との併用による確認の範囲と結果、⑧浮きと判定した箇所の外壁調査結果図の3つです。外壁調査実施者はこれをもとに外壁調査結果報告書を作って所有者等に渡し、所有者等が特定行政庁へ報告します。
東京都のQ&A(Q4-8)も、赤外線調査で「落下により危害を加えるおそれのある部分の劣化及び損傷の状況が正確に判断できる場合、赤外線調査での確認が可能です。」と答えています。
タイルの種類で扱いが変わる

国土交通省は、タイルの種類ごとに3本の技術的助言を出しています。平成30年5月23日の国住防第1号は、有機系接着剤張り工法の外壁タイルについて、引張接着試験で確かめる方法でも差し支えないとしました。試験は「引張接着試験の専門知識を有する者が、各階1箇所実施し」、凝集破壊率の合計が50%以上などの判定基準で見ます。ただし「外壁タイル張り工事の状況を施工記録により確認することが前提になります。」とあります(国土交通省 国住防第1号)。
令和3年6月30日の国住防第2号は、タイル先付(金物固定型)PC版のうち、製造業者等が面外引張強度試験の記録と製作要領を示すものは、乾式工法のタイル等と同じ(十二)の調査方法と判定基準でよいとしました(国土交通省 国住防第2号)。
令和6年8月2日の国住参建第1975号(最終改正は令和7年6月30日の国住参建第1579号)は、ステンレス鋼線、ステンレスレール、タイル取付け用の突起等の落下防止措置を設けた外壁タイルを、告示の「別途歩行者等の安全を確保するための対策を講じているもの」として扱ってよいとしました。タイルと金物を接着のみで固定するものは対象外です。そして「当該資料が確認できない場合には、従前どおり全面打診等を行うことになるので、留意すること。」と書いています(国土交通省 国住参建第1579号)。
令和8年7月21日の事務連絡では、日本建築防災協会の「落下防止措置付き外壁タイルの性能検証方法」で確かめたものは、この要件に当たるものとして扱ってよいとされました(国土交通省 事務連絡、日本建築防災協会)。
| タイルの種類 | 通知 | 扱い | 前提になる書類 |
|---|---|---|---|
| 有機系接着剤張り工法の外壁タイル | 平成30年5月23日 国住防第1号 | 引張接着試験で確かめる方法でもよい | 施工記録 |
| タイル先付(金物固定型)PC版 | 令和3年6月30日 国住防第2号 | 乾式工法のタイル等と同じ(十二)の調査方法と判定基準 | 面外引張強度試験の記録と製作要領 |
| 落下防止措置付き外壁タイル | 国住参建第1975号(最終改正 国住参建第1579号) | 「別途歩行者等の安全を確保するための対策」に当たる | 試験の記録、仕上げ表、立面図、施工記録など |
どれも書類が鍵です。通知は、資料の紛失を防ぐため、所有者、製造業者に加え、第三者の団体等での保存を検討することも考えられる、と書いています。新築時や改修時の仕上げ表、立面図、施工記録は、竣工図書と一緒に保管しておく価値があります。
外壁タイル等は「要是正」が多い

日本建築防災協会の「定期報告制度における是正事例集」(令和6年3月)は、要是正の件数が多い調査項目を並べています。既存不適格を除いた項目で、非常用の照明装置、自然排煙口に続いて3番目にあるのが、タイル、石貼り等、モルタル等です(日本建築防災協会 是正事例集(PDF))。
中身について、事例集は「本項目は要是正の指摘件数としては上位にあり、その多くが「全面打診未実施」である。」と書き、「全面打診未実施」は特定行政庁が運用で「要是正」と報告させて実施を促している場合が多い、と説明しています。さらに「全面打診の実施については発注等に時間を要するため、令和4年の告示改正により手法として明確化されたドローンによる赤外線調査の普及も図りつつ、平時から10年に一度の全面打診の周知を徹底し」と続けています。
発注に時間がかかる、というのは所有者側の実感とも合います。10年の時期が近い建物は、定期調査の1年前くらいから外壁の範囲と方法の相談を始めておくと、要是正の報告を避けやすくなります。事例集は、開口隅部や水平打継部などは特に浮きが出やすく、「人の背丈より高い部分や出入口近傍などは早急に是正する必要がある。」とも書いています。
足場・ゴンドラ・ロープ・ドローン

打診で全面を叩くには、壁に人が近づく必要があります。方法は、足場、ゴンドラ、ロープ(ロープ高所作業)、高所作業車などです。どれも作業する側に法律の決まりがあります。足場の組立て、解体又は変更の業務と、ロープ高所作業は、労働安全衛生規則36条の特別教育が必要な業務です(39号・40号)。ゴンドラの操作も、ゴンドラ安全規則12条で特別教育が必要です。
ロープ高所作業は、高さ2メートル以上で作業床を設けることが困難なところで、ロープでつり下げた昇降器具に体を預けて行う作業です。安衛則539条の2はメインロープとは別にライフラインを設けること、539条の3はメインロープとライフラインを「それぞれ異なる支持物に、外れないように確実に緊結すること」、539条の5は9つの事項を示した作業計画を定めることを求めています(労働安全衛生規則(e-Gov))。
所有者側で気にしておくのは、屋上にロープを掛けられる場所があるか、道路の占用・使用許可が要るか、地上に監視員を置くかです。業者の料金表にも、ロープの取元の有無、地上監視員の有無、道路占有・使用許可の有無で費用が変わる、と書かれています。足場は外壁改修と一緒に組めば1回で済むので、事例集も、外壁の改修と同時に屋外広告物の修繕を行えば「費用がかさむ足場の設置が1回で済む。」という例を挙げています。
費用|業者の公開料金

外壁の全面打診等の費用に公的な相場はありません。料金を公開している業者の金額を、そのまま並べます。
| 業者 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 東京外壁打診調査株式会社 | ロープ作業による調査 | m² 200円~ |
| 東京外壁打診調査株式会社 | 足場上や地上面など、ロープが必要無い場合 | m² 100円~ |
| 東京外壁打診調査株式会社 | ローリングタワーやゴンドラ等を使用する場合 | 別途お見積り |
| 東京外壁打診調査株式会社 | 報告書作成費(300m²まで/300~500m²まで/500~1000m²まで) | 20,000円~/30,000円~/50,000円~ |
| 日本耐震診断協会 | 外壁ロープ打診調査(現地調査~報告書の作成まで全て含む) | ㎡ 300~500円(調査面積が1,000㎡以上の時) |
東京外壁打診調査の料金表は「あくまで目安」としたうえで、「実際の費用は状況により前後1~2割は変動があります。」と書いています(東京外壁打診調査株式会社 料金表)。日本耐震診断協会の金額は、見積り無料(遠方への現地見積りは有料)の条件つきです(日本耐震診断協会 外壁打診調査とは)。
単価に面積を掛けると、おおよその桁が見えます。たとえばロープ作業の「m² 200円~」で1,000m²なら200,000円~で、報告書作成費は別です。300m²なら60,000円~に、報告書作成費の20,000円~を足して80,000円~になります。これは当サイトの掛け算で、見積もりの金額ではありません。
ドローンの赤外線調査については、今回確かめた上位ページの中に、自社の料金表として㎡単価を公開しているページは見つからず、金額は取得できずとしています。ドローンの見積もりを比べるときは、打診との併用でどこを叩くか、赤外線に向かない面をどの方法で調べるか、飛行の許可・承認の手続きを誰がするかを、同じ条件にそろえてから金額を見ます。

報告しないとどうなるか
法101条1項2号は、12条1項の報告をせず、または虚偽の報告をした者を100万円以下の罰金に処するとしています。法105条1項2号の両罰規定で、法人の業務に関しての違反なら法人にも罰金刑が科されます(建築基準法(e-Gov))。東京都のQ&A(Q1-6)も、報告を怠ると「100万円以下の罰金が課せられることがあります。」と書いています。
事例集によると、建築物及び建築設備の定期報告の報告率は、20年間で約2割ほど上昇し、近年は70%台で推移しています。報告をしていても、全面打診等が抜けていれば「要是正」として返ってくることがあります。外壁は落ちれば通行人に当たるので、罰則よりも先に、人に当たらないための調査だと考えるのが実務に近い見方です。

依頼の前に確かめること
- 起点の日付。検査済証の交付日、外壁の全面改修の完了日、前回の全面打診等の日付のうち、いちばん新しいもの
- 外壁の仕上げ。タイル・石貼り(湿式)・モルタルか、乾式工法か。落下防止措置付きタイルなら施工記録等の書類があるか
- 3つの例外に当たるか。3年以内の全面打診等の結果、3年以内の外壁改修の予定
- 範囲。どの壁面が「落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分」に当たるかを図面で
- 方法。足場・ゴンドラ・ロープ・赤外線(地上かドローン)のどれで、どの面を調べるか。赤外線なら打診との併用の場所
- 誰が報告書に名前を出すか。外壁調査実施者の資格と氏名
よくある質問
全面打診は10年ごとに毎回必要ですか
告示は、竣工後、外壁改修後又は全面打診等を実施した後10年を超え、最初に実施する定期調査等で全面打診等により確認するとしています。ただし、3年以内に実施された全面打診等の結果を確認する場合、3年以内に外壁改修等が行われることが確実である場合、別途歩行者等の安全を確保するための対策を講じている場合は除かれます。
ドローンだけで全面打診の代わりになりますか
告示に入っているのは「無人航空機による赤外線調査であって、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有するもの」です。ガイドラインは、先に同じ部位で打診と比べ、検出が難しい部位は測定条件を変えるか打診で調べるとしています。赤外線に向かない部分がある建物では、ドローンだけで終わらないことがあります。
外壁が全部タイルではない建物も対象ですか
対象は「タイル、石貼り等(乾式工法によるものを除く。)、モルタル等」の部分です。塗装仕上げなどほかの外壁は、告示の別の項目で調べます。どの面が対象かは、調査者に図面で示してもらうとわかりやすくなります。
大規模修繕の予定があります
3年以内に外壁改修等が行われることが確実なら、全面打診等の例外に当たり得ます。どの資料で「確実」と認めるかは特定行政庁によって違うことがあるので、調査者を通じて確かめてください。
調査の結果、浮きが見つかったらどうなりますか
判定基準に当たれば「要是正」として報告されます。事例集は、人の背丈より高い部分や出入口近傍などは早急に是正する必要があり、修繕が終わるまでは立入を制限するなどの対応が必要としています。
この記事の要点

この記事の出典
出典(すべて2026年10月11日に原文を確認)
建築基準法(e-Gov)
労働安全衛生規則(e-Gov)
ゴンドラ安全規則(e-Gov)
国土交通省 建築基準法に基づく定期報告制度について
平成20年国土交通省告示第282号(国土交通省掲載のWord原文)
国土交通省 定期報告制度における外壁のタイル等の調査について
国土交通省 令和4年3月29日 国住指第1581号・国住参建第3982号(技術的助言)
定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査 ガイドライン(令和4年3月)
国土交通省 平成30年5月23日 国住防第1号(技術的助言)
国土交通省 令和3年6月30日 国住防第2号(技術的助言)
国土交通省 国住参建第1975号・最終改正 国住参建第1579号(技術的助言)
国土交通省 令和8年7月21日 事務連絡 落下防止措置付き外壁タイルの性能検証方法について
一般財団法人日本建築防災協会 建築基準法12条関係
一般財団法人日本建築防災協会 定期報告制度における是正事例集(令和6年3月)
東京都都市整備局 定期報告に関するQ&A
東京外壁打診調査株式会社 料金表
一般財団法人 日本耐震診断協会 外壁打診調査とは
業者のページは料金の例として名前を出しているだけで、推薦ではありません。




