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消防法・同法施行令・同法施行規則(e-Gov)、消防庁の点検要領 第11 自動火災報知設備・点検基準 別表第11・点検票、平成16年消防庁告示第9号・第10号、令和7年版消防白書、日本火災報知機工業会の資料は、2026年10月11日に原文を取得して確認しました。条文は原文どおりに引用しています。用途の区分や無窓階の判定、設置の要否の最終的な判断は、建物を管轄する消防署で確かめてください。
ビルや店舗の天井に付いている丸い機械と、廊下の壁にある赤いランプと押しボタン。どちらも自動火災報知設備の一部です。現場では「自火報(じかほう)」と縮めて呼ばれることが多い設備です。
自動火災報知設備は、消防法で決められた消防用設備等のひとつです。要る建物には設置の義務があり、付けたあとは定期的な点検と消防署への報告の義務もかかります。テナントを入れる、用途を変える、建物を買うといった場面で「この建物に自火報は要るのか」「点検で何をされるのか」「いつ交換するのか」を知りたい所有者や管理者は多いはずです。
この記事では、設置の基準を決めている消防法施行令21条1項の15の号を全部並べたうえで、警戒区域、感知器と受信機などの決まり、非常電源、点検の周期と中身、誰が工事と点検をできるか、交換の目安、全国でどれくらい付いていない建物があるか、付けないときの罰則までを、条文の番号つきで順に見ていきます。

先に結論

| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 根拠 | 消防法17条、消防法施行令21条、消防法施行規則23条・24条 |
| 要る建物 | 令21条1項1号から15号。旅館・ホテルや入院設備のある病院などは面積に関係なく。飲食店や物販店は延べ300㎡以上、事務所は1,000㎡以上など |
| 階や部分で要るもの | 地階・無窓階・3階以上の階で床面積300㎡以上、11階以上の階、駐車部分200㎡以上など |
| 付けなくてよい範囲 | 閉鎖型スプリンクラーヘッドの設備を付けた範囲(劇場、飲食店、物販店、旅館、病院などの用途は除く) |
| 点検 | 機器点検は6か月ごと、総合点検は1年ごと(告示9号) |
| 報告 | 特定防火対象物は1年に1回、それ以外は3年に1回(施行規則31条の6) |
| 工事と点検 | 工事は甲種第4類の消防設備士。点検は第4類の消防設備士か第二種消防設備点検資格者 |
| 罰則 | 設置命令に違反すると1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金、法人は3,000万円以下の罰金刑 |
自動火災報知設備とは

自動火災報知設備は、火事の熱や煙を感知器が感じ取り、受信機に信号を送って、ベルや音声で建物の中にいる人に知らせる設備です。人が火事に気づいたときに押す発信機(押しボタン)もつながっています。
施行規則24条は、受信機について「感知器、中継器又は発信機の作動と連動して、当該感知器、中継器又は発信機の作動した警戒区域を表示できるものであること。」とし、受信機は「防災センター等に設けること。」としています。どの区域で火事が起きたかが受信機で分かる仕組みです。東京消防庁も一般向けに自動火災報知設備の説明ページを出しています。
消防用設備の点検全体の流れは消防設備点検とはで、付けたあとの届出と消防検査は消防用設備等の設置届と消防検査でまとめています。この記事は自動火災報知設備そのものに絞ります。
自分の建物に要るかを確かめる順番

令21条1項は、建物全体の用途と延べ面積で決まる号と、階や部分ごとに決まる号が混ざっています。次の順番で当てはめると迷いにくくなります。
- 建物の用途が、令別表第一の何項に当たるかを確かめる(飲食店は(3)項ロ、物販店は(4)項、ホテルは(5)項イ、共同住宅は(5)項ロ、事務所は(15)項、複合用途は(16)項など)
- 延べ面積で1号から6号を見る(用途によっては面積に関係なく対象)
- 7号から9号を見る(避難階以外の階に特定用途があって階段が1つしかない建物、指定可燃物、地下街)
- 階ごとに10号、11号、14号を見る(地階、無窓階、3階以上の階、11階以上の階)
- 部分ごとに12号、13号、15号を見る(道路の部分、駐車の部分、通信機器室)
- 当たった場合に、スプリンクラー設備などで付けなくてよい範囲がないかを確かめる
どれか1つでも当たれば、その建物か、その階や部分に設置が要ります。窓の少ない「無窓階」に当たるかどうかや、用途の区分そのものは、消防署の判断で決まる部分があります。この記事は条文の読み方を並べたもので、個別の建物の答えを決めるものではありません。
令21条1項 設置が必要な15の号
1号から6号 用途と延べ面積で決まるもの

1号は、面積に関係なく対象になる建物です。条文が並べているのは、別表第一の(2)項ニ(カラオケボックスなど)、(5)項イ(旅館、ホテル、宿泊所など)、(6)項イ(1)から(3)(入院設備のある病院、有床診療所、有床助産所)、(6)項ロ(老人短期入所施設などの入所施設)、(13)項ロ(航空機の格納庫など)、(17)項(重要文化財などの建造物)と、(6)項ハのうち「利用者を入居させ、又は宿泊させるものに限る」ものです。
2号は、(9)項イ(公衆浴場のうち蒸気浴場、熱気浴場など)で延べ200㎡以上です。3号は延べ300㎡以上で、(1)項(劇場、集会場など)、(2)項イからハ(キャバレー、遊技場など)、(3)項(飲食店など)、(4)項(百貨店、物品販売店舗など)、(6)項イ(4)(無床の診療所など)とニ(幼稚園など)、(16)項イ(特定用途を含む複合用途)、(16の2)項(地下街)と、(6)項ハのうち入居や宿泊のないもの(デイサービスなど)です。
4号は延べ500㎡以上で、(5)項ロ(共同住宅、寄宿舎など)、(7)項(学校)、(8)項(図書館など)、(9)項ロ(一般の公衆浴場)、(10)項(車両の停車場など)、(12)項(工場、スタジオなど)、(13)項イ(自動車車庫、駐車場)、(14)項(倉庫)です。5号は(16の3)項(準地下街)で延べ500㎡以上、かつ特定用途の部分が300㎡以上のもの、6号は(11)項(神社、寺院など)と(15)項(事務所など)で延べ1,000㎡以上です。
条文は「延べ面積が三百平方メートル以上のもの」のように「以上」で書かれていて、ちょうど300㎡の建物も対象に入ります。500㎡、1,000㎡の線も同じです。
7号から15号 階や部分で決まるもの

7号は、特定用途の部分が避難階以外の階にあり、その階から避難階か地上に直通する階段が2つ(屋外階段などなら1つ)以上ない建物です。施行規則23条はこうした建物を「特定一階段等防火対象物」と呼んでいます。階段が1つしかない小さな雑居ビルの上の階に飲食店などが入っていると、面積に関係なく対象です。
8号は、指定可燃物を危険物の規制に関する政令の別表第四の数量の500倍以上ためたり扱ったりする建物です。9号は、地下街のうちカラオケボックス、旅館、病院、入所施設などの用途の部分です。
10号は、(2)項イからハ、(3)項、(16)項イの地階と無窓階で、床面積が100㎡以上のものです。(16)項イの建物の地階や無窓階は、(2)項か(3)項の用途の部分がある場合に限られ、その部分の床面積の合計で数えます。地下の飲食店やバーは、建物全体が300㎡未満でも、この号で対象になることがあります。
11号は、ここまでの号に当たらない建物でも、地階、無窓階、3階以上の階で床面積が300㎡以上の階は対象になるという号です。事務所ビルや共同住宅でも、300㎡以上の階が3階以上にあればその階が対象になります。12号は道路の用に供される部分(屋上は600㎡以上、それ以外は400㎡以上)、13号は地階か2階以上にある駐車の部分で200㎡以上(すべての車両が同時に屋外に出られる構造の階を除く)、14号は11階以上の階、15号は床面積500㎡以上の通信機器室です。
小規模な旅館や福祉施設などには、「特定小規模施設用自動火災報知設備」という、配線のいらない無線式の感知器などを使える仕組みもあります。根拠は総務省令の特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令です。
警戒区域と付けなくてよい範囲

警戒区域は、令21条2項1号が「火災の発生した区域を他の区域と区別して識別することができる最小単位の区域」と定義しています。受信機は、この警戒区域ごとに火事の場所を表示します。
警戒区域は、原則として建物の2以上の階にわたらないものとし、1つの警戒区域の面積は600㎡以下、一辺の長さは50m以下(光電式分離型感知器を付ける場合は100m以下)です。主要な出入口から内部を見通せる場合は、面積を1,000㎡以下にできます。例外として、1つの警戒区域が500㎡以下で2つの階にわたる場合などは、2つの階を1つの警戒区域にできます(施行規則23条1項)。
感知器は、天井や壁の屋内に面する部分と天井裏の部分に付けます。ただし特定主要構造部を耐火構造とした建物では、天井裏の部分に付けないことができます(令21条2項3号)。
令21条3項は、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備(閉鎖型スプリンクラーヘッドを備えたもの)を基準どおりに付けたときは、その有効範囲内の部分に自動火災報知設備を設置しないことができるとしています。ヘッドは標示温度が75度以下で種別が一種のものです(施行規則23条3項)。
ただし施行規則23条2項は、この免除が使えないものとして、(1)項から(4)項、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項、(16の3)項の建物や部分、階段やエレベーターの昇降路など煙感知器を付ける場所を並べています。劇場、飲食店、物販店、ホテル、病院、福祉施設などは、スプリンクラーがあっても自動火災報知設備は省けないということです。
感知器・受信機・地区音響装置・発信機の決まり
ここからは、付けるときの中身です。細かい設計は消防設備士や設計者の仕事ですが、所有者として知っておくと、見積もりや点検報告書の指摘が読みやすくなります。
感知器

感知器は、熱で動く熱感知器、煙で動く煙感知器、炎の光で動く炎感知器などがあり、場所によって付けられる種類が決まっています。施行規則23条5項は、階段や傾斜路、エレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトなどには煙感知器を付けるとしています。取付け面の高さが20m以上の場所には、炎感知器以外の感知器は付けません。
熱感知器のスポット型は、1個が受け持てる床面積が、感知器の種類、取付け面の高さ、建物の構造で決まります。取付け面の高さが4m未満で特定主要構造部を耐火構造とした建物なら、差動式スポット型の一種は90㎡、二種は70㎡、定温式スポット型の特種は70㎡、一種は60㎡、二種は20㎡につき1個以上です。その他の構造の建物では、それぞれ50㎡、40㎡、40㎡、30㎡、15㎡に下がります。
部屋を間仕切りで分けたり、天井から下がるはりが増えたりすると、感知器が受け持つ区域が変わります。条文は、壁や取付け面から一定以上突き出たはりなどで区切られた部分を「感知区域」と呼び、感知区域ごとに個数を数えるとしています。改装の前に消防設備士に相談しておくと、点検で未警戒の部分を指摘されることを防ぎやすくなります。
受信機・地区音響装置・発信機

施行規則24条は、受信機、地区音響装置、発信機の付け方を細かく決めています。所有者として知っておきたい数字は次のとおりです。
- 受信機の操作スイッチは、床面から0.8m(いすに座って操作するものは0.6m)以上1.5m以下
- P型二級受信機で回線が1つのものは延べ350㎡を超える建物に、P型三級受信機は延べ150㎡を超える建物に付けない
- 地区音響装置は、音響装置の中心から1m離れた位置で90dB以上(音声で知らせるものは92dB以上)。各階の各部分から1つの地区音響装置までの水平距離は25m以下
- 地階を除く階数が5以上で延べ3,000㎡を超える建物は、出火した階と直上階などに限って先に鳴らす区分鳴動ができる(一定の時間がたつか、新たな火災信号を受けたら全区域に鳴らす)
- 発信機は、各階の各部分から歩行距離50m以下、床面から0.8m以上1.5m以下。表示灯は赤色で、取付け面と15度以上の角度の方向に10m離れたところから点灯が分かるもの
感知器から受信機までの間で、誤報を減らすために一定時間信号を確かめる「蓄積」という機能を使う場合は、感知器と中継器と受信機の蓄積時間の合計が60秒を超えないこと(煙感知器以外の感知器を付けるときは、中継器と受信機の合計が20秒を超えないこと)とされています。
非常電源

令21条2項4号は、自動火災報知設備に非常電源を付けるとしています。施行規則24条は、延べ1,000㎡以上の特定防火対象物では蓄電池設備(直交変換装置を有するものを除く)、そのほかの建物では非常電源専用受電設備か蓄電池設備とし、蓄電池設備の容量は自動火災報知設備を「有効に十分間作動することができる容量以上」としています。
日本火災報知機工業会のリーフレットは、受信機の中の予備電源(停電のときに設備を動かすバッテリー)とスイッチング電源装置を、寿命年数が約3〜6年の「定期交換部品」としています。点検報告書で予備電源の不良を指摘されたら、この部品の交換のことが多いと考えてよいでしょう。非常用の発電機を持つ建物の負荷試験は非常用発電機の負荷試験とはで説明しています。

自動火災報知設備の点検
点検と報告の周期

付けたあとは、消防法17条の3の3に基づいて定期に点検し、消防署に報告します。点検の期間は平成16年消防庁告示第9号が決めていて、自動火災報知設備は機器点検が6か月ごと、総合点検が1年ごとです。
告示9号は、機器点検を、非常電源や動力消防ポンプの正常な作動、機器の適正な配置や損傷などの「主として外観から判別できる事項」、機能について「外観から又は簡易な操作により判別できる事項」を確かめるものとしています。総合点検は、設備の全部か一部を作動させたり使ったりして、総合的な機能を確かめるものです。
点検の結果は維持台帳に記録し、消防長か消防署長に報告します(施行規則31条の6)。報告の期間は、(1)項から(4)項、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項、(16の3)項の建物が1年に1回、それ以外が3年に1回です。報告書の書き方は消防用設備等点検結果報告書の書き方と出し方で、東京消防庁の手続きは東京消防庁の点検報告制度のページで確かめられます。
機器点検で見ること

点検の中身は、消防庁の点検基準(昭和50年消防庁告示第14号 別表第11)と点検要領 第11 自動火災報知設備に書かれています。機器点検では、予備電源と非常電源、受信機、感知器、発信機、地区音響装置などを一つずつ確かめます。
所有者や管理者がふだんの使い方で気をつけられるのは、感知器の「未警戒部分」です。点検要領は、感知器の警戒状況について「設置後の用途変更、間仕切変更等による未警戒の部分がないこと。」を確かめるとしています。部屋を区切った、倉庫を事務室に変えた、といった変更のあとに、感知器が足りない場所ができていないかを見る項目です。
感知器は、熱感知器なら所定の加熱試験器、煙感知器なら所定の加煙試験器で実際に作動させて確かめます。点検の日には、事務室や客室など建物のほぼすべての場所に入ることになるので、日本火災報知機工業会のリーフレットも、点検できない箇所をなくすために関係者の立ち会いを求めています。
一度しか使えない感知器の抜き取り

一度作動させると元に戻らない「非再用型」の感知器は、全部を作動させるわけにはいきません。点検要領は、設置個数に応じて抜き取って確かめるとしていて、1以上10以下なら1個、11以上50以下なら2個、51以上100以下なら4個、101以上なら7個です。抜き取りは輪番で行い、どれを抜き取ったかを図面や点検表に残します。不良が見つかったら、その不良個数分を抽出して実施します。
総合点検で見ること

総合点検では、受信機で任意の5回線(5回線に満たないときは全回線)を同時に作動させて、火災表示や地区音響装置の鳴動を確かめます。煙感知器は感度試験器で感度が所定の範囲内かを確かめ、地区音響装置は中心から前面1m離れた位置で騒音計を使い、音圧が90dB以上(音声は92dB以上)かを測ります。非常電源に切り替えた状態で、任意の感知器を加熱か加煙して、火災表示や音響が正しく動くかも見ます。
点検の結果は、消防庁の別記様式第11 自動火災報知設備点検票に書かれて報告書に付きます。点検票の「不良内容」や「措置内容」の欄に書かれたことが、直す必要のあるところです。
誰が工事と点検をできるか

令36条の2は、自動火災報知設備の設置の工事と整備を、消防設備士でなければ行ってはならないものにしています(電源の部分を除く)。施行規則33条の3は、甲種消防設備士の第4類が「自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備又は消防機関へ通報する火災報知設備」の工事と整備を、乙種の第4類が同じ設備の整備をできると決めています。
点検できる人は平成16年消防庁告示第10号が決めていて、消防設備士は第4類、消防設備点検資格者は第二種が自動火災報知設備を点検できます。令和7年版消防白書によると、令和7年3月31日現在で消防設備士は延べ137万6,123人、第2種の消防設備点検資格者は16万5,573人です。資格の違いは消防設備士とはと消防設備点検資格者とはで詳しく説明しています。
有資格者に点検させなければならないのは、令36条2項の建物です。特定用途で延べ1,000㎡以上のもの、非特定用途で延べ1,000㎡以上のうち消防長か消防署長が指定したもの、特定一階段等防火対象物などです。それ以外の建物は、法令上は関係者が自ら点検して報告することも認められています。
交換の目安

自動火災報知設備の機器に、法令で決まった交換の年数はありません。目安として広く参照されているのが、業界団体の日本火災報知機工業会の「既設の自動火災報知設備機器の更新について」です。
| 機器 | 推奨更新期間 |
|---|---|
| 受信機 | 15年(電子機器部品を多用していない機器は20年) |
| 煙式感知器 | 10年 |
| 熱式感知器(半導体式) | 10年 |
| 熱式感知器 | 15年 |
| 発信機 | 20年 |
| 地区音響装置 | 20年 |
工業会は、これらの年数を「設置後の更新を必要とする おおよその期間であり、修復等の対応期間ではありません。」と説明し、適切に定期点検が実施されて設置環境に支障がないことを条件にしています。風水、塩分、腐食ガスなどの影響を受ける場所では、年数が短くなる場合があるとも書いています。
工業会のリーフレットは、設置後おおよそ10年が経過すると経年劣化で受信機や感知器の不具合が多くなり、電子部品の生産中止で補修用の基板などが手に入らず修理できなくなることがあると説明しています。受信機がこの年数に近い建物では、点検業者に更新の見積もりを早めにもらっておくと、故障してから慌てずに済みます。
付けていない建物は全国でどれくらいあるか

令和7年版消防白書によると、令和7年3月31日現在、特定防火対象物の自動火災報知設備の設置率は99.7%です。資料1-1-63で数を見ると、設置が必要な662,736のうち、設置されているのは660,794で、違反数は1,942です。
違反数がいちばん多いのは、飲食店や物販店などが入る複合用途のビル((16)項イ)で1,211、次が旅館等((5)項イ)の270、飲食店((3)項ロ)の169、百貨店等((4)項)の153です。テナントが入れ替わる雑居ビルや、小規模な宿泊施設で抜けやすいことが数字からも読み取れます。
付けない・直さないとどうなるか

消防長か消防署長は、消防用設備等が基準どおりに設置・維持されていないと認めるときは、法17条の4で、権原のある関係者に設置や維持のための措置を命じることができます。
| 違反 | 罰則 | 条文 |
|---|---|---|
| 設置の命令に違反して設置しなかった | 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(情状により併科) | 法41条1項5号 |
| 同じ違反で法人の業務に関するもの | 法人に3,000万円以下の罰金刑 | 法45条2号 |
| 維持の命令に違反して必要な措置をしなかった | 30万円以下の罰金又は拘留 | 法44条12号 |
| 点検の結果を報告しない、うその報告をした | 30万円以下の罰金又は拘留 | 法44条11号 |
消防庁のリーフレットは、違反対象物の公表制度について「各消防本部において条例を定め、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備、自動火災報知設備が全く設置されていない等の消防法令の中でも極めて重大な違反がある建物の情報を公表している制度です。」と説明しています。自動火災報知設備が付いていないと、建物の名前が公表される対象になりうるということです。
いきなり罰則になるより、消防の立入検査で指摘を受けて改修を求められるのが普通の流れです。立入検査の流れは消防の立入検査とはで書いています。
所有者・管理者のチェックリスト
最後に、所有者や管理者がふだん確かめておきたいことを並べます。
- 建物の用途(令別表第一の何項か)、延べ面積、階数、各階の床面積を図面で確かめた
- 地階や無窓階、3階以上の階に、床面積300㎡以上の階がないか確かめた
- 上の階に飲食店などが入っていて階段が1つしかない建物かどうかを確かめた
- 間仕切りや用途を変えるときに、感知器の足りない場所ができないかを工事の前に確かめた
- 受信機のそばや発信機の前に物を置いていない
- 点検報告書と点検票を受け取り、不良内容に書かれたことを直した
- 受信機と感知器の設置年数を把握し、交換の目安に近いものは見積もりをもらった
点検を頼む業者の探し方や公開されている料金の例は消防設備点検の費用に、共同住宅の点検で部屋に入る理由はマンションの消防点検とはにまとめています。防火管理者の役割は防火管理者とはで、建物の防火管理の点検は防火対象物点検とはで別に説明しています。
よくある質問
Q. 小さな飲食店でも自動火災報知設備は要りますか
A. 飲食店((3)項ロ)は、令21条1項3号で延べ300㎡以上なら対象です。300㎡未満でも、地階や無窓階で床面積100㎡以上(10号)、上の階にあって階段が1つしかない建物(7号)などは対象になります。複合用途のビルに入っている場合は、ビル全体で判断することもあるので、管轄の消防署で確かめてください。
Q. 事務所ビルは何㎡から必要ですか
A. 事務所((15)項)は、令21条1項6号で延べ1,000㎡以上です。ただし、地階、無窓階、3階以上の階で床面積300㎡以上の階(11号)や、11階以上の階(14号)は、延べ面積に関係なくその階が対象になります。
Q. スプリンクラーがあれば自動火災報知設備はいりませんか
A. 閉鎖型スプリンクラーヘッドの設備を基準どおり付けた範囲は、付けないことができます(令21条3項)。ただし劇場、飲食店、物販店、ホテル、病院、福祉施設、特定用途を含む複合用途の建物などは、施行規則23条2項でこの免除が使えません。
Q. 点検はどのくらいの間隔ですか
A. 告示9号で、機器点検が6か月ごと、総合点検が1年ごとです。消防署への報告は、特定防火対象物が1年に1回、それ以外が3年に1回です(施行規則31条の6)。
Q. 感知器は何年で交換するものですか
A. 法令で決まった年数はありません。日本火災報知機工業会は、推奨更新期間を煙式感知器10年、熱式感知器15年(半導体式は10年)、受信機15年などとしています。点検で作動しないと分かった感知器は、年数に関係なく交換が必要です。
Q. 自分で点検してもよいですか
A. 令36条2項の建物(特定用途で延べ1,000㎡以上など)は、消防設備士か消防設備点検資格者に点検させなければなりません。それ以外の建物は、関係者が自ら点検して報告することも法令上は認められていますが、加熱試験器などの道具と点検要領の知識が要ります。
まとめ
自動火災報知設備が要るかは、令21条1項の15の号で決まります。旅館やホテル、入院設備のある病院などは面積に関係なく、飲食店や物販店は延べ300㎡以上、共同住宅や工場は500㎡以上、事務所は1,000㎡以上が目安で、これとは別に地階、無窓階、3階以上の階、11階以上の階が階ごとに対象になります。
付けたあとは、機器点検を6か月ごと、総合点検を1年ごとに行い、特定防火対象物は1年に1回、それ以外は3年に1回報告します。点検報告書の指摘を直し、受信機と感知器の年数を把握しておくことが、所有者と管理者にできるいちばんの備えです。
出典
出典(すべて2026年10月11日に原文を確認)
消防法(e-Gov 法令検索) 17条の3の3、17条の4、41条、44条、45条
消防法施行令(e-Gov 法令検索) 21条、36条、36条の2、別表第一
消防法施行規則(e-Gov 法令検索) 23条、24条、31条の6、33条の3
特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(e-Gov 法令検索)
消防庁 消防用設備等の点検基準、点検要領、点検票
消防庁 点検要領 第11 自動火災報知設備(PDF)
消防庁 昭和50年消防庁告示第14号 別表第11 自動火災報知設備の点検の基準(PDF)
消防庁 同 別記様式第11 自動火災報知設備点検票(PDF)
消防庁 平成16年消防庁告示第9号(点検の期間等)(PDF)
消防庁 平成16年消防庁告示第10号(点検の資格)(PDF)
令和7年版 消防白書 6.消防用設備等
令和7年版 消防白書 資料1-1-63
消防庁 リーフレット(違反対象物の公表制度)(PDF)
東京消防庁 点検報告制度
東京消防庁 自動火災報知設備ってなに?
日本火災報知機工業会 既設の自動火災報知設備機器の更新について(PDF)
日本火災報知機工業会 リーフレット 維持管理は自動火災報知設備の防火管理者が主役です(PDF)





