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消防設備点検・建築基準法12条点検の費用と業者の探し方
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消防設備点検とは?義務・対象の建物・頻度・報告・費用・業者の選び方【2026年版・条文つき】

2026 9/21
消防設備点検
2026年9月21日2026年9月26日
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消防設備点検とは?義務・対象の建物・頻度・報告・費用・業者の選び方【2026年版・条文つき】

この記事の情報

法令は e-Gov の現行版(消防法は2025年6月1日施行、消防法施行令は2025年10月1日施行、消防法施行規則は2026年6月26日施行の版)で確認し、消防庁の告示・資料、東京消防庁のページとあわせて2026年9月21日に確認した内容です。建物ごとの最終的な判断は、管轄の消防署に確認してください。

ビルやマンション、店舗を持っている人、管理を任されている人、テナントとして入っている人のところには、ある日「消防設備点検のお知らせ」が届きます。自分の建物は対象なのか、報告まで必要なのか、費用はいくらが普通なのか。調べ始めると迷うことが多い制度です。

この記事では、消防法17条の3の3、施行令・施行規則、消防庁の告示の原文を1つずつ確かめて並べ直しました。読む順番は「自分の建物は対象か」「何をいつまでにやるか」「費用と業者の選び方」です。最後にチェックリストとよくある質問を置いています。

先に結論を書くと、消防用設備等が付いている建物は、ほぼすべてが点検の対象です。点検は機器点検が6か月ごと、総合点検が1年ごと。消防署への報告は特定防火対象物が1年に1回、それ以外が3年に1回です。報告をしない、または虚偽の報告をすると、30万円以下の罰金又は拘留になる可能性があります。

消防設備点検の要点。点検は機器点検6か月・総合点検1年、報告は特定防火対象物1年に1回・それ以外3年に1回、報告しないと30万円以下の罰金又は拘留、消防署は業者も金額も示さない
消防設備点検の要点(出典 消防法・同法施行規則・消防庁告示第9号・東京消防庁)
目次
点検の義務と費用の相場をLINEで受け取る。受け取れる情報を見る

消防設備点検とは(消防法17条の3の3)

消防設備点検は、建物に付いている消火器や自動火災報知設備などが、いざというときに働くかを定期的に確かめ、その結果を消防署に報告する制度です。根拠は消防法17条の3の3で、原文は次のとおりです(消防法 e-Gov)。

「第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等…について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。」

条文をかみくだくと5つの要素になる

1文が長いので、誰が・何を・いつ・誰に点検させるか・どこへ報告するか、の5つに分けて読みます。この記事の後半は、この5つを順に具体的にしていきます。

消防法17条の3の3を5つの要素に分けた図。誰が、何を、いつ、誰に点検させるか、どこへ報告するか
条文を5つの要素に分けて読む

機器点検と総合点検の2種類がある

点検には2種類あります。消防庁告示第9号は、機器点検を「外観から又は簡易な操作により判別できる事項」などを確認すること、総合点検を「消防用設備等の全部若しくは一部を作動させ、又は当該消防用設備等を使用することにより、当該消防用設備等の総合的な機能を…確認すること」と定めています(消防庁告示第9号)。

点検の細かな基準と点検票の様式は、昭和50年の消防庁告示第14号で定められています(東京消防庁 Q3)。

機器点検と総合点検の違い。機器点検は6か月ごとに外観や簡易な操作で確認、総合点検は1年ごとに実際に作動させて確認
機器点検と総合点検の違い

防火対象物点検とは別の制度

名前が似ている「防火対象物点検」(消防法8条の2の2)は、別の制度です。消防設備点検は設備が適正に作動するかを、防火対象物点検は防火管理上必要な業務や避難施設の維持管理などを点検します(東京消防庁 Q17)。

消防用設備等点検と防火対象物点検の比較。前者は消防法17条の3の3で設備の作動を点検、後者は8条の2の2で防火管理の業務などを点検
名前が似ている2つの点検は別の制度

また、屋内消火栓やスプリンクラーの非常電源になっている自家発電設備も、消防法17条の3の3の消防設備点検が必要だと東京消防庁は答えています(Q18)。

自分の建物は対象?点検が必要な建物・いらない建物

消防用設備等が付いている建物は、ほぼすべて対象

点検の対象は、消防法17条1項の防火対象物です。施行令6条で「別表第一に掲げる防火対象物」とされ、劇場、飲食店、物販店、ホテル、病院、共同住宅、学校、工場、倉庫、事務所など、ほとんどの用途が並んでいます(消防法施行令 e-Gov)。点検が要らないのは、施行令36条1項で「別表第一(二十)項に掲げる防火対象物」、つまり総務省令で定める舟車だけです。

東京消防庁も「消防設備が設置されている建物で、消防設備点検が必要です」と説明しています(Q1)。

参考までに、消防白書によると、令和7年3月31日現在の全国の防火対象物数(延べ面積150㎡以上のものなど)は430万869件です(令和7年版 消防白書)。

住宅用火災警報器だけの住宅は対象外

戸建て住宅に付けている住宅用火災警報器について、東京消防庁は点検報告が必要かという問いに「必要ありません」と答えています(Q19)。

特定防火対象物と非特定防火対象物の見分け方

対象の建物は、報告の周期で2つに分かれます。飲食店、物販店、ホテル、病院のように不特定多数の人が出入りする用途は「特定防火対象物」、共同住宅、事務所、工場、倉庫のような用途は「非特定防火対象物」です。区分は、施行規則31条の6第3項の1号(1年に1回)と2号(3年に1回)に並んでいる別表第一の項番号で判定できます。

別表第一の項主な用途(原文をもとに要約)区分
(1)劇場・映画館・演芸場・観覧場、公会堂・集会場特定
(2)キャバレー、遊技場、性風俗関連特殊営業店舗、カラオケボックス等特定
(3)待合・料理店等、飲食店特定
(4)百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場特定
(5)イ旅館、ホテル、宿泊所等特定
(5)ロ寄宿舎、下宿又は共同住宅非特定
(6)病院・診療所・助産所、老人ホーム等の社会福祉施設、保育所等、幼稚園・特別支援学校特定
(7)(8)小学校から大学・専修学校等、図書館・博物館・美術館等非特定
(9)イ 蒸気浴場・熱気浴場等は特定、ロ それ以外の公衆浴場は非特定分かれる
(10)〜(15)停車場、神社寺院、工場、車庫・駐車場、倉庫、前各項に当たらない事業場(事務所)非特定
(16)イ 特定用途を含む複合用途は特定、ロ それ以外の複合用途は非特定分かれる
(16の2)(16の3)地下街、準地下街特定
(17)(18)重要文化財等の建造物、延長50m以上のアーケード非特定
特定防火対象物と非特定防火対象物の用途一覧。特定は飲食店・物販店・ホテル・病院など、非特定は共同住宅・学校・工場・事務所など
特定と非特定の主な用途

3つの質問で、対象・報告の周期・点検できる人が分かる

後で説明する有資格者の条件まで1枚にまとめると、次のフローチャートになります。

消防設備点検の判定フローチャート。Q1消防用設備等があるか、Q2特定用途があるか、Q3有資格者が必要な4種類に当たるか
自分の建物が対象か、何年ごとに報告し、誰が点検するかを確認できます

マンション・アパート(共同住宅)の場合

マンションやアパートなどの共同住宅は、別表第一の(5)項ロで非特定防火対象物です。報告は3年に1回になります(施行規則31条の6第3項2号。東京消防庁の報告の期間についてのページも非特定用途の例に共同住宅を挙げています)。ただし点検そのものは、ほかの建物と同じく機器点検6か月・総合点検1年ごとです。

延べ面積が1,000㎡以上の共同住宅でも、有資格者による点検が義務になるのは消防長又は消防署長が指定したものに限られます(施行令36条2項2号)。一方で、1階に飲食店や物販店が入っているような建物は、特定用途を含む複合用途の(16)項イになり、報告は1年に1回、延べ1,000㎡以上なら有資格者による点検が必要です。

誰の義務か。オーナーだけでなくテナントも「関係者」

点検と報告の義務を負うのは「関係者」です。消防法2条4項は「関係者とは、防火対象物又は消防対象物の所有者、管理者又は占有者をいう」と定めています。建物を借りて店や事務所を開いているテナントも、占有者として条文上の関係者に入ります。

では実際に誰が点検を頼み、報告書を出すのか。東京消防庁はQ7で「一般的には、建物に設置されている消防設備の維持管理について、権限を持っている者が報告します」と答えています。誰が点検を手配しているか分からないときは、オーナーか管理会社に確認してください。

消防法の関係者は所有者・管理者・占有者の3者。実際に報告するのは維持管理の権限を持つ人
義務を負う「関係者」は3者
消火器が置かれた飲食店の店内
飲食店は特定防火対象物に当たり、報告は1年に1回(イメージ)

何をするか。点検の頻度は6か月と1年

設備ごとの点検周期

施行規則31条の6第1項は「種類及び点検内容に応じて、一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする」と定め、具体的な期間は消防庁告示第9号の第3に表で並んでいます。

設備の種類(告示の表をもとに要約)機器点検総合点検
消火器具、消防機関へ通報する火災報知設備、誘導灯、誘導標識、消防用水、非常コンセント設備、連結散水設備、無線通信補助設備、共同住宅用非常コンセント設備6か月定めなし
屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧・泡・不活性ガス・ハロゲン化物・粉末消火設備、屋外消火栓設備、動力消防ポンプ設備6か月1年
自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、漏電火災警報器、非常警報器具及び設備6か月1年
避難器具、排煙設備、連結送水管、非常電源(配線の部分を除く)、総合操作盤6か月1年
パッケージ型消火設備・自動消火設備、共同住宅用スプリンクラー設備・自動火災報知設備など、特定小規模施設用自動火災報知設備、加圧防排煙設備、特定駐車場用泡消火設備など6か月1年
配線定めなし1年

消火器・誘導灯は機器点検だけ

表を見ると分かるとおり、消火器具や誘導灯、誘導標識などは、機器点検(6か月)だけが定められていて、総合点検の定めがありません。反対に配線は、総合点検(1年)だけです。自動火災報知設備やスプリンクラー設備のように、両方が必要な設備もあります。建物に付いている設備の組み合わせで、点検の中身は変わります。

設備ごとの点検周期。消火器具・誘導灯・誘導標識などは機器点検6か月のみ、自動火災報知設備やスプリンクラー設備は機器点検6か月と総合点検1年、配線は総合点検1年のみ
設備によって総合点検がないものがある(消防庁告示第9号 第3)

「年2回」と言われる理由

多くの建物には、自動火災報知設備のように総合点検が必要な設備が付いています。そうすると、6か月目に機器点検、12か月目に機器点検と総合点検が重なり、1年に2回、点検の作業が入ることになります。業者の案内でよく見る「年2回」は、この組み合わせのことです。

点検の1年のタイムライン。6か月目に機器点検、12か月目に機器点検と総合点検
点検の作業は1年に2回入る
消防設備の受信機の前で作業する点検員
受信機などの設備を実際に操作して確かめるのが総合点検(イメージ)

いつまでに報告するか。報告は1年に1回か3年に1回

特定は1年に1回、非特定は3年に1回

報告の周期は、施行規則31条の6第3項に書かれています(消防法施行規則 e-Gov)。1号に並ぶ別表第一の(1)〜(4)項、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項、(16の3)項は「一年に一回」、2号に並ぶ(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)〜(15)項、(16)項ロ、(17)項、(18)項は「三年に一回」です。

東京消防庁は、1年に1回の例を「物品販売店舗、ホテル、病院、飲食店など不特定多数の人が出入りする建物」、3年に1回の例を「工場、事務所、共同住宅、学校、駐車場等」と説明しています(Q6)。

報告の周期のカレンダー。特定防火対象物は毎年報告、非特定防火対象物は3年目に報告
点検は毎年、報告の回数は用途で変わる

非特定の建物でも、3年に1回なのは報告で、点検は6か月・1年ごとに続きます。

点検結果は維持台帳に記録する

同じ施行規則31条の6第3項は、報告の前に「点検を行った結果を、維持台帳(…消防用設備等又は特殊消防用設備等の維持管理に必要な書類を編冊したものをいう。)に記録する」ことも求めています。報告のない年も、点検結果を綴じて保管しておく必要があります。業者に頼んでいるなら、毎回の点検票の控えを受け取っておきましょう。

報告書に必要な書類(押印は不要)

報告は、消防庁告示第9号の第4で「別記様式第1の消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果報告に…点検票を添付して行うものとする」と定められています。報告書(別記様式第1)には、届出者の住所・氏名、防火対象物の所在地・名称・用途・規模、消防用設備等の種類などを書きます。

書類東京消防庁の案内(Q8)
① 消防用設備等点検結果報告書必要
② 点検結果総括表点検票が添付されている場合は省略できる
③ 点検者一覧表消防設備士・消防設備点検資格者以外の人が点検した場合は省略できる
④ 点検票必要な設備の分

押印について、東京消防庁は「必要ありません」と答えています(Q9)。点検票などの様式は、消防庁の点検基準・点検要領・点検票のページにまとめられています。

提出先は管轄の消防署。窓口・郵送・電子申請

実際の出し先について東京消防庁は「建物を管轄する消防署又は出張所へ報告書を提出してください。郵送での提出もできます」と案内しています(Q10)。提出方法は、管轄消防署の窓口に持参する、郵送する、電子申請システムの専用の受付フォームから出す、の3つです(Q11)。東京消防庁の管内以外では、受け付けの方法を管轄の消防本部で確かめてください。

報告書のセット。点検結果報告書、点検結果総括表、点検者一覧表、点検票。提出は窓口・郵送・電子申請、押印は不要
報告書のセットと出し方(東京消防庁の案内)

誰が点検できる?有資格者が必要な4種類の建物

条文には「政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ」とあります。政令で定める建物は、施行令36条2項の1号から4号の4種類です。「延べ1,000㎡以上の特定防火対象物」だけではありません。

号有資格者に点検させる建物(原文をもとに要約)
1号特定防火対象物((1)〜(4)項、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項、(16の3)項)で、延べ面積が1,000㎡以上のもの
2号非特定防火対象物で延べ面積が1,000㎡以上のもののうち、消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの
3号特定用途の部分が避難階以外の階にあり、その階から避難階又は地上に直通する階段が2(屋外に設けられるなどの場合は1)以上設けられていないもの
4号全域放出方式の不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するものに限る)が設置されているもの(施行規則31条の6の2)
有資格者に点検させる建物4種類。1号は延べ1,000㎡以上の特定、2号は1,000㎡以上の非特定で指定されたもの、3号は直通階段が2つ以上ない特定用途の建物、4号は二酸化炭素の全域放出方式の消火設備がある建物
有資格者に点検させる建物は4種類(消防法施行令36条2項)

延べ1,000㎡以上の特定と、指定された非特定

1号と2号は面積の条件です。特定防火対象物は1,000㎡以上なら有資格者が必要です。非特定防火対象物は、1,000㎡以上でも消防長又は消防署長の指定があったものに限られます。東京消防庁のQ4は分かりやすさを優先して「延べ面積1,000㎡以上の建物」と用途を区別せずに案内しているので、非特定の建物で判断に迷ったら、指定の有無を管轄の消防署に確かめてください。

階段が1つしかない特定用途の建物

3号は、面積に関係なく当てはまる条件です。東京消防庁は「地下又は3階以上の階に特定用途(物品販売店舗、ホテル、病院、飲食店など不特定多数の人が出入りする事業所等)があり、かつ、屋内階段が1か所のみの建物」と言い換えています(Q4)。

二酸化炭素の消火設備がある建物(令和5年4月1日以降)

4号は、二酸化炭素を放射する全域放出方式の消火設備がある建物です。東京消防庁は「令和5年4月1日以降、二酸化炭素消火設備(全域放出方式)が設置されている建物の消防設備点検は、建物の面積などにかかわらず有資格者が行わなければなりません」と書き、理由を「駐車場内での点検作業中に誤操作により消火ガス(二酸化炭素)が放出し、複数人が死傷する事故が相次いで発生したことを受け、消防法が改正されました」と説明しています(東京消防庁 消防設備の点検資格について)。

有資格者とは誰か

有資格者は、消防設備士と消防設備点検資格者です。消防設備点検資格者は、消防設備士や電気工事士、建築士などの資格や実務経験を持つ人が、登録講習機関の課程を修了して免状を受けた人です(施行規則31条の6第7項)。

なお、点検と工事・整備は別の話です。消防法17条の5は、消防設備士免状を持たない人が政令で定める消防用設備等の工事(設置に係るもの)や整備を行うことを禁じています。

自分で点検できる範囲と、消防庁の点検アプリ

4種類のどれにも当たらない建物では、関係者が自ら点検することも法令上は認められています。ただし東京消防庁は「当庁では、消防設備士や消防設備点検資格者による点検を推奨しています」と書いています(Q4)。また「消防職員が消防設備点検を実施することはありません」とも明記しています(Q16)。

自ら点検する人のために、消防庁は「消防用設備等点検アプリ」を運用しています。消火器、非常警報器具、誘導標識(蓄光式等を除く)、特定小規模施設用自動火災報知設備(受信機・中継器がなく自動試験機能を有するもの)の点検ができ、「点検結果を消防法令に定められた報告書の様式のPDFファイルとして出力することができる」とされています(消防庁 消防用設備等点検アプリ)。イラストで手順を説明した消防庁パンフレット「消防用設備等点検報告を自ら行っていただくために」もあります。

消防庁の点検アプリで扱える設備。消火器、非常警報器具、誘導標識、特定小規模施設用自動火災報知設備
消防庁の点検アプリで扱える設備

点検・報告をしないとどうなる(罰則)

罰則の対象は「報告をしない」「虚偽の報告」

消防法44条11号は、17条の3の3の「報告をせず、又は虚偽の報告をした者」を「三十万円以下の罰金又は拘留に処する」と定めています。さらに45条3号で、法人の業務として違反した場合は、行為者のほか法人にも30万円以下の罰金が科されます。東京消防庁も「点検結果の報告をしない場合には、消防法第44条第11号により、30万円以下の罰金又は拘留となる可能性があります」と書いています(Q15)。

罰則が直接向いているのは「報告」です。ただ、点検をしなければ正しい報告は出せず、点検したことにして出せば虚偽の報告になります。

立入検査と命令、命令違反の罰則

東京消防庁は「法定点検の結果に基づき、立入検査を実施しています」と書いています(T1)。消防白書は「消防法令違反を発見した場合、消防長又は消防署長は、警告等の改善指導及び命令等を行い、法令に適合したものとなるよう違反状態の是正に努めている」と説明しています(令和7年版 消防白書 立入検査と違反是正)。

設備が基準どおりに設置・維持されていないと認めるとき、消防長又は消防署長は、権原を持つ関係者に設置や維持のための措置を命じることができます(消防法17条の4第1項)。この命令に違反した場合の罰則は、報告の罰則より重くなります。

違反の内容罰則条文
点検結果の報告をしない・虚偽の報告30万円以下の罰金又は拘留消防法44条11号
上の違反を法人の業務として行った法人にも30万円以下の罰金消防法45条3号
維持の命令に違反して必要な措置をしなかった30万円以下の罰金又は拘留消防法44条12号
設置の命令に違反して設置しなかった1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金消防法41条1項5号
上の設置命令違反を法人の業務として行った法人に3,000万円以下の罰金消防法45条2号

現行の条文は、2025年6月1日施行の改正後の版で、刑の名前は「懲役」ではなく「拘禁刑」になっています。

消防設備点検の罰則の構造。報告しない・虚偽の報告は30万円以下の罰金又は拘留で法人にも罰金、命令違反はさらに重い
罰則の対象は報告と命令違反(消防法)

報告を忘れていたときの出し方

報告を忘れていた場合について、東京消防庁は「直近1年間で実施した機器点検(6ヶ月に1回)と総合点検(1年に1回)の結果報告書を、管轄消防署に提出してください。直近1年以内に点検を実施していない場合は、点検を実施した後に点検結果報告書を提出してください」と案内しています(Q20)。

不備が見つかったときの改修計画書

点検で不備が見つかったとき、東京消防庁は「不備事項があった場合は、早期に改修してください」とし、「不備のあった報告書を消防署に提出する場合は、改修の予定を記載した「消防用設備等点検報告改修計画書」を合わせて消防署へ提出してください」と案内しています(Q14)。

報告を忘れていたときは直近1年の点検結果報告書を出す。不備があったときは改修計画書を一緒に出す
報告を忘れた・不備が見つかったとき(東京消防庁 Q14・Q20)

全国の点検報告率は55.6%

実際にどれくらいの建物が報告しているのか。日本消防設備安全センターのセミナー資料には、消防庁提供データとして、2024年3月31日時点の消防設備点検報告率が「全国平均 55.6%」と載っています(日本消防設備安全センター 資料)。都道府県によって差が大きく、広島県70.0%、東京都68.7%、佐賀県68.5%が高い側、沖縄県27.4%、茨城県36.0%、栃木県39.7%が低い側です。神奈川県は44.6%で、前年度から7.09ポイント下がっています。

報告率の帯(2024年3月31日時点)都道府県の数
60%以上13
50%以上60%未満17
40%以上50%未満14
30%以上40%未満2
30%未満1
都道府県別の消防設備点検の報告率。全国平均55.6%、広島県70.0%、東京都68.7%、沖縄県27.4%など
報告率は都道府県で大きく違う(2024年3月31日時点)

建物の種類と大きさによる差は、少し古い資料ですが消防庁の検討会資料(2017年3月31日時点の速報値)で分かります(消防庁 参考資料4-4)。

1,000㎡未満1,000㎡以上
特定防火対象物47.5%(362,585/762,900)76.3%(161,259/211,411)
非特定防火対象物40.4%(909,493/2,250,767)70.2%(508,079/724,119)

いちばん報告率が低いのは、1,000㎡未満の非特定防火対象物、つまり小さな共同住宅や事務所、倉庫などでした。全国の報告率は1980年の15.3%から2017年の49.2%(速報値)まで上がってきていますが、2024年3月31日時点でも55.6%です。

区分別の報告率(2017年)と全国の報告率の推移。非特定・1,000㎡未満が40.4%で最も低い。1980年15.3%から2017年49.2%へ
小さな非特定の建物ほど報告率が低い(2017年3月31日時点・速報値)

一方で、設備そのものは付いています。消防白書によると、スプリンクラー設備の設置率は99.9%、自動火災報知設備の設置率は99.7%です(令和7年版 消防白書 消防用設備等)。

消防設備点検の費用

公的な相場はない(東京消防庁 Q13)

費用について、東京消防庁は「消防署から具体的な金額を提示することはできません」と答え、「契約後のトラブルを避けるためにも、複数の点検事業者から見積もりをとって依頼することをお勧めします」と続けています(Q13)。行政が示す標準料金はありません。この記事でも、平均や相場の金額は作らず、各社が公開している料金を出典つきで並べるだけにします。

費用は面積だけでなく、設備の数と種類で変わる

国土交通省の「建築保全業務積算要領」は、官庁施設の保全費を見積もるための資料です。消防用設備等の点検は、設備1本・1組・1個ごとに、必要な人数(保全技師補の人工)を積み上げる形になっています(国土交通省 建築保全業務積算要領 令和5年版)。

点検の項目単位歩掛り(人)
消火器(粉末・蓄圧式)機器点検 6M1本1回当たり0.022
屋内消火栓 機器点検 消火栓1組1回当たり0.102
屋内消火栓 放水試験 1Y1式1回当たり0.965
スプリンクラー ヘッド1個1回当たり0.001

延べ面積が同じでも、付いている設備の数と種類で手間は変わります。

国交省の建築保全業務積算要領の歩掛り。消火器1本0.022人、屋内消火栓1組0.102人、放水試験1式0.965人、スプリンクラーヘッド1個0.001人
官庁の積算は設備1個ごとに手間を積む

業者5社の公開料金(2026年9月21日取得)

以下は、各社が自社のサイトで公開している料金を、原文の数字のまま並べたものです。表示の単位も条件も会社ごとに違うので、横に並べて比べることはできません。どれも各社の価格で、公的な相場ではありません。

会社(所在)表示の単位公開料金(原文の数字)ページの注記
東海メンテック(愛知県岡崎市)点検1回・延べ面積別特定 〜150㎡ 〜8,000円/500〜1,000㎡ 〜30,000円/1,000〜2,000㎡ 〜55,000円/2,000〜3,000㎡ 〜100,000円。非特定 500〜1,000㎡ 〜25,000円/1,000〜2,000㎡ 〜40,000円。マンション 11〜20戸 12,000〜15,000円/21〜30戸 15,000〜25,000円点検1回の目安料金、年2回の実施が必要
日消システムズ点検1回・延べ面積×用途〜300㎡ マンション1万〜2万/商業施設1万〜3万。500〜1,000㎡ マンション3万〜6万/商業施設5万〜10万。1,000〜2,000㎡ マンション5万〜8万/商業施設8万〜15万令和4年5月18日価格改訂。総合点検1回の実施料金。所轄消防への提出費(5,000〜10,000)は含まない。法定内容を満たす実施契約はおおよそ一覧の2倍
沖消防建設(広島市)設備1台・1個ごと(税込)消火器点検 770円/本、受信機 3,300円/台、煙感知器 1,320円/個、誘導灯点検 1,650円/台、避難器具点検 3,850円/台。事例 テナントビル300㎡ 22,000円〜、病院300㎡ 44,000円〜規模や数量により変動する参考価格。公開日 2022年11月29日
ReR(和歌山)実例・年額(税込)テナントビル272㎡ 年66,000円/共同住宅960㎡ 年62,700円/専門学校1,520㎡ 年121,000円/総合病院8,000㎡ 年572,000円参考価格
全国消防点検.comアパート・延べ面積別〜300㎡ 1万〜2万円/500〜1,000㎡ 3万〜6万円/1,000〜2,000㎡ 4万〜8万円。例 2階建て(10戸)消火器2本 6,000円同社が複数社を調べてまとめた参考価格(2024年4月調査時点)
5社の公開料金の出し方の違い。延べ面積別、延べ面積×用途、設備1台ごとの単価、実例の年額、アパートの調査値
公開料金の出し方は会社ごとにばらばら(2026年9月21日取得)

見積もりで確認すること

上の注記のとおり、同じ「料金」でも1回分か年間か、提出費を含むかが会社で違います。見積もりでは次の点をそろえて確かめてください。

  • 1回分の料金か、1年分(機器点検と総合点検の2回)の料金か
  • 機器点検だけか、総合点検まで入っているか
  • 報告書の作成と消防署への提出が入っているか、別料金か
  • 設備の数と種類を、現地や図面で確かめたうえでの見積もりか
  • 不備が見つかったときの改修は、点検とは別の見積もりになるか

業者の選び方

消防署は業者を紹介しない。探し先は登録事業者一覧

東京消防庁は「消防署では特定の業者を教えることができません」と答えたうえで、「点検業者をまとめた点検実施事業者一覧については、公益財団法人東京防災救急協会のホームページをご参照ください」と案内しています(Q12)。

東京防災救急協会の登録事業者一覧は、「「消防設備等点検済管理委員会」の調査によって一定の要件を満たしていると認められた点検事業者を表示登録事業者として登録しています」と説明しています。登録事業者は、点検が適正に行われた証として消防用設備等に点検済票を貼ります。一覧は23区・市町村・その他の道府県(千葉・神奈川・埼玉・静岡)に分かれていて、令和8年1月6日更新の一覧を登録番号で数えると304事業者でした(当サイトで数えた値)。

選ぶときに確かめたいこと

法令と東京消防庁の案内から、業者を選ぶときに確かめたい点を6つにまとめました。作業する人の免状、点検の周期、全設備が入っているか、報告書の提出まで頼めるか、改修が別見積もりか、相見積もりを取ったか、です。

業者を選ぶときの確認リスト。有資格者の免状、点検の周期、全設備の点検、報告書の提出、改修の見積もり、相見積もり
業者を選ぶときの確認

相見積もりの取り方

東京消防庁が勧めているとおり、複数の業者から見積もりを取るのが基本です。どの業者にも、延べ面積と階数、用途、付いている設備の種類と数(前回の点検票の控え)、前回の報告の時期を同じように渡すと、金額の違いが何から来ているかを比べやすくなります。

対象かどうかのチェックリスト

  • 消火器・自動火災報知設備・誘導灯など、消防用設備等が付いている(付いていれば対象)
  • 住宅用火災警報器だけの戸建て住宅ではない(それなら対象外)
  • 建物に飲食店・物販店・ホテル・病院・福祉施設などの特定用途がある(あれば報告は1年に1回、なければ3年に1回)
  • 延べ面積が1,000㎡以上か(特定なら有資格者が必要、非特定なら指定の有無を確認)
  • 特定用途の部分が地下や3階以上にあり、屋内階段が1か所だけではないか
  • 二酸化炭素の全域放出方式の消火設備が付いていないか(付いていれば面積に関係なく有資格者)

よくある質問

Q. 小さなアパートでも消防設備点検は必要ですか?

消防用設備等が付いていれば対象です。共同住宅は非特定防火対象物なので、報告は3年に1回、点検は機器点検6か月・総合点検1年ごとです。消火器などは消防庁の点検アプリで自ら点検できる場合もありますが、有資格者が必要な建物かどうかは先に確かめてください。

Q. 点検をしないと30万円の罰金ですか?

罰則の条文(消防法44条11号)が対象にしているのは、報告をしないことと虚偽の報告をすることで、30万円以下の罰金又は拘留です。法人にも罰金があります(45条3号)。点検をしなければ正しい報告ができないので、結局は点検と報告の両方が必要です。

Q. 消防署におすすめの業者を聞けますか?

東京消防庁は「消防署では特定の業者を教えることができません」と答えています(Q12)。東京都内などでは、東京防災救急協会の登録事業者一覧が探し先として案内されています。

Q. 報告書にハンコは要りますか?

東京消防庁は押印について「必要ありません」と答えています(Q9)。窓口・郵送のほか、電子申請でも出せます(Q11)。

Q. テナントとして入っている店も関係ありますか?

消防法の「関係者」には占有者も入るので、条文上はテナントも関係者です。実際に報告するのは、一般的には消防設備の維持管理について権限を持っている人です(東京消防庁 Q7)。誰が点検を手配しているかは、オーナーか管理会社に確認してください。

参考にした一次情報

いずれも2026年9月21日に確認しました。

  • 消防法(e-Gov 法令検索)
  • 消防法施行令(e-Gov 法令検索)
  • 消防法施行規則(e-Gov 法令検索)
  • 消防庁告示第9号 消防用設備等の点検の期間・方法・報告書の様式(PDF)
  • 消防庁告示第14号 消防用設備等の点検の基準・点検票の様式
  • 消防庁「消防用設備等の点検基準、点検要領、点検票」
  • 消防庁リーフレット「消防用設備等点検報告制度とは」(PDF)
  • 消防庁「消防用設備等点検アプリ」
  • 消防庁パンフレット「消防用設備等点検報告を自ら行っていただくために」(PDF)
  • 東京消防庁「消防用設備等点検報告制度(消防法第17条の3の3)」Q1〜Q20
  • 東京消防庁「消防設備の点検資格について」
  • 東京消防庁「消防設備点検報告の期間について」
  • 東京防災救急協会「消防用設備等点検済表示登録事業者一覧」
  • 日本消防設備安全センター セミナー資料(点検報告率)(PDF)
  • 消防庁 検討会 参考資料4-4「消防用設備等点検報告率について」(PDF)
  • 令和7年版 消防白書「2.防火対象物」
  • 令和7年版 消防白書「6.消防用設備等」
  • 令和7年版 消防白書「5.立入検査と違反是正」
  • 国土交通省「建築保全業務積算要領 令和5年版」(PDF)

フローチャートとチェックリストで当たりを付けたら、最終的な判断は管轄の消防署に確認し、複数の業者から見積もりを取って進めてください。

この先を調べるための記事

ここまでが消防設備点検の全体像です。建物の条件や次に調べたいことに応じて、続きは次の記事にまとめています。

調べたいこと記事
費用の見方と業者の探し方消防設備点検の費用と業者の探し方
設備ではなく防火管理を見る点検防火対象物点検とは
マンションで部屋に入る点検マンションの消防点検
防火管理者の選任と消防計画防火管理者とは
建物の定期報告(建築基準法)建築基準法12条点検
受水槽の清掃と検査貯水槽の清掃は義務か
設置から10年を過ぎた連結送水管連結送水管の耐圧試験とは
消火器の使用期限と交換消火器の交換(使用期限・耐圧性能点検・旧規格)
誘導灯の交換とバッテリー交換誘導灯の交換(交換時期・点検の基準・バッテリー交換の資格・LED化)
点検をする人の資格(試験・講習)消防設備士とは
消防設備点検
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  • 防火対象物点検とは?消防設備点検との違い・対象の建物・点検の中身・特例認定・罰則・費用【2026年版・条文つき】

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