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消火器の設置基準|設置が必要な建物(施行令10条)、必要な本数の計算(能力単位)、歩行距離20m、付加設置、高さ1.5mと標識、飲食店、既存の建物、罰則【2026年版・条文つき】

2026 11/01
消防設備点検
2026年11月1日
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消火器の設置基準|設置が必要な建物(施行令10条)、必要な本数の計算(能力単位)、歩行距離20m、付加設置、高さ1.5mと標識、飲食店、既存の建物、罰則【2026年版・条文つき】

この記事の情報

消防法・同法施行令・同法施行規則(e-Gov)、消防庁の点検要領 第1 消火器具・点検基準(昭和50年消防庁告示第14号 別表第1)、平成16年消防庁告示第9号・第10号、日本消火器工業会と初田製作所の公開ページは、2026年10月15日に原文を取得して確認しました。条文は原文どおりに引用しています。用途の区分や無窓階の判定、市町村の火災予防条例で上乗せされる基準は、建物を管轄する消防署で確かめてください。

店舗を開く、事務所を借りる、ビルの用途が変わる。そんなときに消防署や管理会社から「消火器を基準どおりに置いてください」と言われて、何本をどこに置けばよいのか迷う方は多いと思います。消火器の設置基準は、消防法施行令10条と消防法施行規則6条から11条が決めていて、建物の用途と面積で「要るかどうか」が決まり、面積と構造で「何本要るか」が決まります。

この記事では、条文を原文のまま確かめながら、設置が必要な建物、飲食店の扱い、能力単位を使った本数の計算、歩行距離20mのルール、電気室やボイラー室に足す消火器、置いてよい消火器の種類、高さと標識、既存の建物への適用、点検と罰則までを順に見ていきます。計算は例を作って手順どおりに追います。

消火器の使用期限や交換の目安は消火器の交換で、古い消火器の捨て方は消火器の廃棄・処分方法でまとめています。この記事は「置き方の基準」に絞ります。

建物の廊下で作業服の点検者が設備を確かめている様子のイメージ
消防用設備の確認(イメージ)
目次
点検の義務と費用の相場をLINEで受け取る。受け取れる情報を見る

先に結論

消火器の設置基準の要点5つ。要るかどうかは令10条1項で用途と延べ面積で決まる、火を使う飲食店は面積に関係なく必要、本数は能力単位の合計で決まり面積を50㎡・100㎡・200㎡で割る、各部分から歩行距離20m以下で階ごとに置く、高さ1.5m以下で標識を付け既存の建物にも新しい基準が及ぶ
消火器の設置基準の要点
知りたいこと答え
根拠消防法17条、消防法施行令10条・別表第二、消防法施行規則5条の4から11条
要る建物劇場・病院・入所型の福祉施設・火を使う飲食店などは面積に関係なく。店舗・ホテル・共同住宅・工場などは延べ150㎡以上。学校・事務所などは延べ300㎡以上
面積が小さくても要る階地階・無窓階・3階以上の階で、床面積が50㎡以上のもの
本数の決め方能力単位の合計が、延べ面積を用途ごとの面積(50㎡・100㎡・200㎡)で割った数以上
置き方各部分から歩行距離20m以下、階ごと。床から1.5m以下。標識「消火器」
足す消火器電気設備は100㎡以下ごとに1個、ボイラー室など多量の火気を使う場所は25㎡で割った数、少量危険物・指定可燃物
既存の建物消火器は基準が変わると既存の建物にも新しい基準が及ぶ(法17条の2の5第1項)
点検機器点検を6か月ごと。報告は特定用途の建物が1年に1回、その他が3年に1回

消火器の設置基準はどこに書いてあるか

消防法17条1項は、学校、病院、工場、百貨店、旅館、飲食店などの関係者に、政令で決める基準に従って消防用設備等を設置し、維持することを求めています。消火器はこの消防用設備等のひとつで、条文の上では水バケツや乾燥砂などの「簡易消火用具」とあわせて「消火器具」と呼ばれます。

どの建物に置くかは消防法施行令10条1項、どう置くかの大枠は同条2項、ほかの消火設備があるときの減らし方は同条3項が決めています。具体的な数字は消防法施行規則にあり、6条が本数の計算と歩行距離、7条が大型消火器、8条が減らせる量、9条が高さと標識、11条が二酸化炭素などの消火器を置けない場所です。

条文決めていること
令10条1項消火器具を置く建物(1号から5号)
令10条2項別表第二で適応する消火器具を置く、通行や避難のじゃまにならない場所に置く
令10条3項屋内消火栓設備などがあるときに個数を減らせる
規則6条能力単位の計算、付加設置、歩行距離20m以下、簡易消火用具の上限
規則7条・8条大型消火器、ほかの消火設備による減少
規則9条高さ1.5m以下、凍結や変質、転倒防止、標識
規則11条二酸化炭素・ハロゲン化物の消火器を置けない場所

消防用設備の点検の全体像は消防設備点検とはでまとめています。ここからは消火器の条文を上から順に見ていきます。

自分の建物に要るかを確かめる順番

消火器が要るかを確かめる順番。用途が令別表第一の何項かを確かめる、面積に関係なく要る用途かを見る、延べ150㎡以上か300㎡以上かを見る、少量危険物や指定可燃物があるかを見る、地階・無窓階・3階以上で床面積50㎡以上の階があるかを見る
令10条1項を上から当てはめる

令10条1項は、建物の用途と延べ面積で決まる号(1号から3号)、扱う物で決まる号(4号)、階で決まる号(5号)に分かれています。次の順番で当てはめると迷いにくくなります。

  1. 建物の用途が、令別表第一の何項に当たるかを確かめる(飲食店は(3)項ロ、物販店は(4)項、共同住宅は(5)項ロ、事務所は(15)項など)
  2. 1号に当たるか(面積に関係なく要る用途か)を見る
  3. 2号(延べ150㎡以上)か3号(延べ300㎡以上)に当たるかを見る
  4. 4号 少量危険物や指定可燃物を貯蔵し、または取り扱っているかを見る
  5. 5号 ここまで当たらなくても、地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50㎡以上の階があればその階に要る

ビルの中に店舗と事務所が入っているような複合用途の建物((16)項)は、令9条で、用途ごとの部分をそれぞれ1つの建物とみなして当てはめます。たとえば1階が飲食店、2階から上が事務所なら、飲食店の部分と事務所の部分を分けて考えます。

設置が必要な建物(令10条1項)

令10条1項の設置対象の一覧。面積に関係なく要るのは劇場、キャバレーや遊技場やカラオケボックス、病院や入所型の福祉施設、地下街、重要文化財、火を使う飲食店など。延べ150㎡以上は集会場、店舗、ホテル、共同住宅、通所型の福祉施設、工場、駐車場、倉庫など。延べ300㎡以上は学校、図書館、駅、神社、事務所など。ほかに少量危険物・指定可燃物、地階・無窓階・3階以上で床面積50㎡以上
令10条1項の対象

令10条1項の各号を、用途ごとにまとめると次のとおりです。条文は項の番号で書かれているので、主な建物の名前を添えています。

号対象主な建物
1号イ延べ面積に関係なく劇場・映画館((1)項イ)、キャバレー・遊技場・カラオケボックス((2)項)、病院・有床診療所・入所型の福祉施設((6)項イ(1)から(3)・ロ)、地下街・準地下街((16の2)項・(16の3)項)、重要文化財の建造物((17)項)など
1号ロ延べ面積に関係なく料理店・飲食店((3)項)で、火を使う設備や器具を設けたもの
2号延べ150㎡以上公会堂・集会場、店舗・展示場、ホテル・旅館、共同住宅・寄宿舎、無床診療所・通所型の福祉施設・幼稚園、公衆浴場、工場、スタジオ、駐車場、倉庫、火を使わない飲食店など
3号延べ300㎡以上学校、図書館・博物館、駅の待合、神社・寺院、事務所など前の項に当たらない事業場
4号量で決まる少量危険物(指定数量の5分の1以上で指定数量未満)や指定可燃物を貯蔵し、または取り扱うもの
5号階で決まる上のどれにも当たらない建物でも、地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50㎡以上の階

見落としやすいのは5号です。延べ面積が小さい事務所ビルでも、3階以上の階で床面積が50㎡以上あれば、その階には消火器が要ります。窓が少なく、避難や消火活動に使える開口部が足りない階を「無窓階」と呼び、地上の階でも5号の対象になります。無窓階に当たるかどうかは開口部の大きさや位置で決まるので、図面をもとに消防署で確かめておくと安心です。

共同住宅((5)項ロ)は延べ150㎡以上が対象です。規則6条1項は計算に入れる消火器具から住宅用消火器を除いていて、日本消火器工業会も、住宅用消火器には能力単位が付けられていないため、共用部分に置いても消火器を設置したとは見なされないと説明しています。共用の廊下や階段には業務用消火器を置きます。ただし同工業会は、特定共同住宅等では住戸の中に住宅用消火器を置くことで、共用部分の業務用消火器が要らなくなる場合もある(平成17年総務省令第40号)としています。共同住宅の点検はマンションの消防点検とはで説明しています。

飲食店は面積に関係なく要ることがある

飲食店の判定。こんろなど火を使う調理設備があり、調理油過熱防止装置などの防火上有効な措置がないなら面積に関係なく必要。火を使う設備がないか措置があれば延べ150㎡以上で必要。IHや電子レンジだけなら火を使う設備に当たらないが、条例で必要な場合がある
飲食店の判定の流れ

飲食店((3)項)は、令10条1項1号ロで、火を使う設備や器具を設けたものは延べ面積に関係なく消火器が要ります。日本消火器工業会の解説によると、これは2019年10月1日の改正によるもので、それまでは延べ面積150㎡以上の飲食店等が対象でした。

ここでいう火を使う設備や器具は、飲食物を提供するために調理を目的として設けたものです。同工業会は、暖炉やストーブは対象にならず、電気を熱源とするIHクッキングヒーターや電子レンジも対象にならないと説明しています。ただし、市町村の火災予防条例によっては、IHや電子レンジだけの飲食店でも消火器が要る場合があるとしています。

火を使う設備があっても、規則5条の4の「防火上有効な措置」を講じたものは1号ロから外れます。条文は、調理油過熱防止装置、自動消火装置、そのほか危険な状態の発生を防ぎ、発生したときの被害を減らす安全機能を持つ装置を設けることとしています。外れた場合でも、延べ150㎡以上なら2号で対象になります。

規則6条5項にも飲食店向けの決まりがあります。延べ150㎡未満で1号ロに当たる飲食店(条文では「小規模特定飲食店等」)は、ボイラー室などに足す消火器(多量の火気を使う場所の付加設置)が原則として不要です。ただし、少量危険物や指定可燃物を扱う場合と、地階・無窓階・3階以上の階で床面積50㎡以上の階がある場合は不要になりません。

テナントビルの店舗の入口付近を管理会社の担当者が確かめている様子のイメージ
テナントの入る建物の確認(イメージ)

必要な本数は能力単位で決まる

能力単位の計算式。必要な能力単位は延べ面積を用途ごとの面積で割った数。劇場・キャバレー・地下街・重要文化財などは50㎡、集会場・飲食店・店舗・ホテル・共同住宅・病院・福祉施設・公衆浴場・工場・駐車場・倉庫などは100㎡、学校・図書館・駅・神社・事務所などは200㎡
能力単位の計算式(規則6条1項)

消火器の本数は「何本」ではなく「能力単位」で決まります。能力単位は消火器ごとの消火の力を表す数値で、業務用消火器には適応する火災の絵表示とあわせて表示されています。日本消火器工業会によると、業務用消火器はA(普通火災)、B(油火災)、C(電気火災)の火災の種類に分かれて表示されています。

規則6条1項は、置く消火器具の能力単位の合計が、建物の延べ面積(5号のように階で対象になる場合はその階の床面積)を次の表の面積で割った数以上になるように置くと決めています。

用途(令別表第一)割る面積
(1)項イ 劇場など、(2)項 キャバレー・遊技場・カラオケボックスなど、(16の2)項 地下街、(16の3)項 準地下街、(17)項 重要文化財など50㎡
(1)項ロ 集会場、(3)項から(6)項 飲食店・店舗・ホテル・共同住宅・病院・福祉施設、(9)項 公衆浴場、(12)項から(14)項 工場・駐車場・倉庫など100㎡
(7)項 学校、(8)項 図書館、(10)項 駅、(11)項 神社・寺院、(15)項 事務所など200㎡

計算に使う能力単位は、初田製作所の解説によると、第4類の危険物に対応して置く場合はB火災の数値、それ以外はすべてA火災の数値です。消火器の銘板に「A-3」とあれば、A火災に対する能力単位が3という意味です。

消火器以外の簡易消火用具にも能力単位が決められています。規則6条1項は、水バケツは容量8L以上のもの3個で1単位、水槽は80L以上(消火専用バケツ3個以上つき)1個で1.5単位、190L以上(同じく6個以上つき)1個で2.5単位、乾燥砂はスコップつきの50L以上1塊で0.5単位、膨張ひる石などは160L以上1塊で1単位としています。ただし規則6条7項で、必要な能力単位の合計が2以上になる建物では、簡易消火用具の能力単位は消火器の能力単位の合計の2分の1を超えてはいけません。

耐火構造で内装が難燃材料なら面積は2倍

耐火構造の特例。特定主要構造部が耐火構造で、壁と天井の室内側の仕上げが難燃材料なら、割る面積が2倍になる。50㎡は100㎡に、100㎡は200㎡に、200㎡は400㎡になる
規則6条2項の2倍の特例

規則6条2項は、特定主要構造部を耐火構造とし、かつ壁と天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料にした建物は、表の面積を2倍にして計算すると決めています。100㎡で割る用途なら200㎡で割ることになり、必要な能力単位は半分になります。耐火構造であっても内装の仕上げが難燃材料でなければ2倍にはならない点に気をつけてください。

計算例 600㎡の店舗

計算例。延べ600㎡の物品販売店舗は100㎡で割って6単位。A-3の10型粉末消火器なら2本、A-2の6型なら3本。耐火構造で内装が難燃材料なら200㎡で割って3単位で、10型なら1本で数は足りるが、歩行距離20m以下を満たすように本数を足す
延べ600㎡の店舗の計算例

初田製作所と日本消火器工業会の消火器読本は、どちらも600㎡の建物を例に計算を示しています。これにならって、延べ600㎡の物品販売店舗((4)項)で計算してみます。

条件計算必要な能力単位10型粉末(A-3)6型粉末(A-2)
耐火構造+難燃材料ではない600÷10062本3本
耐火構造+内装が難燃材料600÷20031本2本

10型(A火災の能力単位3)と6型(同じく2)の能力単位は、初田製作所が自社の粉末(ABC)消火器の例として公開している数値です。同じ6単位でも、10型なら2本、6型なら3本と、消火器の大きさで本数が変わります。日本消火器工業会も、消火性能に合った、できるだけ能力単位の大きいものを選ぶよう勧めています。

ただし、ここで出るのは「能力単位の合計で見た最低の本数」です。次に説明する歩行距離20m以下を満たせない場合は、本数を足す必要があります。耐火の店舗で計算上は1本で足りても、売り場が広ければ2本、3本と増えるのはこのためです。

同じように事務所((15)項)で延べ600㎡なら、令10条1項3号(延べ300㎡以上)に当たり、600÷200で3単位になります。耐火構造で内装が難燃材料なら400㎡で割って1.5単位です。火を使う設備のある延べ120㎡の飲食店なら、1号ロで対象になり、120÷100で1.2単位以上が必要です。

歩行距離20m以下に、階ごとに置く

歩行距離の説明。建物の各部分から1つの消火器まで、実際に歩く道のりで20m以下になるように階ごとに置く。直線距離ではなく、壁や棚をよけて歩く距離で測る。大型消火器は30m以下
歩行距離20m以下(規則6条6項)

規則6条6項は、消火器具を、防火対象物の階ごとに、建物の各部分から1つの消火器具までの歩行距離が20m以下になるように置くと決めています。消防庁の点検要領も、設置間隔の判定を「各部分から、一の消火器に至る歩行距離が20m以下、大型消火器にあっては30m以下」としています。

歩行距離は、直線の距離ではなく、壁や間仕切り、棚、机をよけて実際に歩く道のりです。部屋の奥の角から廊下の消火器まで、ドアを通って歩く距離を測ります。レイアウトを変えて間仕切りや陳列棚を増やすと、それまで20m以内だった場所が20mを超えることがあるので、改装のあとは測り直してください。

階ごとに、という点も大切です。2階の消火器で3階をまかなうことはできません。付加設置の消火器も同じで、電気設備のある場所、危険物や指定可燃物を扱う場所の各部分から、それぞれ20m以下になるように置きます。

場所に応じて足す消火器(付加設置)

付加設置の一覧。少量危険物は指定数量で割った数、指定可燃物は指定数量の50倍で割った数、変圧器や配電盤などの電気設備は床面積100㎡以下ごとに1個、ボイラー室や鍛造場や乾燥室など多量の火気を使う場所は床面積を25㎡で割った数、指定可燃物を500倍以上扱うと大型消火器
付加設置(規則6条3項から5項・7条)

建物全体に置く消火器とは別に、危ない物や設備がある場所には消火器を足します。規則6条3項から5項と7条が決めていて、建物全体の分と合わせて置く必要があります。

場所足す量条文
少量危険物を扱う能力単位の合計が、少量危険物の数量を指定数量で割った数以上規則6条3項
指定可燃物を扱う能力単位の合計が、指定可燃物の数量を指定数量の50倍で割った数以上規則6条3項
変圧器・配電盤などの電気設備電気設備に適応する消火器を、その場所の床面積100㎡以下ごとに1個規則6条4項
鍛造場・ボイラー室・乾燥室など多量の火気を使う場所能力単位の合計が、その場所の床面積を25㎡で割った数以上規則6条5項
指定可燃物を指定数量の500倍以上扱う大型消火器を、各部分から歩行距離30m以下規則7条1項

たとえば変圧器や配電盤のある電気室の床面積が150㎡なら、100㎡以下ごとに1個なので2個を足します。床面積30㎡のボイラー室なら、30÷25で1.2単位以上を足します。電気室に置く消火器は、次の章で見る「電気設備に適応する」種類でなければなりません。

ガソリンや灯油などの危険物を少しだけ置く場合(指定数量の5分の1以上で指定数量未満)を少量危険物と呼び、木材や紙くず、ゴムなど一定量以上の燃えやすい物を指定可燃物と呼びます。どちらに当たるかは、品名ごとの数量で決まります。少量危険物の届出や貯蔵の決まりは市町村の火災予防条例にもあるので、消防署で確かめてください。

置いてよい消火器の種類(別表第二)

令別表第二の適応の抜粋。建築物その他の工作物に適応するのは、水、強化液、泡、りん酸塩類の粉末、水バケツ。電気設備に適応するのは、霧状の水、霧状の強化液、二酸化炭素、ハロゲン化物、りん酸塩類の粉末、炭酸水素塩類の粉末。棒状の水や泡は電気設備に適応しない
令別表第二の適応(抜粋)

令10条2項1号は、別表第二で「その消火に適応する」とされる消火器具を置くよう求めています。建物全体の分は「建築物その他の工作物」の欄、電気室の分は「電気設備」の欄で○が付いているものを選びます。

消火器具建築物その他の工作物電気設備
棒状の水を放射する消火器○なし
霧状の水を放射する消火器○○
棒状の強化液を放射する消火器○なし
霧状の強化液を放射する消火器○○
泡を放射する消火器○なし
二酸化炭素を放射する消火器なし○
ハロゲン化物を放射する消火器なし○
消火粉末(りん酸塩類等)○○
消火粉末(炭酸水素塩類等)なし○
水バケツ又は水槽○なし

事務所や店舗でよく見る赤い粉末(ABC)消火器は、りん酸塩類等の粉末で、建物と電気設備の両方に○が付いています。一方で、二酸化炭素とハロゲン化物の消火器は、令10条2項1号ただし書きで、地下街・準地下街と、規則11条2項で決める場所には置けません。規則11条2項の場所は、換気に有効な開口部の面積が床面積の30分の1以下で、床面積が20㎡以下の地階、無窓階、居室です。狭く換気の悪い部屋でガスが充満するのを避けるための決まりです。

日本消火器工業会は、住宅用消火器は飲食店や露店、イベントなどには設置できないとし、法令で決められた場所には箱や本体に「業務用消火器」と書かれたものを選ぶよう呼びかけています。誤って住宅用を買って買い直しになる例があるとしています。

ほかの消火設備があると減らせる

減らせる場合の整理。屋内消火栓設備やスプリンクラー設備などを基準どおり付けた部分は、適応性が同じなら能力単位の合計の3分の1までを減らせる。大型消火器を付けた部分は2分の1までを減らせる。11階以上の部分は減らせない
設置個数の減少(規則7条2項・8条)

令10条3項と規則8条は、屋内消火栓設備やスプリンクラー設備を基準どおりに付けた場合、その設備の有効範囲内の部分について、必要な能力単位の合計の3分の1までを減らせると決めています。減らせるのは消火設備の適応性が消火器具と同じときで、減らせる量の上限が3分の1です。6単位必要な部分なら、最大で2単位減らして4単位にできます。

水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備などは、規則8条2項で、付加設置の分(6条3項から5項)について同じく3分の1までを減らせます。大型消火器を基準どおりに置いた部分は、規則7条2項で2分の1までを減らせます。

ただし規則8条4項で、11階以上の部分に置く消火器具には、この減らし方は使えません。高い階では消火器そのものを減らさない、という決まりです。屋内消火栓設備とスプリンクラー設備の設置基準は、屋内消火栓設備の点検とスプリンクラー設備の設置基準で説明しています。

置く場所の決まり 高さ1.5m以下と標識

置く場所の細目。床面から高さ1.5m以下、凍結や変質や噴出のおそれが少ない場所、地震で転倒しない措置、見やすい位置に消火器の標識、通行や避難のじゃまにならずすぐ持ち出せる場所
設置場所の細目(令10条2項2号・規則9条)

令10条2項2号は、消火器具を、通行や避難に支障がなく、使うときに簡単に持ち出せる場所に置くよう求めています。細かい決まりは規則9条にあります。

決まり内容条文
高さ床面からの高さが1.5m以下の箇所規則9条1号
置く環境水や消火剤が凍結、変質、噴出するおそれが少ない箇所。保護のための有効な措置をしたときは除く規則9条2号
転倒防止地震の震動などで転倒しないための措置。粉末消火器など転倒で消火剤が漏れないものは除く規則9条3号
標識消火器は「消火器」、水バケツは「消火バケツ」、水槽は「消火水槽」、乾燥砂は「消火砂」と表示した標識を見やすい位置に規則9条4号

消防庁の点検要領は、設置場所の確かめ方として、消火器に表示された使用温度範囲内の場所に置かれているか、範囲外なら保温などの措置があるかを見るとしています。化学工場やメッキ工場、温泉地のように腐食が進みやすい場所、厨房のように湿気の多い場所、潮風や雨雪にさらされる場所では、格納箱などの防護措置が必要です。

日本消火器工業会も、厨房の床や作業場の地面に直接置くのは避け、壁掛け、設置台、格納箱を使うよう勧めています。床に直置きすると、底が水や油で錆びやすくなるためです。

消防庁の点検要領 第1 消火器具のうち、設置状況の点検項目と判定方法が書かれたページの一部
点検要領 第1 消火器具の設置状況の項目(消防庁)

点検要領は、点検のために消火器を元の場所から動かしたままにするときは、代わりの消火器を置いておくことも求めています。点検で持ち出すときも、その場所が空かないようにするということです。

既存の建物にも新しい基準が及ぶ

既存の建物への基準の適用。多くの消防用設備は既存の建物に従前の基準が当てはまるが、消火器と避難器具は法17条の2の5第1項のかっこ書きで除かれていて、基準が変わると既存の建物にも新しい基準が及ぶ。簡易消火用具も令34条1号で同じ
既存の建物と消火器(法17条の2の5)

消防用設備の基準が変わったとき、すでに建っている建物には原則として従前の基準が当てはまります(法17条の2の5第1項)。ところが、この条文のかっこ書きは「消火器、避難器具その他政令で定めるもの」を除いています。つまり、消火器は基準が変わると既存の建物にも新しい基準が当てはまります。水バケツなどの簡易消火用具も、令34条1号で同じ扱いです。

2019年10月1日の飲食店の改正でも、すでに営業している店に新しい基準が及びました。建てたときは消火器が不要だった小さな飲食店でも、火を使う設備があれば今は消火器が要るということです。古い建物だから昔の基準のままでよい、とはならないので注意してください。

点検と報告、誰がやるか

消火器具の点検。機器点検を6か月ごと。報告は特定用途の建物が1年に1回、その他が3年に1回。延べ1,000㎡以上の特定用途の建物などは消防設備士か消防設備点検資格者に点検させる。消火器の整備は乙種第6類などの消防設備士
消火器具の点検と資格

消火器具の点検は、平成16年消防庁告示第9号で機器点検を6か月ごとに行うと決められています。機器点検は、外観や簡単な操作で確かめる点検です。総合点検の対象には消火器具は入っていません。点検の結果は、規則31条の6第3項で、飲食店・店舗・ホテル・病院などの特定用途の建物は1年に1回、共同住宅・学校・事務所などは3年に1回、消防署に報告します。

項目内容根拠
点検の期間機器点検 6か月ごと告示9号
報告特定用途の建物は1年に1回、その他は3年に1回規則31条の6第3項
有資格者に点検させる建物特定用途で延べ1,000㎡以上など令36条2項
点検できる資格消防設備士(乙種第6類など)、第一種消防設備点検資格者告示10号
整備消火器の整備は消防設備士の業務(乙種第6類など)令36条の2第2項2号・規則33条の3

令36条2項で有資格者に点検させる建物に当たらなければ、法令上は関係者が自ら点検して報告することも認められています(法17条の3の3)。消火器の置き場所を決めて置くこと自体は、令36条の2第1項の「消防設備士でなければ行つてはならない工事」に入っていません。一方で、消火器の整備は同条2項2号で消防設備士の業務です。

点検報告書の書き方は消防設備点検の報告書、資格の種類は消防設備点検の資格と消防設備士とはで説明しています。点検を頼む業者の探し方や公開されている料金の例は消防設備点検の費用にまとめています。

置かない・直さないとどうなるか

罰則の比較。命令に違反して設置しなかった法人は3,000万円以下の罰金刑、個人は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金。維持の措置をしなかった、点検報告をしない・うその報告は30万円以下の罰金又は拘留
命令違反と報告の罰則

消火器が基準どおりに置かれていない、または維持されていないと認めたとき、消防長や消防署長は、関係者で権原を有する者に、設置や維持のための措置を命じることができます(法17条の4)。命令に従わないと罰則があります。

違反罰則条文
命令に違反して設置しなかった1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(情状により併科)法41条1項5号
同じ違反で法人の業務に関するもの法人に3,000万円以下の罰金刑法45条2号
命令に違反して維持の措置をしなかった30万円以下の罰金又は拘留法44条12号
点検の報告をしない、うその報告をした30万円以下の罰金又は拘留法44条11号

消火器の不足や置き場所の不備は、消防署の立入検査で指摘されやすい項目です。立入検査の流れは消防の立入検査とはで説明しています。罰則より前に、火事のとき最初の数分で使えるかどうかが大切です。指摘を受けたら、本数、置き場所、標識をその場で直しておきましょう。

設備室で作業員が機器の扉を開けて中を確かめている様子のイメージ
設備の確認(イメージ)

テナントの入れ替えや改装のときに気をつけること

消火器の基準で困りやすいのは、建てたときよりも、使い方が変わったときです。条文から、気をつけたい場面を3つ並べます。

1つ目は、事務所だった区画に飲食店が入るときです。(15)項の事務所は延べ300㎡以上で対象ですが、火を使う飲食店は面積に関係なく対象になり、割る面積も200㎡から100㎡に変わります。同じ広さでも必要な能力単位は2倍になります。厨房には湿気や油への防護も要ります。

2つ目は、間仕切りや陳列棚を増やす改装です。歩行距離は実際に歩く道のりで測るので、壁が増えると20mを超える場所が出ます。工事の図面の段階で、消火器の位置と歩行距離を書き込んでおくと手戻りがありません。

3つ目は、電気室や機械室、倉庫の使い方を変えるときです。キュービクルや配電盤を置いた部屋には電気設備に適応する消火器を足し、灯油やガソリンを置くなら少量危険物の扱いになることがあります。建物の防火管理の点検は防火対象物点検とはで別に説明しています。

管理者のチェックリスト

管理者のチェックリスト。用途と延べ面積と各階の床面積を図面で確かめた、地階や無窓階や3階以上で50㎡以上の階を確かめた、能力単位の合計を計算した、各部分から歩行距離20m以下を測った、電気室やボイラー室に足した、業務用で適応する消火器を選んだ、高さ1.5m以下で標識を付けた、改装や用途変更の前に消防署に相談した
管理者のチェックリスト
  • 建物の用途(令別表第一の何項か)、延べ面積、各階の床面積を図面で確かめた
  • 地階、無窓階、3階以上の階で床面積50㎡以上の階がないか確かめた
  • 飲食店は、火を使う調理設備の有無と、調理油過熱防止装置などの措置の有無を確かめた
  • 能力単位の合計が、延べ面積を用途ごとの面積で割った数以上になっている
  • 各部分から1つの消火器まで、歩いて20m以下になっている(階ごと)
  • 電気室、ボイラー室、危険物を置く場所に、足す消火器を置いた
  • 業務用で、別表第二で適応する消火器を選んだ
  • 床から1.5m以下に置き、「消火器」の標識を見やすい位置に付けた
  • 改装、テナントの入れ替え、用途の変更の前に、管轄の消防署に相談した

よくある質問

Q. 小さな事務所でも消火器は要りますか

A. 事務所((15)項)は延べ300㎡以上で対象です(令10条1項3号)。300㎡未満でも、地階、無窓階、3階以上の階で床面積が50㎡以上の階があれば、その階には要ります(同5号)。市町村の火災予防条例で上乗せされている場合もあるので、管轄の消防署で確かめてください。

Q. 消火器は何本置けばよいですか

A. 本数ではなく能力単位で決まります。延べ面積を用途ごとの面積(50㎡・100㎡・200㎡)で割った数以上になるように、消火器の能力単位を足し合わせます(規則6条1項)。さらに、各部分から歩行距離20m以下になるように置くので、計算より本数が増えることがあります。

Q. 住宅用消火器を店舗に置いてもよいですか

A. 日本消火器工業会は、住宅用消火器は飲食店や露店、イベントなどには設置できないとしています。法令で決められた場所には「業務用消火器」と書かれたものを選んでください。

Q. 消火器を床に置いてもよいですか

A. 規則9条1号は床面からの高さ1.5m以下としていて、床に置くこと自体を禁じてはいません。ただし、厨房のように湿気や油の多い場所では、日本消火器工業会が壁掛けや設置台、格納箱を勧めています。地震で転倒して消火剤が漏れるおそれがある消火器には、転倒防止の措置が要ります(規則9条3号)。

Q. 古い建物で、建てたときに消火器が要らなかった場合はどうなりますか

A. 消火器は法17条の2の5第1項のかっこ書きで除かれているため、基準が変わると既存の建物にも新しい基準が当てはまります。今の基準で要るなら置く必要があります。

Q. 消火器の点検は自分でできますか

A. 延べ1,000㎡以上の特定用途の建物など、令36条2項に当たる建物は消防設備士か消防設備点検資格者に点検させます。それ以外は、法令上は関係者が自ら点検して報告することも認められています(法17条の3の3)。機器点検は6か月ごとです。

Q. 消火器の交換の時期はいつですか

A. 交換の目安や、点検で廃棄になる基準は消火器の交換にまとめています。この記事では置き方の基準だけを扱っています。

出典

出典(すべて2026年10月15日に原文を確認)
消防法(e-Gov 法令検索) 17条、17条の2の5、17条の3の3、17条の4、41条、44条、45条
消防法施行令(e-Gov 法令検索) 9条、10条、34条、36条、36条の2、別表第一、別表第二
消防法施行規則(e-Gov 法令検索) 5条の4、6条、7条、8条、9条、11条、31条の6、33条の3
消防庁 消防用設備等の点検基準、点検要領、点検票
消防庁 点検要領 第1 消火器具(PDF)
消防庁 昭和50年消防庁告示第14号 別表第1 消火器具の点検の基準(PDF)
消防庁 平成16年消防庁告示第9号(点検の期間等)(PDF)
消防庁 平成16年消防庁告示第10号(点検の資格)(PDF)
日本消火器工業会 消火器の設置義務
日本消火器工業会 消火器の選び方
日本消火器工業会 飲食店の消火器具 設置/点検の義務化について
日本消火器工業会 消火器読本2026(PDF)
初田製作所 消火器の選定・設置基準

この記事の要点。要るかどうかは令10条1項の用途と面積と階、本数は能力単位で延べ面積を50㎡・100㎡・200㎡で割る、歩行距離20m以下で階ごと、電気室やボイラー室に足す、高さ1.5m以下と標識、消火器は既存の建物にも新しい基準
この記事の要点
消防設備点検
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