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防火設備定期検査とは|対象になる防火扉・シャッター、告示第723号の検査項目、報告時期、業者4社の公開料金、指摘が出たとき【2026年版】

2026 9/26
建築基準法12条点検
2026年9月26日
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防火設備定期検査とは|対象になる防火扉・シャッター、告示第723号の検査項目、報告時期、業者4社の公開料金、指摘が出たとき【2026年版】

この記事の情報

法令・告示・特定行政庁と指定機関の資料は、2026年9月26日に原文を取得して確認しました。条文や判定基準は原文どおりに引用し、見つからなかったものは「取得できず」と書いています。業者の料金は各社のサイトに載っている金額をそのまま載せたもので、推薦でも相場でもありません。報告の時期や扱いは特定行政庁ごとに違うので、最後は建物の報告先で確かめてください。

「防火設備定期検査報告のご案内」という封書が届いて、消防点検はもう毎年やっているのに何の話だろう、と思った方は少なくないはずです。防火設備定期検査は、建築基準法12条3項にもとづく検査で、消防法の点検とは別の制度です。東京都防災・建築まちづくりセンター(以下「センター」)のご案内にも、はっきり「消防法に基づく点検とは異なるものですのでご注意ください」と書かれています。

この記事は、12条の定期報告4種類のうち「防火設備」だけを深く掘ります。どの扉やシャッターが対象になるのか、何をどう検査するのか(平成28年国土交通省告示第723号の原文)、誰に頼めるのか、いつまでに出すのか、いくらかかるのか、指摘が出たら何をするのか、を順番にまとめました。4種類の全体像は建築基準法12条点検(定期報告)とはに書いています。

この記事の要点。防火設備定期検査は建築基準法12条3項の検査で消防点検とは別。対象は煙や熱で閉まる随時閉鎖式の防火設備。毎年報告。検査できるのは一級建築士、二級建築士、防火設備検査員
この記事の要点(出典 建築基準法12条3項/センター ご案内 令和8年度4月版)
目次
点検の義務と費用の相場をLINEで受け取る。受け取れる情報を見る

先に結論 → 防火設備定期検査の要点

項目要点根拠
何の検査か火災のときに煙や熱を感知して閉まる、または作動する防火設備が、いざというとき本当に閉まるかを確かめる検査建築基準法12条3項
いつから平成28年6月1日から国土交通省・日本建築防災協会
対象の設備随時閉鎖式の防火扉・防火シャッター・耐火クロススクリーン・ドレンチャーセンター ご案内
常時閉鎖式の防火扉令和7年7月1日から扱いが特定行政庁で分かれた。東京都内は特定建築物調査のまま、神奈川県建築安全協会の資料では防火設備側告示第974号・第53号/センター手引き/神奈川県建築安全協会
報告する人所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)建築基準法12条1項・3項
検査できる人一級建築士・二級建築士・防火設備検査員建築基準法12条3項/センター Q&A
検査の中身告示第723号 別表第1から第4。防火扉は18項目、防火シャッターは27項目平成28年国土交通省告示第723号
報告の間隔東京都は毎年。センター受付分は全用途で4月から翌年の1月規則6条1項/センター手引き(令和8年7月)
報告しないと百万円以下の罰金(法人にも)建築基準法101条1項2号・105条

消防法側の点検は消防設備点検とは(義務・頻度・報告・費用)と防火対象物点検とは(消防設備点検との違い・対象・特例認定)、防火管理の体制は防火管理者とは(必要な建物・講習・選任届)にまとめています。この記事で扱うのは、建築基準法側の「防火設備」の検査だけです。

12条の定期報告4種類の中での位置。特定建築物、建築設備、防火設備、昇降機等のうち防火設備を扱う
12条の定期報告4種類のうち、この記事は防火設備(出典 建築基準法12条1項・3項)

12条の定期報告4種類のうちの1つ

建築基準法12条の定期報告には、建物そのものを見る「特定建築物の定期調査」と、設備を見る「建築設備」「防火設備」「昇降機等」の定期検査があります。条文は12条1項の調査から「建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査」を外し、12条3項で所有者が「一級建築士若しくは二級建築士又は建築設備等検査員資格者証の交付を受けている者」に検査させて特定行政庁に報告する、と定めています。

種類何を見るかこの記事での扱い
特定建築物の定期調査敷地、構造、防火区画、避難施設など建物全体常時閉鎖式防火扉の話でだけ触れる
建築設備の定期検査換気、排煙、非常用の照明、給排水扱わない
防火設備の定期検査随時閉鎖式の防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャーこの記事の本題
昇降機等の定期検査エレベーター、エスカレーターなど扱わない

4種類の違い、建物が特定建築物に当たるかの判定、資格の全体表は建築基準法12条点検(定期報告)とはに任せます。ここで押さえておきたいのは次の2点です。

  • 防火設備の検査は、特定建築物(定期報告の対象の建物)に設けられた防火設備が対象。単独で対象になるわけではない
  • 防火設備の整理番号は、特定建築物定期調査報告の整理番号と同じ(センター ご案内)

制度の始まり → 平成28年6月1日

防火設備の検査が独立した報告になったのは、平成28年6月1日です。国土交通省のページは、建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号)で定期報告制度を見直し、平成28年6月1日から施行したと説明しています。

日本建築防災協会は背景をこう書いています。「近年、福山市のホテル火災、長崎市のグループホーム火災、福岡市の診療所火災など、多数の死者が出る火災事故が続いています。」センターのご案内は、そのうち福岡市の火災について「平成 25 年 10 月に福岡市の診療所で火災があり、死者 10 名、負傷者 5 名の被害が出ました。被害が拡大した原因として、防火設備が正常に閉鎖しなかったこと等が指摘されています。」と書いています。福山市と長崎市の火災の被害の数字は、今回の資料からは取得できませんでした。

制度ができるまで。平成25年10月の福岡市の診療所火災、防火設備が正常に閉鎖しなかったこと等、平成28年6月1日に防火設備定期検査報告を創設
制度ができるまで(出典 センター 手引き/日本建築防災協会)
時期できごと出典
平成25年10月福岡市の診療所で火災。死者10名、負傷者5名センター ご案内
平成26年建築基準法の一部を改正する法律(平成26年法律第54号)国土交通省
平成28年6月1日防火設備の定期検査の制度を施行国土交通省・日本建築防災協会
平成28年5月2日告示第723号(検査の項目・方法・判定基準)告示第723号
令和6年6月28日告示第974号 公布神奈川県建築安全協会
令和7年1月29日告示第53号(告示第723号の最終改定)告示第723号・第53号
令和7年7月1日告示第974号・第53号 施行。常時閉鎖式防火扉の扱いが変わる神奈川県建築安全協会

それまでは、特定建築物の定期調査の中で防火設備の閉まり方も見ていました。センターのご案内は「これまで特定建築物の定期調査報告で行ってきた調査項目のうち、対象防火設備の閉鎖又は作動については、特定建築物の調査項目から外し、新たに創設された「防火設備定期検査報告」で詳細に報告することになりました。」と説明しています。理由として「近年、火災感知やシステム制御など機構が高度化・複雑化しているため、火災時に確実に作動するよう高い専門性が求められています。」とも書いています。

センターの防火設備定期検査報告のご案内の表紙部分の抜粋
原文の抜粋(出典 センター 防火設備定期検査報告のご案内 令和8年度4月版)

対象になる防火設備・ならない防火設備

センターのご案内は、対象を「火災時に煙や熱を感知して閉鎖又は作動する以下の防火設備(随時閉鎖式の防火設備)」とし、防火扉・防火シャッター・耐火クロススクリーン・ドレンチャーの4つを挙げています。あわせて「「建築基準法を含む建築基準関係規定」により設けられている随時閉鎖式の防火設備が対象です。」と注記しています。ふだんは開いていて、火災のときだけ閉まるもの、と覚えると分かりやすいです。

対象になる4種類の防火設備。防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン、ドレンチャー
対象になる4種類(出典 センター ご案内/告示第723号 第2)
対象になるもの(センター ご案内)対象にならないもの(センター ご案内)
煙感知器連動の防火設備ダクト内の防火ダンパー
熱感知器連動の防火設備火災時に避難経路を確保するために開く防火設備(パニックオープン)
温度ヒューズ式の防火設備延焼のおそれのある部分として設けられた防火設備
遮煙スクリーン(遮炎性のないもの)消防法の防護区画で設けられた防火設備
平常時は自動ドアとして使用され、火災が発生すると自動的に閉鎖する防火設備防火扉にある温度ヒューズ式のガラリ
随時閉鎖式の防火扉にあるくぐり戸随時閉鎖式の防煙垂れ壁
共同住宅(サービス付き高齢者向け住宅等を除く)の住戸内にある防火設備
対象にならない防火設備の一覧。防火ダンパー、パニックオープン、延焼のおそれのある部分の防火設備、消防法の防護区画、温度ヒューズ式のガラリ、防煙垂れ壁、共同住宅の住戸内
対象にならないもの(出典 センター ご案内)

センターのQ&Aには、判断に迷いやすい例がいくつか載っています。共同住宅の管理室のシャッターは「建築基準法(東京都建築安全条例や消防法等の建築基準関係規定を含む。)に基づき設置された随時閉鎖又は作動をできる防火設備であれば、検査・報告の対象となります。」。常に閉めたまま使っている防火設備は「定期報告の対象としなくても構いませんが、定期報告書に添付する図面にその旨を記載してください。」とされています。共同住宅の住戸内は「対象外となります。(サービス付き高齢者向け住宅等除く)」です。マンションの消防点検で部屋に入る理由はマンションの消防点検(部屋に入る理由・費用の負担)に書いていますが、防火設備の検査では住戸内は外れる、という違いがあります。

常時閉鎖式の防火扉 → 令和7年7月1日から地域で扱いが違う

いちばん混乱しやすいのが、ふだんから閉まっている「常時閉鎖式の防火扉」(階段室の鉄扉など)です。制度の始まりから、常閉の防火扉は特定建築物の定期調査で見るもので、防火設備の検査の対象外でした。センターのQ&Aも「特定建築物定期調査報告では、防火区画に対応した防火設備の設置の状況や常時閉鎖式の防火設備の作動状況・維持管理状況について調査を行います。防火設備定期検査報告では、随時閉鎖式の防火設備の作動状況等の検査を行います。」と分けています。

ここが令和7年7月1日に動きました。告示第974号は、対象から外す防火設備を定めた告示第240号 第三を、改正前の「随時閉鎖又は作動をできるもの(防火ダンパーを除く。)以外」から、改正後の「常時閉鎖若しくは作動をした状態にあるか、又は随時閉鎖若しくは作動をできるもの(防火ダンパーを除く。)以外のもの」に書き換えました。あわせて告示第723号の別表第1に、常閉防火扉の項目(1)から(5)が入っています。

常時閉鎖式防火扉の扱いの変化。令和7年7月1日から国の告示では各階の主要な常閉防火扉が防火設備の検査側にも入った
常閉防火扉の扱い(出典 告示第240号 第三(令和6年告示第974号で改正)/告示第723号 別表第1/令和7年告示第53号)

ただし告示第723号 別表第1の注には、「平成 20 年国土交通省告示第 282 号第 2 の規定により特定行政庁が各階主要な常閉防火扉に係る(1)から(5)までの項目…に相当する項目等を付加した場合にあっては、各階の主要な常閉防火扉…については、(1)から(5)までの項目に係る定期検査等を行うことを要しない。」とあります。特定行政庁が特定建築物の調査のほうで同じ項目を見ると決めていれば、防火設備の検査ではやらなくてよい、という意味です。日本建築防災協会も「令和7年7月1日からは特定行政庁により扱いが異なりますので報告先に確認をしてください。」と書いています。

地域・資料常時閉鎖式の防火扉の扱い(原文)
東京都(センター手引き 令和8年7月)「東京都内の対象建築物は令和7年7月1日以降も「常時閉鎖式防火扉」は特定建築物調査の対象です。」
港区「(※常時閉鎖式防火扉は特定建築物調査の対象です。)」
足立区「常時閉鎖式の防火設備は特定建築物定期調査報告、外壁の開口部に設けられた防火設備及び防火ダンパーは建築設備定期検査報告」
神奈川県建築安全協会防火設備の対象は「定期報告対象建築物に設けられた随時閉鎖式の防火設備及び各階の主要な常時閉鎖式の防火扉」
日本建築防災協会「令和7年7月1日からは特定行政庁により扱いが異なりますので報告先に確認をしてください。」
常閉防火扉の扱いは地域で違う。東京都、港区、足立区は特定建築物調査、神奈川県建築安全協会の資料では防火設備の検査側
常閉防火扉の扱いは地域で違う(出典 センター手引き/港区/足立区/神奈川県建築安全協会)

神奈川県建築安全協会のお知らせは、「各階の主要なもの」を防火設備定期検査業務基準(2025年改訂版)P13からの抜粋として示しています。

記号各階の主要なもの(神奈川県建築安全協会の抜粋)
a避難経路に設けられたもの(居室の出口、廊下の途中、屋外への出口など)
b吹抜けに面して設けられたもの(竪穴区画や面積区画等)。昇降機と連動する防火扉(乗り場の戸)は対象外
c日常の通行が多く開閉作動の頻度の高いもの
d前回の検査時に検査しなかったもの
e前回の検査時に指摘のあったもの
各階の主要な常閉防火扉の選び方。避難経路、吹抜け、通行の多いもの、前回検査しなかったもの、前回指摘のあったもの
各階の主要なもの(出典 神奈川県建築安全協会 お知らせ/防火設備定期検査業務基準 2025年改訂版 P13の抜粋)

常閉防火扉の項目(5)の方法には、「ただし、各階の主要な常閉防火扉について、3 年以内に実施した点検の記録がある場合にあっては、当該記録により確認することをもって足りる。」というただし書きもあります。規則6条1項も、大臣が定める項目は「一年から三年まで」の間隔でよいとしており、告示第723号の第1がその項目を常閉防火扉の(1)から(5)と定めています。

そもそも建物が対象か

防火設備の検査は、施行令16条3項2号で「防火設備のうち、法第六条第一項第一号に掲げる建築物で第一項各号に掲げるものに設けるもの」とされています。法6条1項1号は「別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの」です。つまり、用途部分が200平方メートルを超える特殊建築物で、定期報告の対象になる建物に付いている防火設備、ということになります。

建物が対象かを見る手順。特殊建築物か、定期報告の対象の建物か、用途部分が二百平方メートルを超えるか
建物の条件(出典 建築基準法6条1項1号/建築基準法施行令16条1項・3項2号/東京都・神奈川県の一覧)
東京都の用途コードの例(センター ご案内)対象になる規模
13 旅館又はホテルF ≧ 3階 かつ A > 2000 ㎡
14 百貨店などF ≧ 3階 かつ A > 3000 ㎡
15 地下街A > 1500 ㎡
29 病院・診療所A > 200 ㎡
34 事務所5階建て以上で、延べ面積が 2000 ㎡を超える建築物のうち、F ≧3階 かつ A > 1000 ㎡
40 共同住宅F ≧ 5階 かつ A > 1000 ㎡
49 高齢者等の就寝用途A > 200 ㎡

表のFは階、Aはその用途の床面積です。病院・診療所と高齢者等の就寝用途は、200平方メートルを超えれば階数に関係なく対象になっています。神奈川県建築安全協会の資料も、病院などの用途で「床面積が 200 ㎡を超える建築物に設けられた随時閉鎖式の防火設備」を対象にし、「外壁開口部に設けられた随時閉鎖式の防火設備、防火ダンパーは対象外です。」としています。用途コードの一覧は自治体ごとに違うので、封書に書かれた整理番号の用途コードで確かめてください。

自分の建物が対象かを確かめる5つの順番。特定建築物の定期報告、感知器や温度ヒューズで閉まる扉、対象外のもの、常時閉鎖式の防火扉の扱い、特定行政庁の案内
対象かどうかの確かめ方(出典 センター ご案内・手引き)
建物の管理者と検査の担当者がロビーで打ち合わせをしている様子
イメージ

検査の項目と方法 → 告示第723号の原文

何をどう検査して、どうなったら不合格か。これは平成28年国土交通省告示第723号が決めています。第2で、防火扉は別表第1、防火シャッターは別表第2、耐火クロススクリーンは別表第3、ドレンチャーその他の水幕を形成する防火設備は別表第4に定めるとおりに検査する、としています。

告示第723号の本文の冒頭部分の抜粋
原文の抜粋(出典 平成28年国土交通省告示第723号 センター掲載の本文)
別表防火設備項目の数
別表第1防火扉18
別表第2防火シャッター27
別表第3耐火クロススクリーン23
別表第4ドレンチャーその他の水幕を形成する防火設備26
告示第723号の別表ごとの項目数。防火扉18、防火シャッター27、耐火クロススクリーン23、ドレンチャー等26
別表ごとの項目数(出典 告示第723号 別表第1から第4)

告示第723号は、平成28年5月2日の第723号から、令和元年6月21日の第200号、令和2年4月1日の第508号、令和5年3月20日の第207号、令和6年6月28日の第974号を経て、令和7年1月29日の第53号が最終改定です。古い検査結果表の様式を使うと受付されないことがあり、センターの手引きも「改正後の検査結果表をお使いください。様式が異なると、受付できない場合がございます。」と書いています。

防火扉(別表第1)のうち、建物の管理者が知っておくとよい項目を原文で抜き出します。

項目方法(原文)不合格になる判定(原文)
(4)常閉防火扉の固定の状況「常閉防火扉が開放状態に固定されていること。」
(5)常閉防火扉の閉鎖「扉の閉鎖時間をストップウォッチ等により測定し、扉の質量により運動エネルギーを確認するとともに、必要に応じてプッシュプルゲージ等により閉鎖力を測定する。」「昭和 48 年建設省告示第 2563 号第一第一号又は第二号イの規定に適合しないこと。」
(17)連動機構の作動「煙感知器、熱煙複合式感知器若しくは熱感知器を作動させ、又は温度ヒューズを外し、全ての防火扉…の作動の状況を確認する。ただし、連動機構用予備電源ごとに、少なくとも一以上の防火扉について、予備電源に切り替えた状態で作動の状況を確認する。」「防火扉が正常に閉鎖しないこと又は連動制御器の表示灯が点灯しないこと若しくは音響装置が鳴動しないこと。」
(18)防火区画の形成防火区画(令第112条第11項から第13項までの規定による区画に限る。)「当該区画のうち一以上を対象として、煙感知器又は熱煙複合式感知器を作動させ、複数の防火扉…の作動の状況及びその作動による防火区画の形成の状況を確認する。」

(17)は、感知器を作動させて全部の防火扉が閉まるかを見る項目で、予備電源に切り替えた状態でも最低1枚は確かめます。(18)は、1枚ずつではなく、区画として複数の扉が連動して閉まり、防火区画ができあがるかを見る項目です。停電のときに閉まらない、隣の扉と連動しない、といった不具合を拾うための項目です。

感知器を作動させて防火扉が閉まるかを確かめる流れ。感知器、連動制御器、予備電源、防火区画の形成
作動の確かめ方(出典 告示第723号 別表第1(17)(18))
天井の感知器に試験器を当てて作動を確かめている様子
イメージ

使う道具は、告示の方法欄に出てくるストップウォッチ、プッシュプルゲージ、加煙試験器・加熱試験器、回路計、鋼製巻尺などです。検査の当日は扉やシャッターを実際に閉めるので、通路がふさがる時間帯が出ます。テナントや利用者への周知は、検査会社と日程を決めるときに相談しておくと安心です。

危害防止装置 → 閉まるときに人を挟まないか

シャッターや扉が火災のときに閉まるのは大事ですが、その下に人がいたら危険です。そこで、閉まる途中で人に当たったら止まる、または力を弱める仕組みが「危害防止装置」です。告示第723号は、この装置の判定を数字で決めています。

防火設備不合格になる判定(原文)出典
防火シャッター「運動エネルギーが 10J を超えること、座板感知部が作動してからの停止距離が 5cm を超えること又は防火シャッターが再降下しないこと。」別表第2(14)
耐火クロススクリーン(巻取り式)運動エネルギーが10Jを超える、停止距離が5cmを超える、再降下しない別表第3(11)
耐火クロススクリーン(バランス式)運動エネルギーが10Jを超える、閉鎖力が150Nを超える別表第3(11)
防火扉「昭和 48 年建設省告示第 2563 号第一第一号又は第二号イの規定に適合しないこと。」別表第1(5)
危害防止装置の判定。防火シャッターは運動エネルギー10J、停止距離5cm、再降下。耐火クロスのバランス式は閉鎖力150N
危害防止装置の判定(出典 告示第723号 別表第2(14)・別表第3(11))
告示第723号の危害防止装置の判定部分の抜粋
原文の抜粋(出典 告示第723号 別表第2)

防火扉の判定が参照している昭和48年建設省告示第2563号の本文は、今回取得できませんでした。そのため防火扉の運動エネルギーや閉鎖力の数値はこの記事には書いていません。

古いシャッターには危害防止装置が付いていないものもあります。日本建築防災協会のQ&A(問3-1)は、建築確認の時期で扱いを分けています。

建築確認の時期危害防止装置の扱い(日本建築防災協会 Q&A 問3-1)
平成17年12月以降「危害防止装置が全て設置され適法とみなします(この場合、危害防止装置が設置されていない場合は、建築物調査側で要是正(法不適合)の判定となります。)」
それより前「平成17年12月以前に建築確認がなされ、かつ、設置(着工)された防火シャッターについては要是正(既存不適格)となります(定期検査報告書への記載の有無及び記載方法は特定行政庁に確認してください。)」
危害防止装置の扱いは建築確認の時期で分かれる。平成17年12月以降と、それより前
建築確認の時期による違い(出典 日本建築防災協会 防火設備定期検査報告に関するQ&A 問3-1)

同じQ&Aには、現場でよく出る細かい扱いも載っています。

論点扱い(日本建築防災協会 Q&A)
感知器の感度「感度試験は検査項目にないため、不要です。」
くぐり戸「随時閉鎖する防火扉の一部として検査対象です。」
閉鎖力の測り方「閉鎖時に人の頭が挟まれる危険性のある20~30㎝手前に戸先がある状態の静荷重…を計測してください。」
両開き・親子扉の数え方「基本的に両開き・親子扉とも1枚と数えますが、特定行政庁によっては両開き・親子扉を2枚と数えるところもありますので、特定行政庁に確認してください。」
閉鎖時間「基本的に閉鎖時間が一番速い時刻・条件で計測し、判定してください。」
カウンターの防火シャッター「東京都の場合は検査対象となります。その他は特定行政庁へ確認してください。」
人が通らない部分「運動エネルギーの確認及び危害防止装置の設置については、人の通行の用に供する部分以外の部分に設ける防火設備に該当する場合、不要になりますので特定行政庁に確認してください。」

両開きの扉を1枚と数えるか2枚と数えるかは、1枚いくらで料金を決めている業者の見積もりにそのまま響きます。見積もりを比べるときは、数え方をそろえてから比べてください。点検口がなく中の機構を確かめられない場所については、センターのQ&Aが「点検口を設置し、国告示で定める検査項目・方法等に則り、検査を実施してください。」としています。

検査できる人 → 一級建築士・二級建築士・防火設備検査員

検査できるのは、一級建築士、二級建築士、防火設備検査員です。センターのご案内は「一級建築士又は二級建築士(建築士法第 23 条に規定する業として行う場合は、建築士事務所登録を行っている者)」「防火設備検査員」と書いています。施行規則6条の5第2項は、建築設備等検査員資格者証の種類を「建築設備検査員資格者証、防火設備検査員資格者証及び昇降機等検査員資格者証」の3つとしています。

防火設備を検査できる人。一級建築士、二級建築士(業として行う場合は建築士事務所登録)、防火設備検査員
検査できる人(出典 建築基準法12条3項/施行規則6条の5/センター ご案内)
資格条件・補足(原文)出典
一級建築士・二級建築士「建築士法第 23 条に規定する業として行う場合は、建築士事務所登録を行っている者」センター ご案内
防火設備検査員講習を修了し、「講習修了証明書の交付日より3ヶ月以内に証明書のコピーを添付しお住いの都道府県を管轄する国土交通省地方整備局長等に申請」日本建築防災協会
建築設備検査員防火設備のうち「建築設備についての…検査等と併せて検査等を一体的に行うことが合理的であるものとして国土交通大臣が定めたものに限る。」施行規則6条の6

建築設備検査員が検査できる防火設備の範囲を定めた大臣告示の本文は、今回取得できませんでした。ふつうの随時閉鎖式の防火扉やシャッターは、防火設備検査員か建築士に頼む、と考えておけば足ります。

防火設備検査員になるには、日本建築防災協会の講習を受けます。学科、修了考査、実技の順に進み、講習修了証明書をもらってから地方整備局長等に申請します。

講習内容(日本建築防災協会)
学科講習受講料は34,650円(税込)。「講義は計10時間です。」WEB受講の視聴は10/6~20
修了考査会場で実施(10/28)。令和7年度は「修了考査において22問中17問以上正解した者を合格とした。」
実技講習28,600円(消費税込み)、講習時間は3時間。「令和9年1月下旬~2月下旬、東京、大阪、福岡で開催予定です。」
防火設備検査員になる流れ。学科講習、修了考査、実技講習、講習修了証明書、地方整備局長等へ申請
防火設備検査員になる流れ(出典 日本建築防災協会)

受講資格には、学歴と実務経験の組み合わせがあります。受講資格の資料から、いくつかを抜き出します。

受講資格の例(日本建築防災協会 受講資格の資料)
大学(建築学・機械工学・電気工学)卒業後2年以上の実務経験
「ホ.11年以上の実務経験(防火設備に関するもの)」
「チ.感知器に関して消防設備点検資格者として5年以上の実務経験を有する者」
「リ.感知器に関して甲種消防設備士又は乙種消防設備士として5年以上の実務経験を有する者」(第1~4類・特類。第5~7類は対象外)

消防設備士や消防設備点検資格者として感知器を扱ってきた人にも受講の道があるので、消防設備点検の会社が防火設備の検査も受けていることがあります。センターのQ&Aは「検査者の紹介は行っておりません。特定建築物の調査会社等が防火設備の検査を行っている場合もありますのでご確認ください。」、日本建築防災協会のQ&Aも「当該建築物を設計した設計事務所、特定建築物の調査や消防設備の点検をお願いしている会社等で防火設備の検査を行っている場合がありますので、そちらにお問い合わせください。」と案内しています。消防設備の業者の探し方は消防設備点検の費用と業者の探し方にまとめています。

報告の時期 → 毎年。ただし時期と扱いは特定行政庁ごとに違う

報告の間隔は、施行規則6条1項が「おおむね六月から一年まで(ただし、国土交通大臣が定める検査の項目については、一年から三年まで)の間隔をおいて特定行政庁が定める時期」と決め、具体的な月は特定行政庁が決めます。そのため、報告の時期は地域で違います。

地域報告の時期(原文)出典
東京都(センター受付分)「毎年報告」。全用途コードで「4 月から翌年の1月」(令和 7 年7月 1 日東京都建築基準法施行細則改正)センター ご案内・手引き
神奈川県(神奈川県建築安全協会)初回は「建築物の報告と同じ月」、2回目以降は「前回報告の1年後の同じ月」。「建築設備、防火設備は毎年の報告です。」神奈川県建築安全協会
報告の時期。東京都は全用途コードで4月から翌年の1月、神奈川県は初回が建築物の報告と同じ月で2回目以降は前回の1年後の同じ月
報告の時期(出典 センター ご案内・手引き/神奈川県建築安全協会)

東京都は、令和7年7月1日の細則改正で報告時期がそろいました。建築基準法12条点検(定期報告)とはの報告時期の表と見比べるときは、この改正後の扱いを優先してください。

新築のあとは翌年度が免除

新しく建てた建物は、しばらく報告しなくてよい期間があります。規則6条1項は検査済証の交付を受けた場合「その直後の時期を除く」とし、センターのご案内は「新築又は改築(一部の改築を除く)された建築物の初回の報告は、検査済証交付年度の翌々年度の報告時期内に行ってください。検査済証交付年度の翌年度は報告が免除となります。」としています。

検査済証の交付報告免除期間初回の報告時期
R6.8.1R7.4.1~R8.3.31R8.4.1~R9.1.31
R8.2.1R8.4.1~R9.3.31R9.4.1~R10.1.31
新築後の初回報告の例。検査済証交付年度の翌年度は免除で、翌々年度が初回
新築後の初回報告(出典 センター ご案内)

センターで受付できない報告

東京都のセンターの手引きには、受付できない報告が3つ書かれています。とくに1つ目は、検査をしたのに報告が遅れて検査からやり直しになる形なので、注意が要ります。

番号受付できない報告(手引き 令和8年7月の原文)
①「報告日(受付日)が、検査日から 3 ヶ月を超えている場合」。例として「11/1 に検査した場合、2/1 までは受付可能。2/2 以降は受付不可。」
②「報告日(受付日)が、初回免除期間中の場合」
③「今回の報告日(受付日)が、前回の報告日から 5 ヶ月未満の場合」。例として「1/15 に報告した場合、次回は 6/15 以降に受付。6/14 以前は受付不可。」
センターで受付できない報告。検査日から3か月を超えたもの、初回免除期間中のもの、前回の報告日から5か月未満のもの
センターで受付できない報告(出典 センター手引き 令和8年7月)
手引きの受付できない報告の部分の抜粋
原文の抜粋(出典 センター 提出の手引き 令和8年7月)

手引きは間隔についても「2 回目以降の報告について、やむを得ず 1 年を超えるような場合も受付はしますが、おおむね 6 ヶ月未満の場合では、間隔が短く報告の必要性が低いため、受付できません。」と書いています。センターのご案内は、報告書を「原則検査日から 1 ヶ月以内にご提出ください。」としています。神奈川県建築安全協会の資料も「調査日・検査日から3ヶ月以内に報告してください。」です。検査の日程は、報告時期の終わりぎりぎりではなく、余裕を持って決めてください。

報告の流れと書類

報告するのは所有者です。所有者と管理者が異なる場合は管理者になります(法12条1項)。センターのご案内は、管理者を「防火設備の維持管理等に対して、金銭面を含め主体的に関与している方」とし、「日常の維持管理を行っている管理会社とは異なる場合がありますのでご注意ください。」と書いています。手引きも「改修等をする際の費用を含めた権限がある方」としています。封書が管理会社ではなく管理者に届くのも、Q&Aによれば「管理会社は変更が多いことから、原則は管理者にお送りすることになっております。」という理由です。

報告の流れ。検査資格者に依頼、検査と報告書、センターへ郵送かネットで提出、特定行政庁が審査、副本と報告済証が届く
報告の流れ(出典 センター ご案内(令和8年度4月版)・手引き(令和8年7月)・ネット受付のご案内)
手順内容(東京都のセンター受付分)
1 検査を頼む一級建築士・二級建築士・防火設備検査員に依頼する
2 検査告示第723号の項目で検査。要是正があれば写真を添付
3 提出郵送かインターネット。「窓口での受付は行っておりません。」郵送は手数料を事前振込
4 返送副本と報告済証。「通常時で受付から 3 ヶ月程度かかります。」

インターネットの受付は、センターのページに「利用者登録を一度行って頂くと、特定建築物定期調査報告と防火設備定期検査報告の二種類の報告が可能です。」とあります。提出書類は次のとおりです。報告書と概要書の様式は施行規則6条3項で、防火設備は「別記第三十六号の八様式による報告書及び別記第三十六号の九様式による定期検査報告概要書」に検査結果表を添えると決まっています。

書類部数・注意(センター手引き)
定期検査報告書「2 部(正、副)」
定期検査報告概要書「1部」
検査結果表改正後の様式。「様式が異なると、受付できない場合がございます。」
判定が「指摘なし」の場合「第一面のみ提出」
報告の単位「原則は建築基準法の棟毎の報告となります。」Q&Aは「一つの建物に対して一つの報告となるようにしてください。」
定期検査報告概要書(第三十六号の九様式)の抜粋
原文の抜粋(出典 センター 定期検査報告概要書)
報告書の書類を机の上で確認している様子
イメージ

消防設備点検の報告書の書き方は消防用設備等点検結果報告書の書き方と出し方にありますが、様式も出し先もまったく別です。消防の報告書は消防長又は消防署長へ、防火設備の報告書は特定行政庁(東京都ではセンター経由)へ出します。

センターの事務手数料 → 令和8年7月1日から改定

東京都でセンターに報告するときは、事務手数料がかかります。令和8年6月の改定のお知らせで、防火設備の手数料は次のように変わりました。現行額は令和元年10月1日改定のものです。

延べ面積改定前(税込み)改定後(税込み)
3,000㎡以内3,300円3,800円
3,000㎡を超え、10,000㎡以内5,500円6,400円
10,000㎡を超え、20,000㎡以内9,350円11,100円
20,000㎡を超えるもの12,100円14,600円

お知らせは「新金額については、令和8年7月1日の到着、受付の報告より適用します。」としています。業者の見積もりにこの手数料が入っているかどうかも、比べるときの確認点です。

センターの防火設備の事務手数料の改定。延べ面積の区分ごとの改定前と改定後の税込み金額
事務手数料の改定(出典 センター 事務手数料改定の取扱い 令和8年6月)

費用 → 業者4社の公開料金(2026年9月26日取得)

業者の料金について

ここに載せたのは、各社が自社サイトに載せている金額を2026年9月26日に取得したものです。推薦ではなく、平均や相場として計算したものでもありません。料金は変わることがあるので、依頼するときは各社に直接確かめてください。社名のリンクには検索エンジン向けの nofollow を付けています。

防火設備の検査の料金は、基本料金に、扉やシャッターの数、感知器の数、報告書の作成や提出の代行を足していく形が多いです。4社の載せ方はそれぞれ違うので、そのまま横に並べて比べることはできません。

東和総合サービス

株式会社東和総合サービス 防火設備定期検査の基本料金は、延床面積と用途で決まっています。

延床面積共同住宅左記以外
~1,000㎡35,000円40,000円
~2,000㎡40,000円44,000円
~3,000㎡45,000円50,000円
3,001㎡~別途見積り別途見積り

設備ごとの料金は、防火扉 1か所当たり 6,000円、防火シャッター 1面当たり 10,000円、感知器連動試験 1か所当たり 2,000円です。「※上記価格には、検査費、報告書作成費が含まれています。(作業に必要な交通費、材料・機器費用も価格に含まれています)」と注記しています。

東和総合サービスの防火設備定期検査の基本料金と設備ごとの料金
東和総合サービスの公開料金(2026年9月26日取得・推薦ではない)
価格例 事務所ビル(延床面積2,500㎡)防火扉 5枚・防火シャッター 3枚金額
基本料金50,000円
提出代行費15,000円
防火扉(5枚×6,000円)30,000円
防火シャッター(3枚×10,000円)30,000円
感知器連動試験費(8枚×2,000円)16,000円
合計141,000円
東和総合サービスの価格例。事務所ビル延床面積2,500㎡、防火扉5枚、防火シャッター3枚で合計141,000円
東和総合サービスの価格例(2026年9月26日取得・推薦ではない)

追加費用がかかる場合として、役所への提出代行費・指導手数料、東京都23区、大阪市内以外のエリア外費用、機械排煙設備の検査がある場合、当社へ検査依頼が初めての場合、新築後初めての検査(調査)の場合、が挙げられています。

防災屋とヒロ総合メンテナンス

株式会社防災屋は「防火設備定期検査の費用(相場)」という見出しで、ヒロ総合メンテナンス合同会社は「防火設備定期検査の調査費用・報酬の算出基準(参考)」という見出しで、単価の幅を載せています。「相場」は防災屋自身の表記で、この記事が計算したものではありません。

項目防災屋ヒロ総合メンテナンス
基本料金5,000円 ~ 15,000円10,000円 ~ 25,000円
受信機・連動操作盤3,000円 ~ 20,000円5,000円 ~ 25,000円
防火扉1,000円 ~ 2,000円(枚)1,500円 ~ 2,500円
防火シャッター3,000円 ~ 5,000円(面)4,000円 ~ 8,000円
耐火クロススクリーン3,000円 ~ 5,000円(面)4,000円 ~ 8,000円
煙感知器・熱感知器50円 ~ 100円(個)100円 ~ 200円
防災屋とヒロ総合メンテナンスの単価の幅の比較表
単価の幅の公開例(2026年9月26日取得・推薦ではない)

ヒロ総合メンテナンスは「上記金額を設備の量によって積み重ねて計算します。」「この他に、報告書作成費用+交通費+諸経費+消費税が加算されます。」「点検の実施が夜間等の場合は、相互協議のうえ割増料金を頂きます。」と書いています。建築設備の料金の注記には「東京都、神奈川県など県によってはセンターへの手数料が別途必要となります。」ともあります。

日本確認検査センター

株式会社日本確認検査センターは、報告書作成、行政提出の代行、現地調査を分けて載せています(単位は円、( )内が税込み金額)。

項目金額(税込み)
①防火設備の定期報告書作成費用(毎年)36,000(39,600)
②定期報告書行政提出、調整代行費用10,000(11,000)
③現地調査費用 ~500未満38,000(41,800)
③現地調査費用 500以上~1,000未満43,000(47,300)
③現地調査費用 1,000以上~2,000未満48,000(52,800)
③現地調査費用 2,000以上~3,000未満53,000(58,300)
③現地調査費用 3,000以上~4,000未満58,000(63,800)
③現地調査費用 4,000以上~5,000未満63,000(69,300)
日本確認検査センターの防火設備の報告書作成、行政提出代行、現地調査の公開料金
日本確認検査センターの公開料金(2026年9月26日取得・推薦ではない)

見積もりで確かめること

4社の載せ方を見比べると、見積もりの差が出やすい点が見えてきます。

確かめること理由
両開き・親子扉を1枚と数えるか2枚か特定行政庁によって数え方が違う(日本建築防災協会 Q&A 問2-4)。1枚単価の見積もりに響く
報告書作成費・提出代行費が入っているか含む会社(東和総合サービス)と別に足す会社(ヒロ総合メンテナンス)がある
センターの事務手数料が入っているか令和8年7月1日から改定。別途の会社がある
交通費・夜間の割増別途や割増を明記している会社がある
初めての依頼・新築後初回の追加追加費用の対象にしている会社がある
常閉防火扉を含むか東京都は特定建築物調査側。地域で範囲が違う
見積もりで確かめること。扉の数え方、報告書と提出代行、センター手数料、交通費と夜間、初回の追加、常閉防火扉の範囲
見積もりで確かめること(出典 各社の公開料金/日本建築防災協会 Q&A)

センターのQ&Aは「感知器には、自動火災報知設備と防火設備で兼用しているものがあるため、消防点検と連携して検査することも可能です。」としています。消防設備点検と同じ日に回してもらえるかどうかも、聞いてみる価値があります。

指摘が出たとき → 要是正と既存不適格

検査の結果、不具合があると「要是正」の判定になります。センターの概要のページは「報告書に要是正の指摘があるものは、速やかに改善が必要です。管理者と検査資格者とで協議していただき、改善をしてください。報告書に既存不適格があるものは、建築基準法等の改正により現行の基準に適合していないものです。管理者と検査資格者とで協議し、改善に努めてください。」と書いています。

判定意味(センター 概要のページ)すること
指摘なし報告書の第一面のみ提出(手引き)
要是正「速やかに改善が必要です。」管理者と検査資格者で協議して改善。写真の添付が必要
既存不適格「建築基準法等の改正により現行の基準に適合していないもの」管理者と検査資格者で協議し、改善に努める
判定の3つ。指摘なし、要是正、既存不適格と、それぞれにすること
判定と対応(出典 センター 概要のページ・手引き)

報告書の作成要領は「要是正の指摘がある場合、写真の添付が必ず必要です。」としています。改善したあとの報告は、センターではなく特定行政庁に直接出します。概要のページは「改善計画書、改善完了報告書は特定行政庁へ直接ご提出ください」「改善方法の相談や、改善報告の書式についても、直接、特定行政庁にお問い合わせください。」と案内しています。

報告書作成要領の要是正の写真添付の部分の抜粋
原文の抜粋(出典 センター 報告書作成要領)
区改善の報告(区のページ)
港区「防火設備の定期検査による指摘があり、改善状況を報告する場合は「改善完了報告書」により提出してください。」
江東区改善計画書・改善完了報告書の様式あり。「工事個所が分かる図面や、工事写真等の改善前・後が確認できる資料を添付してください。」
足立区改善計画書(別記第2号様式)、改善完了報告書(別記第3号様式)
改善の流れ。要是正の指摘、管理者と検査資格者で協議、改善工事、改善完了報告書を特定行政庁へ
改善の流れ(出典 センター 概要のページ/港区・江東区・足立区)
防火設備の連動制御盤を確認している様子
イメージ

改修工事の費用は、検査の料金とは別にかかります。センターの手引きが管理者を「改修等をする際の費用を含めた権限がある方」としているので、指摘が出たときの工事の判断も、報告する管理者の側で行うことになります。

報告しないとどうなるか

法101条1項2号は、「第十二条第一項若しくは第三項…の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者」を「百万円以下の罰金」としています。法105条1項2号で、法人にも「各本条の罰金刑」が科されます。センターのQ&Aも「所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)が報告をしない、または虚偽の報告をした場合は100万円以下の罰金と規定されております。」と書いています。

条文内容(原文)
建築基準法101条1項2号「第十二条第一項若しくは第三項…の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者」→「百万円以下の罰金」
建築基準法105条1項2号第百一条 → 法人に「各本条の罰金刑」
報告しない、または虚偽の報告をした場合は百万円以下の罰金。法人にも罰金刑
罰則(出典 建築基準法101条1項2号・105条1項2号)

罰金のほかに、建物の売買や賃貸にも関わります。センターのご案内は「宅地建物取引業法第35条による重要事項説明においても、「定期報告書類の保存の状況」は説明すべき内容となっています。」と書いています。全国の報告率や罰金が実際に適用された件数は、今回の資料からは取得できませんでした。

消防設備点検との違い

感知器を使う、扉やシャッターを閉める、という点で消防設備点検と似ていますが、根拠の法律も、検査する人も、出し先も違います。

防火設備定期検査消防設備点検
根拠建築基準法12条3項消防法17条の3の3
対象随時閉鎖式の防火扉・防火シャッター・耐火クロススクリーン・ドレンチャー消火器、自動火災報知設備、屋内消火栓など消防用設備等
する人一級建築士・二級建築士・防火設備検査員消防設備士・消防設備点検資格者など
出し先特定行政庁(東京都はセンター経由)消防長又は消防署長
報告の間隔毎年(東京都)特定防火対象物は1年に1回、それ以外は3年に1回(施行規則31条の6第3項)
防火設備定期検査と消防設備点検の違い。根拠の法律、対象、する人、出し先
消防設備点検との違い(出典 建築基準法12条3項/センター Q&A)

消防設備点検の対象・頻度・報告は消防設備点検とは(義務・頻度・報告・費用)、防火対象物点検との違いは防火対象物点検とは(消防設備点検との違い・対象・特例認定)に書いています。同じ建物で、建築基準法側の検査と消防法側の点検は両方あることが多いので、年間の予定表に並べておくと抜けを防げます。ほかに建物で決まった時期にやるものとして、貯水槽(受水槽)の清掃は義務?や連結送水管の耐圧試験とはもあります。

よくある質問

消防点検をやっていれば防火設備の検査は要らない?

要ります。センターのQ&Aは「防火設備定期検査報告は、建築基準法第12条第3項に基づく検査制度で、消防法に基づく点検とは異なるものです。」としています。ただし感知器は兼用のものがあるので、消防点検と連携して検査することはできます。

階段の鉄扉(ふだん閉まっている扉)も検査の対象?

地域で違います。東京都内は「令和7年7月1日以降も「常時閉鎖式防火扉」は特定建築物調査の対象です。」(センター手引き)。神奈川県建築安全協会の資料では、各階の主要な常時閉鎖式の防火扉が防火設備の検査の対象に入っています。報告先の特定行政庁で確かめてください。

マンションの各住戸の中の防火設備も見る?

共同住宅の住戸内は対象外です(サービス付き高齢者向け住宅等を除く)。共用部の随時閉鎖式の防火設備が対象です。

管理会社に届かず、オーナーに封書が来たのはなぜ?

報告する義務があるのは所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)で、センターは「管理会社は変更が多いことから、原則は管理者にお送りすることになっております。」としています。管理会社に検査の手配を任せる場合も、報告者は管理者のままです。

センターに業者を紹介してもらえる?

紹介はしていません。センターは「検査者の紹介は行っておりません。」、日本建築防災協会も「本会では検査者の紹介はしておりません。」としています。建物を設計した事務所、特定建築物の調査会社、消防設備の点検会社に聞いてみるよう案内されています。

検査のあと、報告が遅れたらどうなる?

東京都のセンターでは、検査日から3か月を超えると受付できません。手引きの例では「11/1 に検査した場合、2/1 までは受付可能。2/2 以降は受付不可。」です。その場合は検査からやり直しになるので、検査の日程は報告の時期と合わせて決めてください。

窓口に持っていけば早い?

東京都の防火設備の報告は「窓口での受付は行っておりません。」(手引き)。郵送かインターネットで出します。副本と報告済証が戻るのは「通常時で受付から 3 ヶ月程度」です。

困ったときの窓口

聞きたいこと窓口
自分の建物が対象か、報告の時期封書の差出人、または建物を所管する特定行政庁(センター 特定行政庁 防火設備担当連絡先一覧)
東京都の防火設備の報告の出し方センター 建築防災部 防火設備課 TEL 03-5989-1937(センター 防火設備定期検査報告)
東京都の管理者の考え方東京都都市整備局 管理者について
改善計画書・改善完了報告書建物を所管する特定行政庁(区・市)
神奈川県の報告神奈川県建築安全協会 定期報告が必要な建築物・建築設備等・昇降機等
検査の基準と実務のQ&A日本建築防災協会 防火設備定期検査報告に関するQ&A
検査を頼む会社建築士事務所、特定建築物の調査会社、消防設備の点検会社(複数社から見積もり)

東京都の23区内では、敷地内に延べ面積が1万㎡を超える建築物がある場合は東京都知事、それ以外は各区長が特定行政庁です(センター ご案内)。

まとめ

覚えておくこと。根拠は建築基準法12条3項、始まりは平成28年6月1日、対象は随時閉鎖式の防火設備、常時閉鎖式の防火扉は地域で扱いが違う、東京都は毎年4月から翌年1月、罰則は百万円以下の罰金
まとめ(出典 建築基準法/告示第723号/センター ご案内・手引き)

防火設備定期検査は、平成28年6月1日から始まった建築基準法12条3項の検査で、消防法の点検とは別の制度です。対象は、火災のときに煙や熱を感知して閉まる随時閉鎖式の防火扉・防火シャッター・耐火クロススクリーン・ドレンチャーです。ふだん閉まっている常時閉鎖式の防火扉は、令和7年7月1日から扱いが特定行政庁で分かれ、東京都内は特定建築物調査のまま、神奈川県建築安全協会の資料では防火設備の検査に入っています。

検査の中身は告示第723号が決めていて、防火扉は18項目、防火シャッターは27項目です。感知器を作動させて閉まるか、予備電源でも閉まるか、区画として閉まるか、閉まるときに人を挟まないか(シャッターは10J・5cm・再降下)を見ます。検査できるのは一級建築士、二級建築士、防火設備検査員で、センターや日本建築防災協会は業者を紹介していません。

東京都は毎年、全用途で4月から翌年の1月に報告し、検査日から3か月を超えると受付されません。料金は業者によって載せ方が違い、扉の数え方、報告書や提出代行、センターの手数料が入っているかで差が出ます。この記事の4社の金額は2026年9月26日に取得した各社の価格で、推薦でも相場でもありません。細部は、報告先の特定行政庁と検査を頼む会社に確かめてください。

この記事で使った一次情報

建築基準法(e-Gov)
建築基準法施行令(e-Gov)
建築基準法施行規則(e-Gov)
平成28年国土交通省告示第723号(センター掲載の本文)
令和6年国土交通省告示第974号
令和7年国土交通省告示第53号
国土交通省 建築基準法に基づく定期報告制度について
東京都防災・建築まちづくりセンター 防火設備定期検査報告
同 概要
同 防火設備定期検査報告のご案内(令和8年度4月版)
同 防火設備定期検査報告に関するQ&A
同 提出の手引き(令和8年7月)
同 報告書作成要領
同 定期検査報告概要書
同 事務手数料改定の取扱い(令和8年6月)
同 特定行政庁 防火設備担当連絡先一覧
同 定期報告のインターネット受付のご案内
東京都都市整備局 管理者について
日本建築防災協会 防火設備検査員講習
同 令和8年度 学科講習
同 受講料・講習時間
同 令和7年度 修了考査結果
同 実技講習
同 受講資格
同 防火設備定期検査
同 防火設備定期検査報告に関するQ&A
神奈川県建築安全協会 定期報告が必要な建築物・建築設備等・昇降機等
神奈川県建築安全協会 お知らせ
港区 定期報告
江東区 防火設備の定期検査報告
足立区 防火設備定期検査報告

建築基準法12条点検
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    改修・交換工事

    フロン点検とは|業務用エアコン・冷凍冷蔵機器の簡易点検は3か月に1回、7.5kW以上は定期点検、対象の見分け方と管理者、記録簿、罰則、費用の例【2026年版・環境省の手引きつき】

  • 2026年11月3日
    消防設備点検

    避難器具の設置基準|設置が必要な階(施行令25条)、収容人員と個数の計算、減免、避難はしご・緩降機・救助袋の置き方、4階以上の条件、標識、点検、罰則【2026年版・条文つき】

  • 2026年11月2日
    建築基準法12条点検

    防火区画とは|面積・高層・竪穴・異種用途の4種類、1,500㎡や100㎡の基準、防火戸と防火シャッターの条件、管理で区画を壊さない注意【2026年版・施行令112条の原文つき】

  • 2026年11月1日
    消防設備点検

    消火器の設置基準|設置が必要な建物(施行令10条)、必要な本数の計算(能力単位)、歩行距離20m、付加設置、高さ1.5mと標識、飲食店、既存の建物、罰則【2026年版・条文つき】

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法定点検ガイドは、建物の所有者・管理者の方に向けて、消防設備点検や建築基準法の定期報告を法令と行政の公開情報をもとに解説するメディアです。

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