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  3. 防火対象物使用開始届とは|使用開始の7日前まで、誰が出すか、工事なしでも必要な場面、書き方、添付図書、使用前の検査、東京以外の8本部の違い、厨房設備・消防用設備・防火管理の届出との関係、罰則【2026年版・条例つき】

防火対象物使用開始届とは|使用開始の7日前まで、誰が出すか、工事なしでも必要な場面、書き方、添付図書、使用前の検査、東京以外の8本部の違い、厨房設備・消防用設備・防火管理の届出との関係、罰則【2026年版・条例つき】

2026 10/17
防火対象物点検
2026年10月17日
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防火対象物使用開始届とは|使用開始の7日前まで、誰が出すか、工事なしでも必要な場面、書き方、添付図書、使用前の検査、東京以外の5本部の違い、罰則【2026年版・条例つき】

この記事の情報

東京都火災予防条例・同施行規則(東京都例規集)、消防庁の火災予防条例(例)、消防法・同法施行令(e-Gov)、東京消防庁の使用開始届のページ・記入例・窓口と電子の手順のPDF、静岡市・那須地区消防組合・さいたま市・川崎市・熊本市・大阪市・横浜市・名古屋市の案内、東京消防庁の予防事務審査・検査基準、消防法施行規則(e-Gov)は、2026年10月11日に原文を取得して確認しました。条文と案内は原文どおりに引用しています。使用開始届は市町村の条例で決まる届出なので、提出部数や付ける図面は消防本部ごとに違います。最後は建物を管轄する消防署で確かめてください。

店舗を出す、事務所を借りて入居する、ビルのテナントが入れ替わる。こうしたときに消防署へ出すのが「防火対象物使用開始届出書」です。工事をした業者が出してくれるものだと思われがちですが、東京消防庁は、届出者は実際にその場所を使う人だとはっきり書いています。内装工事をしない居抜きの入居でも届出は要ります。

この記事では、使用開始届を、店や事務所を使い始める事業者と、そのビルの所有者・管理会社の目線で並べます。根拠になっている条例、届出が要る場面、誰が出すのか、7日前から逆算した日程、届出書の書き方、付ける図書、窓口・郵送・電子申請の違い、使用前の検査、東京都以外の消防本部の違い、出さなかったときの罰則です。

飲食店の店内の通路。客席と厨房が見え、壁際に消火器が置かれている様子のイメージ
テナントの入居前(イメージ)
目次
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先に結論

使用開始届の要点5つ。7日前までに消防署へ、出すのは実際に使う人、工事なしでも必要、使用前の検査、東京都で出さずに使うと10万円以下の罰金
使用開始届の要点
知りたいこと答え
何の届出か建物やその一部を、これから使い始めることを消防署に知らせる届出
根拠市町村の火災予防条例(東京都は56条の2、消防庁の条例(例)は43条)
いつまでに使用を開始する日の7日前まで
誰が出すか実際に使用しようとする人(入居する人、テナントで営業する人)
工事がなくても要る。居抜きで設備をそのまま使う場合も
付ける図書(東京都)概要表、平面図、立面図、断面図、室内仕上表、建具表など
届出のあと使用開始前に消防署の検査(東京都の指定防火対象物等)
出さないと東京都は10万円以下の罰金(条例67条の2第4号)。法人も罰金(68条)

使用開始届とは何か、根拠はどこにあるか

使用開始届は、消防法そのものではなく、市町村が定める火災予防条例で決まっている届出です。消防庁は市町村が条例を作るときのひな形として「火災予防条例(例)」を示していて、その43条に次のように書かれています。

令別表第1に掲げる防火対象物(同表(19)項及び(20)項に掲げるものを除く。)をそれぞれの用途に使用しようとする者は、使用開始の日の7日前までに、その旨を消防長(消防署長)に届け出なければならない。(火災予防条例(例)43条)
根拠は消防法ではなく条例。消防庁の火災予防条例(例)43条をもとに市町村が条例を定める。東京都は56条の2、那須と熊本市は43条
根拠は市町村の火災予防条例

各市町村は、このひな形をもとに自分の条例を定めています。那須地区消防組合は「那須地区消防組合火災予防条例第43条」、熊本市は「熊本市火災予防条例第43条」を根拠にあげていて、ひな形と同じ43条です。東京都は条文の番号が違い、火災予防条例56条の2で定めています。

東京都の56条の2第1項は、令別表第一の防火対象物又はその部分を使用(一時使用を除く)しようとする者は、使用を開始する日の7日前までに、規則で定めるところにより消防署長に届け出なければならない、としています。カッコ書きで、56条1項の工事等(新築を除く)をしたあとに使用しようとする者も含むと書かれています。

ここで押さえておきたいのは、条文の番号も細かい中身も市町村ごとに違うことです。たとえば消防庁の条例(例)では、罰則の条(49条・50条)に43条の届出は入っていません。一方、東京都は届出をせずに使った人に罰金を決めています。自分の店や事務所がある市町村の条例と消防本部の案内を見るのが、いちばん確かです。

届出が要る場面

届出が要る場面。建物の建築後、間取りや天井高さを変える改装工事の後、テナントの入れ替え後、工事をしない使用形態の変更。工事を行わなくても届出が必要
届出が要る場面

東京消防庁は、届出が必要な場合を「建物や建物の一部をこれから使用しようとする場合」とし、具体例として、建物の建築後、「間取り」又は「天井高さ」の変更等の改装工事後、テナント入れ替え後の3つをあげています。

東京消防庁の事業所向けのページは、さらに「防火対象物や防火対象物の一部を新たに使用する(工事を行わなくても届出が必要です)」と書いています。内装をいじらずに前の店の設備をそのまま使う居抜きの入居でも、使用開始届は要るということです。

居抜きで入るとき

居抜きで入るときの届出。設備はそのままで工事なしなら使用開始届だけ、工事をして変えるなら工事等計画届と使用開始届の両方
居抜きの入居と届出

東京消防庁は、居抜きの例を2つに分けて説明しています。設備等はそのままで、工事を行わないで4階のレストランを居酒屋へ変更する場合は、使用開始届を出します。居抜きでも工事を行う場合は、これに加えて防火対象物工事等計画届出書が必要になります。工事を行い新たにレストランをオープンさせる場合も、工事等計画届が必要だと書かれています。

那須地区消防組合も、届出が必要なときとして、建物を新築したとき、増改築したとき、建物の用途やテナントを変更したときをあげ、例として「事務所→飲食店」「個人住宅→福祉施設」を示しています。用途が変わると、新しく消防用設備が必要になることがあります。さいたま市と熊本市は、増改築や用途の変更をするときは計画段階で事前に管轄の消防署へ相談するよう呼びかけています。

対象になる建物

届出の対象になる建物。別表第一の1項から18項までの用途。19項の山林と20項の舟車は除く。個人の住宅と長屋は除く。建物の一部でも当たる
対象になる建物

対象は、消防法施行令の別表第一に用途があげられている防火対象物です。劇場、飲食店、物品販売店舗、ホテル、共同住宅、病院、福祉施設、学校、工場、倉庫、事務所、複合用途の建物などが入ります。別表第一のうち、(19)項の市町村長の指定する山林と、(20)項の総務省令で定める舟車は除かれます。

住宅について、那須地区消防組合は「個人の住宅、長屋は除きます」、さいたま市は「建物(一般住宅、長屋を除く)」と書いています。また両方とも、建物の一部を使う場合でも当たるとしています。ビルの1フロアや1区画を借りる場合も対象です。

自分の店が別表第一のどの項に当たるかは、届出書の「用途」欄に書くことになります。建物全体の用途(たとえば複合用途なら(16)項イ)と、自分の事業所の用途(たとえば飲食店なら(3)項ロ)を、それぞれ書きます。

誰が出すのか

誰が出すのか。東京消防庁は実際に使用しようとする方。届出者欄は建築工事業者・消防設備業者・内装工事業者ではない。さいたま市は一般的に所有者・管理者・占有者。建物の所有者には届出を求める努力義務
届出者は実際に使う人

東京消防庁は、届出をする人(届出者欄に記載される人)を「実際に使用しようとする方(入居する方、テナントで営業する方)」としています。そのうえで「届出者欄に記載される方は「工事する建築工事業者」、「消防設備業者」又は「内装工事業者」ではありませんのでご注意ください。」と念を押しています。

書類の作成や消防署への持参を、内装業者や設計事務所が代わりにすることはあります。静岡市は代理での提出を「可」としつつ、提出時に内容を確認するので「内容を把握されている方の提出が望ましい」と書いています。誰が持っていくにしても、届出書に名前が載るのはテナント側です。

さいたま市は、届出者を「建物又はその一部分を、それぞれの用途に使用する者」とし、補足で「一般的には、建物及びテナントの関係者(所有者、管理者、占有者)となります」と書いています。言い方は本部ごとに少し違いますが、使う人が出すという軸は同じです。

ビルの所有者の努力義務

東京都の条例56条4項は、防火対象物又はその部分の所有者は、工事等をしようとする者に対して届出を適正に行うことを求めるよう努めなければならない、としています。56条の2第4項は、この規定を使用開始届にも準用しています。テナントを入れる所有者は、届出を求めるよう努める立場にあるということです。

いつまでに出すか、日程の逆算

使い始める日から逆算する順番。工事等計画届は着手の7日前まで、工事、使用開始届は使用開始の7日前まで、使用開始前の検査、使用開始。窓口の副本返却まで7日間かかる場合がある
使用開始日から逆算する

期限は、使用を開始する日の7日前までです。東京都の条例56条の2、消防庁の条例(例)43条、静岡市、那須、さいたま市、川崎市、熊本市のどの案内でも、7日前までという点は同じでした。

気をつけたいのは、7日前に出せば開店日に間に合うとは限らないことです。東京都では、指定防火対象物等の場合は使用開始前に消防署の検査があります。東京消防庁の窓口手順の概要には、届出書の副本の返却まで「7日間必要とする場合があります」とあり、土日祝日を含む場合や添付書類が不足している場合は、それ以上の日数がかかる場合もあると書かれています。

内装工事をするなら、工事等計画届が着手する日の7日前までに要ります。消防用設備を足したり動かしたりする工事なら、工事が終わってから4日以内に設置届も要ります。設置届については 消防用設備等の設置届と消防検査 に書いています。開店日を先に決めて、そこから届出と検査の日程を逆算して、工事業者・設計者と共有しておくと慌てずに済みます。

届出書の書き方

東京消防庁は、届出書の様式(Word・PDF)と記入例を公開しています。様式は東京都火災予防条例施行規則の「第3号様式の2」です。東京消防庁のページには、令和5年10月13日の施行規則の改正で様式と記入例を変えたとお知らせがあります。古い様式を使い回さず、届け出るときにページから取り直すほうが安全です。

東京消防庁の防火対象物使用開始届出書の記入例。第3号様式の2で、①届出日から⑨設計者・施工者までの番号が振られている
東京消防庁の記入例(第3号様式の2)

記入例は、延べ面積1,000平方メートル、地上5階・地下1階の(16)項イ(特定用途複合)のビルの2階、床面積150平方メートルに、(3)項ロの飲食店(カフェ)が入る想定で書かれています。工事等種別は、事業所の場合の「その他(事業所入居に伴う間仕切り変更工事)」です。

届出書の書き方①から⑩。届出日、届出先、届出者、建物と事業所、建物欄、事業所欄、工事等種別、使用開始日、設計者と施工者、添付図書
記入要領①から⑩

記入要領のうち、迷いやすいのは④から⑦です。建物全体を使うなら建物欄だけを書き、事業所の入れ替えに伴う届出なら建物欄と事業所欄の両方を書きます。建物欄の面積は、使おうとしている区画ではなく建物全体の建築面積と延べ面積を書きます。事業所欄の床面積は、自分の事業所が使う部分の床面積です。複数の階を使うなら、すべての階を書きます。

工事等種別は、建物全体の工事なら「建物の場合」欄に、事業所の入れ替えなら「事業所の場合」欄に書きます。記入要領は、新築・増築・改築・用途変更・移転・模様替え・修繕・その他の8つを定義しています。たとえば「模様替え」は、除却や滅失を伴わずに主要構造部を以前の状態から変える工事、「修繕」は主要構造部の原状回復的な工事です。

届出書の備考で見落としやすい6点。法人は名称と代表者氏名、同じ敷地の建物は別紙、事業所欄、防火安全技術講習の修了証、石油機器技術管理講習の修了証、※欄は書かない
備考の6点

備考欄にも注意書きがあります。同じ敷地に管理権原が同じ建物が2つ以上あるときは、主な建物だけを本届出書にして、ほかは概要欄を別紙にして付けられます。防火安全技術講習の修了者が届出の内容を調べた場合や、石油機器技術管理講習の修了者が安全装置付きの設備や器具を設置する場合は、修了証の写しを付けます。受付欄と経過欄(※欄)には書きません。

付ける図書

東京都で付ける図書のチェックリスト。概要表、平面図・立面図・断面図、室内仕上表及び建具表、防火基準の審査に必要な図書、火気使用設備等の位置・構造の図書
付ける図書(東京都)

東京都では、56条の2第2項が56条2項を準用し、施行規則12条2項が図書を決めています。防火対象物の概要表、平面図、立面図、断面図、室内仕上表及び建具表と、防火基準に適合することを審査するために必要な事項を記載した図書です。火気使用設備等や火気使用器具等を置く(内容を変える場合を含む)ときは、その位置、構造等の状況を示した図書も付けます。

東京消防庁のテナント向けのページは、必要書類として「防火対象物概要表・案内図・平面図・詳細図・立面図・断面図・展開図・室内仕上表及び建具表等」をあげています。窓口手順の概要も「届出内容によって必要な添付図書が変わります」と書き、分からなければ届け出る予定の消防署に先に確かめるよう案内しています。

概要表の様式(防火対象物・製造所等の概要表)も、東京消防庁の使用開始届のページから取れます。厨房でガスコンロやフライヤーを使う飲食店なら、火気使用設備等の図書が要るかを特に確かめておくとよいでしょう。

用途によって足す図書

用途によって足す図書。飲食店とキャバレー等は客席の配置状況等、劇場等は客席の構造と配置と定員の算定、ディスコ等は特殊照明と音響の停止、個室型店舗は個室の戸の自動閉鎖、百貨店等と地下街は避難通路と屋上広場、旅館とホテルは避難経路図、不特定の者が出入りする店舗等は避難に必要な時間の算定
用途によって足す図書(東京都)

東京都の施行規則12条2項3号は、表の形で、条例の避難の管理の規定が当てはまる用途ごとに、さらに付ける図書を決めています。56条の2第2項の準用で、使用開始届にもこの表がかかります。店の種類によって、概要表や平面図だけでは足りないということです。

当てはまる条例の規定用途足す図書
50条・51条の2第2号キャバレー等、飲食店客席の配置状況等を示した図書
48条・49条・51条の2第1号劇場等客席の構造及び配置状況等を示した図書
53条劇場等定員を算定した図書
50条の2ディスコ等特殊照明と音響の停止、避難上有効な明るさを保つ措置の状況
50条の2の2個室型店舗避難通路に面した個室の戸を開けたとき自動的に閉まる措置の状況
51条・51条の2第3号百貨店等、地下街の物品販売店舗主要避難通路・補助避難通路と色別等の状況、屋上広場の状況
52条旅館、ホテル、宿泊所避難経路図の掲出の状況
53条の3不特定の者が出入りする店舗等予測される避難に必要な時間を算定した図書と、その算定に必要な図書
54条避難施設のある建物避難施設の状況を示した図書
55条の2防火設備のある建物防火設備の状況を示した図書

飲食店なら客席の配置、ホテルなら避難経路図の掲出の状況が加わります。不特定の者が出入りする店舗等では、その階の位置、構造、設備、収容人員、使用形態、避難施設の配置などから避難に必要な時間を算定した図書が求められます。どの区分に当たるかは設計者と一緒に確かめ、図面をそろえる段階で消防署に聞いておくと手戻りが減ります。

出し方は窓口・郵送・電子申請

東京消防庁での出し方3つ。窓口は正本と副本で副本返却まで7日間かかる場合がある、郵送は消防署に連絡して検査日程を相談、電子申請は最低でも2回通知
出し方の比較

東京消防庁は、電子申請、窓口、郵送の3つで受け付けています。届出先はどれも建物を管轄する消防署で、分署や出張所の場合もあります。

窓口では、届出書一式を正本と副本の2部で出し、消防署の登録印が付いた副本が返ってきます。返却まで7日間かかる場合があり、返却のときに、消防法令に適合させるための指摘事項や、消防法令の基準よりも防火安全性を高めるための行政指導を伝えられることがあります。

電子申請の通知の流れ。届出、不足があれば差し戻し連絡で届出は未完了、受付結果通知、審査結果通知
電子申請の流れ

電子申請は、東京共同電子申請・届出サービスを使います。入力フォームに書き込み、図書をファイルで添付します。添付ファイルが足りないなどの場合は差し戻し連絡が来て、その時点ではまだ届出は完了していません。到着を確かめた時点の受付結果通知と、審査が終わった時点の審査結果通知で、最低でも2回通知されます。差し戻されたら再提出が要ります。

郵送で出したときと電子申請のときは、管轄の消防署に自分から連絡して検査の日程を相談するよう、東京消防庁は案内しています。窓口なら受付のときに検査の日程を相談できます。

使い始める前の消防署の検査

使い始める前の消防署の検査。工事等が完了したときの使用検査と、完了前の中間検査。検査を省略する場合がある。指摘があれば改修(計画)報告書
使用前の検査

東京都の条例56条の2第3項は、指定防火対象物等を使用しようとする者は、使用開始前に消防署長の検査を受けなければならない、としています。施行規則12条の2の2は、この検査を、工事等が完了した場合に行う「使用検査」と、使用検査を補うために工事等の完了前に行う「中間検査」としています。中間検査は、火災予防上と消防活動上の影響が大きく、完了後では検査が難しい部分が対象です。

東京消防庁は、届出の内容によっては検査を省略する場合があると書いています。検査で指摘事項があった場合は、改修(計画)報告書を出します。提出期限は、検査結果通知書の交付時に示されます。様式と記入例は、使用開始届のページに並んでいます。

防火基準の5項目。避難施設と防火戸の管理、防炎対象物品の防炎性能、消防用設備等の設置、避難の管理、そのほかの防火に関する法令への適合
防火基準の5項目

東京都の条例56条3項は、工事等計画届の内容が「防火基準」に適合しているかを消防署長が審査するとしています。使用開始届に付ける図書にも、56条の2第2項による準用で「防火基準に適合することについて審査をするために必要な事項を記載した図書」が入っています。施行規則12条3項は、その防火基準を5つあげています。避難上必要な施設と防火戸が適切に管理されていること、高層建築物や地下街などで使う防炎対象物品が防炎性能を持っていること、設置すべき消防用設備等が設置されていること、条例48条から55条の2までにもとづく避難の管理がされていること、そのほか法令と条例の防火に関する規定に適合していることです。

通路や防火戸の前に物を置かない、カーテンやじゅうたんは防炎品にする、必要な消防用設備を付ける、といった点は、開店の前に自分たちでも確かめておけます。入居後は防火管理者の選任が要る場合もあります。選任が要る建物の線引きは 防火管理者の選任 で書いています。

白いヘルメットの人が建物の外からタブレットを手に建物を見ている様子のイメージ
建物の状況を確かめる(イメージ)

検査を受けないまま使うとどうなるか

東京消防庁は、届出の審査や検査のやり方を「予防事務審査・検査基準」として公表しています(公表ページの更新日は2026年7月13日)。その第5章の総論には、条例56条の2第3項の中間検査と使用検査を受けなくても、防火対象物の使用は禁止されているわけではない、と書かれています。

ただし続けて、この場合は使用を始めたあとに消防法4条にもとづく立入検査を行い、必要に応じて法17条の4第1項、5条第1項又は5条の2第1項の命令を出すなどの措置が要るとしています。そのため、使用検査を受けなければならない防火対象物は、検査を受けたあとでなければ使わないよう指導することが望ましい、という整理です。東京都では検査を拒んだり妨げたりして使えば条例67条の2第4号の罰金の対象にもなりえるので、開店日は検査の日程とあわせて決めるのが無難です。

工事中に検査がある建物

中間検査がある建物。新築や増築などの工事中で、延べ面積500平方メートル以上の指定防火対象物等(耐火建築物で地階を除く階数が3以上)になるものと、消防署長が指定する建築物。完成後に隠れる配管や防火区画を見る。中間検査をした場合は使用検査を省略できない
中間検査がある建物

同じ審査・検査基準は、中間検査の対象を2つにしています。新築、増築、改築、移転、大規模の修繕又は大規模の模様替えの工事中の建築物のうち、延べ面積500平方メートル以上の指定防火対象物等(耐火建築物で地階を除く階数が3以上のものに限る)になるものと、それ以外で消防署長が指定する建築物です。ビルの新築や大きな改修のすぐあとに入居するなら、建物側でこの検査が済んでいるかを管理会社に聞いておくとよいでしょう。

中間検査で重点的に見る「火災予防上及び消防活動上重大な影響を及ぼすと認められる部分」として、基準はアからクまでの8項目をあげています。消防用設備等の設置の規制にかかわる建物の構造、防火区画や火気設備等の不燃区画、消防用設備等の配管・水槽・配線を敷く部分、火気設備等の周りの内装と下地、煙突・排気筒・風道(厨房の排気ダクトを含む)の構造と材質などです。天井裏や埋設部分のように、完成後には見えなくなる場所が中心です。

防火区画などの構造は、建築基準法6条1項の確認の申請書と添付図書の写しと照らし合わせて、施工が図書と一致しているかを確かめるとしています。また、中間検査をした場合は使用検査を省略できないこと、中間検査の時点で工事が終わっていればそれは中間検査ではなく使用検査になることも書かれています。

検査が省略されることがある工事

使用検査が省略されることがある工事。立入検査や点検結果の報告や施工状況の写真で確かめられる小規模な工事。例は消火器の設置、警戒区域を変えない自動火災報知設備の工事、誘導灯の工事、消防用設備等の設置を伴わない工事等。省略するかは消防署が決める
使用検査が省略されることがある工事

使用検査は、立入検査、消防用設備等の点検結果の報告(法17条の3の3)、又は工事の施工状況の写真で防火上支障がないことを確かめられる小規模な工事なら、行わないことがあります。基準は例として、消火器の設置、警戒区域を変えない自動火災報知設備の工事、誘導灯の工事などをあげています。使用開始届の対象になる指定防火対象物等では、「消防用設備等の設置を伴わない工事等」が入っています。

ただし、省略するかどうかを決めるのは消防署です。届出の時点では、検査がある前提で日程を組んでおき、省略になったら前倒しする、という順番のほうが慌てずに済みます。

検査で見られること

検査で見られること。建物全体の用途と収容人員、防火管理者が要る建物か、カーテンなどの防炎表示、通路や階段に物を置いていないか、防火戸が閉まるのを邪魔していないか、避難口の戸の施錠方法、飲食店のいす席の位置と避難通路の幅、ホテルの避難経路図
検査で見られること

審査・検査基準の別記1は、防火対象物の中間検査と使用検査で見る項目と、その見方を表にしています。防火管理の欄には、建物全体の用途の判定、収容人員の算定(目視とスケールなどによる採寸)、防火管理者を選任しなければならない建物かどうか(そうであれば届出を行うよう指導)、統括防火管理者、防炎対象物品に防炎表示が付いているかなどが並びます。

避難施設等の管理の欄には、避難上必要な施設に物を放置していないか、防火戸が閉まるのを邪魔する物を置いていないか、避難口の戸の施錠の方法、階段の敷物の仕様が入っています。飲食店ではいす席の位置と避難通路の幅をスケールで測り、ホテル・旅館では避難経路図の掲出、劇場等では満員札の準備を確かめます。どれも開店前に自分たちで先に見直せる項目です。

「指定防火対象物等」とは

指定防火対象物等とは。消防法施行令10条1項の消火器具を置く建物、令21条1項1号・3号・7号の自動火災報知設備を置く建物など。どれにも当たらなくても使用開始届は出す
指定防火対象物等の範囲

東京都の条例で、工事等計画届と使用開始前の検査の対象になるのが「指定防火対象物等」です。56条1項1号は、令別表第一の防火対象物((19)項と(20)項を除く)のうち、施行令10条1項各号か、21条1項1号((13)項ロを除く)・3号・7号に当たる防火対象物と、10条1項5号の部分を持つ防火対象物、又はその部分を指定防火対象物等としています。

施行令10条1項は消火器具を置く建物の範囲、21条1項は自動火災報知設備を置く建物の範囲を決める条です。10条1項は、劇場等の(1)項イ、(2)項、入院設備のある病院等は面積に関係なく、火を使う設備のある(3)項の飲食店も面積に関係なく、物品販売店舗やホテル、共同住宅、工場、倉庫などは延べ面積150平方メートル以上、学校、図書館、事務所などは延べ面積300平方メートル以上を対象にしています。地階、無窓階、3階以上の階で床面積50平方メートル以上の部分も入ります。

店舗や事務所の多くはどれかに当たりうる書き方ですが、当たるかどうかは建物の用途と面積で決まります。迷ったら、届出の前に管轄の消防署に聞いてください。なお、指定防火対象物等に当たらない建物でも、使用開始届そのものは56条の2第1項で出すことになっています。

ほかの届出との違い

店を開けるまでに出てくる届出の比較表。工事等計画届・使用開始届・一時使用・火気使用設備等は7日前、少量危険物・指定可燃物は10日前、消防用設備等の設置届は工事完了から4日以内
期限の違う届出の比較

店を開けるまでには、使用開始届のほかにもいくつか届出が出てきます。東京都の条例と消防法から、期限を並べるとこうなります。

届出期限根拠
工事等計画届着手する日の7日前まで東京都条例56条
使用開始届使用を開始する日の7日前まで東京都条例56条の2
一時的に不特定の者が出入りする店舗等の届出一時的な使用を開始する日の7日前まで東京都条例56条の3
火気使用設備等の設置の届出工事に着手する日の7日前まで東京都条例57条
少量危険物・指定可燃物の貯蔵取扱所の届出設置しようとする日(工事を伴う場合は着手日)の10日前まで東京都条例58条
消防用設備等の設置届工事が完了した日から4日以内消防法17条の3の2
倉庫の棚に並んだ青と灰色のドラム缶と金属のタンクの様子のイメージ
危険物の貯蔵(イメージ)

使用開始届は「使い始める前」、工事等計画届は「工事の前」、設置届は「消防用設備の工事のあと」と、出す時期の基準が違います。期間限定のポップアップ店のように一時的に使う場合は、56条の2ではなく56条の3の届出になります。56条1項にはただし書があり、建築基準法の確認を受けた場合などは工事等計画届は要らないとされています。どれが自分に当たるかは、工事の内容が決まった段階で消防署に聞くのが早道です。

一時使用の届出の様式と図書

東京都の一時使用の届出は、施行規則12条の3で「第3号様式の3」の届出書を使うと決められています。条例56条の3第2項は、防火対象物の所在、一時的な用途と使用形態、使用期間、収容人員、避難施設など、防火と避難の管理と消防活動に必要な事項を書いた図書を付けるとしています。

付ける図書は、使用開始届と同じ施行規則12条2項1号から3号までの図書です。ただし、すでに56条1項の工事等計画届か56条の2第1項の使用開始届が出ていて、そのときに付けた図書の内容に変わりがないものは除かれます。同じ区画で催しをくり返すなら、前回の届出の図書が使えるかを先に確かめると手間が減ります。なお、観覧場や展示場の関係者が催しを行うときの条例59条の3の届出(催しを行う日の3日前まで)は、56条の3第1項の届出をしたときは要らないとされています。

厨房や電気の設備を置くときの届出

厨房や電気の設備は別の届出。東京都条例57条で工事に着手する日の7日前まで。厨房設備は入力の合計120キロワット未満、ボイラーと給湯湯沸設備とヒートポンプ冷暖房機は70キロワット未満、急速充電設備は50キロワット以下、蓄電池設備は20キロワット時以下が除かれる。サウナ設備と高圧の変電設備は除外なし
火気使用設備等の届出

使用開始届とは別に、東京都の条例57条は、火を使う設備や火災のおそれのある設備(火気使用設備等)のうち18の号にあたるものを置くとき、工事に着手する日の7日前までに届け出るよう決めています。内容を変える場合も含みます。飲食店の厨房やビルの電気設備がかかわるので、出店のときに使用開始届と一緒に出てくることが多い届出です。

設備届出が要らないもの(条例57条1項のカッコ書き)
厨房設備入力の合計が120キロワット未満(下方に排気する方式は除外されない)
温風暖房機風道を使わないもので入力70キロワット未満
ヒートポンプ冷暖房機入力70キロワット未満
ボイラーボイラー及び圧力容器安全規則3条のボイラーと、入力70キロワット未満
給湯湯沸設備入力70キロワット未満
乾燥設備入力17キロワット未満、又は乾燥物収容室の据付け面積1平方メートル未満か内部容積1立方メートル未満
急速充電設備全出力50キロワット以下
蓄電池設備蓄電池容量20キロワット時以下
ネオン管灯設備設備容量2キロボルトアンペア以上が対象
サウナ設備、高圧又は特別高圧の変電設備、放電加工機などカッコ書きの除外なし

ほかに、固体燃料を使う炉、据付け面積1平方メートル以上の炉、燃料電池発電設備、火花を生ずる設備、内燃機関を原動力とする発電設備、水素ガスを充塡する気球も号にあがっています。届け出た設備は、57条4項で、使用開始前に消防署長の検査を受けることになっています。

火気使用設備等の届出書の様式。炉や厨房設備やボイラーなどは第4号様式、燃料電池発電設備は第4号様式の2、放電加工機は第4号様式の3、変電設備や蓄電池設備などは第5号様式、気球は第6号様式。第4号様式の添付図書は11種類
火気使用設備等の届出書の様式

届出書は施行規則13条で設備ごとに分かれています。炉、厨房設備、ボイラー、サウナ設備、給湯湯沸設備などは第4号様式、燃料電池発電設備は第4号様式の2、放電加工機は第4号様式の3、変電設備、急速充電設備、発電設備、蓄電池設備、ネオン管灯設備は第5号様式、気球は第6号様式です。第4号様式には、設備の概要表、配置図、立面図、制御回路図、仕様書、設置場所の平面図・展開図・構造図・室内仕上表、煙突等その他ダクトの系統図と平面図の11種類の図書を付けます。

57条の号にあたらない小さな火気使用設備等や、火を使う器具を置く場合は、使用開始届の側に、その位置と構造を示した図書を付けることになります。厨房の機器の入力の合計は、機器の仕様書で確かめられます。

消防用設備の工事があるときの届出

消防用設備の工事があるときの届出の順番。甲種消防設備士の着工届は着手の10日前まで、東京都の設置計画届も着手の10日前まで、工事現場に届出の受理を表示、関係者の設置届は工事完了から4日以内、検査と検査済証
消防用設備の工事と届出

内装工事にあわせて感知器やスプリンクラーヘッドを動かしたり、誘導灯を足したりすると、使用開始届とは別に、消防用設備等の届出が工事の前とあとに出てきます。消防法と東京都の条例を並べるとこうなります。

届出出す人期限様式と添付
工事整備対象設備等着工届(消防法17条の14)甲種消防設備士工事に着手しようとする日の10日前まで様式第1号の7。平面図、配管と配線の系統図、計算書の写し
設置計画届(東京都条例58条の2)設置しようとする者工事に着手する日の10日前まで対象は条例58条の2の各号の設備。法の着工届の対象は除く
設置届(消防法17条の3の2)防火対象物の関係者工事が完了した日から4日以内様式第1号の2の3。平面図、系統図、試験結果報告書
設置届(東京都条例58条の3)指定防火対象物等の関係者工事が完了した日から4日以内法の設置届の対象外の設備。使用開始前に検査
事務所の天井の感知器に作業棒を当てる作業者の様子のイメージ
感知器の作業(イメージ)

着工届の対象は、施行令36条の2で、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、屋外消火栓設備、自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備、金属製避難はしご(固定式のものに限る)、救助袋、緩降機の工事です。東京都の設置計画届は、漏電火災警報器、非常警報設備、すべり台、避難はしご、誘導灯、排煙設備、連結送水管、非常コンセント設備、無線通信補助設備などが対象です。

工事のあとの設置届と消防の検査が要る建物は、施行令35条で決まっています。面積に関係なく対象になる用途((2)項ニ、(5)項イ、(6)項イの(1)から(3)とロなど)、飲食店や物品販売店舗など特定用途で延べ面積300平方メートル以上、それ以外の用途で延べ面積300平方メートル以上のうち消防長又は消防署長が指定するもの、そして特定用途の部分が避難階以外の階にあって直通階段が2つ(屋外階段等なら1つ)以上設けられていない建物です。簡易消火用具と非常警報器具は除かれます。検査で適合と認められると、検査済証が交付されます。

東京都の条例63条の4は、工事等計画届、火気使用設備等の届出、設置計画届、着工届が受理された旨などを、工事現場の見やすい場所に表示するよう求めています。設置届の書き方は 消防用設備等の設置届と消防検査 にまとめています。

入居したら出す防火管理の届出

入居したら出す防火管理の届出。(6)項ロの施設などは収容人員10人以上、飲食店や物品販売店舗やホテルや病院などは30人以上、共同住宅や学校や工場や事務所などは50人以上で防火管理者が要る。選任と解任は遅滞なく届け出る。選任の届出を怠ると30万円以下の罰金又は拘留
防火管理の届出

使用開始届は使い始める前の届出ですが、入居したあとにも消防署へ出す書類があります。消防法8条1項は、多数の者が出入りし、勤務し、又は居住する防火対象物の管理について権原を持つ人に、資格のある人から防火管理者を定め、消防計画の作成、消火・通報・避難の訓練、設備の点検と整備、火気の使用の監督、収容人員の管理などをさせるよう決めています。

どの建物で防火管理者が要るかは、施行令1条の2第3項が用途と収容人員(出入りし、勤務し、又は居住する人の数)で決めています。

用途防火管理者が要る収容人員根拠
(6)項ロの施設と、その用途の部分がある(16)項イ・(16の2)項10人以上施行令1条の2第3項1号イ
(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項イ・ハ・ニ、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項(イ以外)30人以上同号ロ
(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで、(16)項ロ、(17)項50人以上同号ハ

たとえば飲食店は(3)項、物品販売店舗は(4)項なので収容人員30人以上、事務所は(15)項なので50人以上で対象になります。延べ面積1,000平方メートル以上の小売店舗(百貨店以外)は、施行令1条の2第1項で大規模な小売店舗として扱われます。

防火管理者を定めてからの流れ。防火管理者を定める、遅滞なく選任を届け出る、消防計画を作って届け出る、飲食店や物品販売店舗などは消火訓練と避難訓練を年2回以上で消防機関に通報
防火管理者を定めてからの流れ

防火管理者を定めたときは、消防法8条2項で「遅滞なく」所轄の消防長又は消防署長に届け出ます。解任したときも同じです。届出書は施行規則3条の2の様式第1号の2の2で、選任の届出には防火管理者の資格を証する書面を付けます。消防計画は施行規則3条1項で様式第1号の2の届出書により届け出て、変えるときも届け出ます。(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項の防火管理者は、消火訓練と避難訓練を年2回以上行い、あらかじめ消防機関に通報することになっています(施行規則3条10項・11項)。

選任の届出を怠ると、消防法44条8号で30万円以下の罰金又は拘留の対象になります。使用開始届の検査でも、防火管理者が要る建物かどうかが確かめられ、要るなら届出を行うよう指導されます。選任の詳しい線引きは 防火管理者の選任 に書いています。

用途やテナントが変わると設備が足りなくなることがある

設備が足りなくなりうる8つの場面。増築する、階数を増やす、隣の建物とつなぐ、敷地内に増築する、用途やテナントの変更、窓を変える・窓の前に棚を置く、内装を変える、耐火の壁や床や防火設備を改修する
設備が足りなくなりうる場面

使用開始届を出すと、消防署は新しい使い方に設備が合っているかを見ます。消防法17条の2の5第1項は、基準が変わったときに現に存する建物の消防用設備等が新しい基準に合わなくても、従前の基準を適用するとしています(消火器、避難器具などは除く)。ところが同条2項は、基準の施行のあとに着手した政令で定める増築、改築、大規模の修繕・模様替えに係るものや、百貨店、旅館、病院、地下街などの「特定防火対象物」の消防用設備等には、この扱いを当てはめないとしています。

赤い盤の扉を開けて中を作業する作業者の様子のイメージ
設備の盤の作業(イメージ)

横浜市は、建物の増築や改築、新たなテナントの入居や入れ替わりで「消防用設備等の設置義務が発生する可能性」があるとして、事前に区の消防署予防課へ相談するよう案内し、次の8つの場面をあげています。

  • 増築して面積が増える
  • 階数を増やす(階数で決まる設備がある)
  • 隣の建物とつないで1棟になり、面積や構造が変わる
  • 敷地内に増築する(敷地内の建物の面積の合計で決まる設備もある)
  • 用途やテナントを変える。飲食店、物品販売店や診療所など不特定多数の方が利用する用途は規制が厳しい
  • 窓などの開口部を変えたり、窓の前に棚を置いたりして「無窓階」になる
  • 内装を変える。壁や天井を難燃材料にして屋内消火栓設備等を免除している場合がある
  • 耐火構造の壁、床、防火設備を改修する。区画で設備を免除している場合がある

事務所だったフロアを飲食店にする、窓の前に大きな棚を置く、といった変更は、テナント側では小さな話に見えても、建物全体の設備の要否にかかわることがあります。大阪市も、事務所を改装してレストランを始めるような建物の用途の変更を、使用開始届が要る例にあげています。

東京以外の消防本部の違い

東京以外の5本部の比較表。静岡市は正副2部、那須は2部で押印、さいたま市は管理指導課、川崎市はe-KAWASAKI、熊本市は1部。期限はどこも7日前まで
5本部の比較

東京都以外の5つの消防本部の公式ページを、2026年10月11日に読み比べました。期限はどこも使用を開始する日の7日前までで同じでしたが、部数、出し方、付ける図面は違いました。

本部部数と出し方付ける図面など
静岡市正副2部。電子申請(ロゴフォーム)か、管轄の消防署に持参。代理可、費用なし記載例を公開
那須地区消防組合2部(届出用・返却用)。届出者欄は記入して押印配置図・平面図・消防用設備等の設計図書(縮尺が合っているもの)
さいたま市消防長に届出。各区を管轄する消防署の管理指導課届出書に所在地・用途・収容人員など
川崎市オンライン手続かわさき(e-KAWASAKI)か、各消防署の予防課。手数料なし付近見取図・配置図・平面図・立面図・仕様書及び室内仕上表
熊本市管轄する消防署の指導課予防班へ1部案内図・平面図・立面図(必要に応じてほかの図面)

たとえば熊本市は1部、静岡市と那須は2部です。那須は縮尺が合っている図面を付けるよう書いています。川崎市は消防用設備等の配置図などが要る場合があるとしています。熊本市は使用開始届の目的を、消防が事前に建物の使用状況を確認し、届出内容や消防用設備等の設置状況などを指導して、建物の安全性を確保することだと説明しています。出店する場所の消防本部のページで、部数と図面を確かめてから用意してください。

大阪市・横浜市・名古屋市の案内

大阪市と横浜市と名古屋市の比較表。大阪市は条例56条と規則5条で第3号様式、10階以上か2棟以上は第4号様式も、オンライン可。横浜市は条例73条で区の消防署、電子申請はログインが要る。名古屋市は条例66条で区の消防署予防課、手数料なし、郵送は副本返却が要らない場合だけ
大都市3市の比較

政令指定都市の3市の公式ページも、同じ日に原文を確認しました。条文の番号はばらばらで、大阪市は火災予防条例56条、横浜市は73条、名古屋市は66条です。期限は3市とも使用開始の7日前までです。

市根拠と様式出し方付ける書類など
大阪市条例56条、施行規則5条。第3号様式。階数10以上か棟数2以上は第4号様式も管轄の消防署(港区は住所で水上消防署と港消防署に分かれる)。大阪市行政オンラインシステムでも可配置図、付近見取図、各階平面図、電気配線図、消防用設備等の配置図
横浜市条例73条建物がある区の消防署。横浜市電子申請・届出システム(ログインか新規登録が要る)届出用紙に必要書類を添付。記入例を公開
名古屋市条例66条区の消防署予防課の窓口、郵送(副本の返却が要らない場合だけ)、電子申請手数料は必要なし。様式(Word・PDF)と記入例を公開

大阪市は付ける図面に電気配線図をあげていて、東京都の施行規則12条2項とは並びが違います。名古屋市は、郵送で受け付けるのは副本の返却が要らない場合だけとしています。副本を手元に残したいなら、窓口か電子申請を選ぶことになります。

出さないとどうなるか

東京都で出さずに使うとどうなるか。届出をせずに使った・うその届出は10万円以下の罰金、検査を拒んで使っても10万円以下の罰金、法人にも罰金刑
東京都の罰則

東京都の条例67条の2第4号は、56条の2第1項の届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は同条3項の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避して防火対象物を使用した者を、10万円以下の罰金に処するとしています。68条は、法人の従業者などが業務でこの違反をした場合、行為者を罰するほか、法人や事業主にも罰金刑を科すとしています。

一方、消防庁の条例(例)の罰則の条には43条の届出が入っていません。東京都以外では、罰則があるかどうかを市町村の条例で確かめる必要があります。罰則があるかどうかに関係なく、使用開始届は消防署が建物の使い方と設備を事前に把握するための仕組みです。届出をしないまま営業すると、立入検査で指摘を受けるきっかけにもなりえます。立入検査の流れは 消防の立入検査 で書いています。

ビルの中で、スーツの担当者と作業着の担当者が書類を見ながら確認している様子のイメージ
入居前の確認(イメージ)

消防法の届出にも罰則があります。消防法44条は、8条2項(防火管理者の選任と解任)、17条の3の2(消防用設備等の設置)、17条の14(工事整備対象設備等の着工)の届出を怠った者を8号で、17条の3の2の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者を4号で、30万円以下の罰金又は拘留に処するとしています。使用開始届とあわせて出てくる届出は、期限を一覧にして抜けがないようにしておくと安心です。

ビルの所有者・管理会社が確かめること

所有者・管理会社が確かめる6項目。届出が要ることを伝えたか、使用開始日と7日前、内装工事と工事等計画届、消防用設備の工事と設置届、建物全体の用途と延べ面積、検査の日程
所有者・管理会社のチェック

使用開始届を出すのはテナントですが、届出書には建物全体の構造、階層、建築面積、延べ面積、用途を書く欄があります。テナントはこれを自分では調べにくいので、所有者や管理会社が情報を渡せるようにしておくと手続きが早く進みます。

テナントの入居が決まったら、使用開始日と、内装工事・消防用設備の工事の有無を聞き、届出の期限をそろえて伝えておくと安心です。入居したあとも、建物の消防用設備の点検は続きます。点検の進め方は 消防設備点検 に、防火対象物点検が要る建物は 防火対象物点検 にまとめています。

よくある質問

使用開始届は内装業者が出してくれますか

書類の作成や持参を内装業者や設計事務所が代わりにすることはありますが、東京消防庁は届出者を実際に使用しようとする方(入居する方、テナントで営業する方)とし、工事する業者ではないと注意しています。誰が作って誰が出すのかを、工事を頼むときに決めておいてください。

内装工事をしない居抜きでも要りますか

東京消防庁は、工事を行わなくても届出が必要だと書いています。設備等はそのままで、工事を行わないで4階のレストランを居酒屋へ変える例でも、使用開始届を出すとしています。

7日前を過ぎてしまったらどうすればよいですか

まずは管轄の消防署に連絡して、どう出せばよいかを聞いてください。東京都では、届出をせずに使った場合は条例67条の2第4号の罰則の対象になりえます。

机の上で書類の表やグラフを見比べる手元の様子のイメージ
書類を見比べる(イメージ)

事務所として借りる場合も要りますか

事務所は消防法施行令別表第一の(15)項に当たり、使用開始届の対象です。東京消防庁の記入例も、事業所の入居に伴う間仕切り変更工事の例で書かれています。

期間限定のポップアップ店はどうなりますか

東京都では、防火対象物又はその部分を一時的に不特定の者が出入りする店舗等として使う場合は、条例56条の3で、一時的な使用を開始する日の7日前までに届け出ることになっています。56条の2の使用開始届とは別の届出です。

届出に手数料はかかりますか

静岡市は費用なし、川崎市は手数料なしと案内しています。ほかの本部も、出す前に案内ページで確かめてください。

同じ区画でポップアップ店をくり返すとき、図面は毎回要りますか

東京都の施行規則12条の3は、すでに工事等計画届か使用開始届が出ていて、そのときに付けた図書の内容に変わりがないものは、一時使用の届出に付けなくてよいとしています。前回の図書が使えるかを消防署に確かめてください。

厨房のガス機器を入れ替えるだけでも届出は要りますか

東京都の条例57条は、厨房設備なら入力の合計が120キロワット未満のものを届出の対象から外しています。合計が120キロワット以上なら、工事に着手する日の7日前までの届出と、使用開始前の検査の対象になります。入力は機器の仕様書で確かめられます。

使用開始届を出せば防火管理者の届出は要りませんか

別の届出です。防火管理者が要る建物では、選任したときに消防法8条2項で遅滞なく届け出ます。使用開始届の検査でも、選任が要る建物なら届出を行うよう指導されます。

この記事の要点

この記事の要点6つ。根拠は条例で7日前まで、出すのは実際に使う人、工事なしでも必要、東京都の添付図書、使用開始前の検査、東京都は10万円以下の罰金で部数や図書は本部ごとに違う
この記事の要点

この記事の出典

出典(すべて2026年10月11日に原文を確認)
東京都 火災予防条例(東京都例規集)
東京都 火災予防条例施行規則(東京都例規集)
消防庁 火災予防条例(例)(PDF)
消防法(e-Gov)
消防法施行令(e-Gov)
東京消防庁 防火対象物使用開始届出書
東京消防庁 新たにテナントを使用する皆様へ
東京消防庁 防火対象物の使用開始の届出をしよう
東京消防庁 使用開始届出書の記入例(PDF)
東京消防庁 窓口手順の概要(PDF)
東京消防庁 電子手順の概要(PDF)
静岡市 防火対象物使用開始届出書
那須地区消防組合 防火対象物使用開始届出書をご存知ですか?
さいたま市 建物の使用を始められる方へ
川崎市 防火対象物使用開始届
熊本市 防火対象物の使用開始の届出をしましょう
消防法施行規則(e-Gov)
東京消防庁 予防事務審査・検査基準
東京消防庁 中間検査及び使用検査に係る留意事項(PDF)
東京消防庁 中間検査及び使用検査に係る条則等の運用(PDF)
東京消防庁 防火対象物の中間検査及び使用検査要領(PDF)
大阪市 新しくお店を始められる方へ
横浜市 届出様式ダウンロード
横浜市 新たに消防用設備等の設置や防火管理に係る届出等が必要となる例(PDF)
横浜市 火災予防分野の電子申請
名古屋市 防火対象物使用開始届

防火対象物点検
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