MENU
  • 消防設備点検
  • 防火対象物点検
  • 建築基準法12条点検
  • 費用・業者選び
  • 改修・交換工事
  • マンション・テナント
消防設備点検・建築基準法12条点検の費用と業者の探し方
法定点検ガイド
  • 消防設備点検
  • 防火対象物点検
  • 建築基準法12条点検
  • 費用・業者選び
  • 改修・交換工事
  • マンション・テナント
法定点検ガイド
  • 消防設備点検
  • 防火対象物点検
  • 建築基準法12条点検
  • 費用・業者選び
  • 改修・交換工事
  • マンション・テナント
  1. ホーム
  2. 建築基準法12条点検
  3. エレベーターの法定点検とは|定期検査と保守点検の違い、頻度、資格、告示283号の判定基準、安衛法、費用の原文、FMとPOG、戸開走行保護装置【2026年版・条文つき】

エレベーターの法定点検とは|定期検査と保守点検の違い、頻度、資格、告示283号の判定基準、安衛法、費用の原文、FMとPOG、戸開走行保護装置【2026年版・条文つき】

2026 9/26
建築基準法12条点検
2026年9月26日
当ページのリンクには広告が含まれている場合があります。
エレベーターの法定点検とは|定期検査と保守点検の違い、頻度、資格、告示283号の判定基準、安衛法、費用の原文、FMとPOG、戸開走行保護装置【2026年版・条文つき】

この記事の情報

法令(e-Gov)、国土交通省の告示・指針・標準契約書・報道発表、東京都、各団体のページは、2026年9月26日に原文を取得して確認しました。条文や数字は原文どおりに引用し、見つからなかったものは「取得できず」と書いています。業者と検査機関の料金は各サイトに載っている金額をそのまま載せたもので、推薦でも相場でもありません。建物ごとの最終的な判断は、特定行政庁(建築確認をする役所)と所轄の労働基準監督署に確認してください。

マンションやビル、店舗のエレベーターについて、保守の会社から「今月は法定点検です」「定期検査の報告書に要重点点検が付きました」「既存不適格です」と言われた。毎月の保守点検とは何が違うのか、年に何回やる決まりなのか、誰が検査してよいのか、いくらかかるのが普通なのかで迷う管理者は少なくありません。

この記事では、エレベーターを持つ所有者と管理者の立場で、法定点検に要ることを順番に並べます。建築基準法12条3項の定期検査、8条の保守点検、報告の間隔と東京都の期限、検査できる資格、告示第283号の検査項目と判定基準、労働安全衛生法の性能検査と自主検査、フルメンテナンス契約とPOG契約、公開されている料金の原文、既存不適格、戸開走行保護装置です。条文や公的な資料は原文をそのまま引き、原文で確かめられなかったことは「取得できず」と書きます。

オフィスビルのエレベーターホールに、ステンレスの扉が閉まったエレベーターがある
エレベーターホール(イメージ)
目次
点検の義務と費用の相場をLINEで受け取る。受け取れる情報を見る

先に結論

知りたいこと答え根拠
法定点検の本体建築基準法12条3項の定期検査。資格者に検査させて特定行政庁に報告する建築基準法12条3項
義務を負う人所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)建築基準法12条1項・3項
報告の間隔おおむね六月から一年までの間隔で特定行政庁が定める時期施行規則6条1項
東京都の期限前年の報告日の翌日から起算して1年を経過する日まで。新築は検査済証の翌日から2年以内に初回東京都の一覧・案内
検査できる人一級建築士、二級建築士、昇降機等検査員建築基準法12条3項/施行規則6条の6
検査の中身と判定平成20年国土交通省告示第283号。結果は指摘なし・要重点点検・要是正・既存不適格告示第283号
毎月の保守点検建築基準法8条1項の維持保全(努力義務)。中身は国土交通省の指針と標準契約書建築基準法8条1項/指針
労働安全衛生法工場・倉庫などの1トン以上は性能検査。0.25トン以上は自主検査。一般公衆用や販売・事務の事業場は対象外安衛令12条/クレーン則2条・154条・155条
費用業者2社、性能検査2機関、報告手数料2団体の公開料金を原文で載せる。平均や相場は作らない各社・各機関のページ
FMとPOGFMは劣化した部品の取替えや修理まで、POGは消耗品を除き含まない標準契約書 第2条
戸開走行保護装置平成21年9月28日以降に着工したものに義務。令和6年度の設置率は39.5%施行令129条の10/国土交通省
エレベーターの法定点検の要点。法定の定期検査は建築基準法12条3項で資格者が検査し特定行政庁へ報告。報告の間隔はおおむね6月~1年で特定行政庁が定める。検査できる人は一級・二級建築士と昇降機等検査員。判定の基準は告示第283号。日々の保守点検は8条の維持保全で別のもの
法定点検の要点(出典 建築基準法8条・12条3項/施行規則6条・6条の6/告示第283号)

エレベーターの点検と検査は3つの系統がある

「エレベーターの法定点検」という言葉は、実際には3つの違う仕組みをまとめて呼んでいることが多いです。どれの話をしているかで、根拠の法律も、検査する人も、報告の先も変わります。

種類根拠誰がやるか結果の行き先
定期検査(法定検査)建築基準法12条3項一級・二級建築士、昇降機等検査員特定行政庁に報告
保守点検建築基準法8条1項・国土交通省の指針保守点検業者(所有者が委託)所有者に作業報告書
性能検査・定期自主検査労働安全衛生法・クレーン等安全規則登録性能検査機関・事業者検査証の更新・記録の保存

マンションや店舗、オフィスのエレベーターで毎年必ず出てくるのは、1つ目の定期検査と2つ目の保守点検です。3つ目の労働安全衛生法は、工場や倉庫などの事業場に置かれた荷物用のエレベーターが主な対象で、後の章で線引きを説明します。国土交通省の昇降機の適切な維持管理についてのページも、定期検査と保守・点検を分けて説明しています。

エレベーターの点検と検査は3系統。定期検査(法定検査)は建築基準法12条3項で一級・二級建築士と昇降機等検査員。保守点検は建築基準法8条1項と国土交通省の指針で保守点検業者。性能検査・定期自主検査は労働安全衛生法とクレーン等安全規則で登録性能検査機関と事業者
3つの系統(出典 建築基準法/労働安全衛生法/クレーン等安全規則)

法定点検の本体は建築基準法12条3項の定期検査

エレベーターの定期検査の義務は、建築基準法12条3項に書かれています。長い条文ですが、原文は次のとおりです。

建築基準法12条3項(原文)

特定建築設備等(昇降機及び特定建築物の昇降機以外の建築設備等をいう。以下この項及び次項において同じ。)で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国等の建築物に設けるものを除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築設備等で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物に設けるものを除く。)の所有者は、これらの特定建築設備等について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者(次項及び第十二条の三第二項において「建築設備等検査員」という。)に検査(これらの特定建築設備等についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

読むところは4つです。対象は昇降機(エレベーター、エスカレーター、小荷物専用昇降機など)で、義務を負うのは所有者、検査するのは一級建築士・二級建築士・建築設備等検査員、報告の先は特定行政庁です。同じ条の1項は「所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)」と読み替えているので、所有者と管理者が別の建物では管理者が義務を負います。国等の建築物は12条4項で、国の機関の長等が点検をさせる別の仕組みです。

決まっていること条文の言葉
対象昇降機(特定建築設備等のうち政令で定めるもの)
義務を負う人所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)
検査する人一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員
中身検査(損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含む)
報告先特定行政庁
国等の建築物12条4項で国の機関の長等が点検をさせる
定期検査の条文(建築基準法12条3項)。対象は昇降機、義務を負う人は所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)、検査する人は一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員、中身は損傷・腐食その他の劣化の状況の点検を含む検査、報告先は特定行政庁
定期検査の条文(出典 建築基準法12条1項・3項)

国土交通省も同じことを「建物所有者は、建築基準法第12条第3項の規定に基づき、定期的に、昇降機を「昇降機等検査員」等の資格者に検査させ、その結果を特定行政庁に報告することが義務付けられています。」と説明しています(国土交通省)。建物の定期報告全体の仕組みは建築基準法12条点検(定期報告)とはにまとめています。

対象になる昇降機(施行令16条3項1号)

12条3項の「政令で定めるもの」は、建築基準法施行令16条3項1号で「第百二十九条の三第一項各号に掲げる昇降機(使用頻度が低く劣化が生じにくいことその他の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)」とされています。つまり昇降機は、建物の用途や規模にかかわらず政令で一律に対象です。国土交通省の定期報告制度のページと、東京都の定期報告 Q&Aも、昇降機は特殊建築物の規模や用途に関係なく報告の対象と説明しています。

種類定義(施行令129条の3)
エレベーターかごの水平投影面積が一平方メートルを超え、又は天井の高さが一・二メートルを超えるもの
小荷物専用昇降機かごの水平投影面積が一平方メートル以下で、かつ、天井の高さが一・二メートル以下のもの
エスカレーター129条の3第1項各号に掲げる昇降機
定期検査の対象になる昇降機(施行令16条3項1号・129条の3)。エレベーターはかごの水平投影面積が1㎡を超え又は天井の高さが1.2mを超えるもの。小荷物専用昇降機は1㎡以下かつ1.2m以下。昇降機は政令で一律に対象
対象になる昇降機(出典 建築基準法施行令16条3項1号・129条の3)

定期報告がいらないもの

施行令16条3項1号のかっこ書きの「国土交通大臣が定めるもの」を決めた告示の本文は、今回は取得できずでした。そこで、国土交通省の報道発表(令和8年1月28日)の注記の原文で確かめます。注記は「ホームエレベーター、テーブルタイプの小荷物専用昇降機、簡易リフト、労働安全衛生法施行令における特定機械等に該当する積載荷重が1トン以上のエレベーターは建築基準法第 12 条第1項に基づく定期報告は不要」としています。

定期報告がいらないもの(報道発表の注記)補足
ホームエレベーター住宅の中に付ける家庭用のもの
テーブルタイプの小荷物専用昇降機出し入れ口の下端が床から50cm以上高いもの(東京都の一覧)
簡易リフト労働安全衛生法施行令1条9号の荷物用
積載荷重1トン以上のエレベーター(特定機械等)労働安全衛生法の性能検査を受けるもの

注記は「第12条第1項」と書いていますが、昇降機の定期報告の根拠は12条3項です。原文の表記のまま引用しています。東京都の定期報告が必要な建築物等及び報告時期一覧は、エレベーターについて「労働安全衛生法施行令第12条第1項第六号に規定するエレベーター(労働安全衛生法の性能検査を受けているもの)を除く。ただし、かごが住戸内のみを昇降するもの(一戸建て、長屋又は共同住宅の住戸内に設けられた昇降機)を除く。」としています。

東京都の定期報告が必要な建築物等及び報告時期一覧の昇降機等の欄。エレベーターは労働安全衛生法施行令第12条第1項第六号に規定するエレベーターを除き、かごが住戸内のみを昇降するものを除く。小荷物専用昇降機はテーブルタイプを除く。報告は毎年、前年の報告日の翌日から起算して1年を経過する日まで
東京都の一覧の昇降機等の欄(出典 東京都 定期報告が必要な建築物等及び報告時期一覧)
定期報告がいらないもの(国土交通省 報道発表の注記)。ホームエレベーター、テーブルタイプの小荷物専用昇降機、簡易リフト、労働安全衛生法施行令の特定機械等に当たる積載荷重1トン以上のエレベーター。東京都の一覧も住戸内だけを昇降するものを除く
定期報告がいらないもの(出典 国土交通省 報道発表/東京都)

報告の義務を負うのは誰か

義務を負うのは所有者で、所有者と管理者が異なる場合は管理者です。分譲マンションなら管理組合、テナントビルならオーナーか、管理を任された会社が管理者に当たることがあります。誰が管理者かは契約で決まるので、建物ごとに確かめます。保守点検業者は、国土交通省の昇降機の適切な維持管理に関する指針の定義で「所有者からの委託により保守・点検を業として行う者をいう。」とされていて、報告の義務を負う側ではありません。

立場定期検査で果たす役割根拠
所有者報告の義務を負う(原則)建築基準法12条3項
管理者所有者と管理者が異なる場合に義務を負う建築基準法12条1項の読み替え
検査する資格者検査をして結果をまとめる建築基準法12条3項
保守点検業者所有者の委託で保守・点検をする指針 第一章第2 六
報告の義務を負うのは誰か。原則は所有者(建築基準法12条3項)、所有者と管理者が別なら管理者(12条1項の読み替え)。保守点検業者は所有者からの委託で保守・点検をする側
報告の義務を負う人(出典 建築基準法12条1項・3項/指針)

頻度と報告の時期

定期検査の頻度は、建築基準法そのものではなく建築基準法施行規則6条1項で決まっています。原文は「法第十二条第三項の規定による報告の時期は、建築設備又は防火設備(以下「建築設備等」という。)の種類、用途、構造等に応じて、おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期(次のいずれかに該当する場合においては、その直後の時期を除く。)とする。」です。

区分間隔決める人
原則おおむね六月から一年まで特定行政庁
国土交通大臣が定める検査の項目一年から三年まで特定行政庁
検査済証の交付を受けた直後その直後の時期を除く施行規則6条1項1号・2号

幅の中で具体的な時期を決めるのは特定行政庁(都道府県や、建築主事を置く市など)です。全国一律に「年1回」と法律に書いてあるわけではなく、建物のある地域の特定行政庁の決まりを見ます。

報告の間隔(建築基準法施行規則6条1項)。原則はおおむね6月から1年までの間隔。国土交通大臣が定める検査の項目は1年から3年までの間隔。この幅の中で特定行政庁が時期を決め、検査済証を受けた直後の時期は除く
報告の間隔(出典 建築基準法施行規則6条1項)

東京都の報告時期

東京都の報告時期一覧は、昇降機等の報告を「前年の報告日の翌日から起算して1年を経過する日まで」としています。遊戯施設等は「6か月ごとに報告」です。新築の建物は、東京都の案内が「建築設備及び昇降機等定期検査報告については、新築・改築後、検査済証の交付を受けた日の翌日から起算して2年を経過する日までに初回の定期検査報告を提出する必要があります。」としています。

場面期限(東京都)
2回目以降前年の報告日の翌日から起算して1年を経過する日まで
新築・改築の初回検査済証の交付を受けた日の翌日から起算して2年を経過する日まで
初回の例検査済証交付日 令和6年6月17日なら、初回報告は令和8年6月17日まで
遊戯施設等6か月ごと

東京都の決め方は、毎年同じ月に報告するのではなく、前年の報告日から1年以内に出す形です。報告日が毎年少しずつ早まることはあっても、遅れて1年を超えると期限切れになります。前回の報告日を控えておくのが一番確実です。

東京都の報告時期。2回目以降は前年の報告日の翌日から起算して1年を経過する日まで。新築・改築の初回は検査済証の交付を受けた日の翌日から起算して2年を経過する日まで。遊戯施設等は6か月ごと。例は検査済証の交付日が令和6年6月17日なら初回報告は令和8年6月17日まで
東京都の報告時期(出典 東京都)

報告に出す書類

施行規則6条3項は、昇降機の報告を「別記第三十六号の四様式による報告書及び別記第三十六号の五様式による定期検査報告概要書」に「国土交通大臣が定める検査結果表を添えて」出すとしています。検査結果表は、告示第283号の別記の様式です。書類は検査をした資格者がつくり、所有者(管理者)の名前で出すのが一般的な流れです。

書類様式
定期検査報告書別記第三十六号の四様式
定期検査報告概要書別記第三十六号の五様式
検査結果表国土交通大臣が定める(告示第283号 別記)
報告に出す書類(建築基準法施行規則6条3項)。定期検査報告書は別記第三十六号の四様式、定期検査報告概要書は別記第三十六号の五様式、検査結果表は国土交通大臣が定めるもの(告示第283号 別記)
報告に出す書類(出典 建築基準法施行規則6条3項)

書類については見直しの話も出ています。日本建築設備・昇降機センターのニュースによると、定期検査報告概要書などを廃止する省令改正のパブリックコメントが行われていて、公布予定は令和8年10月、施行予定は令和10年4月1日、意見の締切は2026年10月8日(案件番号 155260720)です。2026年9月26日時点では案の段階なので、今の報告は今の様式で出します。

項目内容
内容定期検査報告概要書などを廃止する省令改正の案
公布予定令和8年10月
施行予定令和10年4月1日
意見の締切2026年10月8日
概要書をなくす省令改正の案(日本建築設備・昇降機センター)。定期検査報告概要書などを廃止する省令改正のパブリックコメント。公布予定は令和8年10月、施行予定は令和10年4月1日、意見の締切は2026年10月8日。2026年9月26日時点では案の段階
省令改正の案(出典 日本建築設備・昇降機センター)

定期検査ができる資格

検査できる人は、12条3項の「一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」です。建築設備等検査員の資格者証の種類は、施行規則6条の5第2項で「建築設備検査員資格者証、防火設備検査員資格者証及び昇降機等検査員資格者証」の3つとされ、6条の6の表(四)で、昇降機等検査員資格者証で検査できるのは「昇降機(観光用エレベーター等を含む。)及び遊戯施設」とされています。

資格エレベーターの定期検査根拠
一級建築士できる建築基準法12条3項
二級建築士できる建築基準法12条3項
昇降機等検査員できる(昇降機と遊戯施設)施行規則6条の5第2項・6条の6の表(四)
建築設備検査員表(四)の昇降機には当たらない施行規則6条の6
防火設備検査員表(四)の昇降機には当たらない施行規則6条の6

国土交通省の指針も、第二章第5 第1項で資格者を「一級建築士、二級建築士又は昇降機等検査員をいう。」と書いています。実際の現場では、保守点検業者に所属する昇降機等検査員が定期検査を行うことが多いですが、保守点検をしている会社でなければ検査できないという決まりはありません。

定期検査ができる人。一級建築士と二級建築士は建築基準法12条3項、昇降機等検査員は施行規則6条の5第2項・6条の6の表(四)。昇降機等検査員が検査できるのは昇降機(観光用エレベーター等を含む)及び遊戯施設。建築設備等検査員の資格者証は建築設備検査員・防火設備検査員・昇降機等検査員の3種類
検査できる人(出典 建築基準法12条3項/施行規則6条の5・6条の6)

昇降機等検査員の講習

昇降機等検査員になるには、施行規則6条の6の表の「登録昇降機等検査員講習」を修了し、6条の26で「別記第三十七号の十八様式による交付申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。」とされている手続きで資格者証を受けます。講習は日本建築設備・昇降機センターが行っていて、令和8年度の受講料は次のとおりです。

区分受講料(税込)
区分Ⅰ58,000円(テキスト代を含む)
区分Ⅱ23,800円/14,000円
区分Ⅲ58,000円
申込期間令和8年6月9日~7月21日

講習はWEB講習と会場講習があり、修了考査は会場で受けます。所有者が自分で資格を取ることは少なく、この表は、検査をする人がどんな資格を持っているかを確かめるための参考です。

昇降機等検査員講習(令和8年度・日本建築設備・昇降機センター)。受講料は区分Ⅰ58,000円(テキスト代を含む)、区分Ⅱ23,800円/14,000円、区分Ⅲ58,000円。申込期間は令和8年6月9日~7月21日。修了考査は会場。資格者証の交付は国土交通大臣に申請
昇降機等検査員講習(出典 日本建築設備・昇降機センター/施行規則6条の26)

告示第283号の検査項目と判定基準

施行規則6条2項は「法第十二条第三項の規定による検査は、建築設備等の状況について安全上、防火上又は衛生上支障がないことを確認するために十分なものとして行うものとし、当該検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準は国土交通大臣の定めるところによるものとする。」としています。この「国土交通大臣の定めるところ」が、平成20年国土交通省告示第283号(平成20年3月10日)です。本文は国土交通省がWord版でも公開しています。

別表対象原文
別表第一かごを主索又は鎖で吊るエレベーター別表第一(PDF)
別表第二油圧エレベーター別表第二(PDF)
別表第三段差解消機告示第283号
別表第四いす式階段昇降機告示第283号
別表第五エスカレーター告示第283号
別表第六小荷物専用昇降機告示第283号

マンションやビルでよく見るロープ式のエレベーターは別表第一、油圧で動くものは別表第二です。各表は「(い)検査項目」「(ろ)検査事項」「(は)検査方法」「(に)判定基準」の4列でできていて、機械室、かご、昇降路、ピットなどの場所ごとに並んでいます。

告示第283号の別表。別表第一はかごを主索又は鎖で吊るエレベーター、別表第二は油圧エレベーター、別表第三は段差解消機、別表第四はいす式階段昇降機、別表第五はエスカレーター、別表第六は小荷物専用昇降機
告示第283号の別表(出典 平成20年国土交通省告示第283号)
告示第283号 別表第一の4ページ目。はかり装置、戸開走行保護装置、地震時等管制運転装置、降下防止装置、換気設備、制御盤扉、かご室の壁・天井・床、かごの戸、かごの戸のスイッチ、床合わせ補正装置、車止め、かご操作盤、操縦機の検査項目・検査事項・検査方法・判定基準が並ぶ表
別表第一の実物(出典 国土交通省 告示第283号 別表第一)

検査結果の4つの欄

検査結果表(別記第一号)には、項目ごとに「指摘なし」「要重点点検」「要是正」「既存不適格」の欄があります。どの欄に○を付けるかは、別記第一号の注意⑥から⑨で決まっています。

欄○を付けるとき(注意の要約)注意
要是正判定基準に該当する場合(「ロ」だけに該当する場合を除く)⑥
要重点点検⑥に該当せず、「ロ」に掲げる判定基準に該当する場合⑦
指摘なし⑥及び⑦のいずれにも該当しない場合⑧
既存不適格「要是正」欄に○を付けた場合で、建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けているものであることが確認されたとき⑨

要重点点検は、日本エレベーター協会の説明では「次回の定期検査までに「要是正」に至るおそれが高い状態であり…」とされています。すぐ違反というわけではありませんが、保守の中で重点的に見て、必要なら部品を替える段階です。要是正は、判定基準に当たっていて直すことが要る状態です。

検査結果の4つの欄(告示第283号 別記第一号の注意)。指摘なしは要是正にも要重点点検にも当たらない(注意⑧)。要重点点検は判定基準のロだけに当たり次回までに要是正に至るおそれ(注意⑦)。要是正は判定基準に当たり直すことが必要(注意⑥)。既存不適格は要是正のうち建築基準法3条2項の適用を受けるもの(注意⑨)
検査結果の4つの欄(出典 告示第283号 別記第一号)
告示第283号の別記第一号 検査結果表の1ページ目。当該検査に関与した検査者、昇降機番号、検査結果の欄(指摘なし、要重点点検、要是正、既存不適格)、機械室の検査項目(通路及び出入口の戸、照明装置及び換気設備等、救出装置、制御器の接触器の主接点、ヒューズ、絶縁、接地、階床選択機、減速歯車)が並ぶ
検査結果表の実物(出典 国土交通省 告示第283号 別記第一号)

報告書の控えはここを見る

定期検査が終わると、保守点検業者や検査をした資格者から、報告書と検査結果表の控えを受け取ります。枚数が多く、専門の言葉が並んでいるので、全部を読み込む必要はありません。所有者や管理者が見ておきたいのは次の場所です。

見る場所確かめること
当該検査に関与した検査者検査をした人の資格(一級建築士、二級建築士、昇降機等検査員)
昇降機番号複数台ある建物で、どのエレベーターの結果か
検査結果の欄指摘なし・要重点点検・要是正・既存不適格のどこに○があるか
要是正と既存不適格の組み合わせ両方に○なら、基準が変わったことによるもの
特記事項などの書き込み直す予定や、次回までに見ておく点が書かれているか

台数が多い建物では、エレベーターごとに結果が分かれます。要是正や要重点点検が付いた項目だけを抜き出して一覧にしておくと、次の保守点検や次の検査で直ったかどうかを追いやすくなります。控えは指針のとおり3年以上保存し、保守の会社が変わっても手元に残るようにしておきます。

判定基準の例(速度・絶縁・非常止め)

別表第一の判定基準は数字で書かれているものが多く、例えば次のとおりです。原文は「〜であること」「〜がないこと」の形で、書かれた状態に当たると指摘になります。

検査項目判定基準(原文)
速度定格速度の125パーセントを超えていること。
絶縁回路の電圧が300ボルトを超えるものにあっては0.4メガオーム、150ボルトを超え300ボルト以下のものにあっては0.2メガオーム、150ボルト以下のものにあっては0.1メガオーム以上の絶縁抵抗がないこと。
かご非常止め非常止め装置が作動した状態においてかごの床の水平度が30分の一を超えていること。
機械室の照明照明装置が正常に作動しないこと。
機械室の漏水漏水が機器に達していること又は窓が破損していること。
判定基準の例(1)告示第283号 別表第一。速度は定格速度の125パーセントを超えていること。絶縁は300V超で0.4メガオーム、150V超300V以下で0.2メガオーム、150V以下で0.1メガオーム以上がないこと。かご非常止めは作動した状態でかごの床の水平度が30分の一を超えていること
判定基準の例1(出典 告示第283号 別表第一)
エレベーターの機械室に、ロープが掛かった大きな巻上機と、灰色の制御盤が並んでいる
機械室の巻上機と制御盤(イメージ)

判定基準の例(主索)

かごを吊るロープ(主索)は、径の減り方と素線切れの本数で判定します。要是正と要重点点検で数字が分かれているので、報告書で要重点点検が付いた主索は、次回までに要是正の数字に近づくおそれがあるという意味になります。

項目要是正(原文)要重点点検(原文)
径最も摩耗の進んだ部分の直径が綱車にかからない部分の直径と比較して90パーセント未満であること。…92パーセント未満であること。
素線切れ(平均的に分布)1よりピッチ内の素線切れ総数が6より鋼索にあっては24本、8より鋼索にあっては32本を超えていること又は1構成より1ピッチ内の素線切れが4本を超えていること。…6より鋼索にあっては18本、8より鋼索にあっては24本を超えていること又は1構成より1ピッチ内の素線切れが3本を超えていること。
谷部谷部で素線切れが生じていること。
錆錆びた摩耗粉により谷部が赤錆色に見えている箇所があること
判定基準の例(2)主索。径は綱車にかからない部分と比べて90%未満で要是正、92%未満で要重点点検。素線切れは平均的に分布する場合、6より鋼索で24本超が要是正・18本超が要重点点検、8より鋼索で32本超が要是正・24本超が要重点点検、1構成より1ピッチ内で4本超が要是正・3本超が要重点点検。谷部の素線切れは要是正
判定基準の例2(出典 告示第283号 別表第一)
昇降路の中を見上げたところ。左右にガイドレールが伸び、何本ものロープがかごの上へ下りている
昇降路のガイドレールとロープ(イメージ)

判定基準の例(ブレーキと安全装置)

ブレーキと安全装置は、パッドの厚さと、施行令129条の10第3項の各号に合っているかで判定します。戸開走行保護装置の行は、検査事項が「設置及び作動の状況」、判定基準が「令第129条の10第3項第一号の規定に適合しないこと。」です。

項目判定基準(原文)
ブレーキパッド(イ)運行に支障が生じている又は次回の定期検査時若しくは定期点検時までにパッドが運行に支障が生ずる厚さとなるおそれがあるため、是正が必要な状態にあること。
ブレーキパッド(ロ)パッドの厚さが運行に支障が生ずるおそれがない最小の厚さの1.2倍(電気制動式のものにあっては、1.1倍)以下であって、重点的な点検が必要な状態にあること。
戸開走行保護装置令第129条の10第3項第一号の規定に適合しないこと。
地震時等管制運転装置平成20年国土交通省告示第1536号第二第一号又は第二号の規定に適合しないこと。
はかり装置令第129条の10第3項第四号の規定に適合しないこと。
外部への連絡装置令第129条の10第3項第三号の規定に適合しないこと又は連絡装置が作動しない若しくは容易に操作できな(い)
停電灯装置令第129条の10第3項第四号の規定に適合しないこと又は操作注意銘板が容易に認識できないこと。

戸開走行保護装置の行を見ると、付いていないエレベーターは判定基準に当たることになります。ただし付いていないのが、義務ができる前につくられたからであれば、次の章で説明する既存不適格の扱いになります。

判定基準の例(3)安全装置。ブレーキパッドは次回の定期検査までに運行に支障が生ずる厚さとなるおそれがあれば要是正、最小の厚さの1.2倍(電気制動式は1.1倍)以下なら要重点点検。戸開走行保護装置は令129条の10第3項第一号、はかり装置・停電灯は第四号、外部への連絡装置は第三号に適合しないこと
判定基準の例3(出典 告示第283号 別表第一)

令和7年7月1日からの変更(告示第974号)

告示第283号は令和6年国土交通省告示第974号(令和六年六月二十八日)で改正され、附則は「この告示は、令和七年七月一日から施行する。」です。検査方法の欄の「目視により確認」が「目視等により確認」に改められました。判定基準の欄は「(略)」とされていて変わっていません。主索の素線切れと戸開走行保護装置の行も「(略)」です。

欄改正前改正後
検査方法目視により確認目視等により確認
判定基準(変更なし)(略)
施行令和7年7月1日
令和7年7月1日からの変更(令和6年国土交通省告示第974号)。検査方法の欄が、改正前の目視により確認から、改正後の目視等により確認に。判定基準の欄は(略)で変わっていない。主索の素線切れと戸開走行保護装置の行も同じ
告示第974号の変更(出典 令和6年国土交通省告示第974号)

要是正や要重点点検が付いたときの動き方

検査結果表に要是正や要重点点検が付いても、慌てる必要はありません。ただし、そのまま次の検査まで置いておくのは避けたいところです。所有者の側でやることを順番に並べると、次のようになります。

順番やることよりどころ
1検査結果表で、どの項目に何が付いたかを確かめる告示第283号 別記第一号
2要是正なら、既存不適格の欄にも○があるかを見る別記第一号の注意⑨
3保守点検業者に、直す理由と方法を文書でもらう指針 第一章第4第2項二
4保守の契約(FMかPOGか、表2の範囲)で費用がどちらの負担かを見る標準契約書 第2条・表2
5直す時期を決め、作業報告書と一緒に記録を残す指針 第二章第6第2項

要重点点検は、今すぐ使えない状態ではなく、次の検査までに要是正に進むおそれがある状態です。主索やブレーキパッドのように、すり減っていく部品で付くことが多く、保守の点検で様子を見ながら替える時期を決めます。FMなら表2の範囲の部品は契約に含まれ、POGなら部品を替えるたびに見積もりが出ます。

要是正は判定基準に当たっている状態なので、直す計画を立てます。既存不適格の欄にも○が付いているなら、つくった後に基準が変わっただけで違反ではありません。その場合は、全面的に入れ替える時期に合わせて今の基準に合わせるか、補助を使って先に後付けするかを考えます。どちらにしても、保守点検業者の説明は口頭で済ませず、指針のとおり文書でもらっておくと、管理組合の総会やオーナーへの説明に使えます。

保守点検は建築基準法8条の維持保全

毎月や数か月ごとに保守の会社が来てする作業は、保守点検です。根拠は建築基準法8条1項の「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。」で、法律の上では努力義務です。ただし、国土交通省は平成28年2月19日に昇降機の適切な維持管理に関する指針とエレベーター保守・点検業務標準契約書を公表し(令和6年9月9日に一部改訂)、所有者がなすべきこととして保守・点検の中身を示しています。

用語指針の定義(原文)
保守昇降機の清掃、注油、調整、部品交換、消耗品の補充・交換等を行うことをいう。
点検昇降機の損傷、変形、摩耗、腐食、発生音等に関する異常・不具合の有無を調査し、保守その他の措置が必要かどうかの判断を行うことをいう。
保守点検業者所有者からの委託により保守・点検を業として行う者をいう。
保守と点検の意味(昇降機の適切な維持管理に関する指針)。保守は清掃、注油、調整、部品交換、消耗品の補充・交換等を行うこと。点検は損傷、変形、摩耗、腐食、発生音等の異常・不具合の有無を調べ措置が要るか判断すること。根拠は建築基準法8条1項の維持保全
保守と点検の意味(出典 指針/建築基準法8条1項)

定期検査と保守点検の違い

2つの違いを並べると次のとおりです。定期検査は年に一度(東京都の場合)、資格者が告示の基準で検査して役所に報告するもの、保守点検は日ごろ業者が機械の調子を見て部品を整えるもので、報告の先は所有者です。

比べるところ定期検査保守点検
根拠建築基準法12条3項(義務)建築基準法8条1項(努力義務)・指針
頻度特定行政庁が定める(東京都は1年)契約で決める(1M・3M・6M・1Yなど)
する人一級・二級建築士、昇降機等検査員保守点検業者
結果の出し先特定行政庁に報告所有者に作業報告書
基準告示第283号標準契約書の仕様書など
しないと報告しなければ罰則(101条)罰則の条文はない

標準契約書の第2条(7)は「法定検査等」を「建築基準法…第12条第3項に基づき行われる検査及び同法第12条第4項に基づき行われる点検をいい、エレベーターの所有者又は国の機関の長等が、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は昇降機等検査員…に行わせることをいう。」と定義しています。保守の契約書で「法定検査」と書かれていたら、12条3項の定期検査のことです。

定期検査と保守点検の違い。根拠は建築基準法12条3項(義務)と8条1項(努力義務)・指針。頻度は特定行政庁が定める(東京都は1年)と契約で決める(1M・3M・6M・1Yなど)。する人は一級・二級建築士・昇降機等検査員と保守点検業者。結果は特定行政庁に報告と所有者に作業報告書。基準は告示第283号と標準契約書の仕様書
定期検査と保守点検の違い(出典 建築基準法8条・12条3項/指針/標準契約書)

指針が所有者に求めること

指針は、所有者(所有者と管理者が異なる場合は、その役割に応じ管理者と読み替える。第一章第4第4項)に次のことを求めています。

求めること(原文)指針の場所
自ら適切に保守・点検を行う場合を除き、必要な知識・技術力等を有する保守点検業者を選定し、保守・点検に関する契約(以下「保守点検契約」という。)に基づき保守点検業者に保守・点検を行わせること。第一章第4第1項二
所有者は、保守点検業者に保守・点検に関する作業報告書を提出させるものとする。第二章第1第3項
所有者は、…定期検査報告書等の写しその他保守点検業者が適切に保守・点検を行うために必要な文書等を3年以上保存するものとする。第二章第6第2項
所有者は、保守点検業者の選定に当たって、価格のみによって決定するのではなく、必要とする情報の提供を保守点検業者に求め、専門技術者の能力、同型又は類似の昇降機の業務実績その他の業務遂行能力等を総合的に評価するものとする。第三章第1
点検の項目又は頻度、部品の修理又は交換の範囲、緊急時対応等に関する技術的細目が規定されていることを確認するものとする。第四章第2項

保守点検業者の側には、「点検の結果、保守点検契約の範囲を超える修理又は機能更新が必要と判断した場合は、当該修理又は機能更新が必要な理由等について、文書等により所有者に対して十分に説明を行うこと。」(第一章第4第2項二)が求められています。高い修理を勧められたら、理由を文書でもらうのが指針に沿ったやり方です。

指針が所有者に求めること。必要な知識・技術力等のある保守点検業者を選び保守点検契約に基づき保守・点検させる。作業報告書を提出させる。過去の作業報告書や定期検査報告書の写しを3年以上保存する。価格のみで決めず能力や実績を総合的に評価する。仕様書に点検の項目・頻度、修理・交換の範囲、緊急時対応が書かれているか確かめる
指針が所有者に求めること(出典 昇降機の適切な維持管理に関する指針)
昇降機の適切な維持管理に関する指針の5ページ目。第5 定期検査等、第6 文書等の保存・引継ぎ等(所有者は定期検査報告書等の写しその他の文書等を3年以上保存する)、第三章 保守点検業者の選定に当たって留意すべき事項(価格のみによって決定するのではなく総合的に評価する)
指針の実物(出典 国土交通省 昇降機の適切な維持管理に関する指針)

保守点検の周期の例

標準契約書の別紙仕様書は、エレベーターの種類ごとに点検の表を分けています(ロープ式のリレー制御は表1.1(a)、マイコン制御は表1.1(b)、油圧式は表1.2、機械室なしは表1.3、非常用エレベーターは表1.4)。周期は「「○M」は、〇月ごと」「「○Y」は、〇年ごと」のように書かれています。表1.1(a)から例を抜き出すと次のとおりです。

点検の内容周期高稼働
機械室への通行1M
室内の温度1M
主開閉器の操作6M
電磁接触器の接点摩耗6M3M
端子の緩み1Y
回路の絶縁抵抗の測定1Y

高稼働は「当該エレベーターの起動回数が 24,000 回/月以上、又は走行時間が 100H/月以上のいずれか」とされています。よく動くエレベーターほど、同じ部品でも点検の間隔が短くなります。仕様書の(d)は「受託者は、保守・点検作業終了後に、毎回、作業報告書を委託者に提出すること。」としています。

標準契約書の点検周期の例(表1.1(a) ロープ式・リレー制御)。機械室への通行・出入りと室内又は制御盤内の温度は1M、主開閉器の操作及び作動は6M、電磁接触器の接点摩耗は6M(高稼働は3M)、端子の緩み・ヒューズと回路の絶縁抵抗の測定は1Y。高稼働は起動回数24,000回/月以上又は走行時間100H/月以上
点検周期の例(出典 エレベーター保守・点検業務標準契約書)

書類の保存

書類の保存は、指針 第二章第6に書かれています。第1項は、製造業者が作成した保守・点検に関する文書等と建築確認・検査の関係図書を「当該昇降機の廃止まで保存するものとする。」、第2項は作業報告書や定期検査報告書等の写しを「3年以上保存するものとする。」です。どちらも主語は所有者です。所有者が変わる場合は、文書等を「次の所有者に引き継ぐものとする。」(第3項)とされています。

書類期間保存する人根拠
製造業者の保守・点検の文書、建築確認・検査の関係図書廃止まで所有者指針 第二章第6第1項
過去の作業報告書、定期検査報告書等の写し3年以上所有者指針 第二章第6第2項
クレーン則の自主検査と点検の記録三年間事業者クレーン等安全規則157条

東京都のQ&Aも「保守点検業者が適切に保守・点検を行うために必要な文書として、昇降機定期検査報告書の写しを3年以上保存することが定められています。」と書き、日本エレベーター協会も「保守点検及び定期検査の記録は3年以上の保管が必要」としています。保守の会社が控えを持っていても、所有者の手元にも残しておくのが指針の形です。

書類の保存(指針 第二章第6)。製造業者の保守・点検の文書と確認・検査の関係図書は廃止まで所有者が保存。過去の作業報告書と定期検査報告書等の写しは3年以上所有者が保存。クレーン則の自主検査の記録は3年間事業者が保存。所有者が変わるときは次の所有者に引き継ぐ
書類の保存(出典 指針/クレーン等安全規則157条)

保守の会社を変えるとき

保守の料金を見直すために、エレベーターをつくった会社の系列から、独立系の保守会社へ切り替える建物もあります。指針は、保守点検業者の選び方を価格だけで決めないよう求め、業者に情報の提供を求めて総合的に評価するとしています(第三章第1)。切り替えるときに確かめておきたいことは次のとおりです。

確かめること理由・よりどころ
過去の作業報告書と定期検査報告書の写しを手元に持っているか新しい業者が状態を知るため(指針 第二章第6第2項)
製造業者の保守・点検の文書と確認・検査の関係図書があるか廃止まで保存する書類(指針 第二章第6第1項)
新しい業者の専門技術者と、同じ型や似た型の実績指針 第三章第1
仕様書に点検の項目・頻度、部品の交換の範囲、緊急時対応が書かれているか指針 第四章第2項
遠隔監視の機器をどうするか契約ごとに違う(標準契約書 第2条(5))
定期検査を誰がするか保守の契約に含めるか別に頼むか

書類を前の業者だけが持っていると、切り替えのときに状態が引き継がれず、新しい業者が一から調べ直すことになります。指針は、書類を保存する主語を所有者にしています。切り替えを考えていなくても、報告書の写しは所有者の手元に置いておくのが安全です。所有者が変わるとき(建物を売るときなど)も、文書等は次の所有者に引き継ぐものとされています。

フルメンテナンス契約とPOG契約

保守の契約には、大きく分けてフルメンテナンス契約(FM)とPOG契約があります。定義は標準契約書の第2条にあり、指針の別表2の様式にも「□FM(フルメンテナンス)契約 □POG契約 □その他」と並んでいます。

標準契約書 第2条(原文)

(3)「フルメンテナンス契約」とは、定期的な機器・装置の保守・点検を行うことに加え、点検結果に基づく合理的な判断のもと、劣化した部品の取替えや修理等を行う契約方式をいう。
(4)「POG 契約」とは、「Parts・Oil・Grease」の略で、定期的な機器・装置の保守・点検のみを行う契約方式で、別紙仕様書において定める消耗品を除き、劣化した部品の取替えや修理等を含まないものをいう。

POGは部品(Parts)、油(Oil)、グリース(Grease)の頭文字で、消耗品の範囲だけを契約に含める方式です。FMは、劣化した部品の取替えや修理も契約に含める方式です。POGで消耗品に当たるものは、仕様書4で「カーボンコンタクト、フィンガー、回転カーボンブラシ、ヒューズ類、リード線、ランプ類、補充用油脂類、ウエス」とされています。

比べるところフルメンテナンス契約(FM)POG契約
保守・点検含む含む
消耗品含む含む(仕様書4の範囲)
劣化した部品の取替え・修理含む(表2の範囲)含まない
定義標準契約書 第2条(3)標準契約書 第2条(4)
フルメンテナンス契約とPOG契約(標準契約書 第2条(3)(4))。フルメンテナンス契約は保守・点検に加え、点検結果に基づく合理的な判断のもと劣化した部品の取替えや修理等を行う。POG契約はParts・Oil・Greaseの略で保守・点検のみ、消耗品を除き部品の取替えや修理等を含まない
FMとPOG(出典 エレベーター保守・点検業務標準契約書 第2条)

取替え・修理の範囲(表2)

どの部品がFMとPOGのどちらに含まれるかは、標準契約書の別紙仕様書の表2に例が載っています。表2は「※表 2 の記載内容は一例であり、必要に応じて契約ごとに定める。」とされているので、実際の範囲は自分の契約書の表で確かめます。

取替え・修理の項目(抜粋)FMPOG
バッテリー取替え(制御盤)○
インバータ、コンバータ取替え○
ブレーキシュー(ライニング)取替え○
調速機本体取替え○
ドアハンガー・ローラ取替え○
ヒューズ類交換○○
軸受グリスアップ(電動機)○○
停電灯ランプ・操作盤ランプ・かご内照明ランプ交換○○
補充用ギヤ油・補充用作動油○○
エレベーター保守・点検業務標準契約書の48ページ目、表2 取替え・修理の範囲。機械室の制御盤・受電盤、電動機、巻上機、階床選択機、電磁ブレーキの修理又は取替え項目ごとに、ロープ式・油圧式とフルメンテナンス契約・POG契約の欄に○が付いている
表2の実物(出典 国土交通省 エレベーター保守・点検業務標準契約書)
取替え・修理の範囲の例(標準契約書 表2・抜粋)。制御盤のバッテリー、インバータ・コンバータ、ブレーキシュー、調速機本体、ドアハンガー・ローラの取替えはFMのみ。ヒューズ類交換、かご内照明ランプ交換、軸受グリスアップ・補充用の油はFMとPOGの両方。表2は一例で契約ごとに定める
取替え・修理の範囲(出典 標準契約書 別紙仕様書 表2)

フルメンテでも含まれないもの

FMでも何でも無料で替えてくれるわけではありません。仕様書5(b)は、契約の種別にかかわらず次のものを取替え・修理の範囲から除いています。大きな機械の一式取替えは、どちらの契約でも別の工事になります。撤去品と残材は「受託者の負担で引取る」(仕様書5(e))です。

契約の種別にかかわらず除かれるもの(原文)
巻上機の一式取替え、ギヤケース取替え
電動機の一式取替え、フレーム取替え
制御盤等の一式取替え、キャビネット取替え
油圧式エレベーターの油タンク、圧力配管、プランジャー及びシリンダー
フルメンテでも含まれないもの(標準契約書 仕様書5(b))。巻上機の一式取替え・ギヤケース取替え、電動機の一式取替え・フレーム取替え、制御盤等の一式取替え・キャビネット取替え、油圧式の油タンク・圧力配管・プランジャー及びシリンダー。この4つは契約の種別にかかわらず除かれる
FMでも除かれるもの(出典 標準契約書 別紙仕様書5)

どちらにするかの見方

FMは毎月の支払いが高くなるかわりに、表2の範囲の部品交換は契約に含まれます。POGは毎月の支払いが安いかわりに、部品を替えるたびに別に払います。どちらが得かは、エレベーターの年数と、部品交換がどれだけ出るかで変わります。公開料金を見ると、FMの料金を10年未満と10年以上で分けている会社や、「FMは概ね10年までの物件とする」「基本的にはPOGを推奨する」とする会社もあり、業者によって考え方が違います。

見るところFMPOG
毎月の支払い高くなる安くなる
部品交換の費用契約に含む(表2の範囲)その都度、別に払う
年ごとの支出ならしやすい年によって変わる
確かめること表2のどこまで含むか部品交換の見積もりの出し方

指針は、業者の選び方を「価格のみによって決定するのではなく」と書いています。月額の安さだけで決めずに、24時間の出動体制、作業報告書、部品交換の説明のしかたまで比べてください。

契約方式を決めるときの見方。毎月の支払いはFMが高くPOGが安い。部品交換の費用はFMは契約に含む(表2の範囲)、POGはその都度別に払う。年間の支出はFMがならしやすくPOGは年によって変わる。業者によってFMを10年未満と以上で分ける会社や基本的にはPOGを推奨する会社がある。指針は価格のみで決めないよう求めている
契約方式の見方(出典 標準契約書/指針 第三章第1/各社の料金ページ)

遠隔監視と遠隔点検

最近の契約でよく出てくるのが遠隔監視と遠隔点検です。標準契約書の第2条(5)は遠隔監視を「受託者の監視センター等において、通信回線を利用して常時エレベーターの異常・不具合の有無を監視すること及び、かご内に人が閉じ込められた場合に、かご内のインターホンで受託者の監視センター等と直接通話できる機能を具備し…」、第2条(6)は遠隔点検を「マイコン制御方式のエレベーターにおいて、受託者の監視センター等が通信回線を利用して行う点検」としています。

方式中身定義
遠隔監視通信回線で常時異常を監視し、閉じ込め時はかご内のインターホンで直接通話第2条(5)
遠隔点検マイコン制御方式で、監視センター等が通信回線を利用して行う点検第2条(6)
24時間出動受託者は、24時間出動体制を整え、不時の故障・事故に対し、最善の手段で対処すること。仕様書3(a)
遠隔監視と遠隔点検(標準契約書 第2条(5)(6))。遠隔監視は監視センター等が通信回線で常時異常・不具合を監視し、閉じ込め時にかご内のインターホンで直接通話できる。遠隔点検はマイコン制御方式のエレベーターで監視センター等が通信回線を利用して行う点検。公開料金でも遠隔監視・遠隔直話・無しで月額が分かれている
遠隔監視と遠隔点検(出典 エレベーター保守・点検業務標準契約書)

労働安全衛生法の性能検査と自主検査

工場や倉庫などの事業場にあるエレベーターは、建築基準法とは別に労働安全衛生法の検査を受けることがあります。どれが対象かは、積載荷重と、置かれている事業場の種類で決まります。

積載荷重区分検査条文
1トン以上特定機械等性能検査(検査証の有効期間は一年)安衛令12条1項6号/クレーン則144条
0.25トン以上1トン未満安衛令13条3項17号一年以内ごとに一回の定期自主検査クレーン則154条
0.25トン以上すべて一月以内ごとに一回の定期自主検査クレーン則155条
0.25トン未満適用除外クレーン則の対象外クレーン則2条二号

労働安全衛生法施行令12条1項6号は、特定機械等として「積載荷重…が一トン以上のエレベーター」を挙げ、13条3項17号は「積載荷重が〇・二五トン以上一トン未満のエレベーター」を挙げています。クレーン等安全規則2条二号は「エレベーター、建設用リフト又は簡易リフトで、積載荷重が〇・二五トン未満のもの」を適用除外にしています。

労働安全衛生法のエレベーター。1トン以上は特定機械等(令12条1項6号)で性能検査(検査証の有効期間1年)。0.25トン以上1トン未満は令13条3項17号で年1回の定期自主検査(則154条)。適用除外を除くすべてで月1回の定期自主検査(則155条)。0.25トン未満は適用除外(則2条2号)
労働安全衛生法のエレベーター(出典 安衛令12条・13条/クレーン等安全規則)

マンションや店舗のエレベーターは対象外になることが多い

クレーン等安全規則2条四号は、次のエレベーターを規則の対象から外しています。原文は「せり上げ装置、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)別表第一第一号から第五号までに掲げる事業又は事務所以外の事業又は事務所に設置されるエレベーター、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)の適用を受ける船舶に用いられるエレベーター及び主として一般公衆の用に供されるエレベーター」です。

労働基準法 別表第一事業(原文の要約)クレーン則
一号物の製造、改造、加工、修理、洗浄、選別、包装、装飾、仕上げ、販売のためにする仕立て、破壊若しくは解体又は材料の変造の事業対象になりうる
二号鉱業、石切り業その他土石又は鉱物採取の事業対象になりうる
三号土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業対象になりうる
四号道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業対象になりうる
五号ドック、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱いの事業対象になりうる
八号物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業適用除外
九号金融、保険、媒介、周旋、集金、案内又は広告の事業適用除外

労働基準法の別表第一の1号から5号は、製造、鉱業、建設、運送、倉庫などの貨物の取扱いの事業です。店舗(8号)や金融・広告の事務所(9号)に置かれたエレベーターは、2条四号で外れます。マンションや商業ビルの利用者が乗るエレベーターは「主として一般公衆の用に供される」に当たることが多く、これも外れます。そのため、マンションや店舗のエレベーターでは、安衛法の性能検査や自主検査の話は出てこないのが普通です。

クレーン則の適用除外(クレーン等安全規則2条4号)。労働基準法 別表第一の1号~5号以外の事業又は事務所に設置されるエレベーター、主として一般公衆の用に供されるエレベーター、船舶安全法の適用を受ける船舶のエレベーター・せり上げ装置。1号~5号は製造、鉱業、建設、運送、貨物の取扱いの事業で、販売(8号)や金融・広告(9号)は入らない
クレーン則の適用除外(出典 クレーン等安全規則2条4号/労働基準法 別表第一)
自分のエレベーターは安衛法の対象か。1 積載荷重は0.25トン以上か、未満なら適用除外(則2条2号)。2 主として一般公衆の用に供されるか、当たれば適用除外(則2条4号)。3 設置先は労基法 別表第一の1号~5号の事業か、当たらなければ適用除外。対象なら月1回の自主検査、1トン以上は性能検査、0.25トン以上1トン未満は年1回の自主検査も
安衛法の対象かの見分け方(出典 クレーン等安全規則2条・154条・155条/安衛令12条)

性能検査とエレベーター検査証

積載荷重1トン以上で対象になるエレベーターは、設置のときに落成検査を受けてエレベーター検査証の交付を受け、その後は性能検査で有効期間を更新します(安衛法41条2項)。クレーン等安全規則144条は「エレベーター検査証の有効期間は、一年とする。」、162条は「性能検査の結果により一年未満又は一年を超え二年以内の期間を定めて有効期間を更新することができる。」としています。

項目内容(原文の要約)条文
設置届エレベーター設置届(様式第二十六号)を所轄労働基準監督署長に提出則140条
落成検査の荷重試験積載荷重の一・二倍に相当する荷重の荷をのせて、昇降の作動を行なう則141条
検査証の書替え設置している者に異動があったときは、当該異動後十日以内則143条
検査証の有効期間一年則144条
性能検査の荷重試験積載荷重に相当する荷重の荷をのせて、昇降の作動を定格速度により行なう則159条
性能検査の申請エレベーター性能検査申請書(様式第十一号)則160条
更新の期間一年未満又は一年を超え二年以内も可則162条

0.25トン以上1トン未満のエレベーターは、あらかじめエレベーター設置報告書(様式第二十九号)を出し(則145条。設置から廃止までの期間が六十日未満のものを除く)、154条で「設置した後、一年以内ごとに一回、定期に、当該エレベーターについて、自主検査を行わなければならない。」とされています。厚生労働省の「エレベーター構造規格」の本文は、今回は取得できずでした。

性能検査とエレベーター検査証。検査証の有効期間は一年(則144条)、更新は一年未満又は一年を超え二年以内も可(則162条)、性能検査の荷重試験は積載荷重に相当する荷重で定格速度(則159条)、落成検査は積載荷重の1.2倍(則141条)、申請はエレベーター性能検査申請書 様式第十一号(則160条)
性能検査と検査証(出典 クレーン等安全規則)

月1回の定期自主検査

クレーン等安全規則155条は「事業者は、エレベーターについては、一月以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行なわなければならない。」とし、4つの事項を挙げています。結果は157条で「自主検査及び点検の結果を記録し、これを三年間保存しなければならない。」とされています。

号自主検査の事項(原文)
一フアイナルリミツトスイツチ、非常止めその他の安全装置、ブレーキ及び制御装置の異常の有無
二ワイヤロープの損傷の有無
三ガイドレールの状態
四屋外に設置されているエレベーターにあつては、ガイロープを緊結している部分の異常の有無
月1回の定期自主検査の項目(クレーン等安全規則155条)。ファイナルリミットスイッチ、非常止めその他の安全装置、ブレーキ及び制御装置の異常の有無。ワイヤロープの損傷の有無。ガイドレールの状態。屋外のエレベーターはガイロープを緊結している部分の異常の有無。結果は記録し3年間保存(則157条)
月1回の自主検査(出典 クレーン等安全規則155条・157条)

法令で決まった検査手数料

性能検査などを国の機関に申請するときの手数料は、労働安全衛生法関係手数料令の別表第一 四で決まっています。

検査積載荷重2トン未満2トン以上
落成検査・使用再開検査・性能検査19,800円28,000円
同(電子申請)19,300円27,600円
変更検査10,900円
変更検査(電子申請)10,400円
法令で決まった検査手数料(労働安全衛生法関係手数料令 別表第一)。落成・使用再開・性能検査は2トン未満19,800円、2トン以上28,000円。電子申請は19,300円と27,600円。変更検査は2トン未満10,900円、電子申請10,400円
法令の検査手数料(出典 労働安全衛生法関係手数料令 別表第一 四)

建築基準法と安衛法の関係

2つの法律の関係を整理すると次のとおりです。報道発表の注記と東京都の一覧のとおり、安衛法の性能検査を受ける1トン以上のエレベーターは、建築基準法の定期報告がいらないとされています。反対に、安衛法の対象外のエレベーターは、建築基準法の定期報告の対象です。

エレベーター建築基準法の定期報告安衛法
主として一般公衆の用に供されるもの(マンション・商業ビルなど)対象適用除外(則2条四号)
販売・金融などの事業場(別表第一の8号・9号)対象適用除外(1号~5号以外)
工場・倉庫の1トン以上不要(報道発表の注記・東京都の一覧)性能検査
工場・倉庫の0.25トン以上1トン未満対象年1回と月1回の自主検査

線引きは建物ごとに違います。迷ったら、建築基準法は特定行政庁、安衛法は所轄の労働基準監督署に確かめてください。標準契約書の仕様書6(a)も「「法定検査等」、労働安全衛生法及びクレーン等安全規則に基づく性能検査が必要な場合は、当該法令の定めるところによる。また、委託者は受託者に性能検査の立ち会いを依頼することができる。」としています。

建築基準法と安衛法の関係。主として一般公衆の用に供されるものは定期報告の対象で安衛法は適用除外。販売・金融などの事業場(8号・9号)も定期報告の対象で安衛法は適用除外。工場・倉庫の1トン以上は定期報告不要で性能検査。工場・倉庫の1トン未満は定期報告の対象で年1回と月1回の自主検査
建築基準法と安衛法の関係(出典 クレーン等安全規則2条/国土交通省 報道発表/東京都)

費用の原文(業者2社・検査機関2つ・報告の手数料2団体)

エレベーターの費用は、保守点検の料金、定期検査の費用、報告の手数料、部品の取替え、安衛法の対象なら性能検査に分かれます。保守の料金に定期検査の費用を含めている会社も多いので、見積もりでは何が入っているかを見ます。この記事では、原文で金額を確かめられたものだけを載せ、平均や相場は作りません。

費用払う先頻度
保守点検の料金保守点検業者毎月(契約)
定期検査の費用検査する業者(保守料金に含む会社もある)年1回(東京都)
報告の手数料特定行政庁や受付の団体報告ごと
部品の取替え・修理保守点検業者POGはその都度
性能検査(安衛法の対象だけ)登録性能検査機関検査証の有効期間ごと
エレベーターにかかるお金の中身。保守点検の料金は保守点検業者に毎月。定期検査の費用は検査する業者に年1回(東京都、保守料金に含む会社もある)。報告の手数料は特定行政庁や受付の団体に報告ごと。部品の取替え・修理はPOGならその都度。性能検査は安衛法の対象だけで登録性能検査機関に
お金の中身(出典 標準契約書/各社の料金ページ)

公開料金の例1 東京エレベーター

東京エレベーター株式会社 保守料金(2026年9月26日取得・推薦でも相場でもありません)は、月額・税別で、前提を「6階建て、6名 450Kg タイプ」とし、「建築基準法に基づく年1回法定検査実施費用が含まれます」としています。列はFM(10年未満)、FM(10年以上)、POGです。

訪問付帯装置FM 10年未満FM 10年以上POG
毎月1回遠隔監視34,000円38,000円20,000円
毎月1回遠隔直話32,000円36,000円18,000円
毎月1回無し30,000円34,000円16,000円
2か月毎遠隔監視30,000円34,000円18,000円
2か月毎遠隔直話28,000円32,000円16,000円
2か月毎無し26,000円30,000円14,000円
3か月毎遠隔監視26,000円30,000円16,000円
3か月毎遠隔直話24,000円28,000円12,000円
3か月毎無し22,000円26,000円10,000円

同じ会社の中でも、訪問の回数、遠隔監視の有無、FMかPOGか、エレベーターの年数で金額が変わります。6階建て・6名のタイプという前提も書かれているので、階数や大きさが違えば金額も変わると考えるのが自然です。

公開料金の例1(月額・税別)東京エレベーター・6階建て、6名450Kgタイプ・年1回の法定検査費用を含む。毎月1回・遠隔監視はFM10年未満34,000円、FM10年以上38,000円、POG20,000円。3か月毎・無しはFM10年未満22,000円、FM10年以上26,000円、POG10,000円など9通り
公開料金の例1(出典 東京エレベーター株式会社 保守料金・2026年9月26日取得)

公開料金の例2 エレベータメンテナンス

エレベータメンテナンス株式会社 自動見積(2026年9月26日取得・推薦でも相場でもありません)は、名古屋の会社で、選択肢ごとの月額を表示する見積もりのページです。乗用・人荷用・寝台用の月額は次のとおりです。

年間の点検回数POGFM
年2回8,000円23,000円
年3回9,500円24,500円
年6回14,000円29,000円
年12回20,000円35,000円
整備点検75,000円
検査のみ60,000円

注記には「定期検査代含む」「10停止までは上記価格、1停止増す毎に1,000円追加する」「三重県郡部、岐阜県郡部、静岡県は10%割り増しする」「FMは概ね10年までの物件とする」「基本的にはPOGを推奨する」とあります。「検査のみ」の60,000円は、今回見つけた中で定期検査だけを頼む場合の金額を原文で確かめられた唯一の例です。ほかの会社の検査だけの料金は取得していません。

公開料金の例2(月額)エレベータメンテナンス 自動見積・乗用・人荷用・寝台用・定期検査代含む。POGは年2回8,000円、年3回9,500円、年6回14,000円、年12回20,000円。FMは年2回23,000円、年3回24,500円、年6回29,000円、年12回35,000円。整備点検75,000円、検査のみ60,000円
公開料金の例2(出典 エレベータメンテナンス株式会社 自動見積・2026年9月26日取得)
年間の点検回数荷物用・自動車用 POG荷物用・自動車用 FM小物 POG
年2回12,000円27,000円4,000円
年3回14,250円29,250円4,750円
年4回17,000円32,000円
年6回21,000円36,000円7,000円
年12回30,000円45,000円10,000円
整備点検80,000円45,000円
検査のみ65,000円60,000円

同じページの注記は「性能検査は下記の別表とする(事前点検は別途30,000円で実施)」「性能検査費用テストウェイト 40,000円」としています。安衛法の性能検査を受けるエレベーターでは、検査機関の料金のほかに、業者の立ち会いや準備の費用がかかることがあると分かります。

例2の荷物用と小荷物用(月額)エレベータメンテナンス 自動見積。荷物用POGは年2回12,000円~年12回30,000円、荷物用FMは年2回27,000円~年12回45,000円、小物POGは年2回4,000円~年12回10,000円。検査のみは荷物用・自動車用65,000円、小物60,000円。性能検査の事前点検は別途30,000円、テストウェイト40,000円
例2の荷物用と小荷物用(出典 エレベータメンテナンス株式会社 自動見積・2026年9月26日取得)

性能検査の料金(登録性能検査機関)

安衛法の性能検査を行う登録性能検査機関の料金も、原文で確かめられた2つを載せます。日本クレーン協会 性能検査料金(2026年9月26日取得・推薦でも相場でもありません)は令和6年4月1日から適用・消費税込み、ボイラ・クレーン安全協会 性能検査料金(2026年9月26日取得・推薦でも相場でもありません)は2027年3月31日の検査実施分までの料金です。

機関・区分2トン未満2トン以上
日本クレーン協会 平日1台(税込)19,800円27,940円
同 平日複数台18,810円26,620円
同 休日・時間外20,350円28,820円
同 年末年始26,400円37,180円
ボイラ・クレーン安全協会(税込)22,220円31,460円
同 是正確認・一部未了11,000円11,000円
性能検査の料金(登録性能検査機関)。日本クレーン協会の平日1台(税込)は2トン未満19,800円・2トン以上27,940円、平日複数台18,810円・26,620円、休日・時間外20,350円・28,820円、年末年始26,400円・37,180円。ボイラ・クレーン安全協会(税込)は22,220円・31,460円
性能検査の料金(出典 日本クレーン協会/ボイラ・クレーン安全協会・2026年9月26日取得)

報告の手数料

定期検査の報告を受け付ける団体の手数料も、原文で確かめられた2つを載せます。神奈川県建築安全協会 報告手数料(2026年9月26日取得・推薦でも相場でもありません)と、千葉県昇降機等検査協議会 報告手数料の改定(2026年9月26日取得・推薦でも相場でもありません)(令和7年10月1日付、令和8年4月1日受付分から)です。東京都の昇降機の報告手数料は、受付の団体のサイトにcurlで接続できず、取得できずでした。

昇降機神奈川県建築安全協会(税込)千葉県昇降機等検査協議会(税込)
エレベーター2,640円2,800円
エスカレーター2,310円1,800円
小荷物専用昇降機1,760円1,300円
段差解消機1,760円2,800円
いす式1,760円2,800円
遊戯施設2,310円2,800円
報告の手数料(税込)。エレベーターは神奈川県建築安全協会2,640円、千葉県昇降機等検査協議会2,800円。エスカレーターは2,310円と1,800円。小荷物専用昇降機は1,760円と1,300円。段差解消機・いす式は1,760円と2,800円。千葉県は令和8年4月1日受付分からの改定後の額。東京都の手数料は取得できず
報告の手数料(出典 神奈川県建築安全協会/千葉県昇降機等検査協議会・2026年9月26日取得)

見積もりで確かめること

公開料金は前提がそろっていないので、数字をそのまま比べることはできません。見積もりを取るときは、次の点を同じ条件にそろえて聞くと比べやすくなります。消防設備の点検の費用の比べ方は消防設備点検の費用と業者の探し方にまとめていますが、エレベーターでも考え方は同じで、何が料金に入っているかを先にそろえます。

確かめること理由
FMかPOGか部品交換が月額に入るかが変わる
POGの場合の部品交換の決め方その都度の見積もりになる
年何回の訪問か同じ会社でも回数で月額が変わる
遠隔監視・遠隔点検の有無付帯装置で月額が変わる
定期検査の費用と報告の手数料が入っているか入れている会社と入れていない会社がある
停止階の数とエレベーターの年数停止階や年数で料金を分ける会社がある
24時間出動体制標準契約書 仕様書3(a)
作業報告書を毎回もらえるか標準契約書 仕様書(d)・指針 第二章第1第3項
見積もりで確かめること。FMかPOGか、POGなら部品の取替えはいくらで誰が決めるか。年何回の訪問か、遠隔監視・遠隔点検の有無。定期検査の費用と報告の手数料が月額に入っているか。停止階の数、エレベーターの年数で料金が変わるか。24時間出動体制があるか。作業報告書を毎回もらえるか
見積もりで確かめること(出典 標準契約書/指針 第四章/各社の料金ページ)

既存不適格とは

定期検査の報告書で「既存不適格」に○が付くことがあります。これは、別記第一号の注意⑨の「「既存不適格」欄は、「要是正」欄に○印を記入した場合で、建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けているものであることが確認されたときは、○印を記入してください。」によるものです。

建築基準法3条2項は、法令ができたり改正されたりした時点ですでにあった建築物や、工事中だった建築物には、新しい規定を当てはめないという決まりです。つまり既存不適格は、つくった後に基準が変わって、今の基準には合っていないけれど、違反ではない状態を指します。エレベーターでよくあるのが、戸開走行保護装置が付いていないケースです。

論点内容
違反か違反ではない(建築基準法3条2項の適用)
報告書の書き方「要是正」欄と「既存不適格」欄の両方に○が付く
戸開走行保護装置の例義務付け前のエレベーターは、全面的な撤去・新設を行う場合に設置が義務になる
直すと改修の内容によって補助の対象になることがある
既存不適格とは。1 判定基準に当たり告示第283号で要是正に○。2 建築基準法3条2項の適用を受ける、つくった後に基準が変わり今の基準に合わないだけのもの。3 既存不適格欄にも○が付く。違反ではない
既存不適格(出典 告示第283号 別記第一号 注意⑨)

既存不適格と言われても、すぐに工事をしなければならないわけではありません。ただし、全面的な撤去・新設をするときには今の基準に合わせることになります。改修するなら補助が使えるかを先に調べる、というのが順番です。

既存不適格と言われたときの考え方。違反ではない(3条2項の適用)。戸開走行保護装置の例では義務付け前のエレベーターは全面的な撤去・新設を行う場合に設置が義務になる。直すと改修の内容によって補助の対象になることがある。報告書では要是正欄と既存不適格欄の両方に○が付く
既存不適格の考え方(出典 告示第283号 別記第一号/国土交通省 報道発表・通知)

戸開走行保護装置

戸開走行保護装置は、建築基準法施行令129条の10第3項1号の装置です。条文は、次の場合に自動的にかごを制止する装置を求めています。

場合条文(原文)
イ駆動装置又は制御器に故障が生じ、かごの停止位置が著しく移動した場合
ロ駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合

戸が開いたままかごが動いてしまう事故(戸開走行)を防ぐための装置です。国土交通省の戸開走行保護装置とはの資料も「駆動装置又は制御器に故障が生じ、かごの停止位置が著しく移動した場合や、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合に、自動的にかごを制止し、人の挟まれを防ぐ装置。」と説明しています。

戸開走行保護装置とは(建築基準法施行令129条の10第3項1号)。イ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かごの停止位置が著しく移動した場合。ロ 駆動装置又は制御器に故障が生じ、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合。この2つの場合に自動的にかごを制止する
戸開走行保護装置(出典 建築基準法施行令129条の10第3項1号)
国土交通省の資料 戸開走行保護装置とは。駆動装置又は制御器に故障が生じ、かごの停止位置が著しく移動した場合や、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合に、自動的にかごを制止し、人の挟まれを防ぐ装置。平成20年の建築基準法令の改正より義務化(施行は平成21年9月)
戸開走行保護装置の説明(出典 国土交通省 戸開走行保護装置とは)

設置が義務になるエレベーター

国土交通省の通知(平成24年4月27日 国住指第291号)は、「平成21年9月28日以降に着工されたエレベーター」に戸開走行保護装置と地震時管制運転装置の設置を義務付けたとしています。北海道の案内も同じ日付です。それより前に設置されたものについて、国土交通省のリーフレットは設置義務がないとし、報道発表は「義務付け前に設置されたエレベーターについては、全面的な撤去・新設を行う場合に、戸開走行保護装置の設置が義務付けられています。」と書いています。

エレベーター戸開走行保護装置
平成21年9月28日以降に着工義務
それより前に設置義務なし(既存不適格)
義務付け前のものを全面的に撤去・新設義務
義務付け前のものを部分的に改修して後付け任意(任意設置)

報道発表は、義務化のきっかけを「20 年前(平成 18 年6月)東京都港区において発生した事故」と書いています。

設置が義務になるエレベーター。平成21年9月28日以降に着工したものは戸開走行保護装置と地震時管制運転装置が義務。それより前のものは義務なしで、全面的な撤去・新設をする場合は義務。きっかけは平成18年6月に東京都港区で起きた事故
設置が義務になるエレベーター(出典 国土交通省 通知・報道発表)
国土交通省の報道発表(令和8年1月28日)エレベーターへの戸開走行保護装置の設置率は4割。令和6年度に定期検査報告が行われた約78万台のうち約31万台(約4割)に設置
報道発表の1ページ目(出典 国土交通省 報道発表)

設置率は39.5%

報道発表によると、「令和6年度に定期検査報告が行われた約 78 万台のうち、約 31 万台(約4割)のエレベーターにおいて戸開走行保護装置が設置されていることが分かりました。」とされています。正確な数字は次のとおりです。

項目令和6年度前年度からの増減
定期検査報告のエレベーター台数775,705台+17,777台
戸開走行保護装置の設置台数306,394台+26,304台
うち任意設置77,855台+7,034台
設置率39.5%+2.5%

任意設置は「全面的な撤去・新設以外の改修により戸開走行保護装置が設置されたものの台数」です。義務がないのに、改修の機会に後付けしたエレベーターが77,855台あるということです。

令和6年度の設置状況(国土交通省 報道発表)。定期報告のエレベーターは775,705台(前年度から+17,777台)。戸開走行保護装置ありは306,394台で設置率39.5%。うち任意設置は77,855台で、全面的な撤去・新設以外の改修で付けたもの
令和6年度の設置状況(出典 国土交通省 報道発表)
年度設置率
H28年度17.4%
H29年度19.9%
H30年度23.0%
R1年度26.3%
R2年度29.3%
R3年度32.1%
R4年度34.6%
R5年度37.0%
R6年度39.5%
戸開走行保護装置の設置率の推移(定期検査報告が行われたエレベーター)。H28年度17.4%、H29年度19.9%、H30年度23.0%、R1年度26.3%、R2年度29.3%、R3年度32.1%、R4年度34.6%、R5年度37.0%、R6年度39.5%
設置率の推移(出典 国土交通省 報道発表)
国土交通省の報道発表の2ページ目。戸開走行保護装置の設置率の推移のグラフと、エレベーター台数・設置台数・任意設置台数・設置率の表、注記
報道発表の2ページ目(出典 国土交通省 報道発表)

都道府県別の設置率

報道発表の別紙には都道府県別の数字も載っています。抜粋すると次のとおりです。

都道府県報告台数設置台数任意設置設置率
東京都181,139台73,633台22,805台40.6%
大阪府79,365台31,015台8,386台39.1%
神奈川県64,246台25,532台5,327台39.7%
愛知県47,327台18,369台4,999台38.8%
福岡県38,931台15,827台4,037台40.7%
沖縄県8,612台4,814台632台55.9%
新潟県6,955台2,207台584台31.7%
都道府県別の設置率(抜粋・R6年度)。東京都181,139台のうち73,633台で40.6%、大阪府79,365台のうち31,015台で39.1%、神奈川県64,246台のうち25,532台で39.7%、愛知県47,327台のうち18,369台で38.8%、福岡県38,931台のうち15,827台で40.7%、沖縄県8,612台のうち4,814台で55.9%、新潟県6,955台のうち2,207台で31.7%
都道府県別の設置率(出典 国土交通省 報道発表 別紙1)

戸開走行事故

国土交通省の昇降機の適切な維持管理については、「平成24年から令和7年までの間、戸開走行事故は20件発生しており、令和6年1月に宮城県仙台市内で発生した事故では、利用者2名が重傷を負いました。」と書いています。国の庁舎でも後付けが進んでいて、合同庁舎3号館は「令和6年度末時点で14台のうち7台に戸開走行保護装置が設置されており、令和9年度末までに12台への設置が完了予定です。」とされています。

項目内容(原文の要約)
戸開走行事故平成24年から令和7年までの間に20件
令和6年1月の事故宮城県仙台市内で利用者2名が重傷
合同庁舎3号館令和6年度末時点で14台のうち7台に設置、令和9年度末までに12台の予定
戸開走行事故(国土交通省 昇降機の適切な維持管理について)。平成24年から令和7年までに戸開走行事故は20件。令和6年1月の仙台市内の事故では利用者2名が重傷。合同庁舎3号館は令和6年度末で14台のうち7台に設置済み、令和9年度末までに12台の予定
戸開走行事故(出典 国土交通省)

後付けの補助

既設のエレベーターに戸開走行保護装置を付けるときは、補助が使えることがあります。国土交通省のエレベーターの防災対策改修事業の概要によると、補助の対象限度は工事費1187.5万円、国費は地方公共団体が直接行う場合「11.5%」、民間への補助は「11.5%を乗じた額又は地方公共団体が補助する額の2分の1のいずれか低い額」です。要件には延べ面積1,000㎡以上(500㎡の場合あり)などがあります。

項目内容
補助の対象限度工事費1187.5万円
国費(地方公共団体が直接)11.5%
国費(民間への補助)11.5%を乗じた額又は地方公共団体が補助する額の2分の1のいずれか低い額
要件の例延べ面積1,000㎡以上(500㎡の場合あり)など
令和7年度補正補助対象限度額の引き上げ(25%増)

報道発表は「令和7年度補正予算にて、戸開走行保護装置の設置等に対する補助対象限度額の引き上げ(25%増)を行いました」とし、同時に「民間の所有者等が本支援措置を活用するためには、地方公共団体において既設エレベーター改修に係る補助制度が整備されている必要があります」と書いています。国の補助は自治体の制度を通して出るので、まず建物のある市区町村に補助制度があるかを確かめます。

後付けの補助(国土交通省 エレベーターの防災対策改修事業)。補助の対象限度は工事費1187.5万円。国費は地方公共団体が直接なら11.5%、民間への補助は11.5%を乗じた額又は地方公共団体の補助額の2分の1の低い方。要件の例は延べ面積1,000㎡以上(500㎡の場合あり)など。令和7年度補正で補助対象限度額を25%引き上げ。民間が使うには地元の自治体に補助制度があることが前提
後付けの補助(出典 国土交通省 防災対策改修事業 概要・報道発表)

自治体の助成の計算例(港区)

自治体の助成の例として、港区の計算例(マンション、病院並びに高齢者及び障害者の施設の場合)を載せます。金額は港区が示した例で、工事の相場ではありません。

例改修工事費用内訳と計算(原文の要約)助成金額
例1600万円本体工事150万円、戸開走行保護装置280万円 × 100% = 280万円(上限300万円)、地震時等管制運転装置80万円 × 2/3 = 53.3万円、耐震対策90万円 × 2/3 = 60万円。合計393.3万円(上限は改修工事費用の2/3の400万円)393万円
例2150万円戸開走行保護装置150万円 × 100% = 150万円。改修工事費用の2/3(100万円)を超えるので頭打ち100万円
例31000万円戸開走行保護装置は設置済み。地震時等管制運転装置200万円 → 133.3万円、耐震対策200万円 → 133.3万円266.6万円(合計)
自治体の助成の計算例(港区・マンション等の場合・例)。例1は戸開走行保護装置・地震時管制・耐震で改修工事費用600万円、助成金額393万円。例2は戸開走行保護装置のみで150万円、助成金額100万円。例1の戸開走行保護装置は280万円×100%(上限300万円)、例2は改修工事費用の2/3で頭打ち。金額は港区が示した例で工事の相場ではない
港区の計算例(出典 港区 エレベーター改修工事費用の助成金額の例)

後付けの手続き

通知は、既設エレベーターへの後付けについて「エレベーター全体を撤去・新設する場合を除き建築確認・検査は不要」とし、後付けした後の初回の定期検査報告で写真と施工図の提出を求めるとしています。

順番やること根拠
1自治体に補助制度があるか確かめる報道発表
2工事の内容を決める(全体の撤去・新設でなければ建築確認・検査は不要)通知 国住指第291号
3後付けの工事
4次の定期検査報告で写真と施工図を出す通知 国住指第291号
後付けの手続き(国土交通省 通知・平成24年4月27日)。1 建築確認・検査はエレベーター全体を撤去・新設する場合を除き不要。2 保守点検業者や製造業者と工事の内容を決める。3 次の定期検査報告で写真と施工図の提出を求める。補助を使う場合は手続きの順番を先に自治体に確かめる
後付けの手続き(出典 国土交通省 通知 国住指第291号)

安全マークの表示制度

国土交通省は「エレベーターに戸開走行保護装置、地震時管制運転装置が設置されていることをマークで表示する制度があります。」と紹介しています。運営は一般社団法人 建築性能基準推進協会で、リーフレットの問い合わせ先は03-3513-7561です。指針 第二章第5 第2項も、所有者は「定期検査報告済証の掲示など定期検査等を行った旨の表示その他昇降機の安全性に関する必要な情報提供(戸開走行保護装置又は地震時管制運転装置を設置した場合にあっては、その旨の表示を含む。)に努めるものとする。」としています。

安全マークの表示制度。エレベーターに戸開走行保護装置と地震時管制運転装置が付いていることをマークで表示する制度。運営は一般社団法人 建築性能基準推進協会、問い合わせは03-3513-7561(国土交通省のリーフレット)
安全マーク(出典 国土交通省 昇降機の適切な維持管理について・リーフレット)

ほかの安全装置(施行令129条の10第3項)

戸開走行保護装置は、施行令129条の10第3項が求める安全装置の一つです。ほかの号も告示第283号の判定基準に出てくるので、まとめて見ておきます。

号装置(条文の要約)
一号戸開走行保護装置(イ・ロの場合に自動的にかごを制止する装置)
二号地震その他の衝撃により生じた国土交通大臣が定める加速度を検知し、かごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、戸を開く装置(地震時管制運転装置)
三号停電等の非常の場合においてかご内からかご外に連絡することができる装置
四号乗用・寝台用は、積載荷重の1.1倍を超えた荷重で警報を発し戸の閉鎖を自動的に制止する装置と、停電の場合においても床面で1ルクス以上の照度を確保する照明装置

国土交通省は地震対策として「エレベーターについては閉じ込めや故障・損傷の抑止のための対策、エスカレーターについては脱落防止の対策が義務付けられています。」とも書いています。

エレベーターの安全装置(建築基準法施行令129条の10第3項)。一号は戸開走行保護装置。二号は地震時管制運転装置で加速度を検知して戸の位置に停止し戸を開く。三号は停電等の非常の場合にかご内から外に連絡する装置。四号は積載荷重の1.1倍を超えると警報・戸の閉鎖を制止する装置と、停電時に床面1ルクス以上の照明(乗用・寝台用)
エレベーターの安全装置(出典 建築基準法施行令129条の10第3項)
夜のビルのエレベーターホールで、扉が開いたエレベーターのかごの中に明かりがついている
扉が開いたエレベーター(イメージ)

報告しないとどうなるか

建築基準法101条は「次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。」とし、二号で「第十二条第一項若しくは第三項…の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者」を挙げています。罰則の対象は、報告をしないことと、虚偽の報告をすることです。

行為罰則条文
12条3項の報告をしない百万円以下の罰金建築基準法101条二号
虚偽の報告をする百万円以下の罰金建築基準法101条二号

検査で要是正が出たら、保守点検業者から、契約の範囲を超える修理が必要な理由を文書等で説明してもらい(指針 第一章第4第2項二)、直す時期と方法を決めます。要是正が出たこと自体に罰則の条文はありませんが、放っておいてよいという意味ではありません。

報告しないとどうなるか(建築基準法101条)。対象は12条1項若しくは3項の報告をせず又は虚偽の報告。罰則は百万円以下の罰金(101条二号)。検査で要是正が出たら保守点検業者から理由の説明を文書等で受けて対応を決める(指針 第一章第4第2項)
罰則(出典 建築基準法101条/指針)

マンション・ビル・店舗・事業所で誰が動くか

法律の上で義務を負うのは所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)ですが、建物の種類によって、実際に動く人は変わります。よくある形を並べます。最終的には、管理の契約で誰が管理者になっているかで決まるので、自分の建物の契約書で確かめてください。

建物義務を負う側の例実際に動く人の例気をつけること
分譲マンション管理組合理事会と管理会社保守の契約の見直しや改修は総会で決めることが多い
賃貸マンション建物のオーナー管理会社入居者への周知(点検で止まる時間)
オフィスビルオーナー(管理者が別ならその管理者)ビル管理会社テナントの営業時間を避けた点検の日時
店舗・商業施設オーナー・施設の管理者施設の管理担当主として一般公衆の用に供されるものは安衛法の対象外
工場・倉庫などの事業所所有者・事業者総務や設備の担当建築基準法と安衛法の両方を確かめる

分譲マンションでは、保守の契約を見直したり、戸開走行保護装置を後付けしたりするには、管理組合で決めることが要ります。保守点検業者から受け取った文書の説明と、公開されている料金の例を並べておくと、理事会で話を進めやすくなります。消防点検で部屋に入る理由や費用の負担の話はマンションの消防点検(部屋に入る理由・費用の負担)にまとめています。

テナントとして入っている店舗や事務所は、エレベーターの所有者ではないことがほとんどです。この場合、定期検査の報告はオーナーか管理者の仕事で、テナントの側で手続きをすることは普通ありません。ただし、賃貸借の契約で設備の管理をテナントが引き受けている場合は別なので、契約書を確かめます。工場や倉庫で荷物用のエレベーターを使っている事業所は、建築基準法の定期報告に加えて、安衛法の自主検査や性能検査が要るかを、前の章の3つの問いで確かめてください。

1年の流れと同じ建物で並ぶ点検

東京都の建物を例に、エレベーターの1年の流れを並べると次のとおりです。保守点検は契約の回数どおりに毎月か数か月ごとに来て、年に一度、定期検査をして報告します。

時期やること根拠
毎月(契約による)保守点検。作業報告書を受け取る指針 第二章第1第3項
年1回資格者が告示第283号に沿って定期検査建築基準法12条3項
前年の報告日の翌日から1年以内特定行政庁へ報告東京都の一覧
常に作業報告書と報告書の写しを3年以上保存指針 第二章第6第2項
1年の流れ(東京都の建物・例)。毎月は保守点検で契約の回数どおりに訪問し作業報告書を受け取る。年1回は資格者が告示第283号に沿って定期検査。報告は特定行政庁へ前年の報告日の翌日から1年以内。保存は作業報告書と報告書の写しを3年以上
1年の流れ(出典 東京都/指針 第二章第6)

同じ建物では、エレベーター以外にも点検や検査が並びます。建築基準法12条の定期報告は、建物そのものの定期調査(12条1項)と、建築設備・防火設備・昇降機の定期検査(12条3項)に分かれていて、報告の時期も別々です。全体の仕組みは建築基準法12条点検(定期報告)とは、防火扉や防火シャッターの検査は防火設備定期検査とはにまとめています。

点検・検査根拠詳しい記事
特定建築物の定期調査建築基準法12条1項建築基準法12条点検(定期報告)とは
建築設備の定期検査建築基準法12条3項建築基準法12条点検(定期報告)とは
防火設備の定期検査建築基準法12条3項防火設備定期検査とは
エレベーターの定期検査建築基準法12条3項この記事
消防設備点検消防法(別の制度)消防設備点検とは(義務・頻度・報告・費用)
防火対象物点検消防法(別の制度)防火対象物点検とは
貯水槽の清掃水道法など(別の制度)貯水槽(受水槽)の清掃は義務?

マンションでは、エレベーターの定期検査と消防設備の点検が別の日に、別の業者で行われるのが普通です。消防点検で部屋に入る理由や費用の負担はマンションの消防点検(部屋に入る理由・費用の負担)で説明しています。防災管理の点検が要る大きな建物は防災管理点検とはも見てください。

同じ建物で並ぶ点検。特定建築物の定期調査は建築基準法12条1項、建築設備の定期検査・防火設備の定期検査・エレベーターの定期検査は12条3項、消防設備点検は消防法(別の制度)。エレベーターの定期検査は特定建築物の定期調査とは別の報告で、報告の時期も別に決まる
同じ建物で並ぶ点検(出典 建築基準法12条)

管理者のチェックリスト

最後に、エレベーターを持つ所有者と管理者が手元で確かめておくことを並べます。報告書と保守の契約書があれば、ほとんどの項目は確かめられます。

確かめることどこを見るか
前回の定期検査の報告日と、次の期限前回の報告書の控え・特定行政庁の決まり
要是正・要重点点検・既存不適格があるか検査結果表(別記第一号)
保守の契約はFMかPOGか、訪問の回数保守の契約書・仕様書
部品交換の範囲契約書の表2に当たる表
戸開走行保護装置と地震時管制運転装置が付いているか検査結果表・着工の時期
作業報告書と報告書の写しを3年以上保存しているか書類の保管場所
安衛法の対象か積載荷重・事業場の種類・エレベーター検査証
管理者のチェックリスト。前回の定期検査の報告日と次の期限。検査結果に要是正・要重点点検・既存不適格があるか。保守の契約はFMかPOGか、訪問の回数。戸開走行保護装置と地震時管制運転装置が付いているか。作業報告書と報告書の写しを3年以上保存しているか。安衛法の対象か(工場・倉庫など)
管理者のチェックリスト(出典 建築基準法12条3項/告示第283号/指針)

よくある質問

エレベーターの法定点検は年に何回?

建築基準法12条3項の定期検査は、施行規則6条1項で「おおむね六月から一年まで」の間隔で特定行政庁が定める時期に報告します。東京都は「前年の報告日の翌日から起算して1年を経過する日まで」なので、年1回です。毎月や数か月ごとに来る保守点検は、契約で決めた回数で、法定の定期検査とは別のものです。

保守点検をしていれば定期検査はいらない?

いりません、ということにはなりません。保守点検は建築基準法8条1項の維持保全(努力義務)で、定期検査は12条3項の義務です。多くの保守の会社は、保守の料金に年1回の定期検査を含めていますが、契約書で「法定検査」が入っているかを確かめてください。

誰が定期検査をしてよい?

一級建築士、二級建築士、昇降機等検査員です(建築基準法12条3項、施行規則6条の6、指針 第二章第5 第1項)。保守をしている会社でなければ検査できないという決まりはありません。

報告しないとどうなる?

建築基準法101条二号で、12条3項の報告をしない、又は虚偽の報告をした者は、百万円以下の罰金です。

要重点点検と要是正の違いは?

要是正は判定基準に当たっていて直すことが要る状態、要重点点検は判定基準の「ロ」だけに当たる状態です(告示第283号 別記第一号の注意⑥⑦)。日本エレベーター協会は要重点点検を「次回の定期検査までに「要是正」に至るおそれが高い状態」と説明しています。

既存不適格は違反?

違反ではありません。要是正に当たるもののうち、建築基準法3条2項の適用を受けている(つくった後に基準が変わった)ものが既存不適格です。戸開走行保護装置の付いていない、平成21年9月28日より前に着工したエレベーターがよくある例です。

戸開走行保護装置は付けないといけない?

平成21年9月28日以降に着工したエレベーターは義務です。それより前のものは義務はありませんが、全面的な撤去・新設をする場合は義務になります。後付けは任意ですが、補助が使えることがあり、令和6年度には77,855台が任意で設置されています。

FMとPOGはどちらがよい?

標準契約書では、FMは劣化した部品の取替えや修理まで含み、POGは消耗品を除き含みません。FMは毎月の支払いが高く、POGは安いかわりに部品交換のたびに別に払います。年数や部品交換の出方で変わるので、指針のとおり価格のみで決めず、表2の範囲と24時間の出動体制、作業報告書まで比べてください。

マンションのエレベーターは労働安全衛生法の検査も要る?

多くの場合は要りません。クレーン等安全規則2条四号で、主として一般公衆の用に供されるエレベーターと、労働基準法 別表第一の1号~5号以外の事業又は事務所のエレベーターは対象外です。工場や倉庫の荷物用で積載荷重が0.25トン以上のものが主な対象です。

ホームエレベーターも報告が要る?

国土交通省の報道発表の注記は、ホームエレベーターは定期報告が不要としています。東京都の一覧も、かごが住戸内のみを昇降するもの(一戸建て、長屋又は共同住宅の住戸内に設けられた昇降機)を除いています。

定期検査の日はエレベーターが止まる?

検査の中身には、機械室の機器、かごの中、昇降路、ピットの確認や、速度・ブレーキ・安全装置の作動の確認が入っています(告示第283号 別表第一)。作動を確かめる間は利用を止めることが多いので、日時は保守点検業者と相談し、利用者に前もって知らせておきます。止まる時間の長さは建物や台数で変わるので、業者に確かめてください。

保守の会社と定期検査の会社は同じでないといけない?

法律にそういう決まりはありません。12条3項は、検査する人を一級建築士、二級建築士、建築設備等検査員(昇降機等検査員)と決めているだけです。保守の料金に定期検査を含めている会社が多いので同じ会社になることが多いですが、別の会社に頼むこともできます。

東京都以外の報告時期はどうやって調べる?

施行規則6条1項は、幅の中で時期を決めるのを特定行政庁としています。建物のある都道府県か、建築主事を置く市のページで「定期報告」「昇降機」を調べるか、報告の受付をしている団体に聞いてください。この記事では、東京都の決まりだけを原文で確かめています。

書類は何年保存する?

指針 第二章第6第2項で、所有者は作業報告書や定期検査報告書等の写しを3年以上保存します。製造業者の保守・点検の文書と建築確認・検査の関係図書は、昇降機の廃止まで保存します。

困ったときの窓口

聞きたいこと窓口
報告の時期・様式・受付建物のある地域の特定行政庁(東京都は東京都の定期報告の案内)
補助制度建物のある地方公共団体(国の制度は防災対策改修事業)
性能検査・自主検査所轄の労働基準監督署
昇降機等検査員講習日本建築設備・昇降機センター
保守と検査の記録日本エレベーター協会 設備を管理される方へ
安全マーク一般社団法人 建築性能基準推進協会
建物の定期報告全体建築基準法12条点検(定期報告)とは
消防の報告書消防用設備等点検結果報告書の書き方と出し方
困ったときの窓口。報告の時期・様式・受付は建物のある地域の特定行政庁。補助制度は建物のある地方公共団体。性能検査・自主検査は所轄の労働基準監督署。昇降機等検査員講習は日本建築設備・昇降機センター。安全マークは建築性能基準推進協会
窓口(出典 国土交通省/各団体)

まとめ

覚えておくこと。1 法定点検の本体は12条3項の定期検査で所有者(管理者)が資格者に検査させ特定行政庁へ報告。2 間隔はおおむね6月~1年で特定行政庁が決め、東京都は前年の報告日の翌日から1年。3 検査できるのは一級・二級建築士と昇降機等検査員で判定は告示第283号。4 保守点検は8条・指針でFMとPOGは部品交換の範囲が違い、料金は2社の原文で相場は作らない。5 戸開走行保護装置の設置率は39.5%、義務付け前のものは全面的な撤去・新設で義務、後付けは補助を確かめる
まとめ(出典 建築基準法/施行規則6条/告示第283号/標準契約書/国土交通省 報道発表)

エレベーターの法定点検の本体は、建築基準法12条3項の定期検査です。所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)が、一級建築士・二級建築士・昇降機等検査員に検査させ、結果を特定行政庁に報告します。間隔は施行規則6条1項で「おおむね六月から一年まで」の幅で特定行政庁が決め、東京都は前年の報告日の翌日から1年以内です。検査の項目と判定基準は告示第283号で、結果は指摘なし・要重点点検・要是正・既存不適格に分かれます。

毎月の保守点検は8条1項の維持保全で、国土交通省の指針と標準契約書が中身を示しています。FMは劣化した部品の取替えや修理まで、POGは消耗品を除き含みません。料金は業者2社の原文を載せましたが、前提がそれぞれ違うので、FMかPOGか、訪問の回数、定期検査の費用が入っているかをそろえて見積もりを比べてください。工場や倉庫のエレベーターは、労働安全衛生法の性能検査や自主検査も確かめます。

戸開走行保護装置は、平成21年9月28日以降に着工したエレベーターに義務で、令和6年度の設置率は39.5%です。それより前のものは既存不適格で違反ではありませんが、全面的な撤去・新設のときは義務になります。後付けを考えるなら、先に自治体の補助制度を確かめてください。この記事の業者と検査機関の金額は2026年9月26日に取得したもので、推薦でも相場でもありません。

この記事で使った一次情報

建築基準法(e-Gov)
建築基準法施行令(e-Gov)
建築基準法施行規則(e-Gov)
労働安全衛生法(e-Gov)
労働安全衛生法施行令(e-Gov)
クレーン等安全規則(e-Gov)
労働安全衛生法関係手数料令(e-Gov)
労働基準法(e-Gov)
国土交通省 昇降機の適切な維持管理について
昇降機の適切な維持管理に関する指針(PDF)
エレベーター保守・点検業務標準契約書(PDF)
指針・標準契約書の概要(PDF)
平成20年国土交通省告示第283号(PDF)
告示第283号の本文(Word)
告示第283号 別表第一(PDF)
告示第283号 別表第二(PDF)
告示第283号 別記第一号 検査結果表(PDF)
令和6年国土交通省告示第974号(PDF)
国土交通省 戸開走行保護装置とは(PDF)
国土交通省 通知 既設エレベーターへの戸開走行保護装置の設置(PDF)
国土交通省 エレベーターの防災対策改修事業 概要(PDF)
国土交通省 リーフレット 戸開走行保護装置(PDF)
国土交通省 報道発表 戸開走行保護装置の設置率(PDF)
国土交通省 定期報告制度
東京都 定期報告が必要な建築物等及び報告時期一覧(PDF)
東京都 定期報告の時期(建築設備・昇降機等)
東京都 定期報告 Q&A
日本建築設備・昇降機センター 昇降機等検査員講習
日本建築設備・昇降機センター ニュース
日本エレベーター協会 設備を管理される方へ
港区 エレベーター改修工事費用の助成金額の例(PDF)
北海道 既設エレベーターの安全対策

建築基準法12条点検
  • URLをコピーしました!
  • 誘導灯の交換|本体とバッテリーの交換時期、点検で交換になる基準、点滅の見方、バッテリー交換の資格、LED化と配置のルール、業者6社の料金、非常灯との違い【2026年版・条文つき】
  • 消防設備士とは|甲種と乙種の違い、乙6、試験の合格率、受験資格、免状、講習の期限、点検をだれに頼めるか【2026年版・条文つき】

LINEで最新の情報を受け取れます

点検の依頼で損をしないために。LINEで受け取る

受け取れる情報を見る

メールで相談したい方へ

うちの建物は対象?迷ったら相談を。無料で相談する

無料相談の内容を見る

関連記事

  • 非常用照明の設置基準|要る建物の4つの条件(500㎡・1,000㎡・無窓の居室)、設置しなくてよい部屋、床面1ルクスと予備電源、誘導灯との違い、点検とバッテリー交換の目安【2026年版・施行令126条の4の原文つき】
    非常用照明の設置基準|要る建物の4つの条件(500㎡・1,000㎡・無窓の居室)、設置しなくてよい部屋、床面1ルクスと予備電源、誘導灯との違い、点検とバッテリー交換の目安【2026年版・施行令126条の4の原文つき】
    2026年11月5日
  • 防火区画とは|面積・高層・竪穴・異種用途の4種類、1,500㎡や100㎡の基準、防火戸と防火シャッターの条件、管理で区画を壊さない注意【2026年版・施行令112条の原文つき】
    防火区画とは|面積・高層・竪穴・異種用途の4種類、1,500㎡や100㎡の基準、防火戸と防火シャッターの条件、管理で区画を壊さない注意【2026年版・施行令112条の原文つき】
    2026年11月2日
  • 外壁の全面打診調査とは|10年ごとの義務と3つの例外、赤外線・ドローン調査の条件、タイルの種類ごとの扱い、足場とロープ、業者の公開料金【2026年版・告示とガイドラインの原文つき】
    外壁の全面打診調査とは|10年ごとの義務と3つの例外、赤外線・ドローン調査の条件、タイルの種類ごとの扱い、足場とロープ、業者の公開料金【2026年版・告示とガイドラインの原文つき】
    2026年10月26日
  • 建築設備定期検査とは|換気・排煙・非常用照明・給排水の検査、対象の建物、毎年と3年ごとの項目、告示の検査内容、資格、東京都の手数料と費用【2026年版・告示の原文つき】
    建築設備定期検査とは|換気・排煙・非常用照明・給排水の検査、対象の建物、毎年と3年ごとの項目、告示の検査内容、資格、東京都の手数料と費用【2026年版・告示の原文つき】
    2026年10月10日
  • 特定建築物定期調査とは|対象の建物、報告の時期、調査できる資格、告示の調査項目、外壁タイルの全面打診(10年)、手数料と費用、罰則【2026年版・条文と告示の原文つき】
    特定建築物定期調査とは|対象の建物、報告の時期、調査できる資格、告示の調査項目、外壁タイルの全面打診(10年)、手数料と費用、罰則【2026年版・条文と告示の原文つき】
    2026年10月10日
  • 防火設備定期検査とは|対象になる防火扉・シャッター、告示第723号の検査項目、報告時期、業者4社の公開料金、指摘が出たとき【2026年版】
    防火設備定期検査とは|対象になる防火扉・シャッター、告示第723号の検査項目、報告時期、業者4社の公開料金、指摘が出たとき【2026年版】
    2026年9月26日
  • 建築基準法12条点検(定期報告)とは?対象建築物・報告時期・資格者・費用・消防の点検との違い【2026年版・条文つき】
    建築基準法12条点検(定期報告)とは?対象建築物・報告時期・資格者・費用・消防の点検との違い【2026年版・条文つき】
    2026年9月23日

テーマから探す

  • 消防設備点検
  • 防火対象物点検
  • 建築基準法12条点検
  • 費用・業者選び
  • 改修・交換工事
  • マンション・テナント
  • 2026年11月5日
    建築基準法12条点検

    非常用照明の設置基準|要る建物の4つの条件(500㎡・1,000㎡・無窓の居室)、設置しなくてよい部屋、床面1ルクスと予備電源、誘導灯との違い、点検とバッテリー交換の目安【2026年版・施行令126条の4の原文つき】

  • 2026年11月4日
    改修・交換工事

    フロン点検とは|業務用エアコン・冷凍冷蔵機器の簡易点検は3か月に1回、7.5kW以上は定期点検、対象の見分け方と管理者、記録簿、罰則、費用の例【2026年版・環境省の手引きつき】

  • 2026年11月3日
    消防設備点検

    避難器具の設置基準|設置が必要な階(施行令25条)、収容人員と個数の計算、減免、避難はしご・緩降機・救助袋の置き方、4階以上の条件、標識、点検、罰則【2026年版・条文つき】

  • 2026年11月2日
    建築基準法12条点検

    防火区画とは|面積・高層・竪穴・異種用途の4種類、1,500㎡や100㎡の基準、防火戸と防火シャッターの条件、管理で区画を壊さない注意【2026年版・施行令112条の原文つき】

  • 2026年11月1日
    消防設備点検

    消火器の設置基準|設置が必要な建物(施行令10条)、必要な本数の計算(能力単位)、歩行距離20m、付加設置、高さ1.5mと標識、飲食店、既存の建物、罰則【2026年版・条文つき】

法定点検ガイド

法定点検ガイドは、建物の所有者・管理者の方に向けて、消防設備点検や建築基準法の定期報告を法令と行政の公開情報をもとに解説するメディアです。

テーマ

  • 消防設備点検
  • 防火対象物点検
  • 建築基準法12条点検
  • 費用・業者選び
  • 改修・交換工事
  • マンション・テナント

このサイトについて

  • 運営者情報
  • 広告掲載について
  • プライバシーポリシー・免責事項
  • お問い合わせ
  • 運営者情報
  • 広告掲載について
  • プライバシーポリシー・免責事項
  • お問い合わせ

© 法定点検ガイド

目次